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『アナザー・カントリー』国を裏切った老人の心に残る美しも儚く過ぎ去った青春の日々!BLが美しい:動画配信・映画感想あらすじ考察

2021-03-29

映画』『アナザー・カントリー』は1984年公開のイギリスBL映画!イギリス人でありながら祖国の機密情報をロシアに流していた実在のスパイを題材にするが、ハードボイルドでスリリングなスパイ映画ではなく若き日を回想するスパイの郷愁の念を中心に構成するヒューマンドラマ映画!ダークサイドに堕ちる前の彼の光輝く青春時代が儚く崩壊していく様を描く

隠れた名作、『アナザー・カントリー』を知っているだろうか

コリン・ファース等も出演する本作品は

少女漫画から出てきた美少年・青年たちが織り成す同性愛の映画と思われていますが、

物語の舞台となる1930年代のイギリスの政治背景を織り込んだ美しいだけでは語れない映画です

ベネットやジャドなど美しすぎる登場人物は、

当時の腐女子を沼に落としてしまったよう!

ストーリー構成も秀逸な映画で、

かなりおすすめの作品です!

4のおすすめ(5点満点)

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレあり

特権階級に属しているベネットは、
祖国イギリスを震撼させたスパイ行為をしたことでロシアに亡命した

1983年、モスクワ

老年となったベネットの元へアメリカ人ジャーナリストが訪れ、スパイ行為の経緯を聞き出そうとする。ジャーナリストの質問をうまくはぐらかしたベネットは、祖国を裏切る行為に駆り立てることとなったパブリックスクールで青春の光と影を語り始める

1932年
イギリス特権階級の子息が在籍しているパブリックスクールでは、全寮制という隔離された空間で思春期を迎えつつある少年は同性愛に陥る傾向があった

宗教観により同性愛が露呈すれば退学となり、エリートから転落する。そんな綱渡りの社会情勢だ。エリート候補生の上級生から構成されている自治会では、学生たちの健全なる育成のため徹底した管理教育を実施している。

ベネットはその自治会のトップ的な役職・代表を目指している野心家!
一方で、共産主義に傾倒している親友ジャドは欺瞞に満ちたイギリスの階級社会を嫌悪している

そんな野心家ベネットは自身が同性愛者であり、決定的な現場を抑えられることなく同性同士の恋愛を気軽に楽しんでいる。エリートが約束された代表にもう少しで手が届く所にいるベネット

そんなベネットが、一人の美少年ハーコートに心奪われてしまう!いつもの恋愛と違い、本気モードのベネットはハーコートに積極的にアタックをしかける・・

ある日、同性愛の現場を舎監に目撃された一組の学生の一方が自殺するというショッキングな事件が起きる。自治会内では権力闘争の勃発し、このゴタゴタのさなか、代表になれる可能性が高くなったベネットは、なんとしてもチャンスを掴むためジャドに協力を要請する。
親友の頼みとは言え階級社会を嫌悪するジャドは一旦断るが、ベネットの熱意に負け支援の要求を受け入れサポートすることにするのだった。

ジャドの加勢によりベネットは代表への切符を手にするが、彼を敵視する生徒により同性愛を示す証拠を露見されてしまう。自治会のメンバーとも関係があったベネットは、その事実があっても逃げ切ることが出来たが愛するハーコートを守るため鞭で尻を打たれることを選択する。

この屈辱的な罰は、ベネットがエリートから転落したことを意味する

エリートへの夢が絶たれ落ち込むベネットをジャドは慰めながらも、「君が無分別だからだ」と諭します。「無分別」と言うワードが心に響いたベネットは、ジャドが傾倒している共産主義に興味を示していく

時代は流れ、ジャーナリストに自身の青春時代を語り終えたベネットは、スペイン内戦で若くして戦死した親友ジャドやかつて愛したハーコートなどパブリックスクール時代の写真を懐かしいまなざしで見つめる。ベネットはジャーナリストに、今の自分になる前の青春時代に楽しんでいたスポーツ、

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映画情報&キャスト

『アナザー・カントリー』(字幕版)1984年 イギリス
【原題】Another Country
【監督】マレク・カニエフスカ
【脚本】ジュリアン・ミッチェル
【原作】ジュリアン・ミッチェル
【製作】アラン・マーシャル
【製作総指揮】ロバート・フォックス ジュリアン・シーモア
【出演者】
ガイ・ベネット(ルパート・エヴェレット)
 :当時タブー視されていた同性愛者だが、
  校内で上手く立ち回り自由気ままな同性同士の恋愛と学生生活を謳歌している。
トミー・ジャッド(コリン・ファース)
 :共産主義を信条しており、
  周囲から浮いているものの本人は全く気に留めていない。
  自身と正反対のベネットの親友。
ジェームズ・ハーコート(ケイリー・エルウィス)
 :映画冒頭でベネットに一目惚れされた金髪碧眼の美しい学生
  ベネットからの好意を拒否することなく素直に受け入れている。

超感想中心の評価考察・レビュー

パブリックスクールの実態

『アナザー・カントリー』を好きな人(特に女子)は、

かなり強引ですが少女漫画が好きだと勝手に推測しています(^^♪

少女漫画は「ガールミーツボーイ」即ち、少女が少年と運命的な恋におちるのが定番ですが、1970年頃から外国を舞台にした美少年をメインにした恋愛もの(ボーイズラブ「BL」)が登場していきます。

BL好きな女子は、密かに金髪碧眼や黒髪に情熱的な瞳の美少年たちに心をときめかせ、舞台となる外国文化に詳しくなった方もいたことでしょう。

深夜テレビで初めて『アナザー・カントリー』を見たときは、漫画の美少年が本当にいた!と驚いてしまいました。知る人ぞ知る名作漫画『風と木の詩』を読んでいたので、『アナザー・カントリー』の舞台となる全寮制パブリックスクールの裏事情が何となく理解できていました

『アナザー・カントリー』の裏事情

『アナザー・カントリー』の舞台となるパブリックスクールの自治会は、

簡単に言えば生徒会のようなものです

生徒会の役員経験があれば進路にプラスされますが、エリート校の生徒会となれば国家の中枢を担う役職が約束されているようなものです。

高額な金額を払ってエリート校に通わせている親の期待も半端ではないので、学生でありながらもエリートの切符と手にするには『アナザー・カントリー』のような政治家顔負けの権力闘争が繰り広げる必要があったのでしょう。

特権階級の子息たちは全寮制エリート校で厳しいながらもそれぞれの青春を謳歌していますが、男子校なので当時タブー視されていた同性愛に走るものも出てきています。今とは違い、発覚すれば即ジ・エンドです。

絵になるベネットとジャド

『アナザー・カントリー』は一言では語りつくせないほど好きな映画ですが、最初に挙げたいのは理屈抜きで絵になるベネットとジャドのコンビです。

ついついジャドに甘えてしまうベネット。そんな彼に苦言を呈しながらもついつい助け舟を出してしまうジャド。そんな二人が普段着を着崩し校内を歩く姿は美しく、いつまでも見ていたいと思ってしまいます。

ベネットは典型的なエリート候補生ですが、時に反抗的な態度や大胆な行動を取ってしまうことがあります。ジャドは階級にしがみついているイギリスに幻滅し、最大多数の最大幸福を目指している共産主義に傾倒していっています。自由人ベネットと堅物ジャドは友達になれる要素はないのですが、二人は特権階級の異端者であることから気が合い親友と呼べる友人関係を築いていったのでしょう。

イギリス階級社会は、当時は酷い状況ですからね

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ギリシャ彫刻のようなガイ・ベネット役ルパート・エヴェレット

カンヌ映画祭で芸術貢献賞受賞した『アナザー・カントリー』は光と影のコントラストが美しいので、ベネット役を演じるルパート・エヴェレットの彫りの深い顔が際立ってます

ルパート・エヴェレットは『ベスト・フレンズ・ウェディング』(1997年)で、ジュリア・ロバーツのゲイの親友役をチャーミングに演じています。ラストでの二人のダンスシーンは素敵としか言いようがありません

他の学生と妙に比べ落ち着きのあるトミー・ジャド役コリン・ファース

私にとってコリン・ファースは『アナザー・カントリー』のジャドのイメージが強いので、

『キングスマン』シリーズ(2014年・2018年)でハリウッドのアクション映画のようなキレキレアクションを見たときには驚いてしまいました。

『キングスマン』では50歳を過ぎていたのにも関わらず、果敢にアクションに挑戦するコリン・ファースに敬服します。

『アナザー・カントリー』の元ネタ

主人公ベネットのモデルとなったガイ・バージェスはケンブリッジ卒のエリートでありながらも、ロシアのスパイ「ケンブリッジ・ファイヴ」のメンバーでスパイ行為によりロシアに亡命しています。

二度の世界大戦から1950年代までイギリスで諜報活動をしていた「ケンブリッジ・ファイヴ」は、リクルートされたケンブリッジ卒の5人で構成され、ロシア側にかなりの情報を提供していたと言われています。

『アナザー・カントリー』のエンドロールでのテロップ

『アナザー・カントリー』のエンドロールで主要登場人物のその後がテロップで流れており、ベネットはハーコートの名付け親になったようです。

純愛だったベネットとハーコートの関係は、学生時代の淡い思い出となり二人は友人関係になっていったのでしょうか。

自分の子供の名付け親に指名するぐらいだから、ハーコートはベネットを信頼していたのかもしれませんが、ダークサイドに堕ちてしまったベネットはエリートの仮面を被ってハーコートに接していたのかもしれません。

実在の人物をモデルにした映画では、エンドロールのテロップで登場人物のその後がテロップで流れていることから、『アナザー・カントリー』ではベネットだけでなくジャドやハーコートも実在の人物をモデルにしたのではないでしょうか。

映画の感想まとめ

『アナザー・カントリー』は元々舞台で上演されており、

映画でのベネット役のルパート・エヴェレットやジャド役のコリン・ファースは舞台版では主人公ベネットを演じています。

他にはケネス・ブラナーやダニエル・デイ=ルイスなど、世界的に活躍しているイギリス人俳優がベネットを演じていることから

舞台版『アナザー・カントリー』はスター登竜門とも言えるのかもしれません。

英語はわかりませんが舞台版『アナザー・カントリー』も見てみたいね・・・