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『仮面の男』太陽王ルイ14世のまことしやかな都市伝説をデカプリオが演じる歴史活劇:動画配信・映画感想あらすじ考察

映画『仮面の男』は1998年のアメリカの歴史ミステリー映画!ディカプリオを主演に迎えて原作『ダルタニャン物語』に描かれている17世紀頃の都市伝説・鉄仮面エピソードを下敷きに、中年期に入った元三銃士とダルタニアンが苦悩と葛藤の末に共闘していく姿を描いた歴史娯楽活劇、性格が真逆の双子の兄弟を難なく演じ分けるディカプリオの芸達者振りに脱帽

若手俳優や芸人が、ベテランと呼ばれたり

アイドルから大物歌手となったり、実力NO1となったり

レオナルド・ディカプリオにとって、本作はそんな作品ではなかろうか?

まあ、歴史スペクタルではないにしても作品性としても歴史ミステリー、都市伝説的な作品が原作となった仮面の男は、『ダルタニャン物語』から着想を得ています。

そして、『仮面の男』では『タイタニック』でアイドル俳優から抜け出た若き日のレオナルド・ディカプリオに目がいきがちですが。。。

脇を固めるのイケおじ軍団ジョン・マルコヴィッチ、ジェレミー・アイアンズ、ジェラール・ドパルデュー、ガブリエル・バーンの大人の魅力満載と

他にも見どころたくさん!

『仮面の男』は当時の歴史背景に詳しくなくても理屈抜き楽しめ、2、3回と何度でも観たくなる映画です。

4のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレあり

ルイ13世に忠誠を誓った三銃士アラミス、アトス、ポルトスと彼らの盟友ダルタニアンは、銃士として活躍していた青年期から中年気にさしかかる

三銃士メンバーは現役から引退しそれぞれの人生を歩み、ダルタニアンは現役銃士隊長としてルイ14世に仕えているのだった。国王ルイは日々の生活に困窮している国民を気に留めることなく、戦争により国を弱体化させ、忠誠に相応しくない国王となっていた。。

銃士隊に入隊したアトスの息子ラウルには、結婚前提で交際しているクリスティーヌがいましたが、ルイがクリスティーヌを気に入ってしまうことから、歯車が狂い始める。

ルイはクリスティーヌを愛妾にするため、ラウルを戦死させるつもりで最前線に飛ばしてしまうのだ、ルイの目論見は的中し、ラウルは戦死してしまう。ルイはラウルを失い嘆き悲しみクリスティーヌに、優しく愛の言葉囁き愛妾にしてしまう。

我儘な子供のような国王となったルイにアラミスは、アトス、ポルトス、ダルタニアンに反乱を持ち掛けます。ルイに息子を奪われたアトスとポルトスは協力的だったが、王政側のダルタニアンは提案を断る。

アラミスは自身の提案を受け入れたアトス、ポルトスと共に、幽閉されている鉄仮面の男を助け出す。なんと鉄仮面を外したその男は、ルイの命令で鉄仮面を装着させられ長い間、幽閉生活を強いられていたルイ双子の弟フィリップだった。

アラミスは双子の兄弟であるルイとフィリップをすり替え、国家を安定に導こうと考えていたが、アトス、ポルトス、フィリップは突拍子な計画に戸惑う。普通の生活を望んでいたフィリップは、アトスの息子がルイの策略により戦死してしまったことを知り国王になろうと決意する。元三銃士によるフィリップに国王らしくするための特訓がスタートする中、彼らは絆を深めていく。

ベルサイユ宮殿での仮面舞踏会でフィリップはルイと入れ替わるが、そこへラウル戦死の真相を知ったクリスティーヌが現れる。ラウルを陥れたルイを非難するクリスティーヌに対し、フィリップはルイとしてではなく誠実な態度で対応してしまう。いつもとは違うルイに、ダルタニアン始め周囲は不審感を強める。その後、クリスティーヌは自責に念に駆られ、自殺してしまう。

上手く進んだはずのルイとフィリップのすり替え計画は、ルイの反撃により失敗してしまい。形勢逆転したルイは、ダルタニアンに反逆者である元三銃士殺害を命じ、フィリップに再び鉄仮面を装着させ元の幽閉生活に戻そうとする。

絶体絶命となった元三銃士は、ダルタニアンの助けもありフィリップを救出し脱出しようとするがルイ率いる銃士隊に追い詰められる。彼らを助けるために投降しようとするフィリップを前に、ダルタニアンは「ルイとフィリップは、自分とアンヌの間に生まれた子供だ」と告白します。

銃士隊はルイの命令に従ったものの、伝説の三銃士を前に攻撃を止めてしまいます。銃士隊の行動に痺れを切らしたルイは、フィリップを殺そうとするがダルタニアンが身代わりとなり死んでしまう。

国王らしからぬ行為により銃士隊に見限られルイは、フィリップにより鉄仮面を装着させられ幽閉生活となったものの、その後、恩赦により郊外で生活することになる。ルイと入れ替わったフィリップは国王ルイ14世として、フランスの黄金時代の築いた太陽王と言われるようになる。その陰には、三銃士に復帰したアラミス、アトス、ポルトスの支えがあった・・

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映画情報&キャスト

『仮面の男』(字幕版)1998年 アメリカ
【原題】The Man in the Iron Mask
【監督】ランダル・ウォレス
【脚本】ランダル・ウォレス
【制作】ラッセル・スミス
    ランダル・ウォレス
【出演者】
ルイ14世、フィリップ(レオナルド・ディカプリオ)
:双子であったため兄のルイは国王になり、弟は鉄仮面を装着され長期間の幽閉生活を強いられる。
アトス(ジョン・マルコヴィッチ)
:元三銃士で、リーダー的存在。ルイに策略により愛する息子を失ってしまう。
アラミス(ジェレミー・アイアンズ)
:元三銃士。フランスの未来のため、双子の兄弟である暴君ルイとフィリップの入れ替え計画を提案する。
ポルトス(ジェラール・ドパルデュー)
:元三銃士で、今も昔も無類の女好き。
ダルタニアン(ガブリエル・バーン)
:ルイ13世時代から三銃士と共に戦い、ルイ14世時代も銃士隊長として仕える。
アンヌ王妃(アンヌ・パリロー)
:かつてダルタニアンと恋愛関係にあり、双子のルイとフィリップを出産している。

超感想中心の評価考察・レビュー

レオナルド・ディカプリオの演技に脱帽

本作で、レオナルド・ディカプリオは、まさにアイドル認定を解除して生粋の俳優として転換した、そんな瞬間じゃあなかろうか。

少なくとも個人的には、めっちゃそう思います。

元々演技派ではあることは、間違いないレオナルド・ディカプリオが、『バスケットボール・ダイアリーズ』、『ギルバート・グレイプ』等から、イケメンのアイドル坊や的な扱いから、演技の幅を広げ、世界の名作にチャレンジできた意味はものすごく大きい。

この作品の前後で、がらっと出演作の色が変わる1作前が『タイタニック』で、本作以後に『セレブリティ』『ザ・ビーチ』、そして『ギャング・オブ・ニューヨーク』と続きます。

ワクワクしますよね。

ディカプリオを好きになったのは、本作以後のような気がします。

もちろん、世の中の評価とは違い、世間では本作は散々たる評価を受け、ラズベリー賞にまでノミネートされていますので、低評価なのは間違いなしです。

ただ、転機としては本作はディカプリオを間違いなく変えた作品だと思います。

ルイ14世の狂気の表情のほうが、今までからのアイドル的な感じから一変ですからね。

そしてレオナルド・ディカプリオはアカデミー賞では主演男優賞に『ディパーテッド』など、アカデミー賞にノミネートされることは多かったものの受賞と縁遠く、それが、ついに『レヴェナント: 蘇えりし者』(2015年)で念願のアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。

わきを固める名優たちマルコビッチ、ガブリエル・バーン

本作では、三銃士役を迷俳優たちが固めます、ジョン・マルコビッチや、ガブリエル・バーンなど重鎮たちです。

ジョン・マルコビッチは説明のしようもなく、『マルコビッチの穴』をとにかく見ておくれ!言いすぎですが、彼のすべてが詰まっています。『RED』(Retired Extremely Dangerous)なんかでもいい味出していましたねー、頭のおかしい風の老齢のスパイ崩れ役がはまりまくってました。

『ユージュアル・サスペクツ』のガブリエル・バーン、そしてイギリスの名優ジェレミー・アイアンズ、フランスの多彩な俳優ジェラール・ドパルデュー

一人くらいフランスの物語なのに、フランス人出さなくて、どうするってことでジェラール・ドパルデューを出したのかなとちょっと勘繰りながらも、それでも皆名優なのには違いなし

若い、イケイケの三銃士達もいいですが、こうちょっと老いに差し掛かった落ち着いた3銃士を、名優たちが演じるところが、またいいです!

『仮面の男』のベースとなった鉄仮面伝説とは?

映画では『仮面の男』でのフィリップは鉄製の鉄仮面を装着していましたが、

史実(17世紀頃)で語られる鉄仮面伝説の元となった謎の囚人は布製のマスクで顔を覆われ、収監先の監獄ではかなーりのVIP待遇だったようですね

まあ、こっちのほうがネタとしては面白いですが

鉄仮面としたほうが、盛り上がりますからね。

フィリップの死亡後は、偽名で葬られ所有物は全て破棄されたことから謎が謎を呼び、鉄仮面伝説にインスパイアされた作品が数多く登場したようです。

まあ、鉄仮面って付くとなんでもミステリアスになりますからね。

『仮面の男』の原作『ダルタニャン物語』とは?

19世紀の文豪アレクサンドル・デュマ原作の『ダルタニャン物語』

本原作は、17世紀フランスやイギリスを舞台に立身出世を夢見るダルタニャンと三銃士(アトス、アラミス、ポルトス)の活躍を描いた3部構成11巻にわたる大人気小説シリーズ

よく言われている、3銃士ですね

現在でも幅広い世代に愛されている『ダルタニャン物語』は、『仮面の男』以外に『ヤング・ブラッド』(2001年)、『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』 (2011年)など原作を大胆にアレンジしたアクション映画などがあります。

2014年から放送された海外ドラマ『マスケティアーズ/三銃士』では、演じているイケメン俳優に合わせたイケボな人気声優の吹き替えが話題になったようです。

近世ヨーロッパ宮廷にあった公妾制度とは?

『仮面の男』でのクリスティーヌのように、古来から国王の目に留まった女性が愛人になるというエピソードは西洋東洋に関わらずよくあることです。

国王から愛人としてスカウトされると女性側には拒否権はなかったようですが、野心満々で愛人になる妻もいたようです。残された夫は、妻が国王の愛人になったことで自動的に出世となったようです。

愛人=日陰者イメージですが近世ヨーロッパ宮廷では、国王の愛人が正々堂々と社交界で活躍することができる公妾制度あり、フランスでは既婚者でもOKだったようです。公妾になると権力を手に入れ贅沢三昧の生活ができますが、国王に飽きられればそれまでなので貰えるものはしっかりと貰っていたようです。

公妾が幅を利かせると王妃は蚊帳の外となってしまいますが、公妾が国民の非難を王妃から逸らす役目も担っていたようです。国王が愛人を持つのが当たり前という当時の社会常識の中、公妾を持たなかったルイ16世の王妃マリー・アントワネットは国民の非難の的となったようです。

併せて読みたい『アマデウス』

ルイ14世の出生の秘密

史実でのルイ14世は双子ではなく、2歳違い弟フィリップがいます。

不仲と言われたルイ13世と王妃アンヌは周囲の勧めもあり関係を回復しますが、アンヌの2度の流産により二人は再び不仲となってしまいます。

しかし、流産から20年以上過ぎてからアンヌはルイ14世を出産しています。二人は仲良し期間よりも不仲だった期間が長かったため、ルイ14世の父は別人ではないかという噂さがあったようです。

『仮面の男』ではそんな噂を拡大解釈して、アンヌはダルタニアンとの秘めた恋の末、ルイとフィリップという双子を出産した設定となっているようです。

映画の感想まとめ

総じて、お勧め

ただし、個人的にはお勧め、一般的には結構NGな人はいるかもしれません。

見方を変えて、ディカプリオを楽しむ!

名優の3銃士を楽しむ!

鉄仮面っていう都市伝説を堪能しよう!と

振ってみると、おもしろいです