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『コンティジョン』パンデミックのウイルス拡散・情報氾濫の恐ろしさを静かに表現!これはシュミレーションだ!:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-02-17

豪華アカデミー俳優達の淡々とした演技が映画『コンティジョン』の世界感をリアルに感じさせてくれます。ウイルスの恐怖よりもマスコミ・対策面でのパンデミックにおけるパニックや情報による誤った行動についての恐怖を確実に伝えてくれる、秀逸なサスペンススリラー!

派手な出来事では無く、たんたんとした全世界同時並行の世界観の中で恐怖を伝える、おすすめの作品です。

あらすじ ネタバレあり

最悪の体調不良のまま、ベスが香港出張からシカゴに帰ってくる。
ミッチはベスの体調を気遣うも、ベスが突然のけいれんと高熱で倒れて病院へ緊急搬送される。
搬送直後に、激しいけいれんと嘔吐をしてベスは死亡してしまう。死因は突発性の脳炎!ベスと抱き合い、出張からの帰りを喜んだ息子も病院へ運び込まれ、まもなく自宅のベットで死んでしまった。
ミッチは二人の感染者に濃厚接触するも、病気は発症しなかった。旅に出ていた実の娘も家に戻り二人で家に閉じこもる生活が始まった。

ベスと息子を中心にシカゴの街中にウイルス感染が広がっていき、都市機能が麻痺し壊滅状態へと向かっていく。香港でも同じ症状の感染が広まり、全世界的に恐怖と感染が急速に広まっていった。
ウイルスの感染以上に窃盗や暴力などが横行し、配給物の奪い合いなど人間性が失われていく世界があった。

WHOとCDCで協力しエリスを中心にウイルスの発生原因と発生源を特定すべく終息に奔走する。
もはや発生源の特定が困難なほど感染は広まり、エリスの元でシカゴの現場調査していたエリンもまた病に倒れる。
レオノーラは香港に調査に飛ぶも地元の医療にかかることのできない貧困層の暮らす村に身代金に代わりWHOにワクチン要求する為に誘拐される。

世界ではインターネットを使って、悪質なデマと嘘の薬効の情報が飛び交っていた。フリーの記者のアランのブログもその一つだ。彼の記事のため世界では効果の無い薬の奪い合いや、効果を信じて摂取し死んでいく人々であふれかえっていた。
CDCの努力によって、ウイルスのワクチンが開発され、全世界へ供給され始める。世界の人口の1/12は死滅しているが、ワクチンの供給は毎日行われ、ランダムに選ばれた”誕生日”がワクチン接種の日と定められ最大365日必要となった。
ワクチンの効果が出始めた頃、世界は正常に戻り始め、やがてアランも逮捕される。

ミッチと娘もようやく自宅の扉を開けて日常へ戻っていくのだった。

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映画情報&キャスト

公式HP  https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=3292 youtubeより

『コンテイジョン』 2011 アメリカ
【原題】Contagion
【監督】スティーブン・ソダーバーグ
【脚本】スコット・Z・バーンズ
【製作】マイケル・シャンバーグ
    ステイシー・シャー
    グレゴリー・ジェイコブス
【製作総指揮】
    ジェフリー・スコール
    マイケル・ポレール
    ジョナサン・キング
【音楽】クリフ・マルティネス
【撮影】ピーター・アンドリュース
【編集】スティーヴン・ミリオン
【出演者】
レオノーラ・オランテス医師(マリオン・コティヤール)
 :WHOの疫学者で
  ウイルスの特定と撲滅の調査を香港に向かって行う。
ミッチ・エムホフ(マット・デイモン)
 :ベスの夫
  妻から義理の息子も感染して死ぬも、ミッチは
  抗体保持者であり、ウイルスが発症することが無かった
エリス・チーヴァー医師(ローレンス・フィッシュバーン)
 :CDCの新ウイルスの対策責任者
  レオノーラ、エリンを率いて
  ウイルス撲滅に奔走する
アラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)
 :フリーランサーの記者
  記事を売るためなら、なんでもしてしまう
ベス・エムホフ(グウィネス・パルトロー)
 :ウイルスの最初の発症者
  ミッチの妻であり、前の夫と浮気している
  ウイルスは香港出張から持ち込む
エリン・ミアーズ医師(ケイト・ウィンスレット)
 :エリスの部下で、
  徹底して現場でウイルスの
  発生源・発症の原因について究明する

感想考察

豪華すぎるアカデミー俳優達

『コンティジョン』映画イメージ画像
公式HP  https://warnerbros.co.jp/home_entertainment/detail.php?title_id=3292 youtubeより

映画や内容の感想に行く前に、サスペンス・スリラーの映画に、かつてこれほどの豪華な俳優達が出そろったことがあったでしょうか。それぐらい目を引かれます。

誰が主役なのか、全くわからないぐらい凄すぎます。

クレジット順で行くと

  • マリオン・コティヤール 『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』第80回アカデミー賞主演女優賞
  • マット・デイモン アカデミー主演男優・助演男優ノミネート数知れず、
    『グッドウィルハンティング』で脚本賞受賞
  • ローレンス・フィッシュバーン 『TINA』アカデミー主演男優賞ノミネート
  • ジュード・ロウ 『リプリー』アカデミー助演男優賞にノミネート
    マット・デイモンと共演
  • グウィネス・パルトロー 『恋におちたシェイクスピア』アカデミー賞主演女優賞
  • ケイト・ウィンスレット アカデミー賞ノミネート数知れず、
    『愛を読むひと』で主演女優賞

おかしいでしょ、いや本当にやばいです。絶対凄い。

アカデミーって名前が付かないと出演出来ないのかって思っちゃいますよね。

しかも、アカデミー女優のグウィネス・パルトローとケイト・ウィンスレットをあっさり、殺してしまうんですよ、そんな脚本家も凄い。

スティーブン・ソダーバーグの世界観

実にこういう暗くなりがちな淡々とした映画にストーリー性を持たせる展開が上手い監督です。『トラフィック』でもそうでした。

また、同時並行で進行したり、少し過去に遡ったりする描写に無理なく入り込めるきっかけだったり映像切り替えを、キチンと行ってくれます。『オーシャンズ11』シリーズでもそうでしたが、映画を見ていて内容に無理なく頭の中に情報の再整理がされていきます。

これが、下手な監督だったりすると、何を言っているのか語りたいのかとんちんかんになってしまい、逆に情報がとっちらかる映画が多い中、ソダーバーグ監督は本当に上手い。

『コンティジョン』の映画そのものには、派手さはありません。各アカデミー俳優達は各々のシーンで確実な演技力と表現力でたんたんと自分のミッションをこなしていきます。どのシーンも飛び抜けないんですよね。全シーンが平準化された、まさに同一世界であるとわかる感じで、平行に進んでいきます。

この平行感がもたらす効果が凄い、確実にウイルスと情報のもたらす恐怖を表現されています。

パンデミック時のマスコミや情報統制の重大性

架空の映画という世界だからこそ、プチシミュレーションとして真面目に向き合うべきだと思ったのは、マスコミであったり情報を拡散する怖さです。

アラン(ジュード・ロウ)、癖のあるダメダメな売れない記者が情報に飛びつきデマを拡散し、さらに事実をねつ造していく様が本当におそろしい。その情報に踊らされた、その記者のフォロワー達がもたらす2次被害が本当にありそうで怖いですね。

もし、今の時代悪性のウイルスが蔓延したときに、我々がインフルエンサーに踊らされたり、ステマに騙される情弱な人達は防ぎようがないですよね。情報統制されればされるほど、我あれはデマゴーグに踊らされます。本当の恐怖ってウイルスよりもこっちだなぁ、とまざまざと感じました。

音楽はリズムのみ、ラストにかかるU2でうるっと涙が

各シーンで、音楽や吹奏楽など壮大な音楽半は流れたりしません。

人間の心臓の鼓動に似た、リズムが映画を盛り上げています。そのドクンのテンポを早めたり、遅めたりそれだけです。これが恐怖をかり立てられます。

そしてウイルスが終息に向かって最後に流れる曲が、U2の"All I Want Is You"です。

これがまた泣ける。日常に戻ったことを曲で表し、さらにミッチ(マット・デイモン)が愛していたのは奥さんであり、世界中が愛する誰かと日常に戻ることを表しているようで、ちょいうるっときましたね。

海外の評価 2020/03時点

評価は、批評家・視聴者ともに高い数値です。一般視聴者よりも批評家サイドから評価が高いのもアカデミー俳優達の演技が底上げしているものと思います。

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
70
User rating6.7/10
ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
85
Audience63

映画の感想まとめ

監督の映像化・センス良し、俳優の質良し、音楽センス良し、背景や進行テンポにストーリー性も良し。言うこと無しですね。

一部の批評もあると思います、そりゃあ確かに非現実は存在するでしょう。映画の設定としてね。まあ、敢えて二つあげるとしたら、

ミッチ(マット・デイモン)って抗体保有者なんだから、ミッチから抽出できないものなのか映画的にはあっていいと思う。(どこまでリアルに近づけたのかわからないけど)

もう一つは、感染力とワクチン開発スピードが、あれほど強力なウイルスだったら被害は、もっと凄い物になっていると思うし、ワクチン開発なんて出来たのかが疑問はありましたけど、普通に映画の設定として見ることが出来ました。

個人的には、全般的に断然好きです。

逆に見てみたいのが、アカデミー俳優達で補強しないで、新人とかでも同じ映画になったかは、興味ありますね。彼らの演技力がない状態でも、名優達を産み出せるのであれば、本当の名画になったかもです。

ウイルス感染のみでなくパンデミックの恐怖を体感したい方、来たるべき時にシミュレーションで備えたい方には、超絶のおすすめの作品です。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      5
 キャスト       5
 ストーリー構成    5
 初見で読み取れない謎 5

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、おすすめ作品と思います。