『Swallow /スワロウ』その一粒にどんな快感があるのか:動画配信・映画感想あらすじ考察
映画『Swallow /スワロウ』は2019年のアメリカ・フランスで公開されたホラー映画!ハンターは御曹司のリッチーと結婚するが、夫との生活に不満を感じていた。そんな中、ハンターはビー玉を衝動的に飲み込み、異物を飲み込む快感を覚えてしまう。妊娠が発覚し、異食症だと医者に診断されてしまう
タイトルを一瞬見たときに勘違いしてしまう映画で
スワロウ。。。ああ、そう燕ねツバメ
ヤクルトの映画なのかと思ってしまったが、原題であーー
”飲み込む”ほうのスワロウね
ちょっと、タイトルからして期待が高まる。
そんでも、人間は、基本的に危険を察知して、苦い者とか食べられないものには嘔吐感を感じるようにできてますが、いるんですかね本当にこういう人間が・・
なかなか深ーいテーマの映画ですね。ホラーですけど
本作は、カーロ・ミラベラ=デイヴィスの単独長編映画監督デビュー作!
で、本作はめっちゃ将来を嘱望されるくらい高い評価を受けることになりました
☆4のおすすめ(5点満点)
感想中心となります
それでは見ていきましょう
あらすじ ネタバレなし
ハンターは大企業の御曹司であるリッチーと結婚し、優雅な暮らしをしていた。
そんな生活の中でハンターは平等に扱ってくれない夫に不満を持つようになり、徐々に不満をためていく。
ある時、ストレスや周囲の声に嫌気がさい、ハンターはある日ビー玉を食べたいという衝動に駆られ、飲み込んでしまう。その衝撃の体験と異世界の体験に瞬時の快感を覚えるようになる。
ハンターは、その後ビー玉を飲み込んだ快感を忘れることができず、画鋲やバッテリーまで口にするようになり、奇怪な行為に歯止めがかからなくなっていってしまうのだった。
しばらくして、ハンターが妊娠していることが判明し、リッチーがハンターを連れて産婦人科へ行くと、腹部から異物が発見され、緊急手術によって取り出されることになった。そして、医師から異食症を患っていると告げられ、リッチーは精神科の治療をハンターに受けさせるようになった・・・
映画情報&キャスト
『Swallow /スワロウ』2019年 アメリカ・フランス
【監督】カーロ・ミラベラ=デイヴィス
【脚本】カーロ・ミラベラ=デイヴィス
【音楽】ネイサン・ハルパーン
【撮影】ケイトリン・アリスメンディ
【出演】
ハンター・コンラッド(ヘイリー・ベネット)
:御曹司と結婚し、玉の輿に乗るが、
異食症を患ってしまう主婦。
リッチー・コンラッド(オースティン・ストウェル)
:大企業の御曹司で、ハンターの夫。
キャサリン・コンラッド(エリザベス・マーヴェル)
:リッチーの母。
マイケル・コンラッド(デヴィッド・ラッシュ)
:リッチーの父。
ルエイ(ライト・ナクリ)
:看護師。
超感想中心の評価考察・レビュー
異食症とは?
本作で取り上げられているのは、異食症というあまり聞き慣れない病気です。
その、異食症っていったいなんだ?
って思っちゃいますよね。拒食症とか過食症ならわかるんですけどね。
簡単に言うと、日常食べてはいけないものを口にしてしまう精神病のことで、ハンターも劇中でビー玉やバッテリーなど危険なものを口にしていってしまいます
若い女性の場合、妊娠時に軽い症状が見られることがあり、ハンターが氷を舐めていたのもそれに近い症状のようです。
その原因は、極度のストレスなどでも起こる病気とも言われているようです
まあ、ホラー映画じゃあなくても、ガチでホラーですね
子供の頃、いとこの兄ちゃんが、画びょうを一杯飲みこんでいて腹から見つかったのも、その症状だったのかなえーと思い出しながら・・
映画のインスピレーション:カーロ・ミラベラ=デイヴィス
監督のカーロ・ミラベラ=デイヴィスは、本作が長編デビュー作でめっちゃ海外サイトでも、高ーく評価されています
カーロ・ミラベラ=デイヴィスは、本作の脚本も手掛けています。
新人監督に多いこのパターンですが、その映画の初期インスピレーションはどこから来たのかと言うと、自身の経験からによるものだそうです
本作では、ハンターは裕福な家の主婦として、何不自由なく暮らしていました。
しかし、表向きはそう見えているだけで、夫からは虐げられ、見下されているように感じていました。
夫からは子供を産む道具にしか見られていないように、ハンターは思えていたのです。
第一、話は夫からも義理の父からもあまり聞いてもらえておらず、居てもいなくてもいい存在でした。
ただ妊娠したと言った時だけはしっかり喜び、異食症だと分かった時には怒鳴りつける。そんな女性を認めない男性中心の世界にこの作品は一石を投じています。
それは、監督の祖母が同じ異食症で悩み、ロボトミー手術まで受けさせられたという実話をヒントに描かれているからだそうで、熱が入るはずですね・・
その、あまりに辛い過去の経験から生まれた作品です
同じような作品としては『82年生まれ、キム・ジヨン』を感じさせるものがあります。
男女平等の社会になったように感じますが、やはりどこかで女性を軽視する、女性を抑制する社会はまだまだ続いているのです。
まあ、異食症ではありませんが、こういうプレッシャーのかかる映画の構造ってサスペンス系には多いんですけどね。異食症は初めて知りましたわ・・
ホラーなのか人間ドラマなのか
ハンターは実はかなり複雑な家庭の中、育った子供でした。
それが分かるのは後半になってから判明するのです。
彼女の母は見知らぬ男にレイプされ、産まれたのがハンターだったというのが明かされます。しかも、母親は宗教上の理由でハンターを堕すことができず、自分はずっと必要ない人間なのかもしれないと思っていたのです。
施設に入れられそうになったハンターが向かったのは、その本当の父の元でした。
彼は幸せに普通に暮らしていましたが、ハンターのことは隠して生きていました。
そこで、ハンターは父親に問うのです。
「私は恥ずべき存在か?」
まあ、本筋の映画ではないんですけどね
なんか、こういう映画の設定って多いのですが、そのたびに滅入ります
ちょっと、韓国の『幼い依頼人』とか日本の『子宮に沈める』を思い出しちゃいます。
父親に会うことで、そして父親に問うことで自分の尊厳を取り戻して、妊娠中絶を心に決めてラストに向かいます。
この辺の描写は、暗いのですが少し前向き感があっていいですね。
ただ、だれもがこういう生き方はできない・・単純なホラーとしてくくれない映画であると思うわけです
映画の感想まとめ
本作はスリラー映画というよりかは、精神的に辛い映画です
まあ、ここまで追い込まれる1女性としての尊厳や在り方を考えさせられますね
かなり深い内容!
ホラーのわりに、色彩もかなり鮮やかで、最初はポップな今時の作品のように思えますが、見終わった後は重たーーーい気持ちとなってしまう映画でもあります。
ジャンダーレスが叫ばれる中、女性は男性と平等だとこの映画を見て、どれだけの人が思うだろうかと感じさせられる作品です。
お勧めの映画で、ホラー好きの方にもオススメです
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