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『ウインド・リバー』嘘も事実も隠す凍てつく白い世界!:動画配信・映画感想あらすじ考察

2022-01-25

映画『ウインド・リバー』は2017年のアメリカで公開されたサスペンス映画。ハンターのコリー(ジェレミー・レナー)は雪山で少女のナタリーを遺体で発見した。しかし、彼女は殺人で殺されたのではなく、窒息死だという。彼女はなぜ死んだのか?

主演は『アベンジャーズ』シリーズで知られるジェレミー・レナー

本当に見る人によって、好き嫌いがはっきりと出る俳優かもしれない!

個人的には、肉体派なのか演技派なのか評価が分かれる微妙なところ

ただ、シリアス系の映画でもそれとなくヒットを飛ばしたりする

本作も、見始めはそんな軽い気持ちで見始めたことを覚えている。

一度見ると忘れられない、一面の白い世界

そこは、何事も覆い隠す寒さと厳しさが交差する死の世界で物語は展開さてていきます

まあ、絶対見るべき映画の一つ

目立ったアクションとかではないのですが、人間の持つ欺瞞や鬱屈としたストレスの先に狂気が見えてくるのは見どころあり!

☆4のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは、見ていきましょう!

あらすじ ネタバレなし

ハンターのコリーは雪山の中でネイティブ・アメリカンの少女であるナタリーの死体を発見した。
インディアン部族警察の署長のベンはFBIに捜査を依頼するのだが、やってきたのは新人のジェーンだけだった。
検死をすると、裂傷やレイプ痕があり、殺害された可能性もあったが、決定的な死因は肺の出血と窒息死だったため、殺人とは認められなかった。
そして、ナタリーは捜査をするうちに、極寒の中を10キロも裸足で走ったことが分かり、ナタリーの恋人のマットも遺体で発見される。

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映画情報&キャスト

『ウインド・リバー』2017年 アメリカ
【監督】テイラー・シェリダン
【脚本】テイラー・シェリダン
【音楽】ニック・ケイヴ
    ウォーレン・エリス
【撮影】ベン・リチャードソン
【出演】
コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)
 :ハンターで、以前娘を亡くし、妻と離婚をしている。
ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)
 :FBIから派遣された新人。
ナタリー・ハンソン(ケルシー・アスビル)
 :雪山で亡くなっていたネイティブ・アメリカンの娘。
マット・レイバーン(ジョン・バーンサル)
 :ナタリーの恋人で、遺体で発見されてしまう。

超感想中心の評価考察・レビュー

テイラー・シェリダンの描く人間の下劣さ

監督と脚本を手掛けた テイラー・シェリダン

実質的には、監督初作品となる本作

色々と意見はあるかもしれないが、 テイラー・シェリダン監督の作品に対する思いは十二分に伝わる構成になったいるのではないだろうか。

ネイティブアメリカン(インディアン)の部族が抱える根源的な人種差別や、ネイティブアメリカン同士の部族間、家族間の関係性、地理的な特質を絡ませて、老獪なミステリー仕立てのサスペンスとしてストーリーを紡いでくれている。

一方で、謎解き的な要素は少なく

徐々に明らかにされていく人間関係や事実は物語の本質をとらえているのではなく、上述したネイティブアメリカンの社会的な立ち位置をより明確に表現していると思われます。

いわゆる白人達から、下劣な行いを受ける彼らを暗に表現し

主人公のジェレミー・レナーにその代償行為を委託していく様が、さらに醜聞の中でも人間性を人権や権利を代行してもらう正当化できない行為ですが、見る側の憤りや溜飲を下げさせてくれます

俳優では、あまり有名になれなかったテイラー・シェリダンですが、本作は本当に見る人をひきつけます。同じ極寒の地を描いた、ディカプリオのアカデミー賞映画『レヴェナント: 蘇えりし者』に通じる何かを感じます。

全てを覆いつくす、雪や凍てつく寒さってー白い白銀の世界には

映画の中にある、描きたかった事がより鮮明に映えるのかもしれませんね

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ジェレミー・レナー:渋いハンター

肉体派俳優なのか渋さが売りの演技派なのか、よくわからないジェレミー・レナー

普通だったら、FBIだったり肉体アクションバリバリの警官だったりするのだろうけど、本作ではハンター役

まあ、あえて言うと流刑の地での”何でも屋”

まあ、主人公が、ハンター(狩猟者として)であり、その地域の何でも屋ってのがポイント

ネイティブアメリカンの妻を持ち、地域に密着して

離れられない、白人社会も知り

ネイティブアメリカンのしきたりを熟知し、考え方や想いも痛いほどわかる彼だから出来ること。

物語のラストに色々と効いてくる布石なのですが、ジェレミー・レナーの渋さと円熟味のある、その人間味がカッコよさと、誠実さを与えています。

個人的には、派手さのないジェームス・ボンド

っていう位置づけで見ていましたが、単なる肉体派の色物俳優ってだけでなくコメディからサブキャラまで幅広さが目につきます。

個人的には、日本未公開の作品ですが、壮大な鬼ごっこ『TAG タグ』がお気に入りです

ぜひ、ご覧いただきたいです

死体として発見されたナタリー

ナタリーは合衆国魚類野生生物局のハンターであるコリーに大雪の中、たった一人で倒れているところを発見されます。

彼女はネイティブアメリカンの少女で、何者かによってレイプ痕や裂傷があったことが判明し、殺害されたのではないかとFBIのジェーンは疑うのですが、実際の死因は極寒の中を10キロも裸足で走ったがために起こった肺の出血と窒息死とされ、他殺とは認められなかったのです。

FBIのジェーンは何とかしてナタリーが誰かに殺されたという証拠を掴まなければ、FBIは捜査してくれないと分かっていたために、ナタリーがどんな環境で生きていたか、調査をしていきます。

ナタリーは捜査をしていくうちに白人のマットと付き合っていたことがわかるのですが、そのマットも同じように雪の中で死体となって発見されたのです。

ナタリーはマットのトレイラーに遊びに行った際、一緒に同居していた男たちによって、弄ばれ、レイプされてしまったというのが真相だったのです。

もし、このFBIのジェーンが来なければ、ただの事故として扱われていたかもしれない事件です。

彼女だったからこそ、事件の解決に繋がっていったのです。

先住民たちの暮らし

本作で描かれているのは、先住民たちの暮らしがいかに厳しいかということです。

夜はマイナス30度にもなるような環境です。
都会のように、遊ぶ場所や働く場所もほぼほぼない中で、雪に閉ざされたこの地では、女性たちのレイプ事件や失踪は跡が立たないというのが現状なのです。

現に、登場人物たちは次々とこの場所はただ雪と静寂があるだけで、働く場所や女すらいないと言います。

そのため、若者たちは麻薬中毒になったり、女性をレイプしてしまったりしてしまう者、犯罪に手を染める者が増えてしまったのでしょう。

本作は実話ではないということですが、先住民たちの女性たちが失踪する数が大変多いという事実をもとに制作された作品なんだそう。

そう考えながら見ると感慨深いものがあります。

コリーの暗い影

本作で何より印象的なのは、コリーの目の中の暗さではないでしょうか。

冒頭で、コリーは何かを抱えて生きている人物だということは判断できますが、一体何があったのかということは徐々に明らかになっていきます。

コリーはネイティブアメリカンの妻と娘、そして息子と共に住んでいましたが、ある日妻と一緒に子供たちだけを残し、家を空けたところ、娘はパーティーを開いてしまったことで、見知らぬ人々までやってきて、娘は殺されてしまったという事件が過去に起こっていたのです。

しかし、犯人はいまだに見つかっておらず、家庭もそのことにより、破綻してしまったようです。

また、同じような事件だった今回の事件に関してもFBIに捜査を協力するという立場ではありましたが、彼はハンターとして娘の無念を晴らす復讐人として関わっています

これが、この作品の本質

映画の感想まとめ

本作は雪の中で起こった事件を通して、先住民たちの貧しさやドラッグ、犯罪を起こしてしまう要因を見せつけられた作品でした。

雪の中では、人間の弱さが露呈してしまうのだなと感じさせられました。

また、主演のジェレミー・レナーの憂いの目がとても印象的で、どうしたらそんな目ができるのだろうと思わされます。

あまり、紹介しなかったのですが、相方役を務めたのは、双子で有名なオルセン兄弟の妹で、FBI役のエリザベス・オルセンも実にいい味を出している。

彼女がいるからこそ、ネイティブアメリカンの地での公平性が視聴者側からも保たれている気がします

そして、そんな二人は

奇しくも、『アベンジャーズ』シリーズで遠回しな共演を果たしている二人

白い白銀の世界で、しっとりとした映画にも共演しているのも何かの縁だろうなーとおもいつつ

サスペンス、ミステリーが好きな方にはオススメします。

— hogeru —