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『響-HIBIKI-』原作を超えた新たな天賦の才!平出友梨奈の感性で語る天才高校生作家:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-05-19

映画『響-HIBIKI-』は原作がコミックの『響 〜小説家になる方法〜』から実写化され公開当時欅坂46のセンター平手友梨奈が初映画初主演を務める青春群像劇!高校に上がった鮎喰響が文芸部に入り様々な人との関わり会いながら自分を貫き天才的な感性のままの処女作で文壇を賑わせ周囲の人々の気持ちを徐々に変えていく。。

平手友梨奈を主演に迎え、どんな癖の強いアイドル映画が出来上がるのかと思えば

かなり尖がった映画好きにも満足のいく仕上がりになっています。

たとえて言うならば、

NHK紅白で歌いながら酸欠状態で

不協和音を奏でながらばさーーっと

倒れこむほどの仕上がりです

原作のストーリーがいいのか、映画実写化での脚本・演出がいいのか

恐らくその両方でしょう。

間違いなくおすすめできる本作は、

合わせて、原作を読むこともお勧めします。

と言うことで、感想中心で

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

神奈川の県立高校に通い始めた、読書好きの鮎喰響[アクイ ヒビキ](平手友梨奈)は、中学三年の終わりに小説『お伽の庭』を執筆して、自分の小説がどう評価されるのか、価値観を確かめるために感想を聞きたいと言う理由で文芸雑誌”木蓮”の新人賞に応募した。

その原稿は募集要項を無視して無造作に投函され、電子データでさえなく編集部の片隅で排気されようとしていた。編集の花井ふみ(北川景子)が視線を移した廃棄文章の中に、無造作に置かれながら見つけられるのを待っていたかのような原稿に目にとまった。

花井ふみは、『お伽の庭』を読み始めると世界は小説の中の世界に染まり、寝食を忘れて没頭した。ふみは、鮎喰響の名前だけが書いてあり、住所や連絡先さえ書いていない原稿を電子化しはじめ、同僚の大坪になんとか応募の条件をそろえるための相談をし始めるのだった。

響は、高校に入学し幼なじみの涼太郎と共にさっそく文芸部へ向かうがそこは不良の巣窟となっていた。
不良の李-ダーらしき、タカヤと響は入部について言い争いになるが、響はタカヤにつかまれた胸ぐらの指をへし折り、不良達の戦意を喪失させる。

響は、文才としての類い希なる感性をもちながらも、繊細な感情に遊びはなく他人との関わり合いでは妥協することが出来ずに、自分の閑雅を必ず押し通してしまう行動をしてしまい、すぐ周囲と衝突を繰り返してしまう。

翌日文芸部へ顔を出すと、不良達と一緒にいた部長の凛夏が来て文芸部の人数が不良達で成り立っていたため、部員集めをするこおになった。文芸部の書棚は本好きの凛夏が、面白い本と/面白くない本で分けたものだったが、響と一冊だけ意見が合わずに響きは本棚を倒し、自分が掃除をするからと衝動的な行動に走るのだった。

その数日後たまたま、芥川賞作家でベストセラー作家の祖父江秋人の娘である、凛夏の家に響きは行くことになる、木蓮編集部のふみは、祖父江秋人の原稿を取りに行ったときに偶然、響と鉢合わせるが、響は無断で祖父江秋人の書斎に入っていることで、ふみと衝突し取っ組み合いになっていた。

ふみは凛夏の仲裁の呼び声で”響”が募集してきた、”鮎喰響”であることを知り、新人賞応募の道筋をつけることが出来たのだった・・・

合わせて読みたい詳細なあらすじMIHOシネマ

[showTable]

映画情報&キャスト

『響 -HIBIKI-』 2018年 日本
【監督】月川翔
【脚本】西田征史
【原作】柳本光晴『響 〜小説家になる方法〜』
【製作】佐藤善宏
    神戸明
【製作総指揮】山内章弘
【出演者】
鮎喰響(平手友梨奈) ※欅坂46(当時)
 :高校生小説家
椿涼太郎(板垣瑞生)
 :響の幼なじみ
祖父江凛夏(アヤカ・ウィルソン)
 :文芸部の先輩
花井ふみ(北川景子)
 :木蓮 編集者、響・凛夏の担当
神田正則(高嶋政伸)
 :木蓮 編集長
田中康平(柳楽優弥)
 :木蓮 新人賞受賞者
鬼島仁(北村有起哉)
 :元芥川賞作家
矢野浩明(野間口徹)
 :新聞記者
大坪正人(黒田大輔)
 :木蓮 編集者
祖父江秋人(吉田栄作)
 :凛夏の父親、芥川賞作家、ベストセラー作家
山本春平(小栗旬)
 :芥川賞ノミネート作家

超感想中心の評価考察・レビュー

公式予告 youtubeより

月川翔監督による天才・暴力・文芸少女

月川翔監督は、アイドルグループなどのミュージックビデオ制作や、ショートフィルム作成等で名をなしてきた新鋭の監督です。欅坂46「角を曲がる (平手友梨奈)」や、HKT,SKE、ももいろクローバーZ、RADWIMPS等も手がけています。

まさにアイドルを撮るなら、ってくらい面白い映画監督キャリアです。

映画の世界では、『君の膵臓をたべたい(2017年)』『君と100回目の恋(2017年)』など”恋”を描いてきた、月川翔監督は本作ではとびっきり尖った文芸少女を撮りました。

全体的な映画構成としては、原作からかなり実写映像化するに当たり改ざんされています。

オリジナルストーリーとまでは行きませんが、『ガチ☆ボーイ』などを手がけた脚本の西田征史が監督と練りに錬ったのでしょう。原作が面白い作品で、改ざんするのも勇気、そのまま映像化するのも勇気が必要ですからね。

タイトルからして、『響 〜小説家になる方法〜』から映画『響 -HIBIKI-』になっています。
簡単に、変われないよと思いますが、何故か響に接触して響の『お伽の庭』を読むことで数々の人が人生への深い影響を受けて変わっていきます。

文芸作品を映画化したものは数多くありますが、文芸小説家を目指している主人公を描く映画は数少ないですね。文芸ではないですが、『僕と妻の1778の物語』『ザ・ワーズ 盗まれた人生』『恋愛小説家』『トールキン 旅のはじまり』ですが、題材としてはサスペンスや恋愛小説の色合いが濃くなってきます。

本作は、青春群像劇であり、ロードムービーであり、スポ根(文芸根性)の世界を変える天才視点の物語です。

圧倒的な文才を持つ”響”が、周囲と摩擦を衝突を繰り返して、

自分を全く曲げずに、

周囲を自分の理解者に変えていく、一風変わった爽快感を持ちます。

人間そんなに変われないよって、思いますがね。

本作では、響と衝突して、『お伽の庭』を読むことでグニャと人間の持っている善の本質が前面に出てくるようになります。

原作や実写映画で狙ったとおりのテーマ性だと思いますが、

主人公の響は、曲げられない女なのに周囲は面白いように変わっていきます。

このギャップ感が、物語の爽快感とわくわく感に感に変わるレトリックですね。

原作はマンガ大賞受賞 原作との違いとネタバレ

マンガ大賞2017を受賞している、原作のコミックは累計発行部数は233万部を突破しているビックコミックスペリオールの男性マンガですが、作画タッチは女性マンガのようでもあります。

原作のコミックの1巻から6巻ぐらいまでを、本映画で実写化されています。

大枠ですが、

  • 高校入学 文芸部
  • 新人賞獲得
  • 芥川賞・直木賞W受賞

この三つのパートから映画は構成されていて、ストーリーラインは原作と同じです。

原作と実写では細かいところを入れるとかなりの違いがありますが

個人的にもの凄く気になる点も含めて

主な違いとして、原作ではどうなっているかを以下に挙げておきます

 ・花井ふみはボイン
 ・文芸部には関口花代子と言う同級生が在籍
  =>7巻以降では重要なキャラクターとなる
 ・涼太郎はめっちゃイケメン設定
 ・祖父江秋人は実は意地悪
 ・ゴスロリ衣装は吉野桔梗(小説家)がプレゼント
 ・花井ふみは仕事やり手、響に実は性格似てる
 ・涼太郎は変態
 (朝起きると8歳の響の隠し撮り写真にキスをしたりする)

映画を時間枠内に収めるために、色々とデフォルメしたのでしょうが次作・続編が、もし作られるとすると色々と問題が出そうな改編だなぁといった感じです。

本来いるはずのキャラクターがいないとか、

キャラクターの性格の設定付けもそうですね。

続編があるとするならば、うまく是非軌道修正してほしいものです。

合わせて読みたい原作コミックを少しアレンジした『キングダム』、『ミスミソウ』

『お伽の庭』の内容・謎は何か?

『お伽の庭』は、響が中学3年の春休みで書いた、長編の処女作であり原作・実写映画の中でも文芸誌”木蓮”の新人賞と、芥川賞・直木賞を獲得するとんでもない文芸小説です。

原作では、厳密には処女作でなく『ティンカーベル』という荒削りだけが十分校閲で傑作になるものがタンスの中から出てきますが、結果的に出版にはこぎ着けてません。

話を戻すと、『お伽の庭』の内容については、実は原作を通じてもあまり詳しく描写されていません。

わかっていることは非常に少ないです。

原作で出てくる、次作の『漆黒のヴァンパイアと眠る月』は、内容がそこそこ想像できる、面白そうな内容なのですがね。

小説の内容としては謎ですが、『お伽の庭』が周りの人に与える影響は凄い事がわかります。

  • 山あいの寒村が舞台
  • 価値観が試される
  • 時間という概念が壊される
  • 豊富な語彙と表現力、丁寧な文章と響の文体
  • 常識がひっくり返される作品
  • 生き方の正解を教えられる
  • 小さな世界での世界観と死生観がテーマ
  • 架空の世界
  • 生活の匂いと、読み手が感じられる風俗や文化 =>それを感じられる描写力
  • 時代や書き手の年代が特定できない
  • 純文学小説
  • 直木賞受賞していることから大衆的でもある

これだけみても、もの凄い読みたい作品ですが、残念ながら架空の小説ですね。

まあ、芥川賞・直木賞は、年度にも寄り違いますが、選ばれる作品はやはり映画で言うところのアカデミー賞と同じで、たんなる権威姓だけでなく、面白い名作であることが多いですよね。

誰か書かないかな・・・『お伽の庭』

響の原作の中で、よく受賞作の中で話題になるのが、

小説家兼ミュージシャンで、猪又コウジが出てきます。

彼は、デビュー作『火の川』で芥川賞を受賞している設定になっていますが、

モデルは又吉直樹の『火花』ですね、この辺は本業作家で、数年間文芸に没頭したから取れる賞とも違う!

という対比で語られていました。

”響”は平手友梨奈のはまり役

笑わないアイドル欅坂46,そのセンターを長らく務めた平手友梨奈

その彼女が、まさにはまり役としか思えない、鮎喰響を演じます。

ただ、仕上がりとしては、原作とかなり違った鮎喰響像が、そこにはあります。

かなり違うとは少し語弊がありますが、平手友梨奈が演じる響は、独特の映像の中だけの響になっています。

彼女の演じる独特の雰囲気が、原作の響と似ているようで違う、新しい”響”になっています。

ものおうじしない、誰にでも言いたいこと言う響は、原作も映画も一緒ですが受ける印象は若干違います。

この辺は是非コミックを見て欲しい所です。

コミックの響は、キャラとして愛らしさがにじみ出ています。そして突発的に行動してしまう暴力行動に対しても、少しだけ”あざとさ”を感じてしまいます。原作のコミック全体を読むとさらに、その”あざとさ”が鼻についてきます。まるで自分の暴力衝動は仕方の無いことで、「私のやることは誰もが認めるはず」的に見えます。

なんと言っても、わざと大舞台で暴力行動ばかりしますから・・・

一方で、映画の平手友梨奈の響は、”あざとさ”よりも”純粋”なセルフィッシュを感じます。唯我独尊的な純粋さで、悪く言うと世間知らず。世の中の軋轢をいとわない。

欅坂でのセンターで演じているキャラクターがそのままミュージックビデオから出てきて、一人のキャラクターになったかのような雰囲気亜あります。

普通のしゃべったり笑ったりしている平手友梨奈ではなく、笑わないアイドルそのものって感じです

彼女の初出演にして初主演は大成功ではないでしょうか。

イメージぴったりの祖父江凛夏 アヤカ・ウィルソン

まさに祖父江凛夏とイメージがぴったりだったのが、アヤカ・ウィルソンの演技

色々な意味で、有名小説家の娘で自身も小説を書く、祖父江凛夏の葛藤や心の中の父に響へのライバル心と、友情の感情の揺れ動く様が良く演じられています。

元芥川賞作家の鬼島仁との川でのヘラヘラした感じや、父親への異父の念など原作を忠実に感情の起伏もトレースできています。

思えば、あの『パコと魔法の絵本』の可愛かったパコがのーっと。。父親になった気分です。

CMでも活躍しています。

水着姿もまぶしかったし、今後が楽しみです。

役柄を選ぶ北川景子 少し物足りなさが

花井ふみを演じた、北川景子ですが、

原作を読んでしまうと、ちょっとなよっとした線の細い、ふみちゃんになってました。

2020年12月に公開予定の『約束のネバーランド』のイザベラなど、キリッとした毅然としたイメージで良かったのに。

ちょっと、記者会見のシーンでも、頼りなさが先に出てしまいましたね。

合わせて読みたい『約束のネバーランド』キャラクター実写比較

映画の感想まとめ

本作は、映画と原作両方を読み比べて欲しい映画です。

原作を変えていますが、両方の良さがあります。

響きの巻き起こす暴力行為は決して褒められませんが天才のやることですから、その辺はゆるしたってーください。

同じく天才を扱った、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 』や、『リミットレス』なんかとは、ずいぶん味付けは違います。

本作の方が、よりエキセントリックな天才です!

めっちゃ、おすすめなのでした。

✔天才を扱う作品は好き!
✔欅坂46大好き
✔原作コミックで傑作は映像化されても見る人!

こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      4
 キャスト       5
 ストーリー構成    3
 初見で読み取れない謎 5