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『今宵、212号室で』振り返ろう二人の歴史と男遍歴!元カレで知る旦那のすばらしさ:動画配信・映画感想あらすじ考察

映画『今宵、212号室で』は2019年の2019年のフランス、ルクセンブルク、ベルギーで公開されたドラマ映画。大学教授のマリアは夫のリシャールと二人暮らしでしたが、若い男と浮気をしていたことがリシャールにバレてしまい、マリアはホテルで一晩を過ごすことにするが・・・。

長年連れ添った、”連れ”

そりゃあもう、良いところも悪いところも知り尽くしているわけで

なんかときめきを感じなくなっている人が大多数ではないだろうか、もちろん私は違いますが・・

そりゃあね、付き合い始めのテンションを結婚してずーっと維持する人ってのはいないですよね。

そんな時に、本作はなんか

連れと、建設的な会話出来るかもしれません!

『美しいひと』の監督であるクリストフ・オノレが本作も監督・脚本を務めて、作品全体がおしゃれで、スタイリッシュな仕上がり

シャンソンの名曲が全編にわたって使用され、音楽もとてもおしゃれな雰囲気に仕上がっています。

☆4のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

大学教授のマリアは結婚して二十年経つ夫のリシャールと二人暮らしをしていた。
二人の間には、子供はいなかったが、仲は良く、平穏な日々を過ごしていたが、男女の関係はなく、すっかり家族になってしまっていた。

そんな中、マリアはリシャールの知らないところで、若い男と浮気をしていたのだった。
その浮気がリシャールにバレてしまい、リシャールはショックをうける。
しかし、マリアは悪びれる様子もなく、リシャールだって浮気の一つや二つしたことがあるだろうというが、マリア一筋で浮気など一度もなかったという。

リシャールは自室に閉じこもり、マリアは距離を取るため、向かいにあるホテルの212号室に泊まるのだが、そこにはなぜか、若かりし頃のリシャールがいるのだった。

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映画情報&キャスト

『今宵、212号室で』2019年 フランス、ルクセンブルク、ベルギー
【監督】クリストフ・オノレ
【脚本】クリストフ・オノレ
【音楽】フレデリック・ジャンクア
【撮影】レミー・シェヴラン
【出演】
マリア(キアラ・マストロヤンニ)
:大学教授。リシャールの妻だが、浮気をしていたことがリシャールにバレてしまう。
25歳のリシャール(ヴァンサン・ラコスト)
イレーヌ(カミーユ・コッタン)
:リシャールのピアノ教師。
リシャール(バンジャマン・ビオレ)
:マリアの夫。マリアに一筋である。
20年後のイレーヌ(キャロル・ブーケ)

超感想中心の評価考察・レビュー

おしゃれでスタイリッシュ:クリストフ・オノレ監督

クリストフ・オノレ監督が、とにかくおしゃれで、スタイリッシュに演出をしています。

クリストフ・オノレ監督と言えば、日本では劇場未公開ですが『美しいひと』で、めっちゃ高評価を得ました。過去の作品でも、恋愛小説から社会風刺的な映画を、本当におしゃれに描くのが得意な監督です

本作では、まさにマジカル・ワン・ナイトとでも呼べばいいでしょうか

誰もが、一度は考えたことのある、”もしも”の世界観を、ホテルの一室で実現してしまいます。

それは、もう不思議な世界

昔に戻るんじゃないんですよ!

今の自分のまま、旦那が若い時の姿のままで出てきて、元カレ達がぞくぞくと、わんさか!

なんか、甘美な夜に人世になりそうですが、結局は人間って自分の歩んできた人生を再追認しながら、完全否定はできないんですよね。そういう戻りたくても、もう戻れない懐かしい時代を、自分の気持ちを振り返りながら、あるある、いえ、あったあったよね、こんな時代もさ

と、見ることが出来ます。

若い人でも、おもしろく見ることができると思いますね。

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オンリー ハーツ

似たような映画で言うと、こんなマジカルな感じではないですが、

『きみがぼくを見つけた日』、『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』、『天使のくれた時間』など鉄板なタイムスリップ、ファンタジーに引けを取らない映画に仕上がっています

なんだか、最近韓国や日本のドラマでリメイクされてた、はやりの『知ってるワイフ』も、過去に戻る系ですがめっちゃヒットしています。あんがい過去を変えたい人って多いのかもですね

新しい、もしもが見つかるような気がします

元夫婦が共演で夫婦:キアラ・マストロヤンニ/バンジャマン・ビオレ

マリア役のキアラ・マストロヤンニ、そして現代の夫役リシャール役のバンジャマン・ビオレは、夫婦として共演しています。

この二人は、なんと

リアルワールドでも夫婦だったのですよ

そして、離婚した夫婦ですから、本作も、あなーるほどね

的に、なんかあるあるをにおわせる展開が面白いです

こういう、夫婦とか恋人関係に奔放で自由なのって、実にフランスらしく、そしてフランス映画らしいです。日本人の感覚からだと少しずれてます。

そして、主演のキアラ・マストロヤンニは、監督のクリストフ・オノレが直接的に過去出演作からのつながりで、本作へ引っ張ってきたのだとか・・

演技も、いいです

フランスの、第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門最優秀演技賞受賞を見事に受賞しています

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角川書店 (映像)

夫婦でなく兄妹になっていた二人

そうですねー、夫婦ってなんだんですかね

この映画でも、マリアとリシャールは夫婦ではありましたが、一緒にずっと暮らすうちに夜の生活はなく、一緒に同じ部屋に暮らすだけの家族、まあ兄妹になっていました。

マリアはそのため、色んな男と寝ることは当たり前になっていて、なんか奔放で浮気性な彼女ですが・・マリアからするとリシャールもきっと同じように愛人の一人や二人がいるものだと思ってたんでしょうね

実はリシャールは全く浮気などせず、マリア一筋

この辺が、かけ違いなんでしょうけど、日本だったら即離婚だーですよ

っでも

割とお国柄的にフリーな感じで、自由恋愛の風潮があり

彼も、どんなことをマリアがしても、浮気をしていたとしても、マリアが好きでたまらない

昔、付き合っていたピアノ教師のイレーヌがリシャールに言い寄っても、リシャールはゆるぎません

普通なら、妻が浮気したと知れば、やけになってしまう可能性もあります。

しかし、彼は一緒に生きてきたマリアを決して裏切らず、彼女が帰ることを待つわけですよ

もし、あの時違う選択をしていたら?

もし、人生で違う人と生きていくことになっていたら、とあなたは考えたことはありますか?

本作では、リシャールがもし若かりし頃に付き合っていたピアノ教師のイレーヌと結婚していたら、と思わされるシーンがあります。リシャールはイレーヌがどんなに誘惑してきても頑として受け入れません。

また、イレーヌ自身も二十年経ち、静かに生き生きと自分らしく生きていました。

どちらも実は満足した暮らしを送っていたのですよね

マリアの浮気で、過去を振り返ることになりましたが、実際は今の選択は正しかったのだと、自己否定はなく、過去も否定せずに、再追認していくのですよ

人間ですからたまには過去の選択を誤ったのではないか?と感じることもあるでしょう。だけど、二人はこの選択を誤っていないと、正しかったのだと再確認し、生きています。

とても素晴らしい

まあ、大半の人は変えたいと願いつつ

やっぱり、現状を捨てるのにもかなり抵抗があるんじゃないかな実態として。。

怖いもんね、新しい生活って

212号室で過ごしす夜:考察、その後

マリアは浮気がバレてしまい、リシャールと喧嘩をし、二人が住むマンションの向かい側にあるホテルの212号室に泊まることから、物語がはじまりました

そこには若かりし日のリシャールや母親、リシャールのピアノ教師、またマリアの愛人たちが沢山訪れます。そして、さらに二十年前の姿の夫や死んだはずの母親、会ったこともない夫の元カノ、昔の彼氏たち。

正直意味が分かりません。

まあ、いいんですよ。これはファンタジー
でもこれは、夢落ちなのでしょう

マリアは夢か幻想の世界で、そう全てはマリアがこの二十年間を振り返っているのです。そして、今までのリシャールとの暮らしが正しかったのか、これで良かったのか、と振り返る時間をホテルで過ごしていたのではないか?

ということでしょう

そのため、過去の人物たちが登場し、現在の夫の元を訪ねたりして、夫にも正しかったのか、聞いているように思えます。もしかしたら、ホテルでマリアが寝ている時に見た夢だったのかもしれませんが、とにかくその二十年間を振り返る時間が夫婦は必要だった

それでいいじゃないですか

何故なら、ラストで二人はまた会話をし、仲直りをしたように思えたからです。

この一晩は二人にとって、新たなスタートが始まりました

映画の感想まとめ

本作は長年連れ添った夫婦にありがちな日常を舞台のような作り方で、描いているのがとても印象的

マリアの気持ちも、リシャールの気持ちも

よく理解できるようにファンタジー風に作られていて、

とても風変わりで面白い作品に仕上がっているのがいいですな

ファンタジー映画が好きな方やフランス映画が好きな方にはオススメです。