『少女』難解なドラマ仕立て湊かなえ原作!ちょっと無理やりな因果応報:動画配信・映画感想あらすじ考察
映画『少女』は日本の自分のしたことは必ず返ってくる因果応報を少しこねくり回した原作が湊かなえの2019年のサスペンス映画!死体に興味のある二人の高校生がそれぞれに死に対する経験をし、成長していく姿を描く。
イヤミスの女王!
大人気の作家、湊かなえが原作の映画化!とくればもう絶対推し
さらに、国民的な美少女二人、本田翼、山本美月の女優二人が主演!
そして内容が時代すぎる・・高校生の死に対する概念を描く衝撃作。
のはずなんですが・・・
ちょっと、なんだか全体的に複雑すぎて・・原作は面白いのは間違いないのですが映像化の失敗なのかキャスティングなのか、演出なのか。
一言で言うと詰め込みすぎて、無理やり感が出てしまっている
伏線回収を図っていくのですが、なかなかおぼつかず・・
二時間枠の映画と言うのが無理があったのかもしれません。と言ってもストーリー性もいいので好き嫌いはかなり分かれると思います。
☆3のおすすめ(5点満点)
感想中心となります
それでは見ていきましょう
あらすじ ネタバレなし
幼馴染の二人の少女
由紀と敦子は小さなころからの友達だが、性格の違う二人には微妙な距離感があった。そんなところに転校生の紫織がやってきて、自分は「親友の死を見た」と言う
その言葉を聞いてからの二人は、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思うようになっていく
病院で働き出す由紀と人が亡くなる瞬間を見れば強くなれるのではないかと思い、老人介護施設で働く敦子。それぞれが人間の死の瞬間を目撃した時、二人はどうなるのか・・・
映画情報&キャスト
『少女』2019年 日本
【監督】三島有紀子
【脚本】松井香奈
三島有紀子
【音楽】平本正宏
【撮影】月永雄太
【出演】
桜井由紀(本田翼)
高校2年生で、ニヒルで冷静な性格。敦子と親友で、小説を書いている。
草野敦子(山本美月)
高校二年生で、元剣道部。怪我をしてしまい、それ以来治っている足を引きずった芝居をしている。
高雄孝夫(稲垣吾郎)
老人ホームに勤め、寡黙な人物。
昴(中村瑠輝人)
病院の小児病棟に入院している小学5年生。
太一(山田日向)
昴の友達で、同じく小児病棟に入院している。
紫織(佐藤玲)
由紀と敦子の高校に編入してきた転校生。親友の死を見たという。
小倉(児島一哉)
由紀と敦子の国語教師で、由紀の小説を盗作し、文学賞を受賞するが、亡くなってしまう。
牧瀬(新田真剣佑)
由紀の交際相手であり、サイコパスな一面を持つ。
超感想中心の評価考察・レビュー
監督は三島有紀子と二人のアイドル女優、本田翼・山元美月
本作の監督は三島有紀子
ドキュメンタリータッチを得意としている彼女の作風としては、本作のように淡々と進む演出になってしまうのかもしれません。
本作よりは、後に作られているのですが『ビブリア古書堂の事件手帖』なんかで雰囲気も良かったし、好きだったんですけどね。本作では語りたいテーマのわりに、起こっている一つ一つの事件が小さい割に、なんか詰め込み感が出てしまいました。
小説から映像化するときに、原作の世界観を作れなかったんでしょうね。
原作者の湊かなえからは、お墨付きをもらっているようなので、視聴側のレベル(自分)が低い?と思ってしまいましたね。
そして、なんか穿ってみてしまったのですが、二人の主演女優の演技が少し棒過ぎたような気がします。
時折は雰囲気出ているのですが、
本田翼や山元美月の方向性がちょっと見た目で作られすぎた感がありますね。逆のキャスティングでもっとドロドロしてみると、それはそれで演技力が問われて面白かったかもしれません。
二人の顔立ちと持っている雰囲気がそのままの役柄通りで、演技ってより棒に見えてしまい、残念でした・・
まあ、一方で
最悪の教師に見える、児嶋一哉と過去に後悔を持っている、稲垣吾郎
は、いい雰囲気で演技を見せてくれました
正反対の二人の友情
最初から見ていくと、冒頭の方はダークなイメージの入りで始まっていきます。
といっても映像は、ところどこジャケ写にもあるように
美しさをモチーフにした雰囲気あり
”死”に対する雰囲気が時折盛り込まれる
主人公である由紀も暗く、どちらかというと暗い性格で、語り口もクールなタイプで、しかも手にはおばあちゃんに負わされた傷があるという役柄で、なんか過去に人に言えない傷を持ったって設定で、ひたすら小説を書いています
そして、もう一人の主人公である敦子も剣道を小さい時からやっており、将来を期待されていたような雰囲気を醸し出していましたが、今現在は足を引き摺った芝居をして過ごしています。それは、虐められたり、学校の裏掲示板に書かれたりしていて、周りの人間たちに怯えながら暮らしているから・・・
なんだそれは。。
なんか明らかに二人とも裏の事情がありすぎの二人
劇中で、それが少しずつ変化していくそれは、二人が死について興味を持ち始めたことから
そんなことで変化するのは、ちょっと曲がりすぎている感じもしますが・・
小さな町だからこそ起こる、愛憎の入り組んだ実に複雑な人間関係。。。
こんなことが、起こるのかい!って突っ込みたくはなりますが、
これはそういう設定の原作で、
徐々に二人の過去からの関係や各々の”傷”が明らかになっていきます。
由紀は過去におばあさんに痛めつけられ、憎んでいたことやせっかく書いた小説を担任に盗まれたりして、ぶつけることのできない憤りや、悔しい思いや辛い思いがあり、なんとかして仕返しをしてやりたいと思っていたのです。だから、いつしか「死ね」など破壊的な言葉を口にするようになり、死に興味を持ちます。
一方、敦子は由紀をどうにか救いたいと思っていましたが、由紀が何を考えているのか理解できずにいますが、彼女は常に由紀とは正反対で、「死んじゃダメ」と口癖のように言い、老人ホームにいた由紀のおばあちゃんを助けたり、老人ホームに勤める孝夫を助けたり、と無意識のうちにしているのです。
こうやってみると、驚くほど正反対の二人
だけど、結局は由紀が書いていた小説は過去に囚われ、苦しむ敦子のために、書いたものであり、敦子は敦子で、なんとかして由紀を助ける為に、自分が強くなろうと介護施設で人の死に触れようとしたりしていたのです。
すれ違い、実は友達じゃアないんじゃ?って感じもあり、正反対の行動しているように見えて、本作は、お互いにお互いを助けようとしていた友情物語ってのが本質にあると思う次第。
そう考えると、全く正反対に一見見えた二人でも、似たもの同士だったということか
因果応報
因果応報とは、良い行いをすれば良いことが起き、悪い行いをすれば悪いことが起こるという意味です
本作はまさにその言葉がテーマ
というのは、まさに登場人物たちが皆、そのようになっているからで
よくもまあ、こういう複雑奇々怪々な関係性にしたものです。
それは、さすがイヤミスの女王(後味の悪い、イヤな気持ちになる 小説や映画)
由紀と敦子は先程も書いたようにお互いを思いやり、由紀は敦子のために小説を書き、敦子は由紀を守ろうとしていましたが、その為、二人は死ぬという行為からは逃げることができ、助け合うことができた
一方で、由紀と敦子の担任の教師だった小倉は、由紀が書いていた小説を見つけ、勝手に盗み、小説を文学賞に応募し、あたかも自分が書いたように文学賞を受賞します。そしてさらに学生と付き合っていたこともあり、本当に最低な教師!(コジマー)生徒と付き合っていたことを由紀が復讐のために、情報をばら撒き、それを苦に彼は由紀が書いた原稿用紙を手でちぎった紙吹雪をばら撒きながら、駅のホームで自殺
まあ、応報って程ではないにしても、罰が当たったね
老人ホームで働いていた高雄孝雄は、痴漢に疑われ、無実を証明しようと犯人の女子高生に本当のことを話すように土下座しますが、耐えきれず妻に逃げられ、息子である昴に会えなくなってしまいます。そして、再会した際、昴にお母さんに酷いことをしたと刺されてしまういますが、彼はそれでいいんだよと、昴の行為を自ら受け入れます。孝雄は高校生に素直にお金を差し出していれば、、、とずっと後悔していたのです。そうすれば、妻も息子も失わずに済んだからなのです。ある意味、これも因果応報と言えます。
ただ、孝雄は何も悪いことをしていないのに、切なすぎ
由紀と敦子の学校に転入した紫織は、普段大人しそうにしていますが、高校生ということを武器にし、痴漢行為をしたと男性たちから金を巻き上げ、また父親も女子高生に猥褻な行為をしていたとされ、逮捕。
そして、親友だった星羅も自殺してしまい、最終的に誰も助けてくれず、自ら死を選びます。
それぞれ、ほとんどの登場人物たちが因果応報になっていますよね。
やはり、やったことは自分に返ってくるのです。
皆さんも是非気をつけてくださいね。
湊かなえ原作のおすすめ映画
湊かなえ作品はたくさん映画化されていますが、そのなかでいくつか紹介していきたいと思います。
『告白』
中学生の担任である教師が自分の子供がこのクラスの誰かに殺されたと告白するミステリーです。
この作品は日本アカデミー賞にも輝いた衝撃作です。
『白ゆき姫殺人事件』
美しい化粧品会社の女子社員が何者かに殺されてしまうミステリーですが、とにかく菜々緒さんが美しすぎる映画です。
WOWOW放送の『贖罪』なんかもありました、是非湊かなえファンには見ていただきたい作品
個人的には、本作よりは、どれもお勧め!
映画の感想まとめ
少しわかりにくいシーンもあるので、正直、端折り気味の部分が多い作品なのかなと印象はぬぐえませんね
そういうこともあり、小説も合わせて読んだほうがいい作品かもしれません。
主演の二人も、正直高校生には見えないかなと感じる部分はあります。
ですが、湊かなえファンの方やミステリー好きの方には十分楽しめる作品だと思います。
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