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『ミスミソウ』清々しい程の胸糞悪い美しさ!全てはバランスの崩れた共生世界:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-05-12

映画『ミウミソウ』は物の幽霊・妖怪の類いが出てこないのに間違いないホラー分類の衝撃の映画!中学校卒業までの半年たらずで東京から地方の雪深い大津馬村へ転校してきた野崎春花は同級生から壮絶なイジメにあっていた。春花はイジメに耐えながらも卒業まで2ヶ月となったときに、イジメはエスカレートし身体を傷つけられるまでになっていた。そして両親と妹に魔の手が伸びて放火で焼き殺されてしまう。春花は何かが壊れ・・・

衝撃の内容に絶句するとはこのことです

2018年の衝撃ホラーとして「精神崩壊」メンチサイドホラーと言うキャッチコピーまでつけて非日常の恐怖をありだしています。

原作がコミックの本作は、小説も発行されています。

何気なく始まる映画ですが、子供とは一緒に見ない方が良いです

そう言っときながらおかしいですが、そんな映画のおすすめ度としては

見といた方が良いおすすめです

名作としてと言うより見終わった後には

清々しささえ感じる超暴力の世界へようこそ

ただ残るのは残酷さだけではない、切ない美しさ!

見た時に一瞬でも”美しさ”を感じることが出来たら、もう引き込まれています

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

そこには、ミスミソウが咲いている。雪国の雪の中から「冬を耐え抜いて、雪を割るようにして小さな花が咲く」
春花は家族とともに半年ほど前東京から、地方の地方の雪深い大津馬村へ転校してきた。そこは閉鎖された田舎町。今春で廃校が決まっている春花の通う中学でも、卒業まで2か月となっていた。

同級生からしつこく、いわれのないイジメを春花はじっと耐えていた。上履きを隠されたり、山の中の粗大ごみの不法投棄されている穴蔵へ落されて泥だらけにもなった。両親と妹に心配をかけまいとして必死に耐えていた。

父親が中学の先生へ直訴しに行ったが、女教師の南は廃校までの2か月、全く取り合わず空気を嫁と言わんばかりの、信じられない発言をぶつける。その帰り道に父でさえも春花の同級生から階段の上から蹴られ突き落とされた。

春花の忍耐も限界に来た頃、両親からの助言で学校へ行かずに自宅で過ごすことにした。妹と散歩していると同級生の相場(あいば)がミスミソウの写真を撮っていた。彼は唯一普通に接してくれる。

そんなささやかな日常のなかで、ある時相場と街が一望できる丘を散策して家に戻る途中に、イジメグループの2人が顔を青くして春花の家の方角から走ってきた。春花の家の方角には、オレンジ色に染まった夜の空が爛爛と光り、煙が上がっていた。

春花と相場が自宅へ到着した時には、家は燃え盛っていた。相場は家に飛び込み、少し後に黒い塊を抱えて出てきた。妹の”しょーちゃん”だ。両親は焼死していた。あまりにショックの春花は声を失っていた。
学校に登校した春花は何かが変わっていた。いつものようにイジメっこの3人に山の中のゴミ捨て場に連れていかれ「おまえの母親のように苦しむ焼き死には嫌だ、おまえも後を追って自殺しろ」の一言で春花のすべてが変わった。
手を伸ばした先にあった釘で・・・

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映画情報&キャスト

『ミスミソウ』 2018年 日本
【監督】内藤瑛亮
【脚本】唯野未歩子
【製作総指揮】田坂公章
【原作】押切蓮介「ミスミソウ完全版」
【主題歌】タテタカコ「道程」
【出演者】
野崎春花(山田杏奈)
 :転校を期にイジメられるようになる
相場晄(清水尋也)
 :同じく転校生、春花に好意を寄せる
小黒妙子(大谷凜香)
 :イジメのリーダー
南京子(森田亜紀)
 :妙子の取り巻きを気取る、教師
佐山流美(大塚れな)
 :妙子に憧れる、元いじめられっ子
  春花に対する感情を暴走していく

超感想中心の評価考察・レビュー

シネマトゥデイ youtube.comより

衝撃の原作を余すことなく映像表現

衝撃の原作コミックを余すことなく映像表現された同名の同名のホラー映画『ミスミソウ』は、夏帆主演の『パズル』『先生を流産させる会』、『高速ばぁば』などのホラー映画でしられ、衝撃の内容となるような作風が得意な内藤瑛亮監督の手により映像化されています。

脚本は、女優・監督・脚本・小説家と幅広く活躍する唯野未歩子によるものです。唯野未歩子の手掛ける映画脚本としては少ないものの、役所広司主演の『渇き。』の脚本を担当しています。小説としては『彼女たちがやったこと』で衝撃の内容で本作と同じく、暴走していく女性を描き、長編の書下ろしとなっています。

そして原作が漫画家の押切蓮介、同人も含めホラーだけでなく幅広く活躍しています。純和製ホラー的には『サユリ』などもめっちゃ怖いです。

ミスミソウはちまたやネットでは映像化はして欲しいけど

”難しい”と思われていた映画です。

これは、技術的な話ではなくて原作の良さを映像にすると、単にグロホラーとなってしまうからに他なりません。

だって、ほら衝撃の映像が多すぎです。

コミックが日本唯一のホラーコミックとして、刊行している『ホラーM』からの映像化、押切蓮介の初のホラー映画化になります。

このマンガがすごい』の青春サスペンスで第3位を獲得したりもしています!

元々は、田坂公章プロヂューサーが原作を見て映画化の企画を進め、クラインインの1か月半前に監督が下りてしまい、その時に内藤瑛亮監督しかないと即決して声をかけて、ここに至ったとインタビューで話されています。

内藤瑛亮監督と田坂公章プロヂューサーは『ドロメ』でコンビを組んで以来の作品となっています。

若い俳優が多い中で、若手の表現力引き出すような指導がされていたとのこと。

この辺が、単なるグロい・キモイ、残酷って感じだけでない、コンセプシャルな方向性を感じます。

個人的には、題名そのものですが、”美”を全シーンで意識していると感じます。原作の漫画を再度読み返しても映画のシーンと被るくらい、美しいと感じるシーンが多々あります。この辺の描写力は素晴らしいです。

原作が漫画と小説との違いはありますが、映画で言うと『ユリゴコロ』と似たような感覚を味わえます。

『ユリゴコロ』はざらざらした感じが愛に変わっていきます。本作では可憐な美しいものが壊され踏みつけられて、それでもひっそりと美しく咲き誇るイメージを受けました

ラストシーン考察 原作との違いは ネタバレあり

ラストシーン、ネタバレを含みますので注意ください。

本作はホラーと分類されていますが、映画全編をとおして俯瞰してみると、ヒューマンドラマ・サスペンスと言ってもいいくらい背景設定、いえ各人物毎の事件に至る事由があり、その辺りの表現が直接的でなく後から、すっと心に納得感として入ってきます。

映像描写だけをみると、確かに残酷シーンやグロいシーンに目が行きがちなのですが、各々の抱えている心の闇だったり、悩み、鬱屈とした心情、何もない田舎だからこそマグマのようにたまっていく行き場のない情念。

これらが、野崎春花と言う美しくも、守るべき存在、手に入らない存在に、全員のエゴとして絡み合いぶつかり合います。

ちょっと系統違いますが、原作で近いイメージは漫画柴田昌弘の作品『回転扉』を思い出しました。

その美しさで、みな絶滅していく。。。

この春花を中心とした、バランスの崩れた共生世界は、自らを滅びの道へいざなっていくことが宿命だったということでしょうね。

その辺のネタ晴らし的な進め方が実にうまい。

太っちょの同級生が、彼女を殺す理由回想でこれらの理由の紐づけが一気にされて、絡み合っていた念が解放されていきます。

個人的には残念と思うところもありますが、いくつか原作と違うところがありますが

主要なところでは

  • 妙子と春花の関係
    原作ではイジメの首謀者、映画では直接的な煽りはしていない
  • ラストシーンで妙子が生きているが、原作では流美に殺されている
  • 流美の激しさは、原作のほうが上
  • 流美は相場に撲殺されるが、原作では相場と春花の争いの巻き添えで死ぬ
  • 久賀はがけから転落して放置されて死ぬが、原作では古井戸
  • 原作では南先生が暴走して、死ぬ直前に何人かに噛みついたりする

大枠は変わっていないですが、原作ではより各個人の背景説明となぜ事件に至っているのか、春花に向かうお膳立て的な描写が映画よりもされています。

映画のラストで妙子が生き残るのが残念ではありますが、春花の白く何もかも埋め尽くす雪の中で赤いコートを着て死んでいったシーンと、

卒業=雪解け

この対比で、全てがこれで終わったとする情景としては、これもありかなと思います。

合わせて読みたいコミック原作の映画化『約束のネバーランド』キャスト比較

主人公の春花は映画初主演の山田杏奈

ほんとうに、野にぽっと咲いた可憐な花のように美しく撮られています。

名前の通りとは言いすぎですが、野崎春花

春に力強く咲く花ぴったりの演技を見せてくれます。

特にセリフも多くないので、清楚な顔から信じられない行動が印象に残りました。

なぜ赤いコートなのかも、戦慄の理由ですよね。

『小さな恋のうた』でヒロイン、『屍人荘の殺人』なんかにも出演しています。

ドSの相場役は清水尋也

何かと話題の清水尋也は、本作ではイジメとは縁遠い春花を助けながらも、本質はドSで母親への暴行や祖母へ暴行するとなど精神がいっちゃてる系を演じています。

愛した存在を守るために、殴る

って相反していることを、平然とやってのけていましたが

キャリアとしては。『渇き。』ではいじめられっ子をやって、

『ちはやふる』シリーズでは、広瀬すずのライバルとして、近隣の強豪校の須藤先輩、ドS の須藤を演じていました。実に幅の広いイケメン俳優です。

本作でも、

春花に「ごめんなさいは!?」って言いそうでドキドキしていましたがそんなセリフはありませんでした。

映画の感想まとめ

本当に子供とは見れない映像なのですが、

不思議と、ホラーを見終わったときの感覚はないんですよね。

清々しさが残ります。

これは、変更されたラストシーンとも関係あるかもしれないです。例えば原作同様に全滅だと、完全ホラーの印象しか残らなかったかもしれないですね。

でもイジメでここまで現実がエスカレートはしないと思いますが、いろいろな歯車が暴走して予期しない方向に向かい、全ての歯車が同じ方向でかみ合ったときには恐ろしい作用も発生するということですね。

個人的には、みておいたほいがいい

おすすめです

✔B級の中にも花があります
✔日本のホラーほどドロドロしていません
✔田舎町のサスペンスが好きな人!

こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      4
 キャスト       3
 ストーリー構成    4
 初見で読み取れない謎 4

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