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『リトル・ジョー』植物の全体意思が世界を支配する!:動画配信・映画感想あらすじ考察

2021-08-21

映画『リトル・ジョー』は2019年のオーストリア・イギリス・ドイツのスリラー映画。バイオ企業で働くアリスは新種の赤い花を開発していたが、息子のジョーや一緒に働く研究所の仲間たちがその花の匂いによって少しずつ変化していっていることに気が付いてしまう。しかし、そのことを他人に伝えても理解してもらえず・・・。

人をハッピーにするには何が必要なのか?

そう、脳内物質で、幸せを感じるは「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」を適切に分泌すれば、いいわけだ、簡単~

なんて、上手くいくわけないでしょ!♪

まあ、一般的に言われているのは規則正しい生活だとか、ストレスフリーとか日光を浴びてよく休む

そう、植物のようにね。ニヤニヤ

なんて前振りもいらないかな。

本作は、ある科学者が開発した遺伝子変革をさせて人間に幸せを感じさせる植物が、全体意思をもって生存競争をし始めたら・・・

ってのを静か―な映像でタンタンと語ります。

第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品され、主演のエミリー・ビーチャムが女優賞を受賞していますので、そこそこ評価されています

が、個人的にはぶっちゃけあまり好きではないかな。

何が起こるのか大体、わかっちゃう系の映画でした

3のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

バイオ企業で働いている研究者のアリスは新種の植物開発をしている。
アリスはシングルマザーとして一人息子のジョーがおり、子育てをきちんと出来ていないのではないかという悩みがあった。

彼女が開発した花はリトルジョーという名前で、持ち主を幸せにするという赤い花だった。

アリスはそのリトルジョーを一輪持ち帰り、息子のジョーにプレゼントするのだが、そこから少しずつ周りで奇妙な出来事が起こり始め、アリス自身もリトルジョーが人間にもたらす異変に気がつき始める。

[showTable]

映画情報&キャスト

『リトルジョー』2019年 オーストリア・イギリス・ドイツ
【監督】ジェシカ・ハウスナー
【脚本】ジェシカ・ハウスナー
【音楽】伊藤貞司
【撮影】マルティン・ゲシュラハト
【出演】
アリス(エミリー・ビーチャム)
 :バイオ企業の研究者で、シングルマザーとして息子のジョーを育てている。
クリス(ベン・ウィショー)
 :アリスの同僚で、アリスに気がある。
ベラ(ケリー・フォックス)
 :ベテランの研究者。精神病を患い、犬を飼っている。
ジョー(キット・コナー)
 :アリスの息子。
カール(デヴィッド・ウィルモット)
 :アリスの上司。

超感想中心の評価考察・レビュー

違和感の演出:ジェシカ・ハウスナー監督

ジェシカ・ハウスナー監督による、実質的な出世作になったと言っても過言ではないのでは、ないでしょうか?

個人的には、あまり彼女の作品は知らず、日本でも取り上げられたか『ルルドの泉で』がベネチア国際映画祭で国際映画批評家連盟賞などを受賞して話題になりましたよね。

長編としては、『Lovely Rita ラブリー・リタ』で初めて注目を浴びて銀幕の監督デビューです

本作では、全体的に直接的な表現やグロさは、あまり表現されません。

淡々とした、ストーリー展開の中で視聴側と一緒に感じる、違和感と不快感を探索していく仕立てになっています。技法的には単純ですが、見えそうで見えない心理を使って低予算(たぶん)でよく作られているとは思いましたね。

画面に彩を与える鮮やかな植物が、一斉に全体意思を持った行動をしたり種の繁栄行動のために、他種族を支配していこうとするサイレント・インベージョンはこのコロナの世の中でウイルスとか感染とか、そういった恐怖にかなり訴えかけられます。

古くは、『パラサイト』(The Faculty)や『インベージョン』(2007)、『遊星からの物体X』と異星人に乗っ取られる恐怖を描いた映画は数々ありましたが、品種改良した植物全体の意思で何かされるってのは記憶にないですねー。

ただ、あくまでも個人的な感想ですが、ここまで話が単調で、ラストまで見透かせてしまうのが非常に残念でした。途中までは、どうやって植物を撃退していくのかドキドキしてみていたんですが、ラストがねつまらなかったです。ヒネリなし・・・

系統違うけど、『ビバリウム』を見たときの勿体なさが・・よぎりましたわ

エミリー・ビーチャム/ベン・ウィショー

アリス役のエミリー・ビーチャムが本作で、第72回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞するなど高い評価を受けました

ほんとか?と思いますが、高い評価です

個人的には、あまり知らない女優さんだったのでかなり色眼鏡で見ていて、どちらかというと相手役のベン・ウィショーのほうから目が離せませんでした。

『パフューム ある人殺しの物語』で、なんでもクンクンするだけで匂いを区別できるある意味編隊の香水師を演じて、圧倒的な存在感を示しました。最近では、ダニエル・クレイグ版の007の稀代の発明家”Q”を演じています

本作でも、気の弱そうなアリスの同僚を演じて、物語を引っ張った行く重要な役を担います。

序盤の展開

アリスはシングルマザーとしてジョーを育てながら、新種の植物を開発する仕事をしています。

そのためか、ジョーをきちんと育てられているのか、不安に思い、カウンセリングにも通うほど

そんな中、アリスの元旦那はジョーを引き取りたいと言いだしたりする始末。ジョーが生きがいなのに、ジョーが取られてしまう恐怖と仕事を頑張りたいという気持ちも強かったはず

まあ、新種の花に息子の名前を付けちゃうくらいですからね。

また、研究所にはクリスという同僚がいて、アリスに気があることはアリスも理解はしていますが、今の現状がいっぱいいっぱいで、そんな気持ちになれないというのが、アリスの今の気持ち

リトル・ジョーとは?

本作でアリスが作るのがリトル・ジョーという新種の赤い花です。

この花は、人を幸せにするという目的で作られた花です。

もしかしたら、アリスが不安だらけの精神状態だったというのもあるかもしれませんが、たくさんの人々に魅力的な花の匂いを嗅いでもらって幸せになってほしいと願っていたのでしょう。

しかし、アリスが一つ間違っていたことがあります。

それは、無認可であった、遺伝子操作をして新種の植物の機能を誘発したってことですね

なんか、今のコロナっぽいにおいを感じますが・・・

さも、魅力的な匂いなのでしょう

クンクン嗅ぐだけで、人を幸せにしちゃいます。

リトルジョーの匂いは人体にあらゆる影響を及ぼすのでは?と気がついたのは、ベラというベテランの研究者でしたが、彼女が連れていた犬が突然おかしくなってしまったことから、疑いの目をつめるわけですよ

それにしても、このリトル・ジョーがえげつない!

同じ温室にある、他の種の植物を全滅させたりするわけで、めっちゃ排他的・・・

ベラは精神病を抱えていたせいで、皆に信じてもらえずじまいで、ベラ自身も匂いを嗅いでしまい、リトル・ジョー擁護派に鞍替え・・

実際、匂いを嗅ぐとどうなってしまうのか?というと、花粉が脳に入り込み、自分が自分を演じているような感覚に陥るという説明があり、基本的にいつもハッピーな気分でいられるようになるのです。

いやまて、そこまで来たら、それって一種の麻薬のようなもの

それで、気が付けよ科学者たちって感じです

何か特段変化があるというわけではありませんが、人間らしさが欠如し、常にハッピーであるという恐ろしい状態に陥るのです。

花の匂い如きでと思いますが、覚醒剤や麻薬に近いものを感じずにはいられませんね、はい

映画の感想まとめ

本作は、花の匂いで人間の脳を変化させてしまうという、まあ恐ろしい話

ただ、ストーリーが単純なのが残念。

苦しくも、ベン・ウィショーが以前出演していた『パフューム』にも似たようなものを感じる作品でもありましたかね、たかが匂い、されど匂い。

匂いによって、人間は不快になったり、幸せになったりします。

物の本によると、”匂い”ってのは、人間にとって一番記憶を呼び覚ます感覚だそうですからね、実は大脳まで支配されるのは、容易いのかもしれん!

と思う今日この頃

正直、そんなことはないだろうと思いますが、進化している今の科学であれば、近い未来こんな恐ろしい花がもしかしたらできてしまうかもしれない、とも思わせてくれるような不思議な話でもありました。

あ、そうそう一つ

いいねと思ったのは、音楽がとても和テイスト

時折、金田一耕助が出てくるのかと思うようなシーンもあり、より恐怖を味わえる要因にもなっている気がして、とてもヨーロピアンに和感覚ってのが、斬新に感じましわ

ホラー好きの方にはまあ、ぜひ