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『罪の声』未解決事件を紐解く社会ドラマ!無自覚の行為に罪と救いはあるのか?:動画配信・映画感想あらすじ考察

映画『罪の声』は2020年の実際のグリコ・森永事件をほうふつとさせる、日本で公開されたドラマ映画!新聞記者の阿久津はギンガ・萬堂事件の記事を担当することになるが、なかなか手がかりが掴めないままだった。そんな中、自分の幼いときの声を脅迫のテープに使われた曽根と出会い、二人は一緒に調べ始める

もし、幼い時に
自分が意図せずとも犯罪に自分が関わっていたら?

なーんか、突きつけられた感じの映画です

本作の主演は小栗旬と星野源!

グリコ・森永事件を元に描かれた「罪の声」という本を元にしています、タイトルからしてすげー仕掛けが入っています。ネタバレになりますが、「罪を犯した声」と言う意味で始まって、「声が残した罪の傷跡」って転換されていくんですよね。

犯人捜しではなく、誰が罪人だったのか?

と言うのを心の目から追っていく物語です

4のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

新聞記者の阿久津は未解決事件を追うという企画で、ギンガ・萬堂事件の担当になる。阿久津はロンドンに飛び、取材をするが、何の収穫もなかった。
その頃、テーラーである曽根は家の押し入れから英語が書かれた手帳とカセットテープを見つけ、カセットテープには幼い頃の自分の声が吹き込まれていた。
しかし、その内容はギンガ・萬堂事件を関わるものだと曽根は気が付いてしまう。
曽根は、父と交流のあった仕立て屋の川村に聞きに行くと、祖父の死や死んだと聞かされていた叔父の達雄がまだ生きていると知ることに。
そして、父の光雄と達雄の幼馴染だった藤崎に会い、二人の若いときの写真を目にし、達雄と連絡をとっていた小料理屋を訪ねると、そこでは事件に関わった人々の会合があったと知るのだった。
一方、阿久津もギンガ株の外人買いが進んでいたという情報を調べるうちに、曽根が訪れた小料理屋にたどり着くことになる。
そこで、二人は出会うことになり、行動を共にすることになるのだった。

[showTable]

映画情報&キャスト

『罪の声』2020年 日本
【監督】土井裕泰
【脚本】野木亜紀子
【音楽】佐藤直紀
【撮影】山本英夫
【出演】
阿久津英士(小栗旬)
 :大日新聞大阪本社・文化部記者
  元は社会部記者
  昭和の未解決事件を特集する特別企画班にシフトされ、「ギンガ・萬堂事件」の担当になる。
曽根俊也(星野源/甘詩羽)
 :服飾屋・テーラーを営む
  ギン萬事件で使われた録音テープの子どもの声が自分だと気がつく。
水島洋介(松重豊)
 :元社会部記者で、ギン萬事件発生当時は担当として現場に張り付いていた。
鳥居雅夫(古舘寛治)
 :大日新聞大阪本社・社会部事件担当デスク。
生島聡一郎(宇野祥平/石澤柊斗/杉田雷麟)
 :望の弟。声を事件に使用された子どもの一人で当時小学生
生島千代子(篠原ゆき子)
 :望と聡一郎の母
生島望(原菜乃華)
 :当時、映画字幕の翻訳家になることを夢見る中学生
  犯行テープに声を使用されたことで事件に巻き込まれる。
生島秀樹(阿部亮平)
 :望と聡一郎の父。元滋賀県警の警察官。
曽根光雄(尾上寛之)
 :数年前に他界した俊也の父。
佐伯肇(橋本じゅん)
 :犯人たちが使ったと思われる料亭の料理人。
曽根亜美(市川実日子)
 :俊也の妻。
河村和信(火野正平)
 :俊也の父・光雄と長らく共に働いていたスーツの仕立て職人。当時の父をよく知る人物。
曽根達雄(宇崎竜童/川口覚)
 :曽根俊也の父・光雄の兄で、俊也の伯父にあたる。
曽根真由美(梶芽衣子/阿部純子)
 :俊也の母で、
  現在は病のため入院中。俊也の父・光雄とはお見合い結婚で、
  仕事に熱く打ち込む光雄の姿に惹かれテーラーを支える。

超感想中心の評価考察・レビュー

罪の本質を問う:土井裕泰監督

土井裕泰(のぶひろ)監督は、こういう作風があっているように思う

最近の有名作で言うと、本作の次に製作された『花束のような恋をした』が有名だけども、元々ドラマ系が得意な監督で、ちょと偏って列挙すると

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ちょー古い織田裕二と常盤貴子のドラマ『真昼の月』、松たかことのドラマ『カルテット』、長澤まさみの映画『涙そうそう』、映画『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』と、何だかハッピーなんだかバッドなんだか、もや~っと最後に残る感じの映画がすごい得意な監督で、個人的には結構作風は好きです

もちろん、『ビリギャル』みたな映画もあるんだけど、

人の罪とか、罪や功罪そのものにスポットを当てて表現して演出することに非常に長けているように思います、ただ最後がぶん投げるんですよね、視聴している側に「あなたたち、これって酷いですよね、ちょっとおかしいですよね」と語りをぶん投げた挙句に、”罪”そのものは、あなたたち一人一人が考えようね。

と、説教臭い映画ってことですよ

ただ、これがツボにはまる

結構身に染みわたります

W主演:小栗旬 vs 星野源

なんでも、初共演な二人、小栗旬と星野源

二人とも天才肌の演じ方するよね、小栗旬はどの役やっても小栗旬のキャラクターを中々抜け出れないキムタク感はしますが、それでも本作での見せ場では、きっちり決めてくれます。

個人的には、自分の過去を語るシーンは、ぐっと引き込まれましたわ

イケメン俳優の名をほしいままにして、『宇宙兄弟』、『人間失格 太宰治と3人の女たち』等を経て、ついにハリウッド本格デビューを果たした『ゴジラvsコング』まで、役柄は幅広です

星野源は、マルチな才能をほしいままに、ついにドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』での共演から、われらがガッキーと・・・ゴールイン

なんだか悔しいけど。

でもちょっと、見誤っていました、この才能

演技もいけます、本作では淡々とした静かな役柄がマッチしていたのか、めっちゃ雰囲気が出ていました。それもそのはず、『箱入り息子の恋』では日本アカデミーの新人俳優賞をゲットしていた、演技派でした。ごめんなさい、意識してみていませんでした。

本作でも、W主演といいながら日本アカデミー賞の助演男優賞を獲得しています

ということで、勝敗は、星野源!

といいたいところですが、小栗旬も本作で主演男優賞を獲得!

凄い作品でしたね。

個人的には、星野源の淡々とした演技ってのが、実は難しいと思っていて、星野源に一票です

犯罪に使われてしまった子供の声

曽根はある日、押し入れから幼い頃の自分の声が吹き込まれたカセットテープを見つけます。
そのテープに吹き込まれていた内容は以前、世間を騒がせた未解決事件の脅迫電話に使われたテープで、曽根は大人になるまで、全く知らずに犯罪に利用されていたのです。

あまりに悲しいし、衝撃的です。
しかも、大人になった曽根には妻も娘もいます。
今、もしこのことが明るみに出れば、家族に影響があるかもしれません。

”罪の声”

そう、映画序盤では罪の、犯罪の、証拠って意味でとらえていたんですよねー

これって、精神的な伏線。。

誰がこんなことを、、、と曽根が思ってしまうのも無理ないこと

二人の被害者

阿久津と曽根は調べていくうちに、元警察官であった生島という男に、偶然にもたどりつくわけですよ、彼には妻、娘の望と息子の聡一郎がいて、その子供二人も実は曽根と同じようにカセットテープに声を吹き込まされ、犯罪に加担されていました。

そう、ギンガ事件には、3人の子供の声が使われたわけですね。

その声が犯罪に使われたことで、身元がバレることを恐れた犯行仲間のヤクザから、父親の生島は殺され、母親はこき使われ、脅され、二人の子供は隔離された未来のない生活を送っていました。

声のテープが出てくるまで何も知らなかった、曽根とは大違いの生活・・この違いが、色々なセリフに効いてきます、「あなたは幸せですか?」、「自分たちは悪くない」ってね。この辺の展開は静かに犯罪そのものを糾弾していきます

姉の望は翻訳家になるのが夢だったにもかかわらず、逃走中に車に轢かれ死亡
弟の聡一郎のは、ヤクザの事務所に放火して逃走するも、ヤクザから逃げるだけの人生、何もかも失い体が不自由になり社会的な保護もうけられず、名乗る事も出来ない不遇の日々・・

もし、自分達の声が犯罪のテープ使われていなければ
もし、父親が死んでなければ
もし、ギンガ事件が無かったら

生々しくそんな声が伝わってきます

そして、小さくも幸せな日々を送る曽根が
そんな悲しく、痛々しい現実を目の当たりにするのです。

ここがポイントですね

そして、社会部の新聞記者として過去に色々な事件を見てきた阿久津

社会部記者を辞めてしまったのは、被害者の気持ちを考えずに新聞の記事のマス埋めだけを考えている自分に気が付いたから!

そんな阿久津が、もう一度社会事件に向き合う
ってことは、被害者にもう一度向かい合うということなんですね

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そもそも何故、こんな事件が起こったのか?

全ては曽根の叔父である達雄が仕組んだことでした。
達雄の父は過激派には所属はしていませんでしたが、過激派の仲間たちと仲が良く、その集団リンチに遭い、亡くなってしまったのです。
また、父親は巻き込まれただけだったにもかかわらず、勤め先のギンガからは誰も葬儀に参加しなかったことをずっと達雄は恨みに思い、彼自身も過激派の仲間と連むようになったのです。

そして、あのギンガ・萬堂事件が起きたのです。

では何故、子供達の声を利用したのかという点ですが、
それは、達雄曰く、子供の声なら声変わりもし、誰だか分からないからというものでした。
あまりにも理不尽で、浅はかな考え・・・

この考えで多くの罪なき声が、罪の声に変わっていくのに・・・

また、幼い曽根に声を吹き込ませたのは曽根の母親である真由美だったのです。
彼女も過激派の活動に参加していたというのです。その活動の中で、達雄と知り合い、偶然にもその達雄の兄弟である光雄と結婚していました。
再び、達雄と再会し、達雄から曽根の声をテープに吹き込むように頼まれ、世の中のためになるならと手伝ったというのです。 

子供の親がそんなことをしてしまうなんて・・・と今なら冷静に考えられますが、彼女たちからすれば、後先も考えない生き方が当たり前だったのかもしれません。

しかし、子供にその責任を負わせるというのはあまりにも罪深いですし、考えられないですよね。

ちょっと前に、読んだ漫画を思い出しましたわ!

『ミステリと言う勿れ』では、家庭内暴力と虐待に会っている子供を救う天使が現れる話があります。まあ、いい天使かと思いきや、とんでもない。

その天使は、子供達に書いていない暴力を振るう両親を殺してあげると話しかけるのです。放火して焼き殺してあげると、話して誘導するわけですよ!

子供には、その最後の判断は自分でしなさいと、選択の自由までも与えます。

それって、殺す選択をした子供には一生付きまとう地獄ですよね

立場や状況が違いこそすれ、考えて選択をすることのできない子供に対して、罪の声を吹き込むのだから・・

映画の感想まとめ

本作はグリコ事件を元に描かれたフィクションではありますが、かなりリアルに描かれているのが印象的でした。

本当の事件の真相は分かりませんが、

キツネ目の男

なーんてフレーズは、一気に引き込まれキーワドです

ラストに行けば行くほど、達雄たちの反抗動機がいまいち曖昧ですし、真由美は特に子供をこんな意図で利用するのか?と感じずにはいられませんでした。母親ならば、後先のことを考えるのではないかと思ってしまいます。

映画では描かれていない、背景がありそうな感じはしますね

単純に映画として、時間不足かもしれません

曽根と阿久津と一緒に事件について追っていくうちに、謎が解けていくのは面白いなと感じるとともに、本質はミステリーにあらず、ヒューマンドラマ

なので、ヒューマンドラマ好きのほうが、この映画は合うでしょうね