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『一度も撃ってません』ハードボイルドで昭和感!隠れた笑いのツボが冴える:動画配信・映画感想あらすじ考察

映画映画『一度も撃ってません』は2020年に日本で公開されたコメディー映画で石橋蓮司はじめキャスティングがさえわたる怪しい笑いのツボがある!表向きは小説家で、裏では自称ヒットマンの市川。そんな彼は中国のヒットマンから命を狙われ、また妻からも不審行動を疑われてしまい・・・

もしも成りたい職業で暗殺者とか殺し屋

とかってのがあったら、なんだろうね、自分なら『ゴルゴ13』を選んだりするのかな?

究極のハードボイルドを求めて、もういまの平成・令和の時代では決して流行らない概念だよなと思いつつ、そんな時代を逆手に取った映画があった。

その昔、三谷幸喜の『マジックアワー』のように殺し屋の演技の世界にはまったわけではなく、自ら殺し屋を目指しながらも実のところ、ただのエセで、小説を書いては自己陶酔するおじいちゃんの物語!

まあ、設定はあれですけど・・・

非常に面白い作品です

こういう変わり種の面白さって、あっていいとおもうなー

☆4のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

ハードボイルドを気取る小説家の市川進!
しかしその実情は、市川の作風は今や時代遅れで原稿も採用されず、妻の年金で暮らす毎日だった。

そして、市川はハードボイルドに憧れるあまり、検事の石田からの依頼を受け、殺し屋家業を行っていた。市川はターゲットを調べ、事細かに犯行を自身のハードボイルド小説のネタに書いていたが、その犯行の実態は今西という男へ殺しを依頼していたのだった。

そんなある日、ひょんなことから中国のヒットマンから市川も石田も命を狙われるようになってしまう。そんな市川の不審な行動に違和感を感じた妻の弥生は、浮気をしているのか、罪を犯しているのか、探偵のように市川の行動を探るようになった

一方、市川はヒットマンから逃げつつ、今西にも危険を知らせようとするが、上手くいかず
妻の弥生には市川の行きつけのバーまで突き止められ、ヒットマンにもバーを突き止められ、市川に最大のピンチが訪れるのだった・・

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映画情報&キャスト

『一度も撃ってません』2020年 日本
【監督】阪本順治
【脚本】丸山昇一
【音楽】安川午朗
【撮影】儀間眞悟
【出演】
市川進 / 御前零児(石橋蓮司)
 :売れない小説家で、ヒットマン。妻には内緒でヒットマンをしている。
市川弥生(大楠道代)
 :市川の妻。進の様子がおかしいことに気がつく。
石田和行(岸部一徳)
 :元検事で、市川の友人で殺しの案件をもってくる
玉淀ひかる(桃井かおり)
 :元ミュージカル女優。市川の友人
児玉道夫(佐藤浩市)
 :市川の担当編集者
周雄(豊川悦司)
 :連城に雇われたヒットマン
守山秀平(江口洋介)
 :不動産投資詐欺師
今西友也(妻夫木聡)
 :市川の仲間のヒットマン
ポパイ / 南雲雄平(新崎人生)
 :バー「Y」のマスター
福原歌留多(井上真央)
 :看護師で、今西の恋人
連城孝志(柄本明)
 :暴力団組長
五木要(寛一郎)
 :児玉の部下

超感想中心の評価考察・レビュー

阪本順治監督:ちょい悪監督のちょい悪じーさんの演出

もう、日本では北野武と同じく称される阪本順治

その阪本順治監督渾身の作風はハードボイルドそのものであり、青春群像からやくざ者、ファミリードラマと本当に幅広く、映画の中身はハードボイルドそのもの、一本の譲れない矜持の中で作品が練りこまれている魂を感じるものが多いように思う

有名なところで言うと、吉永小百合の『北のカナリアたち』、『大鹿村騒動記』、こういう有名作品に加えてドキュメンタリー風の作品やコメディも多い

ハリウッドで成功している、真田広之が日本を飛び出す前の『亡国のイージス』なんてのも手掛けている。

本作で、手掛けたかったのは、そんな阪本順治監督のちょい悪さでノリノリに、夢をあきらめきれない老年の小説家の想いを、遊び心たっぷりにユーモラスに描いている。

”殺し屋家業”を、誤解を恐れずに書くと笑いのネタとして、全然あとくされなく暴力シーンや嫌な思いをすることなく、ヒューマンドラマ風のドタバタ騒動劇にしているところが見事

そして、そのキャスティングも一線を置いた準主役級の人たちが主役ってのが、さらにツボにはまるわけです

登場人物たちの渋さがリアルワールドと被る

本作はとにかく登場人物たちの渋さが際立った作品だなと感じさせられます。

キャストに迎えた人たちの怪しさも加わって、本当に素晴らしいの一言

主人公の市川はもちろんのこと、市川の妻である弥生も曲がったことが嫌いな女感が感じられますし、石田も「あー、こういうおじさんいる」と思わせるセクハラまがいなことをいってしまう、”おじさん”なのですよ

なのですが、どこか渋くて、どこか愛嬌のあるクセが、妙に笑わされてしまう人間味あふれて、めっちゃ世俗臭さが現れているのが本作の見どころなのかもしれません。

また、本作には柄本親子や佐藤浩市親子も登場しており、キャストもかなり豪華なのも見どころです

本来のメインストリームを食っちゃう、おじさんハードボイルド小説化の石橋蓮司、と相手役の妻役の大楠道代がツボにはまります。

市川の裏と表

本作の主人公である市川の表向きはハードボイルドな内容を書く小説家

しかし、その裏は殺し屋の御前零児を名乗る自称ヒットマンでした。

その二面性がかなり面白おかしく描かれています。

市川は妻の弥生にバレないように、家にいる時はほとんど喋らず、堅物な親父といった感じで過ごしています。

しかし、外ではかなり粋なバーに通い、オシャレな空気を醸し出しているわけです、まあ自称ヒットマンで、ハードボイルドに染まりまくっている小説家ですからね

なのですが、市川が外で何をしているのか、不思議に思った妻の弥生が探偵のように市川を探り始めることから、ドタバタが始まっていきます。彼女は以前、教師として真面目に働き生きてきたという過去もあり、コソコソしている市川が許せなかったのでしょうけどね

その夫婦の様子もコミカルに描かれて、面白さが満載なんです

タイトルがネタバレ

まあ、もうあらすじで書いてしまっていますが、タイトルそのものがネタバレなわけですよ

市川は昼は小説家で、夜はヒットマンといきたいところですが・・・

凄いカッコいい、おじさんだなと途中まで進行するわけですが、実際は話が進むにつれ、今西という若いヒットマンに殺しの丸投げ

そして、犯行に及んだのを彼に話を聞いて、それを小説に書いて!と

二重に手柄横取りの初奴ですよ

この辺の演出の展開が、めっちゃ楽しく、何度でも見れる映画になりそうです。

まあ、そんなわけで「一度も撃ってません」そりゃあそうだな、納得のタイトル!

本当に追い込まれても、やはり撃ったことがないので、人を撃てずに映画が終わると言うわけです。

なんだか妙に安心してしまいましたが、カッケつけすぎたおじさんの結末

まあ、ハードボイルドの結末に笑いありの、ラスト

ラストの結末には一笑ありますので、ぜひ見てほしいです

映画の感想まとめ

本作はキャストがかなり豪華な作品なので、派手な作品かなと思いがちですが、決して派手な作品ではありません。

まあ、笑いのツボを押さえながら進む進行度合い、

映画としての完成度は高いです

さすが、阪本順治監督!

そして、いい意味で昭和感を感じられる作品でもあり、いい意味で情けない一人の男のハードボイルダーの生きかたを垣間見ることもできます

粋でお洒落さを兼ね備えながらも、結末で笑わせてくれる、見やすい映画です。

お洒落な作品を見たい方や、昭和感が好きな方、

コメディーが好きな方には

特におすすめです。