映画感想『真珠の耳飾りの少女』絵画のような映像美に魅せられフィクションの中に真実を見る

2020-04-22

映画『真珠の耳飾りの少女』は、同名のフェルメールの絵画をテーマにした小説が原作となる歴史ミステリー・ヒューマンドラマ!貧しい家庭のグリートはひょんな経緯から画家のフェルメールの家につかえることになり、徐々に画家の描く絵に魅せられていく。フェルメールの手伝いをするようになるがフェルメールの妻からは嫉妬の目で見られる中、フェルメールはグリートをモデルに人物像を描く決心をする

まさに絵画の中から出てきたと思うほどうっとりするくらいの映像美

それが、この映画の最初の感動で、そして見終わった後の恍惚とした感覚もまさにそれです

映画全体的に優雅に流れるように構成されて、およそ歴史ミステリーの様相はありませんが飽きることなく映像美を見続けることが出来ます。

主演女優のスカーレット・ヨハンソンの演技の一つ一つが静かに光を放っています

本作は面白いというより、”美”を楽しむだけでも十分に見るに値する

おすすめの映画です

それでは超感想中心ですが

それでは見ていきましょう!

あらすじ ネタバレあり

目を悪くする前はかつてタイル絵師であった父から、奉公に出る代わりにタイルを形見として渡されたグリートは画家のフェルメールの家の使用人となった。お金持ちの義理の母の家にフェルメールと妻と5人の子供たちが暮らす大所帯である。風の噂で美術パトロンのファン・ライエンに見初められて以前の使用人は辞めてファン・ライエンの下へ使用人として移ったが妊娠して、実家へ追い出されたとか。

パトロンのファン・ライエンの為に祖母は晩餐会を開き絵を売りつけて、家族を養っていた。

あるときグリートがアトリエの掃除をするようになり、指で構図を作ったり、アトリエの光の具合や被写体の椅子をずらしたりするのを見て、フェルメールは才能を見出し始めた。
フェルメールに言われ、絵の具を作るのまでもがグリートの仕事になっていた。グリートは性肉屋の息子と交際する傍らで、ほのかにフェルメールに想いを寄せていた。

あるときにパトロンのファン・ライエンから、フェルメールは人物の群像を描写した絵の注文を受ける。ファン・ライエンからはフェルメールの絵に対する魂を引き出すようにグリートへ暴力的なけしかけをされる。フェルメールはグリートの肖像画を描く決意をし、祖母も妻のカタリーナが留守の時に、真珠の耳飾りをグリートへ渡しモデルを暗に支援した。

カタリーナは、フェルメールのグリートを見る目に対してついに我慢できなくなり、アトリエに訪問し
キャンパスに描かれている絵を見せろとフェルメールに迫り、そこに描かれた絵を見て嫉妬の劇場に顔をゆがめる
そこには青いバンダナを巻いて真珠の耳飾りをしているグリートの姿があった

数年後、カタリーナから追い出されたグリートは性肉屋の息子と暮らしながらフェルメールからの便りをもらう。
その中には、葵バンダナに包まれた真珠の耳飾りが入っていた

映画情報&キャスト

『真珠の耳飾りの少女』 2003年 イギリス・ルクセンブルク合作
【原題】Girl with a Pearl Earring
【監督】ピーター・ウェーバー
【脚本】オリヴィア・ヘトリード
【原作】トレイシー・シュヴァリエ 『真珠の耳飾りの少女』
【製作】アンディ・パターソン
    アナンド・タッカー
【音楽】アレクサンドル・デスプラ
【撮影】エドゥアルド・セラ
【出演者】
グリート:スカーレット・ヨハンソン
 :フェルメールの家の使用人
フェルメール:コリン・ファース
  本名(ヤン・ファン・デル・メール・ファン・デルフト)
 :画家
ファン・ライフェン(トム・ウィルキンソン)
 :フェルメールの最大のパトロン
ピーター(キリアン・マーフィー)
 :精肉店の息子 グリートの恋人
カタリーナ・ボルネス:フェルメール夫人(エッシー・デイヴィス)
マーリア(ジュディー パルフィット)
 :カタリーナの母親

超感想中心の評価考察

圧倒的映像美に引き込まれる絵画の世界

映画のテーマが、フェルメールの絵画だけあって本当に、美しい映画に仕上がっています。

本映画は原作の同名の『真珠の耳飾りの少女』トレイシー・シュヴァリエ作のフィクション小説からの映画化です。演出や脚本は、原作を少し変えての全体的なトーンに仕上がっておりストーリーやプロットがぶれない程度の改編となっています。

そして、この映画はそんな軽微な修正なんて全く気にならない、カメラワークというか映像美がとにかく素晴らしい!

一瞬見て、よーく見て、じっくり見て、どんどん絵画の世界を鑑賞しているかのような錯覚にとらわれていきます。

別に、4KだからとかHiVisonだから綺麗とかそんなこっちゃないんです。

まるで絵画を見ているみたいなのです。見るとすぐにわかりますが、異常にカラフルです。

絵画を扱う映画は、どれもがだいたいは綺麗な映像になる傾向はありますが。『鑑定士と顔のない依頼人』『ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー』『ゴッホ最後の手紙』・・・本映画では群を抜いている感じがします。

しかも自然色で淡い感じのカラフルさです。

そのカラフルな色合いにもかかわらず、被写体(映像の中の主格の対象物)の周辺がぼやっとぼけてるなーっとなっています。

それくらい各シーンで被写界深度を意識した構図と、実際の焦点距離になっていますので、自然とピントが合っていないところはボケます。

そうです、この映画は普通の映画よりもこういう構図どりがものすごく多い。

一眼レフカメラとか、絵画をずーっと見ている感じです。

さらに、その色合いに光の当て方が明かる面と、影の面のコントラスト(対比)が物凄く、映像の中から何か飛びでt来そうな感覚錯覚します。

こういう美しさが随所にあります。

映画宣伝的には、おそらくフェルメールの作品の多くが生み出された左から日か指してくるなんとことはない中産階級のアトリエ、通称”フェルメールのアトリエ”の再現力です。床のタイルといい壁の色合い、窓からの日の指し方。本当に一瞬フェルメールの絵を見ているのかと錯覚します。

個人的には、これはフェールメールの絵のオマージュではないのかもしれませんが、グリート(スカーレット・ヨハンソン)とピーター(キリアン・マーフィー)が並木が立っている土手を二人で散策するシーンの陽光の光の反射と、色使いに圧倒されました。

美術の知見はまったくありませんが綺麗がどうかぐらいは感じることが出来ます。

まちがいなく、美しい構図と絵の中を歩いているかのような感じです。

ナウシカ風に言えば『青きターバンそのものまといて、金色の土手を歩く』って感じです。

きっと風景画のターナー(映画でもありました『ターナー、光に愛を求めて』)とか、オランダ巨匠のレンブラントなどへのオマージュがあるのではないかと推測しています。

街並みの描写は、フェルメールの描いたデルフトそのもので、フェルメール出身のデルフトを描いた『デルフトの眺望』などをかなり意識して描かれているように思いえます。

また、オランダの街並みの描写が本当にリアルでした。

  • 氷をを割る
  • 洗濯物が凍る
  • 腐った肉を扱うマーケット
  • 人々の喧騒

どれもが当時の情景を想起させる息づかいがありますが、どことなくリアリティってよりも美しさ優先の絵画的な描写に終始しています。

ようは、汚れのシーンも絵っぽいってことです。

監督は新進のピーター・ウェーバー

監督のピーター・ウェーバーは、なかなか面白いキャリアです。

本作で長編でいきなり世間に認められますがその後はぱっとしません。

代表作としては、打って変わってレクターシリーズ『ハンニバル ライジング』でメガホンを取って、ここでは再評価されています。

透明感抜群のスカーレット・ヨハンソン

本作品でゴールデングローブ賞を受賞し、アカデミー賞主演女優賞へノミネートを果たした本作品ですが、女優の演技も並ではありませんでした。

彼女は、『ロスト・イン・トランスレーション』で元々が高い演技力を評価されたのを、間ベルシリーズに出るようになってからすっかり忘れていました。本作品は、ロストインと同年に公開されているだけあり、演技が冴えわたっています。

最近の『マリッジ・ストーリー』(Netflix映画)と、『ジョジョ・ラビット』で同年のアカデミー賞に、主演女優と助演女優のダブルノミネートされるなど、本当に演技の幅が広いです。

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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

そのスカーレット・ヨハンソンの、原点的な映画にあたる本作です。

彼女の本来持つ透明感と、凛とした芯のある女性の演技が余すことなく表現されています。

フェルメールとの距離感も抜群にうまかったです、絵画を描く画家としての羨望と尊敬、自身の絵に対する気持ち、口にできない淡い恋心と距離感。

明確な描写はありませんが、フェルメールに対しての恋心は本人も気が付いていない微妙なものとの設定ではないでしょうか。そうすると全ての微妙な距離感と視線が納得できます。

いずれにしても、高い演技力がないとできない表情ばかりです

安定のコリン・ファース

フェルメール役を演じたのは、『英国王のスピーチ』でアカデミー賞主演男優賞を獲得した、名優中の名優です。

本当に目で演技するとはこのことですね、台詞なんてほとんどありません。それなのに確かに存在する、圧倒的な感情の表現力。ファンに対する思い、妻への想い、絵に対する情熱。グリートを”ネブル”眼。なめるように見入ります。

萌えるような熱い目と、冷静な目の落差で視聴者を釘づけにします。

名わき役

個人的に掘り出しものだと思ったのは、フェルメールの義理の母親マーリア役を演じたジュディー パルフィットです。

本当にすごった。

彼女が、映画全体の楔(クサビ)であり、彼女のセリフで方向性が右に左に変わります。
プロットの切れ目に彼女ありです。

彼女の地味な演技が、他を引き立たせる重要なポイントになっていました。

映画の中での伏線 ネタバレ

伏線的な表現になりますが、オープニングのシーンで料理をしているグリート

料理の食材をいろいろ切って、トレイの上にそろえています。その揃え方に美術的な光と影を意識して載せているのです。載せたりずらしたり、トレイの方向を変えて光と影を意識していて、フェルメールに才を見出されるわけだ。

こういう感じで映画を見進めるうちにわかってきます。

フェルメールは、光と影、写実主義として距離感などもかなり正確に描写されたと言われています。

人物像そのものは、かなりの謎に包まれていますが、その部分に原作者のトレイシー・シュヴァリエが焦点の当てて、元々フェルメールを好きすぎた彼女が、フェルメールの人生を作ってもいいんじゃないかと思いいたって本原作の作成に至っています

参考:トレイシー・シュヴァリエのTEDトーク

TEDより youtube.com


さらに彼女は相当研究しているのでしょう。

冒頭で、グリートは母親からフェルメール家は『カトリックだからお祈りが聞こえても耳をふさぐように』と指示されています。

これは、グリートはプロテスタントであることを示唆しています。

そして、フェルメール自身はカタリーナとの結婚時に新教からカトリックへ改宗したと言われています。
(あくまでもフェルメールは謎なのですが)

ここにレトリックがあり、暗にグリートもフェルメールのように美術の才能があるのだということのメタファだと踏んでいます。

参考に宗教の違いは以下がわかりやすいです

さらに映画の中では、アトリエの掃除で義母と妻に「窓を拭いてもいいか」と聞いたシーンは、美術や絵画的な才能に全くうとい妻と、光の加減と影の微妙な光彩が窓を拭くことによって変わることを伝えようとしているグリートの対比がお揃いいほど残酷でした。

この映画の中のカタリーナには生涯を通じて絵画の良しあしがわかることはなかったでしょう。

小ネタ ゼロ

皆さんは、漫画の原作:愛英史、絵:里見桂によりスーパージャンプに掲載された絵画や美術品の贋作家の物語なのですが、この14巻と34巻でフェルメールが若干描かれています。

色彩の魔術師だとかなんとか、ゼロの調査能力はすごいんです。

この中でも描かれていましたが、本作でも絵の具を作る作業ではグリートが一生懸命作ります。

高そうな材料を惜しげもなく、使って。

当時のオランダや時代背景では、ラピスラズリブルー=>『真珠の耳飾りの少女』の巻いていたバンダナの色ですが同じ重さの金塊に値するくらいの価値だったそうです。フェルメールが身を寄せていた、義母の家が金持ちであったことがうかがえます。

海外の評価 2020/04時点

ちょっと、不満です。本映画はもっと評価されてもいいと思う。

十分高い数値ですけどね

それぐらい、良い映画であったとお思います

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
72
User rating6.9/10
ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
72%
Audience68%

映画の感想まとめ

本映画は、もう少し評価されていもいいと思います。

少し残念ですね。

フィクションはいえ、広大な創造が事実に近いなんて話はあるかもしれない。

そんな予感をさせるくらい、良い映画でした。

脚本よりも何よりも映像がすごい、見終わったとに美術鑑賞をしたかのように、教養が豊かになる気がします。

はい。あくまでも気がします。

それだけです

絵画好きの人にはぜったお勧めです

✔スカーレット・ヨハンソンの原点を見たい人!
✔英国王のスピーチを聞きたい人!
✔美術とか絵が好きな人!

こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      5
 キャスト       5
 ストーリー構成    4
 初見で読み取れない謎 4