『ジェミニマン』昔の自分・年老いた自分と出会ったら?ネタバレ・評価:動画配信・映画感想あらすじ考察
ウイル・スミスが30年分のデジタル補正で挑む、渾身のアクション映画『ジェミニマン』近未来クローン物のアクションサスペンス!
映画館では見るほどでもないが、娯楽映画としては十分おすすめ!
あらすじ
凄腕のスナイパーのヘンリーは国の機関で働く恐ろしく超一流のエージェント。
ヘンリーはだんだんと年を取り、自分がメンタル的に弱くなり、情が自分の腕を鈍らせると共に職務そのものに対する疑問がふつふつと沸き起こってきている。
そんな中、ヘンリーに300キロ近くで走る新幹線に乗車するあるテロリストを暗殺するミッションが与えられるも、彼は見事をその任務をやってのける。

任務の中で、そヘンリーは自分の弱さを見つける。暗殺する前に近くに、テロリストの近くを女の子が通ったことにより、女の子に銃弾が当たるんじゃないか心配になり、本来眉間を撃ち抜くはずは、首筋に当たったことで彼は引退を決意する。
引退を決意した後、ヘンリーの旧友から今まで請け負ったミッションのいくつかがすり替えが発生し本当は殺すべきはずではない人間を殺しているとの情報が伝わる。
ヘンリーは真相を探るべく、調査を開始するがその真相を伝えてくれた友達も殺され自分の周りにはDIA(アメリカ国防情報監視局) エージェントも配置され、常に監視されている存在だということに気がつく。

自分に関わった人間が次々と殺され始め最後に自分を監視していたDIA女性職員ダニーでさえも、ヘンリーに関わったため命を狙われ、ヘンリーと共に逃避行に入る。
そんな中現れたヘンリーを殺そうとする凄腕の若手のスナイパー
その若手の狙撃手は30年前の自分の若い頃にそっくりだったというところから物語は始まっていく。
[showTable]映画情報&キャスト
『ジェミニマン』 2019年 米
Gemini-man
監督:アン・リー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
デヴィッド・エリソン、デイナ・ゴールドバーグ、ドン・グレンジャー
ヘンリー:ウィル・スミス (Will Smith)
ダニー :メアリー・エリザベス・ウィンステッド (Mary Elizabeth Winstead)
ヴェリス:クライブ・オーウェン (Clive Owen)
ジェリー・ブラッカイマーが制作に加わり、『キングアーサー』のクライブ・オーウェンを悪役に迎えてコンビで参加。アン・リー監督の人間臭い『ブロークバックマウンテン 』と相まって、最新の映像技術を使っての超特撮が特徴だ。通常は秒間28コマの映像を、特殊技術を使って120コマ(Frame)で撮影し、より人間の現実的な視覚に近づけている。(指輪物語の『ホビット(シリーズ)』が48コマでよりリアリティを出していたが、それよりも2倍以上のコマ数)

クライブ・オーウェンは『キングアーサー』などで役柄としては、正統派の正義側の人間でビジョナリーリーダーのイメージがあるが、今回は非情で冷徹な人間の悪役を演じている。若い頃のウィル・スミスの養父である。
未来の自分、過去の自分
本作のポイントとしては30年前の若い自分が、自分を襲ってくるというところにあり、映画の副題でもそういう風に書いてあるので、よくありがちな近未来からの刺客とか過去からのタイムスリップ的なものを想像していたが、見事に違った。

映画のストーリーとしては、DNAサンプルを盗んで、クローンで地道に育成された若いヘンリーとなる。撮影は若いウイル・スミスはほぼフルCGと言うから驚きだ。現実の映画もいずれAI俳優になっていくのかもしれない。
30年前の若いヘンリーと老いたヘンリーではなく、普通の刺客でも少し脚本を変えれば、この物語は娯楽として十分成り立つと思う。ヘンリーが30年前の若い自分と対峙することによって、ヘンリーの哀愁とか悲哀、一流のエージェントとしての孤独への気づき・再認識することによって、今の自分を見つめなおし引退するに足る理由探し、映画のポイントはそれだけのような気がする。
そもそもクローンで人間を作りその人間を他人が後発的な環境で育成した場合に同じ性格で、同じような感情を抱く人間になるのかどうかは甚だ疑問だ。
人間の持って生まれた遺伝子でほぼ全てが決まると事は、物の本では70-80%程度が遺伝で決まるというのも分かってはいるが、それはあくまでも体質であったり傾向の話であって実体の人間の感情面に至ってはその遺伝子が完全に同じだからと言って同じ固体になるとは考えにくい。

特にスナイパーのような能力の適正が高く、訓練のやり方でどこまで同じになるかは、感情に流されているとか何歳にどう思ったかなど、そこまでは再現できない気がする。映像はリアリティを追及しているが、ストーリー性としてそういう意味でリアリティは娯楽の域を出ていない。
そういえば昔、『ブラジルから来た少年』というヒットラーのテーマを扱った映画があった。このナチスの野望を扱った映画はウイル・スミスのような二役とかの主観ではなく、世界中にヒトラーのクローンの少年がいて、少年が10歳の時に父親が殺される。 客観的にその事件を追っていく展開だ。
少年が育っていく中でヒットラーと同じターニングポイントにイベントを起こしてヒットラーと同じような人間に育つという仮説のもとに世界中でヒットラーのクローンで育っている少年。その中の何人かが将来的にヒットラーと同じ思想を持った人間に育っていくという広大なナチスの夢を映画化したものである。
どちらかというとこういう風に数を打てばなんとかなるというのは、非常にリアリティを感じるが、どのクローンも完全に同じような人間っていうのはやはり後天的な刺激の部分で、出来ないと考える。この辺はクローン技術ってのが、そもそもまだ許されていないの、これも想像だ。
映画レビュー
本作品はウィル・スミスの良くも悪くも、ウイル・スミスで、良いところと悪いところで打ち消しあっている映画だ。
年老いた役を本人の年齢以上に上手く演じている。年老いて疲れた姿を見事に表現している。一方若いウィル・スミスの方はCGを駆使しているが、人間臭さが少なく、年老いたウィルス・ミスの演技が勝ちすぎて、正直、若いウイル・スミスに違和感がかなりあり映画を見てる最中は少しストレスを感じた。

実際この映画はウイルスじゃなくてもいいような気がする。中身そのものは某スナイパーの引退と何を最終的に言いたいのか、よく分からないぼやけた映画になってしまっている。
ここから先はネタバレになるが、若い自分を説得し自分の味方につけて強敵を倒す構図だが、強敵のクライブ・オーウェンはそもそも若いヘンリーの育ての親であり父親である。そんな父親を簡単に裏切ることができるのかっていう疑問も湧く。
そもそも父親ジェミニという会社を立ち上げでウィルス・ミスを執拗に狙ってくるが、そこまでのストーリーの動機づけが不十分で、消化不良に落ちおる。ここまでこじれる話なのかなと疑問が起こる。もっとスマートシンプルに解決できる程度の話題なのじゃないか。
ここまでDIA(国の機関)とグダグダにもめた場合にはなかなか現場復帰や、現状の終息もうまくいかないだろうし大団円にはなりにくい。この映画ではそこまでは求められていない気がするそういう意味ではこの映画はリアリティがないので娯楽映画として見るぶんには十分に楽しめるレベルである。
『ブロークバックマウンテン』のアン・リー監督には、最新の映像技術ではなく、ウィル・スミス、クライブ・オーウェン、若いウイル・スミスのもっと人間らしさらしさを引き出してほしかった。これが、ウィルスミスじゃなくてもいいと思ったところだ。
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 5
キャスト 3
ストーリー構成 3
初見で読み取れない謎 4
珍しく、酷評になってしまったが、
期待値が高すぎた。アカデミー賞監督に期待が先走りしすぎたため、評価は辛口となるが、基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、面白い作品と思います。
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