『MOTHER マザー』歪んだ母の愛情から生まれた物は必然か偶然か!確かにある愛憎の念:動画配信・映画感想あらすじ考察
『MOTHER マザー』は2020年公開のサスペンス映画です。川口祖父母殺人事件をもとに描かれた作品。社会の底辺の生活の中で生き抜く母と息子。成長した息子は凄惨な事件を起こしてしまう。なぜ彼は事件を起こしてしまったのか・・・。
長澤まさみが初の母親役、熱演しています!
先日、日本アカデミー賞でも主演女優賞を獲得しているほどのはまり役でした。
実話が元になっている作品ということで、かなり衝撃的な展開になっています。
どうして17歳の少年は事件を起こしてしまったのか、かなり気になりますよね。
その少年を演じた奥平くんも映画初出演ですが、素晴らしい演技を見せています。
その部分もかなり見どころとなっています。
かなりおすすめの作品です!
”ほげる”的には、
おすすめの作品です
☆5のおすすめ(5点満点)
それでは見ていきましょう
あらすじ ネタバレなし
シングルマザーの三隅秋子は行きずりの男たちと関係を持ち、その日暮らしの生活を息子の周平と過ごしていた。彼女はホストの遼と出会い、周平を学校にも通わせず、遼と出かけたままアパートを空ける日々が続いた。
金がなく帰ってきた二人は、市役所職員の宇治田から金を奪おうとしたが、宇治田を刺してしまい、逃亡生活に。そんな時、秋子が遼の子供を妊娠し、遼は秋子の前から姿を消してしまう。
その後、秋子はラブホテルの店員赤川と関係を持ち、居候しながら生活を続ける。そして、周平に実家へ金の無心に向かわせるが、母親に絶縁されてしまう。16歳になった周平は相変わらず定職につかない秋子と妹・冬華の面倒を見て暮らしていた。その三人の様子を知った児童相談所の亜矢が助けようと宿泊所を用意し、新たな生活の手助けをするが・・・。
映画情報&キャスト
『MOTHER マザー』 2020年 日本
【監督】大森立嗣
【脚本】大森立嗣
港岳彦
【音楽】岩城太郎
【撮影】辻智彦
【出演者】
三隅秋子(長澤まさみ)
:シングルマザーで周平と冬華を育てている。
周平(奥平大兼)
: 秋子の息子。
冬華(浅田芭路)
: 秋子の娘。周平とは父親違い。
高橋亜矢(夏帆)
:児童相談所の職員。周平のことを気にかけている。
宇治田守(皆川猿時)
:市役所職員で、秋子に気がある。
赤川圭一(仲野太賀)
:ラブホテルの職員。
三隅楓(土村芳)
: 秋子の妹。
三隅雅子(木野花)
:秋子の母親。
川田遼(阿部サダヲ)
:ホストで秋子の内縁の夫となる。
超感想中心の評価考察・レビュー
育児放棄について
最近、ニュースなどでよく目にするネグレクトや育児放棄。
映画でも近年では題材とされることが多くなってきました。
例えば、邦画ではカンヌ映画祭で最優秀男優賞を獲得した「誰も知らない」です。
この作品は1988年に実際に起きた巣鴨子供置き去り事件をもとに母親が4人の子供の出生届を出していなかったという衝撃的な事件を描いています。
高良健吾や尾野真千子などが出演した「きみはいい子」は虐待をされる側だけでなく、する側にも焦点を合わせ、描かれた作品です。
他にも多数の映画の中で取り上げられる題材になってきていますが、この問題はもちろん、海外でも取り上げられています。
記憶に新しいところで言うと、フィギュアスケート選手として有名なトーニャ・ハーディングを描いた「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」。
この作品では、トーニャの母親が娘を使って稼ごうとする母親の姿が描かれています。
また、「ヴィオレッタ」では、女優のエバ・イオネスコが母の愛を得るために幼い子供時代にヌード撮影をしたという内容が描かれています。
どの国でも、育児放棄やネグレクトなどの問題を抱えているのは同じです。
映画を通して、その問題に少しでも触れる方が増えることはいいことだなと感じます。
子供たちを守るという責任を大人たちが持たなくてはいけませんよね。
本作でも、悲しくなってしまうほどのネグレクトのシーンが沢山あります。
是非、いろんな方に見ていただいて改めて考えていただきたいです。
長澤まさみをはじめキャスティングの素晴らしさが光る
本作で、初めての母親役にして毒母を演じた長澤まさみさん。
彼女は「世界の中心で愛を叫ぶ」で純粋なヒロインを演じていたイメージが強かったですが、近頃では、「コンフィデンスマンJP」などのコメディー色の強い作品や「キングダム」でのアクションにも挑んでいたのが記憶に新しいところです。
30代になり、本作では初の母親役。
しかも、息子のことを自分のもののように扱う毒母を演じ、日本アカデミー賞主演女優賞を獲得しました。
今後もどんな彼女が見られるのか、楽しみですね。
また、一番印象的だったのは周平役を演じた奥平大兼さんです。
長澤まさみさん演じる秋子にしか頼ることができない息子の気持ちをうまく表現しています。
彼は初の演技をしたのが本作だと言うから、驚きです。彼も日本アカデミー賞で新人賞を獲得しています。
今後が楽しみな俳優さんの一人になりそうです。
他にも、阿部サダヲさんや木野花さんなど素晴らしい俳優さんが脇を固めています。
その点にも注目してみていくと面白いと思います。
大森立嗣監督について
本作の監督、大森監督の代表作としては「まほろ駅前多田便利軒」、「さよなら渓谷」、「日日是好日」などがあります。
父親は舞踏家の麿赤兒で、弟は俳優の大森南朋という家系。
二人とも監督の作品の常連としてたびたび出演しています。
大学で出会った映画サークルで映画に興味を持ち、そこから俳優として活動したのち、著名な有名な監督の助監督を務めました。
その後、2010年に監督した「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」で、日本映画監督協会新人賞を受賞します。
そこから、先ほども書いたように色んな作品を生み出している監督です。
これからも活躍が期待される監督ですね。
どんな作品が生み出されるのか、期待していきたいです。
実際の事件について
本作は、17歳の少年が祖父母を殺害するという川口祖父母殺人事件をもとに描かれた実話です。
それを聞いただけでとても悲しくなりますよね。
実際、少年は住所がなく、学校にも通わず、母親は遊びに出かけたまま何日も帰宅しないという劣悪な環境だったそうです。
映画と同様、少年は妹の面倒を見ながら暮らし、母親は生活費が足りなくなるたびに親族のもとに少年を送り、無心させるという衝撃的な扱いに心が苦しくなります。
少年はそんな環境であっても、逃げることや助けを求めることの術を知らず、母親を頼ることしかほかなかったのでしょう。きっと彼は罪なんて犯したくないと思っていたに違いありません。しかし、お母さんが好きだからという気持ちが強すぎてそこから逃れられないのです。
また、母親も少年のことを自分の所有物のように思っていたように思えます。
自分が産んだということだけで、自分がどうやって子供を育てようと関係ないと思っているのです。
お互いに依存し、なくてはならない存在になってしまっているのです。非常に恐ろしいことです。悲しいことに母親を子供は選ぶことはできません。
子供にとって親はすべてなのです。
親の育児の方法によって、こんな悲しい事件が二度と起きないことを祈るばかりです。
映画の感想まとめ
『MOTHER マザー』はとても辛く、悲しい映画でした。
改めて、母親と子供の関係について考えさせられる作品でした。
お子さんがいる方、女性にはぜひ見ていただきたいなと感じました。
本作は本当にいろんなことを考えさせられました。
子供に対する接し方、育て方などで、子供の人生を狂わせてしまう人間にはなりたくありません。
そうならないためにも、ぜひ沢山の方に見ていただきたい作品です。
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