映画感想『彼女がその名を知らない鳥たち』メンヘラ女とクズ男に届かない純愛

映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は第41回日本アカデミーで主演女優賞を蒼井優が獲得したミステリー映画!年の離れた陣治と暮らす十和子(蒼井優)は不潔で低俗な陣治(阿部サダヲ)に嫌悪感を持ちながら過ごしていた。ある時デパートのクレーム対応係の水島(松坂桃李)に昔の男である黒崎(竹野内豊)の面影を追いながら、情事を重ねる仲となるが・・・

冒頭から気分的に受け入れられない、ちょっと面白くない気分となっていきます。

ただ、展開が続くと物語は時間の経過とともに

次第に味がしみ出てくるタイプで、テーマがメンヘラから純愛に変わっていくかのようです

男にも女にも、感情移入は出来ないものの

良い作品に仕上がっていると思います

サスペンスとなっていますが、恋愛枠に無理くり入れちゃいます!

子供とか家族と一緒に見るときには注意しましょう

そんな本作は、おすすめ度

(5点満点で)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレあり

十和子は低俗で不潔な年の離れた陣治と一緒に暮らしていた。十和子にはかつて黒崎という男がいた、女性なら誰もが好意を寄せそうな濃い顔立ちのいい男だった。ただそれも8年も前のことで、黒崎は別の女と結婚し音信不通になっていた。

十和子はいまだに黒崎を忘れられず、もんもんと欲求不満の毎日を過ごしていた。ある時、黒崎との思い出の時計が壊れたことで、デパートのクレーム対応係の水島と出会う。水島に昔の男である黒崎の面影を求めて、情事を重ねる仲となっていった。

陣治は水島との間を本気では止めない代わりに、水島のことを調べたりと奇妙な行動をとる。ある時、十和子の元へ刑事が現れ黒崎が5年前から失踪しているとのことを伝える。十和子は黒崎のことを調べ始めると陣治の奇怪な行動が気になり始める。

頭の中には、血を洗い流す陣治の姿が何故か浮かんで離れなくなる。十和子は恐怖に駆られて水島と逢瀬を繰り返すが、水島は結婚していて十和子とは距離を置きたがっていた。

それでも十和子が水島と最後だからと会った時に、水島が不意にはなった言葉に、黒島の幻影と完全に重ね合わせた十和子はナイフを取り出し、背中から水島を何回も刺した。

その現場に陣治が現れ。会社に浮気をばらすと水島を脅し刺したのは自分だと罪を自分にかぶせる様に水島に伝えその場を離れさせる。陣治は十和子に実は黒崎も彼女が殺したことを伝え、十和子の記憶の中でもすべてがつながった。

陣治は、十和子に生まれ変わったら十和子の子供になるといい、身を投げて自殺をするのだった。
その時に3羽の鳥が空に羽ばたいていく・・・

映画情報&キャスト

『彼女がその名を知らない鳥たち』 2017年 日本
【監督】白石和彌
【脚本】浅野妙子
【原作】沼田まほかる
    「彼女がその名を知らない鳥たち」
【製作】深瀬和美
    山本晃久
【製作総指揮】
    藤本款
【出演者】
北原十和子(蒼井優)
佐野陣治(阿部サダヲ)
水島真(松坂桃李)
國枝カヨ(村川絵梨)
國枝(中嶋しゅう)
黒崎俊一(竹野内豊)

超感想中心の評価考察

youtube.comより

白石和彌監督の描く純愛サスペンス

白石和彌監督は、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で世界の映画賞の数々を受賞し、高い才能を評価されました。さらに原作をノンフィクションの小説をもとにしている山田孝之の新聞記者役で主演『凶悪(2013年)』、綾野剛主演で『日本で一番悪い奴ら(2016年)』など犯罪映画を得意としている監督です。

作風はリアルな犯罪でありながらも、悪人・犯人の中にも一つの真理があり、一つの見方が出来るというような点で描写されていきます。

本作『彼女がその名を知らない鳥たち』においても、原作の小説を映像化しています。

そして、本作でも2017年度の映画賞界隈では、高い評価を得ています

これまでの作成した作品同様に、一つのミステリーの中に犯罪以外の一つの真実を織り交ぜていきます

合わせて読みたい『ミスミソウ』

日本アカデミー賞主演女優賞獲得の蒼井優のメンヘラ

蒼井優は本作で日本アカデミー賞主演女優賞を獲得しています。

流石ですよね、こういうメンヘラ系の演技が定番の彼女ですが、『リリイ・シュシュのすべて』で岩井俊二作品でデビューして、『フラガール』などで名を挙げていきます。

本作でも、メンヘラ一歩手前の胸糞の悪くなるような女性を演じています。

これが、素晴らしく演技が映えています。

褒め言葉にはならないのですがメンヘラ系の演技させたら彼女の横に出れる女優はいないかもしれませんね。

陣治へ嫌悪感を感じながらも、寄生し少しばかりの金でも頼らざるを得ない情緒が超不安定な女性、ちょっといい男が出てくるとふらふら寄っていってすぐ夢中になってしまいます。

原作の沼田まほかるによる、同じく実写映画化された『ユリゴコロ』もメンヘラ女ですね、沼田まほかるはそういう才能があるのかなぁ。。そういえば、ユリゴコロでは松坂桃李も出演していました。本作でも十和子にたかる、くそ男を演じてエロい男性を演じています。

百田尚樹原作で、高岡早紀が主演した『モンスター』も超ウルトラ、整形メンヘラでしたよね、こういう映画でもある一定の需要があるし、蒼井優演技力がぴか一に発揮できる類の映画です

阿部サダヲの演技がストーリーを引っ張る

光ります、阿部サダヲの陣治の演技が本当に光っています。

蒼井優とのダブル主演ですが、阿部サダヲが主演でもおかしくないくらいです。

見方を変えると、蒼井優の十和子を光る存在にしたのは、阿部サダヲの演技であるともいえます。

長ーいキャリアの中から『舞妓Haaaan!!!』で初主演を決めてからは、もう止まることを知らず人気作品を連発させます。

どんな映画でもオーバー気味の演技で観客をわかせてきました。

阿部サダヲにかかると、”普通”である時の心の中の気持ちに3段ロケットを付けたかのようにブーストアップされて奥底に渦巻いていた、人間の本質を明るく・楽しく、嫌味なく表現されていきます

本作でも、そういうノリなのかとおもいきや、見事に期待は裏切られれて徹底的に本質を隠す男です

表面上の明るさの理由もわかりました。

ただ、本当に十和子のことを好きで好きで好きで、それだけのアホかと騙されました。

ただ、イケメン君の餌食になったメンヘラ女に使われる男、虫けらのように扱われ利用されるだけの捨てられる男かと思いましたが、その演技の裏にはとんでもない悲哀が潜んでいるのです

それがわかると、ただ阿部サダヲの演技力にただ感嘆ですね

陣治の十和子を好きで、ただ守るって言うことがいかに難しかったことか・・・

映画・ラストの考察

腑に落ちなかった点がいくつかあり、

✔タイトルは何を指しているのか?
✔なぜ陣治は最後に死ななければいけないのか

まず、タイトルの『彼女がその名を知らない鳥たち』、彼女ってやっぱり十和子だよね。

そうすると、鳥ってなんだ?

名を知らない = 殺してしまった

という意味ととらえると、黒崎と水島(負傷して逃げた)、そして陣治でしょう

これは、陣地が身を投げた直後に空に羽ばたいた鳥が3羽であることから、そういえると思います。

でも、殺してしまった
ととらえると、ちょっと物語の方向性と合わないので、

十和子が、幸せにすることのできなかった、鳥たち

という意味で通じるのではないでしょうか。

その3羽の鳥が羽ばたいた後に、無数の鳥たちが空を覆います。

”他にも男はいっぱいいるよ目を向けようね”という意味なのでしょうが、十和子にはおそらく伝わらないでしょうね。

もう一つ残った、「陣地がなぜ死ななければいけなかったのか?」

これについては、自分が死ぬ事で十和子の罪を自分が背負って死ねると思ったのでしょう。でも、ここは本当にこれが責任の取り方なのかなぁ。

十和子のメンヘラっぷりからすると、陣治が死んでもきっと数日でかっこいい男になびきますよね。

そういう意味では、警察に対してもきっと秘密は守れないだろうし、生活能力は0だろうし。

なので、うがった見方ですが

陣治は、十和子にバツを与えたのだと思います。
一生、心のどこかに残るトラウマを植え付けて!
たとえ、この後誰かを好きになっても、きっと最後の瞬間には「名もない鳥を思い出すように」

何故そんなことをするのかって言うと、

一生”忘れていなきゃ”いけなかったはずの黒崎を思い出してしまったからだと思います。

陣治にはそれが、やっぱり耐えられなくて!

このあと、十和子の心から黒崎が消えないことが苦しくて、十和子の心に1mmでも陣治を刻むためには、この行動しかなかったのだと思います。

こう考えると、涙腺が全開となって、もう止まりません。

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ポニーキャニオン

映画の感想まとめ

冒頭はかったるさはあるものの、サスペンスとはいえ、

かなりすっきりする映画です。

時間とか場所も映画の中で行ったり来たりしますが、そもそもがわからないことだらけなので最後に全部繋げてくれますので分かりずらいです。

そして、阿部サダヲの演技がとにかく光ります。

アカデミー賞を取ったのは、蒼井優なのですがね。

✔南海キャンディーズが好きで応援している!
✔えっろい松坂桃李を見たい
✔阿部サダヲ作品は見逃せない

こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      3
 キャスト       4

 ストーリー構成    4
 初見で読み取れない謎 3