『ミッドナイトスワン』この感動は押し売りか?酷いのか凄いのか?:動画配信・映画感想あらすじ考察
映画『ミッドナイトスワン』は2020年の日本で公開された日本映画界で大絶賛を受けたLGBT/トランスジェンダーを扱ったドラマ映画!トランスジェンダーの凪沙は親戚の娘でネグレクトを受けていた一果を預かり次第に母性が目覚めていく・・
本当にね、最近では世間ではLGBTが叫ばれ、日本は後進国と言っていいでしょう。ヨーロッパやアメリカでの人々の認知はもう一般化されています
本作『ミッドナイトスワン』は、内田英治監督がながーい時間構想を練って、満を持して世の中に出した超自信作!
そのかいもあり、第44回 日本アカデミー賞で作品賞、最優秀主演男優賞などを獲得し、草彅剛が主演したことでも話題となりました。
まあねー、そして最大の関心毎は、面白ったの?面白くなかったの?
ってとこなはずですわ!アカデミー賞も受賞しているんだから、めっちゃいい映画のはずなんですが、手放しで「よかったよー。これお勧め!」
って満面では勧められないられないんですよ。
個人的にはですけどね。
もちろん、見どころは色々ありますがね、その辺は見てもらったほうが
☆4のおすすめ(5点満点)
感想中心となります
それでは見ていきましょう
あらすじ ネタバレなし
東京の新宿で生きる凪沙は性は女性だが、体は男性で生まれてきたトランスジェンダーだった
幼い時の自分は、何か違うと感じつつ、 凪沙は 京しニューハーフのパブで働き、日々を暮らしていた。そんな中、親戚の娘である中学生の一果が、母親からネグレクトを受けておりまともな生活を送れずに、一時的に凪沙に預かって欲しいと親から頼まれたことで、仕方なく一果を預かることになる。
最初は心を閉ざし、あまり話さなかった一果だったが、バレエに興味を持ち始め、凪沙に内緒でバレエを習い始めるのだった。
そして、バレエ教室で出会った”りん”と心を通わせて、友人になり周囲にも徐々に心を開いていくようになる。一方で、一果がバレエをやっていることを知り、 一果への母性が芽生え真剣に安否を気遣い将来を考えるようになり、バレエの費用を何とか工面しはじめるのだった・・
一果への想いが凪沙を性転換手術へと決意させ、凪沙はタイでの性転換手術を受けるが、その後体調を崩していく。
映画情報&キャスト
『ミッドナイトスワン』2020年 日本
【監督】内田英治
【脚本】内田英治
【音楽】渋谷慶一郎
【撮影】伊藤麻樹
【出演】
凪沙/武田健二(草彅剛)
:トランスジェンダー
ニューハーフショークラブ「スイートピー」に勤務
ロングコートとハイヒールを纏う。
桜田一果(服部樹咲)
:母のネグレクトに悩まされ、
遠い親戚である凪沙に預けられた中学生。バレエをやるようになる。
瑞貴/野上剣太郎(田中俊介)
:スイートピーに勤務するショーガール。良き相談相手である。
キャンディ(吉村界人)
:スイートピーに勤務するショーガール。愛嬌たっぷりの性格。
アキナ(真田怜臣)
:スイートピーに勤務するショーガール。店のナンバーワン。
桑田りん(上野鈴華)
:一果の同級生で同じバレエ教室のライバルでもあり、親友。
桑田真祐美(佐藤江梨子)
:りんの母。りんに全てをかけている。
桑田正二(平山祐介)
:りんの父。
武田和子(根岸季衣)
:凪沙の実母。
桜田早織(水川あさみ)
:一果を産んだ母で、キャバクラ嬢。一果を19歳で産み、ひとり手で育てる。
洋子ママ(田口トモロヲ)
:スイートピーのママ。
片平実花(真飛聖)
:バレエスクールの講師。
超感想中心の評価考察・レビュー
内田英治監督:名作か駄作かシスジェンダー視点
内田英治監督の描いたトランスジェンダー映画!
それが、良くも悪くもミッドナイトスワンなわけで、結局のところ名作なのか駄作なのかはここのところの議論が多いように思う。
LGBTを考えて、ドラマ性を持たせて世にももたらした影響と言うこと、そういう意味合いでは、めっちゃ名作でさすがアカデミー賞を受賞するだけはある「すごい映画だ」と言うことになる。
なのですが、個人的にしっくりこないのがそういう同調圧力がある感じがする。まあ、僕が圧力下かけれているのではなくて、世間一般的に批判を許さない空気・・
一方で、真正面からLGBTの名作なのか?
と問うと、結局のところシスジェンダーが描いたトランスジェンダーの世界観であり、気持ちであり、トランスジェンダーをシスジェンダー側から見たときの視点で、トランスジェンダー側からの映画を撮っている気持になっちゃうのが、この映画。
酷いのか凄いのか?正直判断迷います 不快感が半端ない
この映画は、本当に総評としては凄い映画!、ただしちょっと待った個人的には酷い映画!
決して、批判ではないのだけれども、何故トランスジェンダー芸人とか俳優を使わずに草薙剛を起用したのだろうか?ここに大きな矛盾があり、それでいてやっぱりトランスジェンダー向けの映画なのだろうと再追認するポイント
草彅剛の演技力って、向いている映画とそうでないものがある気がする。
SMAPでない冠の外れた草彅剛を使って、事務所ごり押しとかは関係ないでしょう。
なので、本当に俳優としての勝負なのでしょうが、それでもキャスティングは不満ありです
だって、ikkoとか、はるな愛とか、例えばね、起用すれば
演技力なんかおいといて、リアリティーはあるはずです。
まあ、そう書いてしまう時点で私がLGBT理解していないとご指摘はあろうが・・・
あくまでも映画なので・・・
そう、LGBTを語っておいて、LGBTのなんたるか、
演出や演技、脚本が本当なのかトランスジェンダーのリアリティー感がわいてこないのが問題であり、それでいて確信犯的な、「これは演技なんですよ」本物の世界観なんて、あんたたちみんなわからないよね。
って言われている気がして、
そう、このブログを書いていてわかった、分かってきた。
こういうところが不快なんだ。
だから、私的には映画や興行的、世界観の描写として社会的な切り込みには大いに評価はするけれども、やっぱりちょっと受け入れられないところがあったかな。
あえて批判口調で書くと、感動の共感押し売り感が漂ってるー
制作側、俳優がの「これに感動しないわけないよね?」と、押しつけがましさを感じてしまうところがあるのは事実だと思う。
もちろん、いい映画であることは否定はしない
大真面目に、映画としてとらえるとストーリーやラストに至るまでの経緯は、なんとなく先まで読めるし、ところどころ雑な設定と、どっちつかずの演出が目立って見えてしまったわけですよ
バレイのコンクールで一果の母親が抱きしめるシーンとか、”りん”との友情・ライバル関係が中途半端とか、細かいの挙げるときりないけど、ラスト直前の海辺のシーンもなんかお涙に迎合していみたいで・・ちょっと
まあ、そんなのも全部分かったうえで、新人女優で一果役に服部樹咲をオーディションから見出して採用、そして見事に演技指導・演出で存在感のある存在として一凛の大きい花を咲かしてくれました
是枝裕和監督の『誰も知らない』でデビューして、大絶賛を受けた柳楽優弥のようにさえ見えましたね。
とてもデビューとは思えない、大物感は忘れられないでしょう。
こういうキャスティングも計算ずくでしょうから、いまいちだと思うシーンや演出も、監督の手法にはまっているってことだろうなと思いつつ・・
草彅剛:ノーマルか怪演なのか?
草彅剛はある一定のコアなファンもいるし、演技もかなり認められているところだと思う。
さっきも書いた通り、シスジェンダーの草彅剛としての、トランスジェンダーの演技が、上手いのか下手なのかよくわからないし、なんだかただのおっさんだと思えば、そう見えてしまいこの辺が中途半端すぎました。申し訳ない草彅君・・・
ただ、主演男優賞を総なめしているんだから、間違いなくうまい演技なんでしょう
ミーハーどころで言うと『黄泉がえり』とか、『日本沈没』などは結構好きで、大河で松平慶喜の演技なんぞも、幅の広さが見れまししね。
個人的には、ニューハーフショウが邪魔された直後に舞台で踊った一果を見る、凪沙の表情にはぞくっと来た。
母性と女性を見る憧れ、妬み、そしり、それらが複雑に入り混じった感情が全部表に出た顔、そして最後に表情を自分は真の意味で、ミッドナイトスワンであり、スワンにはなれない存在なんだと、再確認した顔がゾクゾクとするくらいに伝わりましたわ・・・
このシーンだけでも、主演男優賞物!
あれ、でもこれトランスジェンダーの映画だから、主演女優賞が正しいのでは?
と思ったりするのが、まあ、だめなのかしらね。凪沙の女性への憧れ
凪沙の女性への憧れ
凪沙は生まれながらに体は男性、心は女性という形で生まれ、ニューハーフのパブで働きながら、お金を稼いでいつか性転換手術をしようと考えていましたが。心はぼろぼろで、ニューハーフだからという理由で世間からは冷たい言葉を投げかけられることはしばしば。
しかし、そんな中、中学生の一果を預かることになり、少しずつ変化していきます。
今までは女性として生きていきたいと思っていましたが、一果のお母さんになりたいと思うようになったことでしょう。
その様子が見られるのは、バレエ教室で先生をしている片平に何気なく言われた一言
「お母さん」
その、言葉!普通の女性なら誰もが普通に享受できる何気ない言葉
片平はいつもの癖で言ってしまっただけの言葉でしたが、お母さんには一生なれないと思っていた凪沙にとっては凄く嬉しかったことでしょう。
少しずつ一果によって、凪沙の気持ちが変化していく様子は見ていて、応援したいと言う気持ちにさせてくれます。
こういうところの母性は、『チョコレートドーナツ』を彷彿とするものがありますねー
「チョコレートドーナツ」もゲイのカップルがダウン症の子供を育てるという話ですが、子育てをすることに無縁だったはずのLGBTと言われる人々が愛を持って子供達を育てる姿はあまりに美しく、印象的
一果の後悔と凪沙に対する感謝
一果自身も、凪沙と出会い、バレエと出会い、人生が変わっていきます。
ネグレクトを受けていた一果は、無口で無気力な子供でした。
しかし、バレエの楽しさに出会い、どんどんのめり込んでいきます。
それと同時に、一時的だったという預かり期間も過ぎた時、本当の母親である早織が一果を迎えにきますが、そのせいで、広島に戻り実の母親と再度くらすことになるのです。
このコンクールのシーンは正直、違和感だらけなんですよねー
なんで、一果は踊り出さなかったのか・・、何故母親は舞台に上がりその後二人で広島に帰ることになったのか、映画では正直読み取れなかった
ただ、凪沙はこの母親の行動を見て、「女性にはかなわない」、「母親になれない」と思ったから席を立ったわけで、その後タイにむかったわけで・・
複雑ですよね気持ち的に・・・
その後、凪沙が一果を取り戻しに広島にやってきます。ヤンキーたちに囲まれている一果が、なんか場違いなんですが・・それはご愛敬
凪沙はタイで手術を受け、昔の凪沙の体ではなく、女性の体になって広島にやってきて一果の母親(女性で本物の母親にだってなれる)だと胸を張って言えるようになって、帰ってきたんですねー
その手術のせいで凪沙は具合が悪くなり、オムツをしなくてはならないような体になってしまってました。一果は自分のせいでこんな体にしてしまったかもしれないと、後悔していたかもしれませんね
それと同時に凪沙に出会ったことで、バレリーナとして世界で生きていくことができるようになったことも感謝しているように感じます。
その一果の姿があまりに印象的で、清々しく感じます。
一方で、この術後のアフターケアが出来ていなくて、体調が悪くなり死亡する
ってことに対しては、性転換手術の界隈からは結構クレームが入ったそうで、昔ならいざ知らず予後が悪くて、感染症になるのはまずはないそうです
トランスジェンダーの描き方・演出
本作では、凪沙がトランスジェンダーとして描かれています。
トランスジェンダーを描くという点ではかなり賛否があるのも確かです。
本物のトランスジェンダーを使うべきだという意見やトランスジェンダーのリアルを描けていないという意見、様々な意見があるはずです。
最近では、『Girl』、『リリーの全て』、『彼らが本気で編むときは』など数え切れぬほどの作品で扱われるように、トランスジェンダーという言葉に皆の関心があることも確かであり、彼女たちを知るための第一歩として、まず私達は沢山の作品に触れるべきなのでは?
と思うわけです。
賛否両論は別として、彼女たちがどんなふうに感じ、生きている姿を映画の中で見るというのは擬似体験をすることができるからです。
本作でも、かなりキツイ表現や自分なら耐えられないと思わされる言葉もあり、こんな思いをするくらいなら、、、と思うかもしれません。
それでも、生きていく強さをもつ彼女たちは、たくましくも、
女性より女性らしく繊細な彼女たちだからこその、儚くもろいものなのかもしれないです
映画の感想まとめ
本作は凪沙と一果の移り変わっていく気持ちが痛いくらいによく理解できる作品で、LGBTに関心のある方にはオススメですが、それ以外の人は意外と受け入れない人も多いかもしれません
私は、理解はあるほうですが映画的に??ってのが先に来ます
ただ、映画として評価されるのもわかりますが、驚くほどの新鮮さと感動はなったのが正直なとことです。
その原因は、やはりシスジェンダーの描く、シスジェンダーの演ずる世界が、トランスジェンダーの世界観にどこまで迫れているのか考えると、なんか入り込めませんでしたね。
それでも見るべき一本だとは思います
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません