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『レヴェナント: 蘇えりし者』男は極限の状態で何のために生き延びたのか!:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-05-20

映画『レヴェナント: 蘇えりし者』はアカデミー賞10部門ノミネート3部門受賞の実話を基に構成されているサバイバル映画、その感想・レビュー!アメリカ開拓時代の北西部で毛皮ハンター隊のガイドのグラスは先住民の襲撃から生き延びるも熊に襲われ生死を分ける重傷を負いながら、なんとか生き残りをかけたサバイバルが始まる・・・

アカデミー賞を2年連続受賞の監督賞を受賞!

ノミネートは10部門!

圧倒的な実績をひっさげ、さらにレオナルド・ディカプリオについに待望のアカデミー主演男優賞をもたらした本作は必見に値する弩級の名作です。

「百聞は一見にしかず」と言いますが、

キツイ、ツライ、キケン、寒い、痛い

とまるで3K+アルファを繋げても足りないような状況で主人公は

どうして、何故、何にあがなって生き残ったのか

復讐劇だけで語ることの出来ないサバイバル映画

本作は間違いなく

超絶おすすめです

感想中心ですが、

映画情報と感想中心で若干のネタバレあります

それでは見ていきましょう!

あらすじ ネタバレなし

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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

アメリカ北西部1823年、そこはネイティブアメリカン部族同士、アメリカ人、フランス人の間で争いが絶えない時代と土地だった。

アメリカ人の毛皮ハンターグループは隊は、砦から船で遠くに離れた地で鹿を狩り毛皮を手に入れていた。フランス人と与する、先住民から襲撃を受けて多くの命とほとんどの毛皮を奪われたが、隊は船で命からがら逃げ出すことが出来た。

グラス(レオナルド・ディカプリオ)は先住民の妻との子ホークとともに、ハンター隊の中でガイドを務めていた。
グラスの案内で船を捨てて迂回しながら進むよう隊に進言し山を越えることになったが、グラスは物見として偵察している時に野生の灰色熊(グリズリー)に襲われ生死を分ける重傷を負ってしまう。

毛皮隊の隊長は、重傷を負ったグラスに要員二人フィッツジェラルド(トム・ハーディ)とブリッジャーを割り当てて最後まで看取ることを条件に、その場にグラスとホークを置いていく決断をする。グラスの熊にやられたキズは喉・胸元・背中にまで達し、足首を痛め、しゃべることもできずにいた。
グラスの元に残ったフィッツジェラルドはグラスを置き去りにしようとするが息子のホークにみつかり、ホークを刺し殺してしまう。水を汲みに出かけているブリッジャーにはホークが消えたと嘘をついた。

翌朝、フィッツジェラルドは先住民が襲撃してくるとブリッジャーをたき付け、瀕死の重傷のグラスを土に埋めて置き去りにしていくのだった。
グラスは、意識混沌とした状態から最愛の息子ホークを殺された苦しみ・憎しみの中から意識を取り戻し、這いつくばりながらフィッツジェラルドを追い始めるのだった・・・

合わせて読みたいあらすじはMIHOシネマ

[showTable]

映画情報&キャスト

『レヴェナント: 蘇えりし者』 2015年 アメリカ
【原題】The Revenant
【監督】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【脚本】マーク・L・スミス
    アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【原作】マイケル・パンク
   『蘇った亡霊:ある復讐の物語』
【撮影】エマニュエル・ルベツキ
【製作】アーノン・ミルチャン
【製作総指揮】
    ブレット・ラトナー
【音楽】坂本龍一
    アルヴァ・ノト
【出演者】
ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)
 :アメリカ北西部ネイティブアメリカンの地で妻を娶り
  その間に子供がいる、現地の案内人・ガイドをする
ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)
 :ハンター、グラスをおとしめる
ジム・ブリッジャー(ウィル・ポールタ)
 :ハンター
アンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン)
 :毛皮ハンター隊のの隊長

超感想中心の評価考察・レビュー

シネマトゥデイ公式 youtube.com

アカデミー賞監督賞のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

アカデミー賞監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に続き2年連続での受賞となります。

圧倒的なアイデアと構成力、演出。

妥協の許さない、映画作りへのこだわりがまさに本作のような名画を産み出しています。

出演者やスタッフのインタビューの中でもアレハンドロの妥協を許さない映画作りの熱意が伝わってきます。

いわゆるハリウッド映画の枠を超えた脚本や企画段階から綿密に絡み、演出の試行錯誤を繰り返して、彼ならではの没入感たっぷりの観客を引き込む映像を作り出します。

相棒の”チヴォ”とともに。

衣装や当時のサバイバルの生き残り方などにも、現地のアドバイザーの意見プラスで、アレハンドロのアイデアが多分に入っているとのことです。

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは、前作のバードマンでも弩級の1カット風の映画で肝を抜かしてくれました。本作でも、過去の作品の魂が垣間見ることが出来ます。『21グラム』、『バベル』での死生観や被tの価値観の琴線に触れるかのような演出が効きます。そして『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の1カット風がアクションや、臨場感を盛り立てる場所でのデカプリオ演じるグラスになったかのような没入感を醸し出します。

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Gaga Communications

川に流されるシーン、
ネイティブアメリカン達に追い立てられて、崖から落ちるシーン

どれも、その場にいるかのような迫力で伝わってきます。

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは、大作を凄い勢いで製造していきます、まさにアカデミー賞作品製造機ともいえますね。

本作では、アレハンドロへのインタビューからも撮影地にもかなりこだわりが入っています。

何せ同じ天候と雪や気温の環境が同じでないと撮影が続けられず、9ヶ月にも及ぶ撮影でロケ地も転々としているます。カナダのアルバータ、カルガリー、アメリカのワイオミング州イシャウーア、そして最後のカットが天候とシーズンの関係で取れなくて、アルゼンチンの南端まで撮影に赴いたとのことが言われています。

撮影地までは滞在先のホテルから、2,3時間かけて新雪の中撮影機材の運送車が所々スタックしながら毎日通ったとのこと。

そして、天候や明かりの関係で一日を棒に振ることもざらだったようです。

アレハンドロ監督のすごい執念を感じます。

こういうスタッフや俳優も含めての根気強い努力があればこその、映像クオリティなんですね。

3年連続アカデミー撮影賞受賞のエマニュエル・ルベツキ

アカデミー賞の撮影賞を3年連続で受賞した、”チヴォ”ことエマニュエル・ルベツキはアカデミー賞では初の快挙とのことです。第86回アカデミー賞から、『ゼロ・グラビティ Gravity』 (2013)『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)、『レヴェナント: 蘇えりし者』まで3回連続の快挙です。

その他にも、アカデミー常連のエマニュエル・ルベツキは、合計7回もノミネートされています。

本作でも、『ゼロ・グラビティ Gravity』の撮影技術、『バードマン』の1カットは存分に意識されています。

なんと言っても、本作は”光”と、雪の加減が抜群に計算され尽くされています。
全シーン、鬱蒼とした冬の空の色合いが、シーケンス毎に繋がりが出るように計算され尽くされています。
ほぼ自然光での撮影で行われているため、1日の間でマジックアワーと呼ばれる時間帯の黄昏に焦点を合わせ徹底的に撮影美にこだわっています。

マジックアワーでの撮影と言えば、アカデミー賞受賞の『ラ・ラ・ランド』「A Lovely Night」でのシーンが有名ですが、あのシーンでさえ、日没のマジックアワーを2日間かけ8テイク撮影は有名な秘話です。

そのマジックアワーを全シーンで意識したと言うのだから、本作の映像美は納得ですね。

撮影も驚きの全シーン時系列の順撮り!

その為、前述したようにロケ地も、地形の話だけでなく何ヶ月も同じ気候をまったり、場所を移動したりしなければいけなかったようです。

監督以外にも、エマニュエル・ルベツキも拘りまくって出来あがった作品と言うことですね。

原作は小説からモデルは実在のヒュー・グラス

ヒュー・グラスは灰色熊の王のあだ名、そして「The Revenant」(蘇った亡霊)として、生き返った者として称えられ、尊敬された実在の人物です。

どこまでが史実かは、わかっていないところもありますが熊に襲われて、片足骨折しあらゆるとこを爪と牙で裂傷して重傷、映画と同じくフィッツジェラルドとブリッジャーに見捨てられて武器も奪われながらも、サウスダコタ州のフォート・カイオワまで320km離れたところを、生還するのです。

所々現地の先住民の手助けはあったようですが、それにしても凄い生命力です。

無事に復讐したかどうかは、諸説あるようです

本作では、その復讐にフォーカスが当たっていますが、灰色熊に襲われるシーンからグラスの伝説は始まっているので、決して外せないシーンと言うことがわかりますね。

どうやって撮影したのか、撮影スタッフ特に特殊メイクスタッフはキズを作り、時間の経過と共にキズが少しずつ回復していく様もメイクで少しずつ作り込みながら撮影しています。

本当に細かい仕事していますね。

シネマトゥデイ 映画『レヴェナント:蘇えりし者』特別映像 youtube.comより

念願の主演男優賞受賞レオナルド・ディカプリオ

本作で、念願の主演男優賞受賞したレオナルド・ディカプリオ、若い頃からアイドル的にキャリアをスタートさせただけに、感動もひとしおでしょう。

『ディパーテッド』当たりから演技が熟成され、鬼気迫る演技に拍車がかかっていました。

いまかいまかと、待ちわびていましたが本作でついに受賞!

数々の映画でゴールデングローブ賞はノミネート・受賞はしていましたので、本当に念願の賞です。

本作では、グラスの生命力をディカプリオが少ないセリフの中で顔で身体で、演技してくれます。

過酷な環境の中を、息子のホークの敵討ちとして、墓場の土の中からよみがえって、数週間かけてカタキのフィッツジェラルドを追い、最後は追いつめて見事に仇討ちまでをはたします。

最愛の息子を殺された執念ですね。その何故自分は生き延びなければいけないのか、という存在価値、存在証明を全身全霊で表現が泥臭くかっこいいです。

最後まで意思を貫く姿に本当に心打たれます。

なぜ、ここまで頑張れるのだろう?

息子の仇討ちだとしても、ここまで出来る・やりきる男の一度決めた石の硬さ、息子への思いが痛いほど伝わってきます。

ディカプリオのここまで地に這いつくばった演技はなかなか見られないので、是非見ていただきたいです。

まったく系統は違うのですが、ここまで頑張る男として、日本映画で織田裕二主演の『ホワイアウト』を思い出しました。復讐と頑張り方がちと違うんですがね、それが”何”でも、限界の状態での頑張りには人は感動を覚えますね。

マッドマックスなトム・ハーディ

トム・ハーディは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』から続けて過酷な環境での撮影となったトム・ハーディ!

悪役も脇役も湯役も一通りこなせる殻は、今回はくず野郎のフィッツジェラルド!

トム・ハーディのフィッツジェラルドと、レオナルド・ディカプリオの絡みは、前半と後半のシーンのみなので、ほぼ時系列撮影ですから実は意外と絡んで同じロケ地にいないと思うんですよね。

その割には、こすい屑やろうっぷりのトム・ハーディと息の合った演技が見どころです。

ラストシーンでは、そんなに動けないはずのグラスが頑張りすぎます。

フィッツジェラルドのほうが怪我少ないのに、なんで負けちゃうのかわからないくらい、弱々しくなってましたね。(笑)

トム・ハーディは、実は『インセプション』でもレオナルド・ディカプリオと共演しています。久方ぶりの共演ですが息は合ってますね!

『ヴェノム』もシリーズ化しそうで、ブロックバスターにもちょいちょい出始めています。
これからの活躍が本当に期待できます。

海外の評価 2020/04時点

評価は、批評家・視聴者ともに評価されてます。

ほぼ、予想通りですが、ここからもう一段高くても良いような気もします。

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
76
User rating8.0/10
ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
78
Audience84

映画の感想まとめ

本作は、人生で絶対見た方が良い一本に数えられます。

アカデミー作品って、見るまでにエネルギーを要して

その世界に素直に浸った瞬間に、心が捉えられてしまいます。

それぐらい、本作は人を惹きつけ引き込みます

本文では紹介していませんでしたが、音楽は坂本龍一が担当しています。この辺も要チェックポイントですね。

製作総指揮では、『天使のくれた時間』の監督のブレット・ラトナーが絡んでいます。

ほんとうに名画になるべくしたスタッフで丹念に作り込まれているエネルギーを感じます。

✔レオナルド・ディカプリオは外せない!
✔雪の降る映画は大好き
✔トム・ハーディ少し気になる人!

こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      5
 キャスト       5
 ストーリー構成    5
 初見で読み取れない謎