FODプレミアム

『シャイニング』迫りくる恐怖に独特のジャック・ニコルソン演じるホラー感:コラム的映画あらすじ評価感想・動画配信

2021-03-28

映画『シャイニング』スタンリー・キューブリックの出世作でスティーブン・キング原作のゴシックホラーの原点!ジャック・ニコルソン演じる小説家が冬を過ごすホテルの管理人で次第に何かの闇に当てられていく・・

[showTable]

映画ショートコラム あらすじ中心ネタバレ含む

1980年に制作されたホラー映画で、スティーブン・キング原作の小説をスタンリー・キューブリック監督が映画化したものだ。実はこの映画、原作と比べるとだいぶアレンジが効いている作品で、キングからはものすごく不評なのだ。私が思うに、原作で伝えたかったことが映画では伝わりが薄いことと曖昧な表現の部分が多いからだと思う。

原作も読んだことがあり、映画も見たことがある私からすると、確かに原作の方が面白いかなと思う。しかし、映画は映画で、演じているジャック・ニコルソンやシェリー・デュヴァルが人の怖さや霊の怖さを見事に演じていると思えるのだ。だから、私は別物として見て貰えたらいいと思う。

小説家希望であるジャック・トランスは、ロッキー山上のオーバールックホテルの管理人として10月から5月の間の管理を行うため妻のウェンディと息子のダニーも一緒に訪れていた。しかし、そのホテルはインディアンの墓地の跡地に作られており、さらに以前の管理人であるチャールズ・グレイディが家族を惨殺したといういわく付きのホテルだったのだ。だが、ジャックは気にもとめず家族と住み込むことを決めるが、次々に不可思議なことが起こり始めるのだ。
料理長であるハロランは、ダニーが自分と同じ能力である’シャイニング’があることを知る。簡単に言うと、心に語り掛けるテレパシーみたいなものだ。ハロランはこのホテルがいわく付きで何か得体の知れない者がいること、307号室には近づかないことをダニーに伝える。そして、何かあったら私を呼びなさいと伝えホテルを後にするのだ。
このホテルの邪悪な物体の影響を受け、少しずつ様子が変わっていくジャックと、怪奇現象に見舞われるダニー。


なぜ、ジャックとダニーが1番影響を受けてしまうのか?

ジャックは、失職していることやアルコール依存症などの疾患も抱えている。そして、なかなか芽が出ない小説家だ。これから売れるのか、家族を養っていけるのか、アルコール依存症は治るのか…沢山心に不安があったことで、だんだんと霊に入り込まれて行き人格が変わっていってしまったのではないかと思う。

そして、シャイニングの影響もあってダニーは友達がいない。寂しい想いから霊たちが怪奇現象を起こし始めていたのではないかと思うのだ。

そこで考えられるのが、めちゃめちゃ元気いっぱいでパワフルな人が泊まったらどうなっていたのだろう?
世界のなんだこれミステリーという番組で、芸人たちがいわく付きホテルに泊まるというロケがある。もちろん、これは芸人には内緒で、ロケの前泊のために泊まるホテルになっている。

本当にすごいのが撮影にあたって、怪奇現象が起きたそうな

カーテンが揺れる、影が出る、テレビが勝手につく、お風呂場からシャワーの音がするなどなど。芸人たちの中には本当に怖くて悲鳴をあげている者もいて、可哀想だなと思った程だ。ロケどころではないだろう…

元気いっぱいパワフルなイメージの芸人が1日泊まっただけであれならば、ダニーは相当辛いだろう…

そして日に日にジャックは優しい夫から狂気な夫に変わっていくのだ。少しずつ霊たちの影響を受けている様子が、BARを訪れた様子で描かれている。ジャックの家族以外誰もいないはずのホテルで、ジャックがBARを訪れると大人数の人々がいたり、店員が酒を作ってくれるなどの映像がある。彼らは実在しているものではなく、ジャックのみに見えているものだ。幻覚にも近いだろう。そしてダニーが禁断の307号室に入ってしまい、誰かに首を絞められるという怪奇現象が起きる。

ウェンディはジャックを疑うもジャックはしていないと否定する。この出来事もありウェンディとジャックの溝は深まり心は離れていく。そしてジャックは307号室で怪しげな女と遭遇、BARでは店員に家族をしつけないとと家族を殺すよう示唆されることでより狂気なジャックへと変貌していくのだ。

BARの店員に、ダニーは世界一可愛い息子だと言うほど愛しているはずが、命を狙う存在となってしまうとは…
ここでは、完全に心を支配されてしまっているように演じられている。

この辺が原作と少し違うところだ。原作だと自我を取り戻す様子も描かれているのだが・・・

何よりも怖いのが、ジャックの狂気具合だ。

斧を持って追いかけてくる様子はさながら正常とは程遠く、相手を恐怖へ染めていくには充分なものと言える。そして、ウェンディとダニーはジャックの手から逃れ無事にホテルを脱出する

ここも、原作とエンディングが違うので、ん?と思う人もいるかと思う。正直、私もこの終わり方!?と思ってしまったひとりだ。ネタバレになるが、狂気に満ちたジャックが凍死するのか…と思ってしまった。

人が怖いと思うものは何か?という質問を見たことがある。それの上位に入ってくるものは、病気や幽霊、自然災害など色々あるが、最も多いのが’人間’と答える人が多いのだ。今回の映画は、怖いものが沢山混ざっているのにお気づきだろうか?

雪という自然災害、幽霊という目に見えない物体、アルコール依存症という病気、そして人間が関わっている。これら全てが混ざりあっている映画を怖いと思わずにはいられないだろう。

どれかひとつでもかけてしまったら、怖さが半減してしまうかもしれない。日本ものとはまた一味違うホラー映画、プライムビデオで拝見してみてはいかがだろうか。

― hogeru -

あわせて読みたい