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『来る!』黒木華の子育てお悩み相談室!ポップで生活感にじみ出る新感覚ホラー:動画配信・映画感想あらすじ考察

2019-12-29

映画『来る!』は2018年の日本のホラー映画!軽快な音楽と次々と展開していくストーリー展開。怖さを求めるならば少し違うホラー映画。エンターテイメントとしてのビートを刻むように次々とホラーアクション・人間子育てドラマ(時折)!

原作『ぼぎわんが、来る』

あらすじ

前半 秀樹の章

少し軽薄な感じのサラリーマンの秀樹が、若妻の香奈とともに叔父の葬儀のため、実家へ連れて行く。

香奈は、母親から女で一つで育てられたが母親のだらしなさを見て育ち、母親みたいのはなりたくないと思い真面目に生きていた。

そんな香奈は秀樹の実家に連れられていくが、家族・親戚との付き合いをどことなく疎ましく感じている。

秀樹は、実家での久しぶりの親戚との挨拶で飲み過ぎて寝てしまう。

秀樹は夢の中で、小さな時同級生が誘拐された事件を思い出した。「秀樹も山へ連れ去られるよ!」

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秀樹と香奈は、幸せな家庭生活を送っていた。程なくして香奈は妊娠し、幸せをかみしめていた。秀樹の会社でも香奈との仲をのろけまくる秀樹。

そんな仲のあるとき、会社に秀樹を尋ねて来た人がいたが、受付に顔を出すと誰もいない奇妙なことがあった。その時に対応してくれた後輩の高梨が肩口を何かに咬まれたような傷跡を残して入院してしまう。

高梨は一年としないうちに、死んでしまう。

秀樹はイクメンを目指し、家庭のリア充をアピールするかのようにブログを始め日々の記録を我が愛娘のチサへ注いでいく。

あと日、秀樹が家に帰ると香奈とチサが泣きながら座り込んでいた。田舎から送ってきたお守りが切り裂かれ家中が荒らされていた。秀樹は実家での田舎の夢と、後輩の高梨の事件を思い出す。

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その後不可解な出来事の解決に、知り合いの民俗学の津田大学准教授のつてを辿って、オカルトライターの野崎とその連れの真琴にであう。

真琴は正式な霊媒師の類いではないものの、その力はあるようだ。

秀樹は怪しがりつつも、
真琴に頼るが、彼女からは
「奥さんと子供を大事にしてあげて」と言われ、
秀樹は気分を害してしまう。秀樹自身はイクメンとして自負しており、誰よりも家庭を大事にしているつもりだった。

一方、香奈は秀樹のリア充のアピール目的のイクメンぶりには辟易しており、 秀樹は子供よりも体裁を大事にする男で心がすさみ、関係が冷え込んでいくのを感じていった。

真琴の手に負えない怪現象が起き、真琴の姉で本格的なプロの霊能力者の”琴子”が化け物の存在を感知して、怪現象発生の直後に真琴に連絡を取ってくる。

彼女の代理として、高名なテレビ出演経験のある霊媒師の逢坂セツ子を秀樹の元に使わせている。

秀樹と野崎が、逢坂に会うも化け物に瞬間的に逢坂は腕を食い千切られ、秀樹は家族を家から遠ざける。

秀樹は家に帰ると、琴子のふりをした化け物からの電話に騙され、自ら化け物を家に招き入れてしまい、死に至る。

後半 香奈~祓いの章

秀樹の死後、1年。
香奈は忙しい毎日を送っていた。チサの育児と日々の労働で精神的に参っていた。秀樹の友人の津田に色々な相談をするうちにふたりは恋人関係になっていった。

津田からもらったお守りの札を、秀樹の仏壇に供え、
香奈は人が変わったように明るくなっていった。


自分の嫌いだった母親親のようになっていき、チサに当たりチサを放置して遊びに出かけるようになる。

そんなとき、真琴が香奈の家に遊びにくるが、また怪現象が起きてしまう。野崎が津田のくれたお守りのお札が化け物を呼び込むことを突き止めるも遅かった。

真琴も化け物に取り入れられ、チサが行方不明になる。

津田も高梨同様、化け物に咬まれ操られていた。

香奈も化け物に殺されてしまう。琴子は化け物の存在が手に負えなくなってきていることを杞憂し、強大になる前に払おうと全国から霊媒師・祈祷師、霊能力者の集団を集めて化け物を祓うべく動き始めるが。。。。。

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[showTable]

映画情報&キャスト

『来る』 2018年 日本
It Comes
監督  中島哲也
脚本  中島哲也
    岩井秀人
    門間宣裕
原作  澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
出演者
秀樹    妻夫木聡
かな    黒木華
ちさ    志田愛珠
ことこ   松たか子
野崎    岡田准一
まこと   小松菜奈
津田    青木崇高
逢坂セツ子 柴田理恵

ホラーとしての評価 ネタバレあり

全体的な評価

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ホラー映画として本作品を純粋に語るのはどうだろう。

色々な個人的な好みも分かれるが、新しいホラーの分野を切り開いたのではないかと思う。

オフビートホラーとサブタイトルででは入っているが、どちらかというとポップな音楽で間髪いれずスピード感のある展開が凄く作品自体の長尺が130分越えなのにもかかわらず飽きること無く観ることが出来た。

内容としては、3もしくは4部構成を取っている

  1. 化け物の想起 田舎の部
  2. 秀樹の部 (イクメンアピールの家事不参加)
  3. 香奈の部 (育児の問題)
  4. 琴子の部 (祓い)

2-3にかけて、岡田准一演じる野崎が怪しい役から徐々に主役級に成り上がっていく。

4部構成に分かれているので、物語の終わり目と始まりの切れ目がわからないまま進むのだ。

そしてラストシーンが物議を醸すと思う。

ホラーとしての評価

一方でホラーとして捉えるとどうだろう。

ホラー的には、怖がらせて欲しいのだがあまりにもテンポが良く、怖くないのだ。一方でエンターテイメントとしては一級品だ。

辞書で調べてみる

 怖い:心情的な物
 恐い:客観的な物

感覚的には、恐くないが怖さは十分感じられる。

ホラーとして考えると、怖さが足りていない。訳のわからない怖さが足りないのだ。

また、ホラー的な終わり方ではないので、すっきりしない。

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逆説的だがホラー的には、すっきりとある程度の結論が出ていると思う。

逆にモヤモヤした感じのある悪が最後に残る感じが無く、普通の映画的な終わり方に加えて、訳のわからないオムライス大好きシーン。これが、好き嫌い分かれるところだろう。

エンターテイメント作品としては評価できるが、一つ一つの部の主題が変化していく感じが少々激しすぎて、”化け物”の存在が横に置かれていく。

さらに主題も盛り上がってきたところで、軸がずらされ化け物が隙間に入ってくる。
まさにこの感覚が狙い所なのかもしれないが、映像としてみると、せわしすぎて追いつけない。化け物で無くても良くなってきてしまう。

豪華俳優陣の使い所

個人的には、この映画は面白い。
役者の使い所も、かなり奇抜で面白いが、一定の路線でだれもが納得する使い方をしているので、イメージとしてすんなり入ってくる。

  • 松たか子
    淡々としゃべり、霊能力を発揮する実力派
  • 岡田准一
    陰惨な過去を持ち、孤独を好む
  • 妻夫木聡
    軽薄に輪をかけて、嘘を平気でついて周りにリア充の必死アピール
  • 黒木華
    陰を持って、過去を持ちながら懸命に生きるが、幸が薄い感じ
  • 柴田理恵
    高名な霊媒師

もったいない使い方を色々しているが、
この映画を一つの映画の中にいくつかのパートがあるショートフィルムが繋がっていると考えると、
それはもう構成が良く、誰がどのパートで主役なのか明確になる。

個人的には、霊能力姉妹ではなく、野崎の岡田准一が主役でいいのでは無いかと思う。
(原作はそうでないだろうけど)

原作はシリーズ物

原作は、
「第22回日本ホラー大賞」で大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」
で、ネットでも各会で高い評価を得ている。

映画は、原作と違う部分がかなりあるが、
比嘉姉妹のシリーズ物となっている。

想像になるが、映画のタイトルから”ぼぎわん”の名前が消えているのも制作陣の意図を感じる。

ぼぎわんが、怪物の名前らしい。

映画の中では、”何か”で表現されることが多く、ぼぎわんが主軸出ないのがわかる。

冒頭でも書いたが、制作陣はホラー的な化け物の存在の怖さや、霊的な怖さを排除し、人間ドラマや、社会に潜む闇をサブテーマにしたかったのではないだろうか?

前述した2,3部では、社会的なテーマに切り込んでいる。
個人的にはエンターテイメントとしては良いが、化け物とからめてこの分野に切り込んでいくのは、少しちがう気がするが。

ラストシーン考察 

エピローグでチサのオムライス大好きシーン(夢の中)が展開される。

野崎は生き残り、真琴もこちら側へ引き戻され、
チサからも化け物は出て行く。

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琴子はどうなったか想定になるが、無事祓いが出来たと思われる。

化け物”ぼぎわん”は無事払われている。

野崎と真琴で、チサを育てていくのだと思う。
最後の、オムライス大好きシーンは、チサの気持ちが善に向いている状態を表し、この夢が悪や孤独になったときにいつでも、ぼぎわんが、戻ってくるぞ

と言うメッセージだと考察するが、
あまりにも突拍子が無いため、理解が追いつかない。

まとめ

”ほげる”的には、おすすめの一つ!
ただし、評価はおいておいても、かなり好き嫌いは分かれる映画だと思う。
残る謎が多すぎる
エンターテイメント映画だと思えば、大部分が楽しめる。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      4
 キャスト       4
 ストーリー構成    4
 初見で読み取れない謎 3

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、最高に面白い作品と思います。