『ミスト』主人公が生き残る映画で史上最悪の胸糞悪さのラスト!廃人確定フラグ:動画配信・映画感想あらすじ考察
映画『ミスト』はスティーブン・キング原作の「霧」をベースとしたホラー映画で、ラストシーンは良くも悪くも映画史上に残るだろう忘れることが出来ず鮮明に記憶に残ること間違い無し!画家のデイビットは嵐が過ぎ去ったあと妻を家に残し、買い出しに子供とスーパーへ向かう。途中軍隊とすれ違うがスーパーマーケットの中はいつも以上の買い出しの賑わいだが、突然山向こうから霧(ミスト)が街を覆い始め一面何も見えなくなっていく。スーパーも駐車場が覆われ深ーい霧に沈んでいく中、得体のしれない化け物が襲ってくる
この映画は、SF/ホラーと一言ではくくれない示唆・啓示にとんでいます。
SF/ホラーとしてでなく、ヒューマンドラマとして一つ一つを主観で見ていってほしい、そして感じて欲しいです!
個人的には、ものすごく当たり外れお激しいスティーブン・キング作品の中でも、本作はかなりのあたりの部類に入ります。
かつ、スティーブン・キング作品は、”得体のしれない何か”の設定に納得感がある時とない時がありますが、本作はSFの範疇でその部分を隠しているので、全体的に見やすい構成になっています
今まで何度も見ていますが、何度見ても胸の中に
もやもやが残る最悪のラストであると思います。
ただ、このもやもやまでの道筋も精神的に来る怖さなんです。
間違いなく、おすすめの作品です
それでは見ていきましょう
あらすじ
美しい湖の畔で、デイビッドは妻と一人息子と暮らしている。ある日、激しい嵐が街を襲い、デイビッドの家も嵐の影響で壁が壊れたり被害を受けた。
街の買い出しへ、普段は不仲の隣人ノートンと一緒に街へ出かける。ノートンの庭木がデイビッドのボート小屋を破壊したのだ。ノートンは弁護士で弁が立つが自身の車も樹にやられて、デイビッドへ頼ってきたのだ。
街へ出かけるさなか、軍隊や怪しいラジオ放送を聞いたりして、戦時のような慌ただしい雰囲気が流れている。
街のスーパーマーケットへ入ると、店外からけたたましいサイレンの音と共に謎の霧(ミスト)が待ちを覆っていく。
ミストがすっかり、スーパーマーケットを覆った時、スーパーマーケットを謎の振動が襲う。外からは男が血だらけになって、
駆け込んできて「霧の中に何か得体の知れないものがいる」
存在はわかるが、何者なのかがわからない。
スーパーマーケットの倉庫の点検を男性の有志とデイビッドで向かうが、倉庫のシャッターの外からは、化け物の巨大な触手に襲われ1名が命を落とす。
店内では、ノートンが弁護士らしく周りを説得し、助けを呼びに行こうとしている。
ノートンを外に出ないように説得しようとデイビッドと倉庫へ行ったメンバーで行うが、彼らは出て行ってしまう。一緒にショットガンを取りに車へ向かった仲間も戻ってこなかった。
街のつまはじきもののカーモディ婦人は、旧約聖書にかぶれた熱心な宗教信者だ。
彼女は、人々を破滅へ向かわせる神の罰だと先導し、「生け贄を捧げなければ誰かが死ぬ」と触れ回り、生き残っている人々の心に、狂気が芽生え始める。
スーパーマーケットは夜に包まれれる。
スーパーマーケットの明かりに、異世界の蟲が集まってきた。
異世界の蟲に、異世界の翼竜が集まり捕食している。スーパーマーケットの人々は蟲と翼竜の侵入を許してしまい、場が収まり落ち着くときには死者を出していた。
カーモディ婦人の言葉は徐々に人々の思考力を奪い、狂信的な煽動へ変わっていくのだった。。。
[showTable]映画情報&キャスト
『ミスト』 2007年 アメリカ
【原題】The Mist
【監督】フランク・ダラボン
【脚本】フランク・ダラボン
【原作】スティーヴン・キング『霧』
【製作】フランク・ダラボン
【出演者】
デイビッド :トーマス・ジェーン(Thomas Jane)
カーモディ :マーシャ・ゲイ・ハーデン(Marcia Gay Harden)
アマンダ :ローリー・ホールデン(Laurie Holden)
オリー :トビー・ジョーンズ(Toby Edward Heslewood Jones)
超感想中心評価
底知れぬ後味の悪さ ネタバレあり
この映画では、視聴者に何を訴えかけているのか、何がメインテーマなのか本当に心の中をえぐってくる作品です。
単なる、ホラー映画とあなどることなかれ、超心理サスペンス要素もあり、ヒューマンドラマの要素もあります。
有名な話ですがスティーブン・キングの原作小説『霧』には無い、ラストシーンを監督が付け加えたことにより最悪のラストシーンが出来上がりました。良くも悪くもこの映画の批評を高めるとともに、評価を落としている原因でもあります。
個人的には、映画史上に残る素晴らしい出来だと思います。
最悪の結末で胸糞だとしても、そこまで感じられる映画ってのはそう無い。本作は善意と悪意を巧妙にずらしながら、考えられるべく最悪のラストへ善意の視点から誘導する。完敗です。
あくまでも映画フィクションの世界ですのでどんな事をやっても良いのですが、自分の身に降りかかったとしたなら?
その時自分ならどうする?
とどうしても考えてしまうから映画って面白いしドキドキします。
この映画は、そういう意味で最悪の結末を迎えます。
そして、そこに至るまでの伏線ですよね。
子供がデイビットにささやいた言葉、
「怪物に僕を殺させないで!」
耳にデイビットもこびりついたのでしょう。
この時の表情とささやきかたが、『シックス・センス』のハーレイ・ジョエル・オスメントがブルース・ウイリスへ語りかけた時をふっと頭をよぎりました。
その言葉が無ければ、デイビットは生き残る道を選んだかもしれません。
ラストあらすじ ネタバレ
以下ネタバレになりますが、ラストのあらすじです
ラストシーンは壮絶です。
スーパーマーケットを抜け出した5人は、街を抜けデイビットの湖畔の家に行き妻が死んでいるのを確認して、思っていたことが現実となり絶望しながらも、霧が晴れる場所を探しながら慎重に車を進める。
途中で何度も異形の化け物たちに殺された凄惨な光景を目にした。異世界の巨大な生物を目撃して、ただひたすら霧が晴れるのを期待して前に進み続ける。
車のガソリンは底をつき、ついには車は前に進むことが出来なくなる。
5人の選んだ結論は、自殺!デイビットが一人一人拳銃で手を血に染めていき、自分の子供を撃った後に自信も自殺しようとするが、弾が尽きて死ぬことが出来なるのだった。
嗚咽のような叫びを発した
タダひたすら、、声にならない声で、ただただわめく、何度も拳銃を口に入れるが弾はもうない・・
死ぬために、息子の後を追うために車の外に出て化け物を探すがどこにもいない。その時、遠くから霧が晴れてくる。その向こうから軍隊が異形の化け物たちを焼き払いながら進んでくる
その中には、スーパーマーケットから脱出して無事に救助された人々もいた
デイビッドがスーパーマーケットを後にするときに、拳銃を拾わなければ、最悪のラスト自殺の道は選ばなかったかもしれない。
色々な啓示が映画全体にちりばめられていること
映画のシーンが進むごとに、視聴側も後から気が付いていきます。
伏線とかそんなことではないのです。
各シーンに、予言めいた謎や、言葉がちりばめられていて、それは映画全体・ラストシーンへの警告・啓示に他ならないと思います。
この辺は、観客にへたに考えさせることのない分かりやすい最悪のラストへの深い配慮と、深い意味の投げかけがあります。
合わせて読みたい後味の悪い映画『ノクターナル・アニマルズ』
エッジの効いたメタファとして捉える
色々考え方や、映画の見方はそれぞれあると思います。
個人的には、本作の展開はもの凄く好きです。
衝撃的なラストシーンではあります。
特に自分の身に重ねて考えしまうと、言い得ぬ悲しさと絶望感が襲ってきます。自分の手で息子を殺めるなんてありえないです。
トーマス・ジェーンは2017のNetflix映画『1922』では妻を自らの手で殺しています。よくよく、こういう役柄の元に生まれたのかもしれませんね。もっとも1922では、サイコなのはトーマス・ジェーン本人ですがね。
本『ミスト』では流れとして、主人公のデイビット自身は生き残るための正しい道を選んでいると思い込み、視聴者もホラー映画的にサスペンス的にデイビットは唯一のヒーローたらんと、観ているということが既に本作のマジックにはまっています。
冒頭のシーンでデイビッドが描いていた絵はヒーローの絵でした。
デイビットが自分自身、ヒーローたらんとしなければ、実はもっと生き残ることが出来たかもしれません。
変化を起こさなければキズは浅かったかもしれません。
結果と作用が全てが悪い方向に転がっているのです。
誰が正しいかわからない状況です。
結果的にはディビットの取った行動は、
ことごとく裏目に出ました
- ノートンを巻き込もうとしたこと
- 奥さんを家に一人残してきたこと
- おじいさんの樹が家の窓を割った事の啓示を見逃したこと
- 倉庫で触手に襲われた直後に、全員と情報共有しなかったこと
- 子供を探しに出て行くどこかの奥さんと一緒に行かなかったこと(最後助かっている)
- 夜にライトアップしてスーパーマーケットを照らしたこと
- スーパーマーケット内で火を使ったこと(結果火事)
- 火傷した人が、殺してくれと嘆願しているのに助けようともがいたこと
(それで、数人無くなっている) - 軍人の若い子の聴取を取って、宗教信者達に逆手に取られたこと
- 狂信的な煽動をしているカーモディ夫人達を見捨てたこと
(あのスーパーマーケットの人々は助かった可能性大) - 自分が連れ出した人々は、全員死亡したか、自殺幇助したこと
いろいろな、メタファが織り込まれてくます
そして極め付きの象徴のようなシーンは、
デイビットら5人がスーパーマーケットをSUV車で去る時の
車中からスーパーマーケットを見つめる、立ち去り組
スーパーマーケットから立ちさる車を見つめる、残され組
このどちらの人々も、悲哀に満ちた表情で双方を見ます。
そこで奏でられている宗教風の映画音楽が最高にマッチしています。
もの悲しさと共に自分の罪を責めているかのように・・・
こういう後味の悪い映画ってありますよね、おなじく『ヘレディタリー/継承』とかも胸にとっても嫌なものが残りました。
ミストでは、やるせない・どうしようもない後悔しか産まれない、胸糞悪さが残りますが、なぜか心から離れません。
霧が運んできたものは”何か”
霧が運んできたものは、なんだったのでしょうか。
SF的要素で、軍隊の違法な実験で異次元と繋がり異次元の生物がこの世界へなだれ込んできたという設定です。
確かに、その通りなのですが、映画全体のストーリー展開を考えると異形の怪物たちは人間の心の闇をあらわしてメタファーとして、色々なその時の感情での化け物が出てきているようにも見えます。
この辺は、アメリカでNetflixドラマ化された、『ミスト』でもう少し明らかになっていくことでしょう。
原作小説ミストや、映画で謎だった部分が語られるのではないかと期待します。
終末を表すにふさわしいキャスティング
トーマス・ジェーンは、声も風貌もトム・ハンクスに似てる瞬間があります。『ハイランダー』のクリストファー・ランバートなんかにもちょっとした表情が似てます。
彼自身は『ドリーム・キャッチャー』でも、正義感のある、いい味を出していましたね。
本当に刹那的な役を実に良く演技しています。
こういうシチュエーション的な追い詰められたときの表情が本当にうまいです。
スーパーマーケットでの冒頭で、家に子供を置いてきた女性の役、家に帰らなけらばいいけないと単身出ていった彼女は印象的でした。
役者はメリッサ・マクブライド(Melissa McBride)
さすがに、『ウォーキング・デッド』シリーズで力強く生きているキャロル役で有名です。本作の演技絶対評価されていると思います。ちょっとのシーンしかありませんでしたが、ラストで生き残る役に彼女を選んでいる時点でセンスがありまくりだと思います。
忘れられないのは、ラストシーンで彼女が生き残り組を軍隊が連れてきた
バスの窓からデイビッドを見下ろして眺めているときの表情
哀れみと怒りの混じった複雑な表情が忘れられません。
しかも子供たちも一緒でした。デイビットが助けてあげる手を上げられなかった、彼女の選択は正しかったということ。
全てが、間違ったデイビットに哀れすぎて誰も何も言えないでしょう・・・
海外の評価 2020/04時点
評価は、まーまー視聴者は良い感じの数値ですね。
なぜかiMDbの批評家の評価は低いです。
個人の感覚としては、高評価ですが、宗教価値観みたいな評価も影響していると思います
Metascore (批評家) | 58 |
User rating | 7.8/10 |
TOMATOMETTER (批評家) | 72 |
Audience | 65 |
映画の感想まとめ
本当に、面白い、いえ違いますね
面白いってのではなく、記憶に残りホラーでありながらもヒューマンドラマ的な学びがあります。
ここまで気分がが滅入る作品なのに、何度も見たくなる作品は珍しいです。
同じような系統でも少し『セブン』とは違いますね。
賛否両論あると思いますが、おすすめです。
✔刹那的な映画が好きな人
✔絶望系が好きな人は十分満足いただけます
✔宗教的な映画が好きな人
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 5
キャスト 4
ストーリー構成 5
初見で読み取れない謎 4
いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、最高に面白い作品と思います。
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