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映画『ザリガニの鳴くところ』独自の世界観で光るデイジー・エドガー=ジョーンズ:動画配信・映画感想あらすじ考察

2024-01-26

映画『ザリガニの鳴くところ』2022年話題作、独自の世界観で心打つ。デイジー・エドガー=ジョーンズの演技力とオリヴィア・ニューマン監督の繊細な演出が融合。自然の美しさと人間ドラマが生み出す感動作、他作品と比べても際立つ高評価。

『ザリガニの鳴くところ』は、自分の地元ではミニシアター的な小さな映画館で上映していた。

まさに文学作の映画を見るときにはうってつけの映画館だった。

この映画から特別感じる理由は、その独自のアプローチと、文学の深い味わいを映像でどう表現しているかにあるんだ。古典文学の映画化としては、『華麗なるギャツビー』(2013年)がある。この映画は、F・スコット・フィッツジェラルドの同名小説を基に、華麗なる20年代の魅力と人間の欲望をビジュアル豊かに描いていて、何度も映画化された作品だ。

『ザリガニの鳴くところ』と物語の内容は全く似てはいないのだけど、両作品ともに文学的背景が強いせいか一人称表現での過去回想であったりシーンの移り変わりが普通の映画とは少しセンスの違う独特の視覚的表現と物語の展開方法で独自の解釈を加えている点が共通している。

近年の作品では、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019年)が良い例だ。ルイザ・メイ・オルコットの名作を基に、19世紀のアメリカを生きる女性たちの姿を描いていて、家族と個人の夢を追求する過程での苦悩と喜びを丁寧に描き出している。

『ザリガニの鳴くところ』と同様、原作の魅力を損なうことなく、新しい視覚的解釈を加えている点で類似しているよ。

そんな文学の映画化作品の中でも、個人的には『ザリガニの鳴くところ』には高評価をつけたい。

これらの映画と肩を並べながらも、独自の色を放っている。文学の深いテーマを掘り下げつつ、映画としての新たな表現方法を模索している点で、まさに文学と映画のファンにとって見逃せない作品になっているわけさ。

感想中心のレビューでお届けします!

それでは、見ていきましょう!

あらすじ ネタバレなし

湿地帯の囁きが、遠い記憶を呼び覚ます。カイア、孤独に育った少女は、その緑豊かな自然の中で、ただ一人の生き方を見つけ出した。彼女の家族は、一人ずつこの地を去り、最後にはカイアだけが残された。
幼い心には、恐怖と不安が渦巻く。けれども、湿地は彼女を育んだ。ジャンピンとメイベル、彼らはカイアの存在を温かく見守り続けた。

時は流れ、カイアの前に現れたのは、テイトという名の少年。彼はカイアに読み書きを教え、二人の間には淡い恋が芽生える。しかし、テイトは学問の道を選び、彼女のもとを去る。カイアの心には再び孤独が広がった。その孤独を埋めたのは、町の人気者チェイス。彼との関係は、カイアに新たな喜びと痛みをもたらした。だが、彼女の心の奥底には、テイトへの未練が残る。

カイアは自然を愛し、その美しさをスケッチにした。彼女の作品はやがて注目を集め、生活は一変する。久しぶりに再会した兄ジョディは、家族の過去と母の死を告げる。しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。チェイスの突然の死と、その疑いがカイアに向けられた時、彼女の運命は再び大きく揺れ動く。

裁判所での戦いは、カイアにとって生きる意味を問う試練だった。証拠は彼女を疑わせるものだったが、真実はひとつ。カイアは無罪を勝ち取る。テイトとの再会、そして二人は湿地で穏やかな日々を過ごす。しかし、カイアの人生には最後の秘密があった。彼女の死とともに、その秘密はテイトの手によって湿地へと帰される。

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映画情報&キャスト

映画『ザリガニの鳴くところ』(Where the Crawdads Sing)、2022年アメリカ
監督: オリヴィア・ニューマン
原作: ディーリア・オーウェンズ(Delia Owens)の『ザリガニの鳴くところ』
脚本家: ルーシー・アリバー(Lucy Alibar)
音楽: マイケル・ダナ(Mychael Danna)
主要登場人物とキャスト:
カイア・クラーク(Kya Clark): デイジー・エドガー=ジョーンズ(Daisy Edgar-Jones)
 湿地帯で一人で生きる「湿地の娘」として知られる若い女性。
 孤独と自然との強い絆を持ち、生き抜くための知恵と強さを身につける。
テイト・ウォーカー(Tate Walker): テイラー・ジョン・スミス(Taylor John Smith)
 カイアの最初の恋人で、彼女に読み書きを教える。
 大学進学のために町を離れるが、カイアへの深い愛情を持ち続ける。
チェイス・アンドリュース(Chase Andrews): ハリス・ディキンソン(Harris Dickinson)
 町の人気者で、カイアに近づくが彼女を裏切る。
 彼の死は物語の中心的な謎となる。
ジャンピン(Jumpin): スターリング・K・ブラウン(Sterling K. Brown)
 湿地帯の売店の店主で、カイアの良き友人。
 彼女を支え、湿地帯での孤独な生活を助ける。
メイベル(Mabel): マイケル・ハイアット(Michael Hyatt)
 ジャンピンの妻で、カイアに対して母性愛を見せる。
 彼女の成長と成功を見守る。

超感想中心の評価考察・レビュー

『ザリガニの鳴くところ』で紡がれる、オリヴィア・ニューマン監督の世界観

オリヴィア・ニューマン監督のテーマと演出手法

オリヴィア・ニューマン監督の『ザリガニの鳴くところ』(Where the Crawdads Sing)におけるテーマは、孤独、自然との結びつき、そして成長という要素を通じて、人間の内面を深く掘り下げることにある。

ニューマンは、カイアの孤独な生い立ちと、自然の中で見出した居場所という、二つの要素を巧みに組み合わせて物語を紡ぎ出している。

実に女性らしい、感情ほとばしる表現としっかりとした芯の強さは、彼女自身の想いや芯の強さから来るのかもしれない。

この演出手法は、彼女の過去作品『ファースト・マッチ』での社会的テーマの探求とも共鳴する。『ザリガニの鳴くところ』では、自然の美しさと厳しさを背景に、主人公の心情を丹念に描き出すことで、深い感情の共鳴を観客に呼び起こしている。

演出手法としては、ニューマンは自然の中でのカイアの生活を描くことで、彼女の内面的な強さと脆さを表現している。また、映像を通じて自然の中での孤独と自由、そしてその中での人間関係の構築を描くことで、カイアの成長物語を豊かにしている。カメラワークや色彩の使い方にも、季節の変化や時間の流れを感じさせることで、カイアの人生の節目を繊細に捉えている。

それらの表現が実に美しい。

オリヴィア・ニューマン監督のキャリア作品や影響を受けた作品

ニューマンの過去作Netflix『ファースト・マッチ』では、社会的な立場やアイデンティティに焦点を当て、主人公の内面的な葛藤を描いており、『ザリガニの鳴くところ』での自然との結びつきと孤独というテーマは、これらの過去作品の探求をさらに深めたものと言える。

また、ニューマンが影響を受けた作品として、テレンス・マリックやデヴィッド・リンチのような監督の作品が挙げられる。

これらの作品からは、人間と自然、そして人間の心理を描く独特の映像美と演出手法を学んだと考えられる。

『ザリガニの鳴くところ』評価

『ザリガニの鳴くところ』は、原作のファンだけでなく、新たな観客も引き込む魅力を持っている。

映画は、美しい自然描写と心に響く人間ドラマで、多くの観客から高い評価を受けている。

デイジー・エドガー=ジョーンズの繊細な演技も評価の一因である。一方で、原作の持つ深みを完全に映像化することの難しさや、ストーリー展開に対する意見の分かれる点も見受けられるが、ニューマン監督の独自の視点と演出手法は、多くの人々に新たな視覚体験を提供している。

ニューマン監督の『ザリガニの鳴くところ』へのアプローチは、自然と人間の関係を深く掘り下げ、孤独と成長の物語を通じて観客に深い感情を呼び覚ます。これは、彼女のキャリアにおける新たなマイルストーンと言えるだろう。

『ザリガニの鳴くところ』映画化における原作との忠実性と映像表現の巧みさ

原作と映画の忠実性

映画『ザリガニの鳴くところ』は、デリア・オーウェンズの同名のベストセラー小説を基にしている。この物語は、孤独と成長、自然との深い結びつきを描いた感動的なドラマで、多くの読者を魅了した。映画化にあたり、オリヴィア・ニューマン監督は原作の核心を大切にしながら、映像作品としての独自性を持たせることに成功している。

原作の細やかな描写と深い心理描写は、映画ではビジュアルと演技によって表現されている。

特に、カイアの内面の葛藤や成長の過程は、デイジー・エドガー=ジョーンズの繊細な演技によって見事に映し出されている。しかし、映画では時間の制約上、すべてのエピソードやキャラクターの背景を詳細に描くことはできず、原作にあるいくつかのシーンや登場人物のエピソードが省略されている。

映画『ザリガニの鳴くところ』と原作の間にはいくつかの違いがあり、特に注目されるシーンの違いには以下があります。

  • カイアの逮捕シーンの違い
  • カイアが自身の物語を語る方法
  • カイアが初めて月経を経験するシーンの扱い
  • トム・ミルトンの役割の拡大
  • 詩への言及の欠如
  • チェイスの婚約に関する情報の開示方法
  • カイアの結末の描写

これらの変更点は、映画が原作の感動的な要素を保ちながらも、視覚的媒体としての表現方法の違いもありますけどね。

世界観の映像表現

『ザリガニの鳴くところ』の映画において特に印象的なのは、湿地帯の美しさと厳しさを映し出す映像表現だ。原作で描かれた自然の描写は、映画では壮大な風景として視覚化され、カイアの自然との深い結びつきを感じさせる。この自然の映像は、物語の大きなテーマの一つである「自然と人との共生」を視覚的に強調しており、観る者に原作の世界観を体感させる。

また、映画では色彩を使った演出も見事で、カイアの感情の変化や物語の進行を象徴的に表現している。自然の中での孤独、喜び、恐怖、そして平和など、様々な感情が色彩を通じて伝えられる。

映画『ザリガニの鳴くところ』において、特に評価が高いシーンは、カイアの結末に関する部分です。映画では、カイアが自然の中で穏やかに人生を終えるシーンが追加され、彼女が母親と再会して歩み寄る様子が描かれています。このシーンは、感動的であり、観客に深い印象を残しました

実話作品?

『ザリガニの鳴くところ』(Where the Crawdads Sing)は、デリア・オーウェンズによる同名の小説を原作とするフィクションの作品です。

この物語は、具体的な実在の事件や人物に直接基づいているわけではありません。しかし、作品の舞台となるノースカロライナの湿地帯の描写や、孤独と生き残り、自然との深い結びつきというテーマは、作者の自然に対する深い理解と経験に基づいています。

デリア・オーウェンズ自身が野生生物学者であり、アフリカでの長年の研究と保護活動を行ってきた経験があります。

そのため、自然界の詳細な描写や生物との関わり方には、彼女の実体験や観察が反映されていると考えられます。この作品は、人間と自然の関係、社会から孤立した人物の内面世界、そして成長と自己発見の物語を織り交ぜたフィクションであり、リアリティを帯びた描写が読者や観客に強い印象を与えています。

デイジー・エドガー=ジョーンズの躍進

デイジー・エドガー=ジョーンズの演技とキャリア

デイジー・エドガー=ジョーンズは、イギリス出身の女優で、若手ながらもその演技力で高い評価を受けている。特に、『ノーマル・ピープル』(Normal People)での演技は国際的な注目を集め、彼女のキャリアにおいて重要な転機となった。

この作品での繊細かつ強烈な演技は、観客や批評家から高い評価を受け、彼女の名を広く知らしめることに成功した。

影響を受けた作品や人物

デイジーは、演技において多くの映画や演劇、そして彼女が尊敬する俳優から影響を受けている。

どことなく、演技の本質的なところに若い時のメリル・ストリープの匂いが感じられるのは、メリル・ストリープやケイト・ウィンスレットなど、強く印象的な女性キャラクターを演じるベテラン女優たちの作品を学びの源としていると公言しているからだ。

これらの女優が持つ多様な役柄へのアプローチと、その演技の深みは、デイジーの演技においても反映されている。

『ザリガニの鳴くところ』以後の活躍

『ザリガニの鳴くところ』での主演は、デイジーにとってさらなる飛躍の機会を提供した。

彼女はこの作品で、自然と密接な関係を持つ複雑なキャラクター、カイアを見事に演じきり、その演技は多くの観客に感銘を与えた。この役での成功は、彼女の演技キャリアにおいて新たな高みを示し、今後のさらなる活躍が期待されている。

デイジー・エドガー=ジョーンズは、『ザリガニの鳴くところ』以降も、映画やテレビドラマでの主要な役割を獲得し続けている。

彼女の今後のプロジェクトには、幅広いジャンルの作品が含まれており、その演技の幅と深さをさらに広げることが期待されている。

  • 『Twisters』(2024年): これは1996年の映画『トゥイスター』の続編で、デイジー・エドガー=ジョーンズが主演を務めます。このアクション、アドベンチャー、スリラー映画は、『ミナリ』でオスカーにノミネートされたリー・アイザック・チョンが監督し、『レヴェナント: 蘇えりし者』の脚本家マーク・L・スミスが脚本を担当します。『Twisters』は、アムブリンとユニバーサル・ピクチャーズによる制作で、ワーナー・ブラザースが共同で資金提供しています​​​​。
  • 『Beautiful』: 伝説的なシンガーソングライター、キャロル・キングの生涯とキャリアを描く伝記、ドラマ、音楽ジャンルの映画です。デイジー・エドガー=ジョーンズはキャロル・キングを演じ、リサ・チョロデンコが監督を務めます​​。
  • 『On Swift Horses』: デイジー・エドガー=ジョーンズはこの作品で、ジェイコブ・エロルディ、ウィル・ポールター、そして『バビロン』のスター、ディエゴ・カルバと共演します。このプロジェクトの詳細は少ないものの、彼女が重要な役割を演じることが予想されます​​。

これらのプロジェクトは、デイジー・エドガー=ジョーンズが多様なジャンルとテーマに挑戦し続けていることを示しています。『ふつうの人々』(原題: Normal People、ノーマル・ピープル)BBCのアイルランドドラマでのブレイクスルー以降、彼女の演技キャリアは目覚ましい発展を遂げており、『ザリガニの鳴くところ』での成功を受けて、より大きなプロジェクトへの参加が期待されています。

映画の感想まとめ

『ザリガニの鳴くところ』は、2022年にリリースされた中でも、個人的に特に心を打たれた映画の一つです。

この作品は、デリア・オーウェンズの同名小説を基に、オリヴィア・ニューマン監督が見事に映像化したもの。主演のデイジー・エドガー=ジョーンズは、その複雑な役柄を繊細かつ力強く演じきり、観る者の心に深く残る印象を与えました。

2022年といえば、他にも『トップガン: マーヴェリック』や『バットマン』、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』など、多彩なジャンルの作品がリリースされた年。

それぞれが独自の魅力を持ち、映画ファンに多くの話題を提供しました。しかし、『ザリガニの鳴くところ』は、これらの作品とは一線を画す、独特の世界観と心温まる物語で、私の中では特別な位置を占めています。

この映画が持つ、自然との深い結びつき、孤独と成長の物語は、観る者に強い感動を与えるだけでなく、深く考えさせられるものがあります。デイジー・エドガー=ジョーンズの演技は、彼女が持つ無限の可能性を示しており、オリヴィア・ニューマン監督の繊細な演出は、彼女の才能を見事に引き出しています。

映画を愛する者として、

『ザリガニの鳴くところ』はただの映画以上のもの。

心を動かされ、考えさせられ、そして何度でも見返したくなる、そんな作品です。デイジー・エドガー=ジョーンズとオリヴィア・ニューマン監督の今後の活躍が、本当に楽しみで仕方ありません。

彼女たちの次なる作品が、また新たな感動を私たちに届けてくれることを心から期待しています。

映画って、本当に素晴らしいですよね!

一度は、必見の映画間違いなし

— hogeru —