『盲目のメロディ-インド式殺人狂騒曲-』踊らないラブしないブラックコメディ ネタバレ・考察、評価感想

2019-11-23

インド映画お得意の踊りと歌を封印し、徹底したストーリーの作り込みで勝負。盲目を装うピアニストのアーカシュが殺人事件を目撃したことから始まる犯人とアーカシュの騙してあい、アーカシュは逃げ切ることが出来るか!

長い138分のロング映画だが一度も飽きさせること無く、中だるみも無く、最初から最後までドキドキと展開の読めないジェットコースタームービーでした。
間違いなくおすすめです。

あらすじ みどころ

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畑を荒らす盲目のウサギを男はウサギをライフルで畑から駆逐しようと狙いを定めるが、なかなか当たらない。畑の端までウサギをおいつめ、道路脇で無邪気な表情を見せるウサギに、とどめの一発で見事仕留めるのだった。

アーカッシュは盲目を装って、自身のインスピレーションをピアノの演奏に役立ててようとしている演奏芸術家の卵だ。アーカッシュは盲目の振りをするために、濁ったコンタクトをわざわざ付けて日々を過ごし、本当に目の見えない生活を送っている。

芸術家のピアニストを目指すアーカッシュがある時、道路で若く美しい女性にバイクで轢かれる。その美しい娘はソフィー。彼女のお父さんが経営するレストランにお詫びのしるしに誘われてアーカッシュはそこで奏者として演奏することになる。

皮肉なことに目を見えない生活を送っているアーカッシュは、彼女の彼に対する好意に惚れ込み、ソフィの顔をどうしても見たくなり、あるときコンタクトを外して科のjソフィの顔を見て、美しさに惹かれる。

彼女とのそういう恋人生活に慣れてしまったアーカッシュはもう盲目のコンタクトをつけることができなくなってしまう

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そんなある時、インドで昔スターだったプラモードがレストランに訪れ、アーカッシュの演奏を見て、妻の誕生日に演奏を頼みたいと依頼してきた。

アーカッシュはプラモートの自宅に演奏に訪れると妻のシミが出迎える。プラモードさんは、不在とシミは言うが、隣人にアーカッシュとのやり取りを聞かれるのを避けるように、家へ招き入れる。

アーカッシュが盲目なのを確認し、家に招き入れたシミは演奏をしてもらう。

アーカッシュは演奏のさなか、家の中に血まみれの死体を見つけてしまう。彼は演奏を何食わぬ盲目なふりで、そのまま演奏を続けるが、内心は動揺している。

気を静めるためにレストルームにシミに案内してもらう、どうしても死体が気になる死んでいる彼は、プラモード氏であった。レストルームに入ると、そこにはもう一人の男が拳銃をもって、隠れていた。

アーカッシュは盲目なのでその場は何事もないかのようにやり過ごし、男を見ていないふりを続ける。シミと男の死体の後始末中も演奏を軽快に続け、知らないふりを続ける。

アーカッシュは帰宅するやいなや、地元の警察に駆け込みなんとか殺人を目撃したことを伝えようとするが、
そこに現れたのがレストルームに居た、その男が警察署長であった。

アーカッシュの目が見えていないことをシミと警察署長が色々確認するがなかなかボロを出さないアーカシュ。

プラモートの葬儀にて、プラモードさんの死にかかわる第3の男がいたと、納得していない隣人のおばさん隣人のおばさんが、警察に訴えている。
時系列に訪問者を整理し説明する隣人のおばさんを危険に感じたシミは彼女をマンションのから放り投げ落とし殺してしまう。魔の悪いことに、アーカッシュは本当の殺人現場を目撃してしまう。(盲目の振りのまま)

あらすじ 後半戦 ネタばれあり

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シミは葬儀のお礼にアーカッシュの自宅まで尋ね、葬儀のお土産品をアーカッシュにわたし、アーカッシュの目が本当に見えていないかどうか、スクリームのお面をかぶったりして、アーカッシュの行動を試す。

二人でコーヒーを飲み始めるとシミはアーカッシュのカップに怪しげな薬をいっぱい入れている。コップを床にわざと落とすが、シミは「本当は見えているのね」と拳銃を向けると、アーカッシュはついにボロを出し、本当は見えてることを告白し誰にも言わない事を誓い許しを請うが、アーカッシュは最初に口にしたお土産の嗣明役が効いてきて、寝てしまう。

そんな時にプラモードさんの殺人事件以降、疎遠になっていたソフィーがアーカッシュの家を訪ねてきた。シミは機転を利かせアーカッシュを裸にしてベッドに寝かせ自分も裸のまま彼と関係を持っていたとソフィーを追い返す。

アーカッシュが目を覚ますと、本当に目が見えなくなっていた。シミが角膜を傷つけたのだ。シミはアーカッシュを殺さずとも、本当の盲目だから誰も本気で殺人を目撃者として取り合わないだろうと考えた。

警察署長は、それでも不安に感じアーカッシュをの命を取ろうとアーカッシュを襲撃するが、そこでもみ合いになるがアーカッシュをは命からがら逃げ出し、路上で気を失ってしまう。

アーカッシュが目覚める、そこにはお医者のスワミと物売りのおばさん、アーカッシュの知っているリキシャの運転手の3人がいて、アーカッシュを助けようとしてくれていたが、実はスワミはアーカッシュの臓器を売ろうとしていたのだった。

臓器を取り出される寸前に、あわやというところでシミと警察署長が大金を画していると、スワミ達3人を説得する。3人はアーカッシュの現金強奪の計画に乗ることにした。

3人は、シミを自殺に見せかけて誘拐し、監禁に成功し、次に警察署長呼び出し、警察署長から大金を奪えれば、すべてがうまくいくはずだった。そこでまたおばさんとリキシャ運転手が、スワミとアーカッシュを裏切り二人だけで警察署長に会いに行く。

スワミが不在の時に、残されたシミと同じ部屋でアーカッシュは二人で縛られた状態で残される。シミとアーカッシュは協力してロープから抜け出すも、シミに裏切られ、自分だけ逃げようとするシミ。そこにスワミが現れるが、シミはスワミを殺そうとするが、アーカッシュはなんとかシミをから シミに鎮静剤を注射し眠らせ、スワミを助ける

一方、警察署長に会いに行き大金を手に入れようとしている二人。リキシャ運転手は警察署長に逆に撃たれて重傷を負い、 おばさんは警察署長を計画通りエレベーターに閉じ込めることに成功し、警察署長はその中で乱心し銃を発砲し跳弾で自分自身に弾があたることになる。

リキシャの運転手は病院に運ぶも死亡が確認された。おばさんはお金で解決しようとするが、大金のかばんから出てきたのは、全て紙切れだった。そこで看護婦から告げられるのが「臓器提供大丈夫ですよ 」 の一言

シミをトランクに入れ空港に向かう二人

スワミはシミの臓器がアラブの大富豪に売れて、大金が手に入り、アーカッシュにシミの角膜を移植すれば、アーカッシュも目が見えるようになると一緒に計画をする進めることを誘っている。

トランクで物音がしたため、鎮静剤を再度打つためにスワミは車を降りてトランクに向かうがスワミは、シミに逆に殺されてしまう。
目の見えないアーカッシュを道の途中で降ろし、シミは車ではねようと、車をアクセル全開で走らせる。

そこで冒頭のエピローグで、撃たれたうさぎが、シミの運転する車にぶつかり
車は路肩を外れ横転し大爆発を起こしシミを死んでしまう

2年後ヨーロッパのどこかで

ソフィーが恋人とキスをし、別れて散歩をしていると歌手の名前のポスターが目に入る。”A-kash”名前に惹かれお店に入ると、盲目のアーカッシュが演奏している。演奏した後にアーカッシュに会いに行きソフィーに2年前に何が起こったかを彼女に全て告白する。

彼女と別れた後、歩くがアーカッシュの前にゴミ缶が転がっている
それをアーカッシュは何事もなかったかのように弾き飛ばす。

映画情報・キャスト

『盲目のメロディ-インド式殺人狂騒曲-』 2018年 インド
Andhadhun

本作品は、インド映画の中でもメジャーなヒンディ語で作られている。劇中はわずかに英語も出てくるが、話としてはヒンディ語がメイン。
インドの言葉としては、英語以外に共通言語として広く使われているものだ。

監督: シュリラーム・ラガヴァン (Sriram Raghavan)
アーカシュ:アーユシュマーン・クラーナー (Ayushmann Khurrana)
シミ:タッブー (Tabu Tabassum Hashmi)
ソフィ:ラーディカー・アープテー (Radhika Apte)

アーカッシュ役の アーユシュマーン・クラーナーは、身体的不遇の役を演じることが多く、今回の役どころつかむためにも代役を使わずに盲目のイメージをつかむためにトレーニングを積んだとのこと。

シミこと、タブーは、インド女優のまさに役の中のシミと同じイメージを持つ女優を起用している。『ライフ・オブ・パイ -トラと漂流した227日ー 』 でお母さん役をやっている。

盲目がストーリーに与える不確実性

この映画の醍醐味はインド映画によくある、ある意味余剰なエンターテイメント性を排除し、ストーリーのいたるところに仕掛けられた、ブラックでウィットの効いたユーモアにある。

インドの映画といえば必ず歌と踊りが出てきて、真面目なシーンだったとしても大量の人数のダンサーたちが出てきて、ステージ所狭しと踊りまくる。それがTheインド映画の醍醐味だったが、今回の映画では一切そういうシーンがない。アーカッシュががピアノを演奏する時にメロディに合わせる所はあるが、挿入歌程度だ。

本作の面白いところは、社会的にタブーとされている様々な行為を、シリアスに定義しつつも盲目というキーワードを軸に、どことなくユーモアの匂いを交えながら持ってきてることだと思う。

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主人公のアーカッシュが盲目を装っていたことは間違いがないのだがその後に彼が見えているのか見えていないのか、それが見た目で分からないこと。さらに謎解きをしていくの過程でも、彼が本当は見えていないか見えているのか、受け手にすべての判断をいったん委ねつつ観客が考えている間に、次のストーリ展開持ってくる。

そのため映画を見る側からすると、客観的に判断ができない部分がさらに物語を複雑化させ物語の進行として不確実性を増し、それがサスペンスの様相にも繋がり、今起きている事実・見えている事実以外の何かを考える構成となっている。

アーカシュの缶さばき

あらすじのネタバレでも書いたが、最後のシーンのアーカッシュは本当は見えていると思わせるに十分なシーンがある。それがさらに、それまでの映画の展開を振り返り全体的な疑いを想起させるには十分なラストの謎だ。

この最後のシーンで本当に盲目だったのか、どのシーンまでが本当は見えていたのかいなかったのかってことを再度思い起こすことによって、この映画の面白さが二度三度を噛み締めることになる。

本来社会的に守られなければいけない盲目の人を貶める行為と不遇の人を助ける行為、それがまた入り混じることによってこの映画の楽しみがさらに増している。

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いつものインド映画通り、この映画も長く138分ある。(インド映画3時間イメージがあるのでそれよりは短いが)
全体的に、一度もスクリーンから目が離せない。全体的にコメディと思うなかれ、サスペンスとも違う新しい感覚を得た。公式にも ブラックコメディ・クライムスリラー映画と評されている。

先ほど述べた、不確実性もあるが、ストーリーもよく練られており、無駄な要素はなく、138分すべてのシーンが謎解きに繋がっており、ストレスなく、全体的な構成が頭に入り、最後のシーンが最初のプロローグにつながったところで一気にすっきりする。逆転、更に新しい登場人物さらにその新しい登場人物たちもブラックさらにそれを上回るタブーが演じるシミの悪女っぷり。

そして最後のシーンで、本当の悪人はアーカッシュなのではないかと、思わせるようなシーン。微妙なところだが恋人役のソフィーは物語全体のストーリーにあまり重要なポイントをとして登場できなかったのが残念に思う。前段のストーリではかなりのウエイトを占めていたのが後半にいくにしたがって重要人物から成り下がっていった。

近所の悪ガキはいい味を出していた彼が時たまリークする情報が物語全体に変化を与えるそういう意味では彼は重要な存在であったと考える。

総評

物語全体の不確実性という点ではアーカッシュは本当は目が見えていたのかいなかったのか、そこを起点に考えると本作の楽しみはものすごく広がる。

例えば途中までは完全に見えていたが、シミに目を潰された後見えなくなったがその後に一時的に実は目が見えていたのではないかと考えるとその後のアーカッシュの行動は一味違ったものととらえると、シミとの最後の車のシーンでのセリフ回しはアーカッシュはかなりの策士である。

逆に最後の缶蹴り裁きのそのシーンだけを実は見えていないのに、ああいうことができたと捉えると、この2年間のアーカッシュの努力で、本当の盲目の芸術家となり、インスピレーションを発揮できる夢を達成し能力の進化をただ単に表しているだけかもしれない。この映画は全体的に多面的な見方をするとさらに映画を見る幅が広がる。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      4
 キャスト       5
 ストーリー構成    5
 初見で読み取れない謎 4

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、
基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、面白い作品と思います。