『あのこは貴族』あなたも共感出来る2人のモヤモヤ!階級社会と閉塞感で欠けてる何かに気づくはず:動画配信・映画感想あらすじ考察
『あのこは貴族』は小説が原作のハートフルヒューマンドラマ!東京の松濤で暮らすお嬢様の華子と、地方から上京して毎日を生きる美紀。二人の人生が交差しながら描く”東京”と階級社会、お互いの生きている世界は想像もつかないけれども大切な事は意外と同じ物かもしれない、人生を見つめ直したくなる作品
演技派女優で有名な門脇麦と、ファッションモデルで女優のマルチタレントの水原希子のダブル主演です
ミュージックビデオを中心にキャリアを積んできた岨手由貴子監督による作品で、2021/2/26公開
原作は、小説や短編のエッセイを中心に活動する山内マリコ
正直もっさい感じのタイトル、劇場で見ることも無いかと思いましたがガチ集中できる良作です
何ともいえないスローなテンポに引き込まれ、共感が少しでも産まれれば、もう映画から目が離せなくなる。そんなタイプの映画です。
セリフがカッコイイんですよね、いちいち
”ほげる”的には、
間違いなくおすすめの作品です
そんな映画のおすすめ度は
☆4のおすすめ(5点満点)
それでは見ていきましょう!
あらすじ <ネタバレなし>
東京の松濤に生まれ医者の娘として育つ華子
30を前にして、突然彼氏に振られて結婚を意識しはじめる。お嬢様として育った華子の周りの友人は皆結婚して幸せオーラを振りまいている。
結婚を焦る華子は出会いを求め婚活し、自分と同じ上流階級の幸一郎に出会い結婚をすることになる。
幸一郎には同じ慶応大学で知り合った美紀と言う都合のいい恋人がいた。美紀は富山の地方出身で大学の学費を維持できずに水商売をするが、結局途中で中退することになり、今では仕事に夢を持ち東京で年月を重ねていた。
出会うはずのない華子と美紀の二人が、幸一郎を通じて偶然に知り合い、お互いの世界に触れ思いが交差しながらも、自分達に足りない何かを埋めるように人生を再構築しはじめる
映画情報&キャスト
『あのこは貴族』 2020年 日本
【監督】岨手由貴子
【脚本】岨手由貴子
【原作】山内マリコ
【出演者】
榛原華子(門脇麦)
:東京の松濤で暮らすお嬢様
30間近に彼氏に振られたことから、結婚に焦り様々な男性の中から
自分と同じ上流階級の幸一郎に巡り合い結婚をする
時岡美紀(水原希子)
:苦労をして慶応大学に合格するが、
学費を維持できなく中退、同級生の幸一郎にひょんな事から出会い
都合のいい恋人関係を10年間続ける
青木幸一郎(高良健吾)
:慶応出身のハイルックスな弁護士
良家で政治地盤を引き継ぐ事が決まっている御曹司
相良逸子(石橋静河):華子の友人
平田里英(山下リオ):美紀の友人
超感想中心評価
The”東京”それが劣等感と時間を消費する
映画のテーマはthe東京と階級社会、なのだと思います。
個人的には、原作とはいささか違う雰囲気を味わえたのに、いい作品だと思った映像作品です。
原作では結婚とか女性を意識していた気がしますが、映画からは広く男性でも共感出来る部分があると思っています
華子と美紀の思いを代弁するかのように、彼女たちの友達が吐くセリフの一つ一つが皆が持っている、そして私にもある、自分の中にある階級意識を代弁するかのように表層化していくのです。このへんの表現力が凄くいい。
だから、しみる
- 『東京にはさ、階層があるんだよ』
- 『東京って何なんだろうね!、搾取するだけ搾取してさ』
- 『あいつら内部生、私ら外部生』
あるあるな気持ちが、すぐ共感に変わっていきます
自分がどっち側とか、どの階級とかは普段意識しないからわからないけど、確かに存在するあれ!
ああ、そういうことだったのかと自分の人生の中でも頭をよぎる記憶が、映画の主人公達の会話を通じて入ってきます。
スローなテンポで進む映画調なのですが、だからこそアップテンポでストーリーは心に静かにそーっと次々と入ってくるんですね。
ラストまで、「そんな都合良く進まないよ人生は!」と言いたいところはありますが、そういうのも含めて終わりも良し!
門脇麦と水原希子の対照的な二人の演技にウザさが無い
お嬢様を演じる、おっとりとした門脇麦の演技
シャキシャキした出来る女ふうな地方出身の水原希子
多少、大げさに演じる二人のはずですが意外とマッチしていて、疲れない
なんか、ドラマ『トドメの接吻』とかでも、ちょっと変わった演技の印象が濃いの門脇麦ですが、しっかりお嬢様しています。
水原希子は『進撃の巨人』でやらかした印象が強く、どうにも演技がベタすぎて、顔の力(目力)でクサくなりがちでした。
その彼女が、本作では目が自然に、泳いだり流れたり、意思がこもったりと印象が変わりました。
表現力があり、ストーリーの転換点になるポイントも彼女の演技から開始するところが多かったですね、門脇麦との演技も役柄も対照的でしたが、キャスティングは良いです
階級はあれど悩みは同じ
現実世界は金うずまく社会、上流階級様には一生お目にかかれないでしょう。そういう現実世界はおいておいて、この映画を見ていて、その世界観で救われるのは
★階級社会は確かに存在する
★されど、その階級の上にはさらに上の階級が有り、下には下の階級がある
そして、その階級にいる限り
幸せの定義はそれぞれだけど、絶対的な幸せと言うものは無く
お金・生活・コミュニティー・寂しさ・楽しさ、それぞれでは違いはあれど、トータルすると求める幸せってのは、人それぞれってですよね!
って事が描かれていますね
少なくとも、私にはそういうふうに理解出来ました
これって救われますよね
自分の階級での幸せ、上流の不幸せ、下流の幸せ
「なーんだ、皆違う悩みや苦労あるんじゃん」
そ-思えると、華子が最後に選択した行動と、最後に見せた笑顔も理解出来るし、幸一郎と再び巡り会えたときの二人のシンパシーを感じる視線のぶつかりも、また理解出来ました。
原作小説の山内マリコの世界観
今までの山内マリコ作品といえば、どちらかというと
地方出身者から見た視点と言うよりも、地方で暮らす人の閉塞感に焦点を当てていたような気がします
本作品では、東京出身者と地方出身者との対峙が全ての対比につながっています。
閉塞感に加えて、劣等感が加わっていますね。
でもこの劣等感わかります。
山内マリコさんも富山出身の方ですからね、時岡美紀と同じ出身です。
金沢富山は周辺を山に囲まれて、東京の方を見つめると立山連峰を臨み畏敬の感情が渦巻きますからね、こういった気持ちや感情がひときわ表現が上手いのかもしれません
私も地方出身で、現在は関東に住んでいますが
劣等感はめっちゃわかります
私も超、外部性です
かーちゃんが、タッパに残り物詰めたり
弁当を持たせたがるところ、わかるわー
門脇麦という演技派女優
門脇麦は、NHK大河の『麒麟がくる』にも抜擢されて大役をこなしました。経歴を少し見ても出るわ出るわ、変わった役から主演まで、幅が広い!
映画そのもののジャンルも様々です、『さよならくちびる』、『チワワちゃん』、『止められるか、俺たちを』最近では主演までこなすのが普通になってきています
見た目が出演するドラマや映画、CMで様々に変化する彼女
印象が、地味目の女性でも美人でも、変人でも何でもこなす演技力、なんと言っても存在感が強すぎて凄いです。主演女優の顔は忘れても彼女が出ていたな、あの映画って事は記憶に残ったりします
日本映画の、ブルーリボン賞やヨコハマ映画祭主演女優賞など数々を受賞しはじめている彼女
まだまだ成長途上とみています
今後も楽しみな女優さんです
映画の感想まとめ
『あのこは貴族』は、世界観に入れるかどうかで決まる映画だと思います
ひょっとしたら、地方に行ったこと無い人や上流にしかいない人には、何にもわからない映画かもしれません。ターゲットという物があるのなら、地方出身者なのかもしれません
でも、一旦共感ポイントを見つけると
もう目が離せない、行きを詰まる想いで主人公達の動向を見守ります。
主人公が女性という視点なので、結婚が中心にあるように感じますが
”仕事”おいてみても同じだと思います。人生を見つめ直すポイントと出会い、そして再構築
自分の過去や現在に当てはめて素直に見るのが良い映画ですね
同じ世界を持つ人とみるのをおすすめします
もちろん一人でも
おすすめの作品です。
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 4
キャスト 5
ストーリー構成 5
初見で読み取れない謎 4
いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、に面白い作品と思います。
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