『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』黒澤明リメイクの痛快時代劇風活劇!面白けりゃいいじゃない:動画配信・映画感想あらすじ考察
映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』は1958年に公開された黒澤明監督のリメイク作で長澤まさみ/松本潤を擁した2008年公開の時代活劇!敗戦した秋月国の侍の真壁六郎太(阿部寛)と雪姫(長澤まさみ)は金鉱師の武蔵(松本潤)らに手伝わせ、軍資金と共に隣国へ逃亡を謀ろうとするが、そこには敵国山名を抜けていかねばならなかった・・
『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』は2008年に公開された、樋口真嗣監督による
黒澤明監督による『隠し砦の三悪人』のリメイク作品です
長澤まさみや嵐の松本潤などを主演に迎えて現代風にファン向けに大きく原作をデフォルメさせながら作られています
天下の巨匠のリメイク作とあれば、色々と物言いは付きそうな本作品です。
確かにそういう目線で見てしまうと、面白くないと一足先になってしまいそうですが、
作品としてどうとうか言うよりは、原作を気にせずにエンターテイメント作品としてみると娯楽要素としては面白さは満タンです。
☆3(5点満点で)
感想中心となります
それでは見ていきましょう
あらすじ ネタバレなし
戦国の世にして、早川・秋月・山名という3つの国あり。
秋月と早川は同盟関係にあるが軍事国である山名は両国を淡々と狙っていた。あるとき山名の軍勢が秋月を攻め滅ぼしてしまうが、そこからは存在するとされていた金(軍資金)が忽然と消えていた
山名の軍勢に駆り出され、金鉱師の武蔵(松本潤)は秋月の城の下で軍資金探しをさせられていた。
誰かが奥深くまで掘り進み瘴気(天然ガス)が漏れ出したことで大爆発が起こり、城が炎上し崩落していったが、武蔵はなんとか生き延び逃げ出すことが出来た。
道中、きこりの新八と合流して逃げるが、途中で秋月の紋章の入った金の延べ棒を発見するが、侍の真壁六郎太(阿部寛)が忽然と現れ二人を捕らえてしまう。六郎太は秋月の正当な跡継ぎの雪姫付きの侍で、雪姫(長澤まさみ)も一緒に早川へ逃がさなければいけなかった。
六郎太は早川へ雪姫を逃がすため、そして軍資金を持ち出すため一計を講じる。
金の延べ棒を山分けする約束で武蔵と新八の二人が運搬を手伝うことになった。二人には六郎太の弟であることにして、奇妙な逃走劇が始まった。
雪姫と金の延べ棒の後を追うのは、山名の冷酷無比で冷静沈着なサムライ大将・鷹山刑部(椎名桔平)であった・・・
映画情報&キャスト
『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』 2008年 日本
【監督】樋口真嗣
【脚本】中島かずき
【オリジナル脚本】
菊島隆三
小国英雄
橋本忍
黒澤明
【製作】富山省吾
【製作総指揮】
市川南
奥田誠治
【音楽】佐藤直紀
【主題歌】The THREE(布袋寅泰×KREVA×亀田誠治)「裏切り御免」
【出演者】
武蔵(松本潤)
:金鉱師 六郎太と雪姫を手伝う
雪姫(長澤まさみ)
:秋月の雪姫
真壁六郎太(阿部寛)
:秋月の侍
鷹山刑部(椎名桔平)
:山名の侍大将
新八(宮川大輔)
:きこり 六郎太と雪姫を手伝う
佐川出兵衛(甲本雅裕)
:鷹山刑部の部下
本庄久之進(高嶋政宏)
:山名の侍
超感想中心の評価考察・レビュー
監督はゴジラの樋口真嗣
監督は樋口真嗣監督がメガホンを取ります。
樋口真嗣監督は、日本の空想科学的な映画や、空想時代劇などを数多く手がけて、どの作品も高い評価を受けています。『ローレライ』、『日本沈没(2006年)』、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』、そしてなんといっても『シン・ゴジラ』です
アニメ業界とも深いつながりを持っており、アニメの監督なども時折手掛けます。エヴァの庵野秀明とも親しく、エヴァンゲリオンの主人公”シンジは”樋口真嗣から取られたともいわれています。
作風としてはアニメに深い関わりがある事からか、どの映画も現実離れした設定の中に、映像として現実感・リアルらしさを作りこんでいき単なる空想科学のSF等の域でごまかして、こびるような作りはしていない、リアリズム的な空想世界の描写に長けていると思います。
本作もリメイクでありながら、圧政に苦しむ民や城下を揺らす軍人たちの描写、疾走する騎馬上での戦いなど、リアリティが伝わってきます。
リメイクとして仕方のないことかもしれませんが原作と比較してしまうと、本作は残念な個所が随所にあります。脚本なのかもしれないし、企画段階でのプロットによるものなのかもしれません。
一方で、完全にオリジナルストーリーであると割り切ってしまえば、なんの憤りも感じず普通に楽しめます。
冒険活劇恋愛切ない系です
リメイクとして残念なところ 原作との比較
ネットや各種批評サイトで酷評されているのが多いのは事実です。
どうしたって、黒澤明監督の作品と比べられてしまいます。
原作の『隠し砦の三悪人』は娯楽作品といえども、天下の黒澤です
ジョージ・ルーカスが鑑賞して『スター・ウォーズ』の着想・ヒントを得たとまで言われている作品です。ジョージ・ルーカス自身もレイヤ姫を救うってところを、雪姫のエピソードから着想を得ていると語っています。
黒澤明は、ジョージ・ルーカスだけでなく、様々な人に影響を与えているマーティン・スコセッシ監督なども明言しており、映画界って巡り巡って才能のリスペクトと作品のオマージュだらけで作られて、相乗効果で高まっていく世界なんだなぁと思ってしまうわけですよ。
そんな黒澤作品から、どんだけ変えているんだっけってとこですが主役からして変更してしまっています。たぶんここが往年のファンの受け入れられないところですね。
以下少し大きなところを列挙します
- 主役が作られた新キャラ 武蔵(松本潤)
- 原作では主役の真壁六郎太(阿部寛)の存在感が単なる従者
- 雪姫が姫であり、力強さが薄くなった
- 田所兵衛がいない!鷹山刑部(椎名桔平)と本庄久之進(高嶋政宏)の合わせ技になっている
- ラストにつながる砦のシーンが書下ろし新ストーリー
- 心動かされる、重要なセリフの「裏切り御免!」が軽く使われる
こんなところですが、
最もやっちゃいけなかったのは、新主役と田所兵衛がいないとこおでしょうね。
確かに現代風に、恋愛要素を少し入れて松本潤の出演シーンを考えたり、長澤まさみとの絡みなどを考えると、新ストーリーがのぞましいのかもしれませんが、これは往年のファンからケチを付けられますね
さらに見ようによっては、薬師丸ひろ子の『里見八犬伝』に似ていなくもないです
あちらも黒澤映画へのオマージュだったりして。。。
里見八犬伝は、小説が原案で最後は静姫(薬師丸ひろ子)が親兵衛(真田広之)を追っかけてきて、結びついちゃいますからね
姫してんじゃん長澤まさみの雪姫
毎度のことですが長澤まさみにメロメロです。
若さ溢れる演技で敗戦の国の”姫”を熱演しています。
ちょっと、上から目線すぎないか?敵国の関所でそんなにトゲトゲしなくてもいいじゃんと思いますが、それも愛嬌。可愛いです。
キリっと毅然とした姫な演技が、またいいです。
『キングダム』でも、山の民の大将である楊端和(ようたんわ)を熱演していました、本作でも山の民の武蔵(松本潤)と胸キュンになる瞬間アリ、ゆくゆく長澤まさみは山の民に縁があるんですね
合わせて読みたい『キングダム』
『曲がれ!スプーン』のようなコメディから『アイアムアヒーロー』ディズアスタームービーで世紀末を生きる女まで幅広い役柄で活躍し続けています。美貌はますます磨きがかかり、是非アジア全般をまたにかける女優さんになってほしいものです
松本潤の炭鉱夫 武蔵
誰もが知る、国民的アイドル嵐のマツジュンこと松本潤が主演で武蔵を演じています
いろいろ茶々も入るでしょうけど、演技は好きです
批評家や原作ファンからは演技下手とか、そもそも武蔵(たけぞう)の存在が許せないとか、あるんじゃあないかな
でもそんなに下手か?
結構、いい感じで情景や迫力ある演技が出来ていたと思う
そりゃあね、役者さんたちの中では確かに浮いているけど。もともと映画での露出は少ないけど、『花より男子ファイナル』などハナダンなどでは本当に存在感ばっちり出していたし。演技は下手なほうではないと思う。
ただ、あの太い眉と、イケメン過ぎる堀の深さが演じる役柄をひどく限定して、”つぶしの利かない”役者になっているだけのような気がする。どれを演じても、マツジュンってほど、タイプの狭いキムタクのようなイメージもないですからね。
三船敏郎 VS 阿部寛 真壁六郎太
真壁六郎太は本来の原作で言うと主人公にあたります、そんな真壁六郎太を阿部寛が演じます。
そして原作では三船敏郎が演じ、どっちに軍配が上がるかと言えば、オリジナル強しで三船敏郎でしょう。
ただ、阿部寛の演じる真壁六郎太もかなり、独特のいい味を出しています。
いかにも融通の利かない武者のはずが、阿部寛が演じることによって少しだけコメディ要素が入ります。この何かよくわからないけど胡散臭いっていう雰囲気が、三船敏郎の真壁六郎太との大きな違いで、オリジナリティです
それは、たくましさや凛々しさも阿部寛らしさが出ています。そのきりっとした中に、わからないくらいのイメージかもしれませんが、阿部寛のこれまでのキャリアで持ってしまったコメディ・パロディのイメージが入り、映画にメリハリを与えます。
『結婚できない男』とか、『チーム・バチスタの栄光』、『テルマエ・ロマエ』などですね。
阿部寛は、身長だけでなく体格も本当に良いんですね。熱い胸板がカッコいです。声だけで出演していた『真救世主伝説 北斗の拳』シリーズのリアルなケンシロウ状態でした。
秋月方の、使える忠臣は真壁六郎太しかいないのかってくらいしょってましたね、秋月を・・
映画構成、評価考察
映画構成、ストーリー展開ではエンターテイメントに仕上がっています
それゆえに結構無理目のストーリー展開が多々あり、それをみるとエンターテイメントだなぁと感じてしまますね。『シン・ゴジラ』であそこまでリアリティに徹底的にこだわった樋口真嗣監督ですが、本作でそこまでこだわっていないのは監督へのインタビューからもわかります。
インタビューでは、「主役を侍(真壁六郎太)から、金山の炭鉱夫の武蔵(たけぞう)に変えたのも脚本家と話し合いの末、侍が勝つ映画より、山の民(一般の下民)が侍たちに一泡吹かせる映画のほうが面白い」と展開し、デフォルメしながらストーリーを変えたそうです。
ここからわかりますよね、冒険活劇であり、”弱きものが強きものに勝つ”と言うのがテーマだったのです、エンターテイメント性に振れるわけだ。
とはいえ、その無理目の展開はちょっと違和感があったかなぁ
雪姫と武蔵が、なんでいきなり異性として意識し始めるんだっけ、雪姫が関所の責任者である本庄久之進(高嶋政宏)に超強気とか普通ないでしょ。いきなり切られちゃいますよ。武蔵を主人公として意識するあまり特別視しすぎ。武蔵が一人で砦に忍び込んだって、雪姫の一派とはだれも思わないですよ。
まぁそれもひっくるめて、原作を考えずにオリジナルのストーリーとしてみる分には面白いエンターテイメント映画です
映画の感想まとめ
かなり、楽しめる映画でした。
そんなに難し事考えないで、見ていこうよ
面白けりゃあいいですよね。
阿部寛がもう少し前面に出てほしいとこはありますけどね、松本潤と長澤まさみの絡みも良かったので満足です
✔長澤まさみが好き
✔黒澤明監督のリメイクは見逃せない
✔樋口真嗣監督の作品は好き!
こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 5
キャスト 4
ストーリー構成 3
初見で読み取れない謎 3
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません