『ディパーテッド』潜入捜査の果て男は何を求めるか!手に汗間違いなし:動画配信・映画感想あらすじ考察
映画『ディパーテッド』は香港の『インファナル・アフェア』リメイクのカバー捜査・警察への逆潜入を題材にしたサスペンス映画!警察学校卒業したビリーは警察上層部に注目されアイルランドマフィアへ潜入捜査を行うことになる。一方マフィアのボスから警察組織にはサリバンが潜入し警察の情報を組織へ流していた。二人はお互いの素性を知らないまま、秘密の情報戦が繰り広げられる
2002年香港で公開され、爆発的ヒットとなった『インファナル・アフェア』3部作
そのハリウッド版リメイクとしてマーティン・スコセッシが史上最高額で興行権を買い取り、リメイクを製作した『ディパーテッド』
本作は、終始手に汗握る緊張状態が続き、ラストまで片時も目が離せません。
そんな本作は間違いなく
超おすすめの作品です
感想中心となります
それでは見ていきましょう!
あらすじ ネタバレなし
マサチューセッツ州ボストン
アイリッシュマフィアが街のあちこちらに蔓延する中、市警と州警察は、マフィア組織のトップを逮捕すべくやっきになっていた。
なかなか尻尾をつかませない、マフィアのボス、フランク・コステロは我が物顔で街を跋扈していた。
コリン・サリバンは幼き日に、コステロから見出されエリートの道を歩ませるべく後見人として警察学校を卒業させ警察のエリートコースを歩むのだった。
ビリー・コスティガンはマフィアやガラの悪い家系で育ったが、警察学校を卒業し州警察の警部に見初められてコステロの組織への内通者として潜入していくのだった。
コステロの犯罪の証拠をつかむべきビリーとコステロに情報を流すサリバンの、素性を隠した潜入捜査をお互い続けていた。
警察とマフィアでの内通者狩りの圧力が高まり、双方の駆け引きの火花が散り激化していくのだった・・・
映画情報&キャスト
『ディパーテッド』 2006年 アメリカ
【原題】The Departed
【監督】マーティン・スコセッシ
【脚本】ウィリアム・モナハン
【製作】マーティン・スコセッシ
ブラッド・ピット
ジェニファー・アニストン
ブラッド・グレイ
グレアム・キング
【製作総指揮】
G・マック・ブラウン
ダグ・デイヴィソン
クリスティン・ホーン
ロイ・リー
ジャンニ・ヌナリ
【出演者】
ビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)
:潜入捜査官、コステロの組織に潜り込む
コリン・サリバン(マット・デイモン)
:幼き日からコステロに見出されて、エリート捜査官となりコステロのスパイとして警察組織に入る
フランク・コステロ(ジャック・ニコルソン)
:アイルランド系のマフィアボス
フレンチ(レイ・ウィンストン)
:コステロの部下
クイーナン警部(マーティン・シーン)
ディグナム巡査部長(マーク・ウォールバーグ)
エーラビー警部(アレック・ボールドウィン)
マドリン(ヴェラ・ファーミガ)
:セラピスト・精神分析医
サリバンと付き合いつつ、ビリーにも惹かれる
超感想中心の評価考察・レビュー
無冠の帝王マーティン・スコセッシのアカデミー受賞作
無冠の帝王マーティン・スコセッシが本作で、第79回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞の4部門を受賞、助演男優賞にマーク・ウォルバーグがノミネートと大絶賛を受けています。
アジア映画のリメイク作品でありながら初の快挙です。
これまで、無冠の帝王として君臨していたマーティン・スコセッシがついに受賞したのは感動としてひときわです。
数々の名作を飛ばしながら、アカデミーには運がなかった巨匠マーティン・スコセッシ!
『タクシー・ドライバー』、『レイジング・ブル』、『ハスラー2』、『アビエイター』などどれもこれも、名作です。
特に『ギャング・オブ・ニューヨーク』などは、本作と同じマフィア構想を扱い、アメリカ生まれとアイリッシュ移民の争いを題材にした映画で出演者も同じレオナルド・ディカプリオを起用して、まさに復讐戦ですね。マーティン・スコセッシ監督自身もイタリア移民ですから、こういうマフィアや移民問題には感度が高いのだと思います。
本作は、原作とは違う設定もありながら、リメイクとして原作の良い所を伸ばし、変更したところも改悪でなく良い方向になったと思います。
監督の他の作品のたがわず、マフィアや闇世界の描写が生々しく描かれ、時代や世界観の描写として民族やコロニーを主軸として描かれます。本作の場合は、アイルランド移民や、その世界観と警察組織を中心に内面をえぐる様に描かれています。
当然、本家オリジナルがいいという人はいるでしょう。
映画好きな私からの個人的な感想としては、どっちも良い!です。
オリジナル『インファナル・アフェア』と比較、ラストの違い ネタバレ
『インファナル・アフェア』は香港の2002年大ヒットした、アンディ・ラウ(警察へ潜入)とトニー・レオン(闇社会へ潜入)したオリジナルの作品です。
マーティン・スコセッシは『インファナル・アフェア』の興行権を当時の最高額で買い取り、作成されています。
日本でもリメイクされたりしていますが、規模が違います。
大ヒットしたオリジナル映画ですが、闇社会との確執など香港映画らしい泥臭い"情"に訴える演出と脚本でした。
警察へ潜入しながらもアンディ・ラウ演ずるラウの組織を抜けたい苦悩や葛藤、組織へ潜入したトニー・レオンの演ずるヤンの犯罪への加担していく苦しみや悲哀さが色濃く出て、それぞれの視点で哀愁や感傷が前面に出て描かれていました。
一方で、『ディパーテッド』ではディカプリオのビリーの苦悩はひしひしと胸を打つように伝わってきます。一挙手一投足がコステロに組織にバレたら命が終わる、ギリギリの緊張感がディカプリオの顔に付き物のように表れていました。
一方で、マット・デイモン演ずるサリバンは能天気で、エリート色を出しつつ非常に自己中心的なコステロにさえ歯向かう姿もあり、非常に対照的です。
以下、オリジナルとの比較・違いです
- 潜入機関が5年 オリジナルは10年
- 警察の役職はリーダー、オリジナルは課長
- 精神科医マドリンは二人のビリーとサリバンの恋人 オリジナルではヤンのみ
- オリジナル ラウには愛すべき妻がいた
- 身分証明書番号を調べた時の封筒 市民(citizen)、オリジナルでは、「標」の字を書く
- ラストシーン
終わり方がサリバンはディグナムに殺されるが、オリジナルではラウは死なない警察で生き続ける - オリジナルでは、潜入捜査を知っているのはサムだけ!
やはりなんといってもラストシーンの差が一番顕著でしょうね。
見ていて、ドキドキします。オリジナルを知っている人にも”えー”って叫んでしまいます。
タイトルに隠される意味『departed』
タイトルに隠される意味はどの映画でも深いものがあります。実は、オリジナルとの比較でタイトルも当然違いますが、このdepartedには深い意味があると思っています。
ディパーテッドは、"departed",死にゆくもの・死者などと言う意味になります。
宗教的な暗喩で語られて、「よりよい世界へ行ったことを暗示」とされているのです。
一方で、オリジナルの原題は『無間道』となっています。同じく宗教的な意味が込められて日本でいうところの”無間地獄”をさします。終わりがない地獄が続くさまとして使われます。
違いが明白になりますよね。
一方は、死者を弔い、一方では無間に続く地獄をタイトルが表しています。
これは、ラストの終わり方にも通じていると思われます。
『ディパーテッド』では、死んだ全員に対して弔いの言葉がタイトルとなっていて。『インファナル・アフェア』では、ラウとヤンの苦しみを示唆しています。そしてラウだけが生き残った世界で精神的な地獄の苦しみがこのあと続くことを示唆しています。
光るキャスティング アカデミー俳優
本作の魅力の一つですがキャスティングが光っています。アカデミー俳優、名優たちの共演が見事です。お互いの個性と個性がぶつかり合って相乗効果で良いものを作り上げています。
また、それほどには名が通っていないヴェラ・ファーミガがヒロインに抜擢されたりもしています。本当はケイト・ウィンスレットが候補に挙がっていて、『タイタニック』コンビでやるはずだったかと思うと、ムネアツですが、本映画はハードボイルドなので恋愛要素よりも”悩み”が前面に押し出る形の、このキャスティングでいいと思います。
ヴェラ・ファーミガは、この後一気に有名になりますが、イメージは『死霊館』や『エスター』などホラー映画のイメージが定着しつつあります。ストレートな美人と言ううより陰のある系の美人なので、そういう起用になるのでしょうね。
レオナルド・ディカプリオの怪演 潜入捜査官
レオナルド・ディカプリオが光りました。王子様のような端正で甘いマスクから、親族はギャングだらけの不遇の育ちから、せっかく警察に登用されたのに、即潜入捜査官とついていない役回りのビリーをディカプリオが演じました。
企画時には、制作に名前を連ね自身の制作会社をも使っているブラッド・ピットがビリーの役をやる予定でしたが、ビリーの年齢設定との乖離でブラピ自身が辞退して、ディカプリオに決まりました。
結果的には、ディカプリオの怪演を見ることが出来ましたね。ほとばしる抜身のナイフような鋭さを持つ、生まれの悪さと尖ったビリーの表情とコステロの組織での張り詰めた表情、コステロと組織が壊滅した後の演技の幅としての落差が激しすぎて、潜入捜査の生々しさと苦悩が痛いほど伝わってきました。
ディカプリオは、『ロミオ+ジュリエット』『タイタニック』の流れの路線から、本作を境に確かに変わったように見えます。
悲願のアカデミーを取るのにふさわしい、鬼気迫る円熟した演技に磨きがどんどんかかっていきます、『アビエイター』、『ブラッド・ダイヤモンド』と成長し続けます。
それでも、あれほどの秀逸作で素晴らしい演技力を魅せてもアカデミーは受賞できません。ハードルは高いですね。オリンピックの金メダルのようです。作品・監督・ライバル、世論全てのパラメータがそろっていないと取れない。
そして2015年ついに『レヴェナント: 蘇えりし者』あの生き残りをかけた男の壮絶な生きざまで、主演男優賞を獲得できました。
本当に感慨深いものがあります。
原作オリジナルのトニー・レオンも良かったですが、ディカプリオの演技のほうが好きですね。
スクリーンの視聴者にこびていない演技というか、アイドル臭がしないです。
マット・デイモンの軽快で鼻につくチャラい役がはまってる
サリバン役として、ぴったりとはまったマット・デイモンのチャラさ、胡散臭さは最高でした!
ビリー vs サリバン
の2項対立であるべきですが、
個人的には
ビリー vs コステロ
の軸が目立ちました。実際はわざとそういう仕立てにして、製作側としてはディカプリオのビリー側に寄せていると思います。そんな中でのオリジナルと違う味付けの演技がよかった!
サリバンの、いかにも純粋で屈託のない悪、自己中心的な悪のキャラクター
どこかコステロでさえ見下している、自己欺瞞感がまんまんと出ています。恋人の前でも上司同僚の前でも裏に何か隠しているエリート感が半端ないです。
『ボーン・アイデンティティー』『オーシャンズ11』シリーズで、人気を確たるものにしたマット・デイモンです。ちょいちょいいろんな映画にカメオ出演するお茶目なところが大好きです。
そしてアカデミーこそノミネートのみで取れませんでしたが、『オデッセイ』での圧倒出来な”ぼっち演技”が冴えわたりました。元々は親友ベン・アフレックと始めた『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』での脚本賞でのアカデミー受賞と他の俳優とは異なるキャリアのマット・デイモンのこれからに期待です。
ジャック・ニコルソン 狂犬のようなマフィアのボス
アカデミー賞常連の、ジャック・ニコルソンは流石の演技です。本当に冷酷で、ネジが数本飛んでいる狂犬っぷりで視聴者に恐怖を与えてくれます。どこを切っても、ジャック・ニコルソンのイメージはぬぐえない状態でありながら、どんな役にもそういう大げさな演技で、ジャック・ニコルソン的な像を作り上げます。
本作の中でも、『シャイニング』での”それ”にのりうつ恐怖、『カッコーの巣の上で』のおどけた偽装精神病者、などどれも交じり合っています。
アカデミーを受賞した作品はもとより、どれも素晴らしいです
本作でも、ゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネートまでされています。
レオナルド・ディカプリオも、ジャック・ニコルソンに食われないように必死の演技だったでしょう、いい意味で相乗効果として盛り上がりレオナルド・ディカプリオの力を確実に底上げしていると思います。
潜入捜査を知るクイーナン警部・ディグナム警部補に往年のスターと若手の台頭
クイーナン警部、ディグナム巡査部長を演じ、ビリーを後方からバックアップしたのは、往年のスターのマーティン・シーンと、マーク・ウォールバーグです。
演技としては、マーク・ウォールバーグが高く評価され本映画でアカデミーで助演男優賞のノミネートを受けています。マット・デイモンと親友の二人ですが、この映画だけの演技では、マーク・ウォールバーグに軍配が上がっています。
キレのあるセリフで、何回”ふぁっく”言ううんだっけ?って言うくらい、口悪い巡査部長ですが、ラストシーンでは重要なポイントをかっさらっていきます。
マーク・ウォールバーグの髪形もおかしかったですが、これはコメディ『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』でも見せてくれましたので、慣れっこですがね。長髪より短髪のほうがカッコいいですね。
すっかり肉体派俳優として顔となっていますが、刑事・軍人が本当に似合いますね。『ザ・シューター/極大射程』、『パトリオット・デイ』など正義感あふれるパトリオットのイメージが本当に強いです。最近ではNetflix配信に出演し『スペンサー・コンフィデンシャル』で私立探偵をやって、ちょっとドジな正義感あふれる男を演じています
一方で、マーティン・シーンは、往年の名スターです。賞レースには無縁ですがありとあらゆる役で映画界に貢献しています。大統領とかもよく演じていますね。最近では、『アメイジング・スパイダーマン』でベンおじさんを演じています。エミリオ・エステベス、チャーリー・シーンの実の父親であることも有名ですね。
海外の評価 2020/04時点
評価は、両評価サイトで、ぶっちぎりでめっちゃいいですね。
同感です。オリジナルもいいですが、別物としてマーティン・スコセッシ版の仕立てですね。
Metascore (批評家) | 85 |
User rating | 8.5/10 |
TOMATOMETTER (批評家) | 91 |
Audience | 94 |
映画の感想まとめ
十分満足のいく映画でした。
オリジナルにはない良さ、オリジナルのほうが良い部分たたあります。
あくまでも個人的にですが、『インファナル・アフェア』はあれはあれで完成されていますが、あの情というか双方の感傷過ぎる所は香港ノワールらしさ全開で、『ディパーテッド』はアメリカのアイリッシュ版としてマフィアの中の、ディカプリオ対ジャック・ニコルソンと思えば、全然ありです
ラストの終わり方も違いますしね。
✔レオナルド・ディカプリオの俳優としての魂を感じたい!
✔ジャック・ニコルソンの暗黒街のボスは怖い!
✔マーティン・スコセッシものは外せない!
こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 5
キャスト 5
ストーリー構成 4
初見で読み取れない謎 4
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