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『シャッターアイランド』謎が真実を凌駕する!本当の真実に震撼:コラム的映画あらすじ評価感想・動画配信

2021-03-14

映画『シャッターアイランド』は、レオ様ことレオナルド・ディカプリオを主演にマーティン・スコセッシュ監督による新感覚のサスペンス・スリラー!不穏な空気の漂う孤島で営まれる精神病院で繰り広げられる失踪した患者を捜索しながら謎が深まる

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映画ショートコラム あらすじ中心ネタバレ含む

2010年に公開されたレオナルド・ディカプリオ主演の映画だ。ストーリーの舞台は孤島にある精神病院、シャッターアイランドに連邦保安員であるテディ(レオナルド・ディカプリオ)とチャック(マーク・ラファロ)が不可解な暗号を残して行方不明となった患者の捜索にやってきた。

『この島は何かがおかしい』

『全ての謎をとかなければ、島を出る事は出来ない』

テディはそう考え、かの不可解な事件の解明に向けて病院を調べていくが、その先には皆が度肝を抜かれた衝撃のラストが待っている!

最後に繋がる一つ一つのピースが、解き明かされるにつれ謎が深まるタイプのスリラー

最後まで見たら、誰かに話したくて仕方がないあなたがそこにいるだろう!

ディカプリオ様と言うことも有り、話題となるのは当たり前で公開が決まってとてもワクワクしていた。予告編ではミステリー映画と怪奇映画のミックスかとのインプレッション

そしてあのエクソシストにも出演していたマックス・フォン・シドーが出演している。そしてこの手の映画で特に重要となる音楽の作曲者、ユダヤ人であるグスタフ・マーラーだ。

マーラーの代表的なピアノ四重奏曲イ短調で、本編のコーリー医師の部屋で奏でられ音が流れてくる。

テディはすぐにこれがマーラーの曲と言い当てるほど世間には知られている有名な音楽と言える。テディの脳内で回想で現れるナチスの大量虐殺の場面でもこの音楽が使われている。

ナチスではヒトラーを中心とした独裁政権によりユダヤ人を迫害しており、ユダヤ系音楽は禁止とされていた。ナチスというユダヤ系を禁止としている所でマーラーのこの曲が流れることは、昔ではありえなかったことであり、決して許されることのなかった両方の交わりが見ることが出来るものになっている。

映画の内容もそうだがこのように隠されたメッセージも汲み取りながら、謎を解いていく必要がある

厄介な映画でありながら、見応えのある内容だ

シャッターアイランドに到着したテディとチャックは

「4の法則、67番目は誰?」

という暗号を残し行方不明となったレイチェル・ソランドという女性の捜索を行っていた。

捜査をしていく中でこの病院の患者が66人いることを知る。もう1人の患者がどこかにいるという意味ではないかと推測する。コーリー院長にレイチェルの写真を見せられた際に激しい頭痛に襲われるテディ。何かを思い出すかのように酷い頭痛に襲われアスピリンを服用する。

見ていて不思議に思ったのは、患者や看護師がテディから事情聴取を受ける際に、チャックの方をちらりと見ている気がしたのだ。もしかしたら、チャックは以前にもここに来たことがあるのか?

患者や看護師が何か隠し事があることを匂わせる

その後も捜査を進めていき、カーンズという患者から事情を聞いていた。その患者はチャックをちらりと見たり、隙を見て手に逃げてと手紙を渡すのだが、この時不思議だなと思うことがあったのだ。

カーンズがコップを使って水を飲むシーンがあるがコップが映っていない!一体どういうことなのだろう。チャックは水をくんでコップを持ってきた。そしてそれをカーンズ飲んだことは事実だと思うのだ。その後に映ったコップに水は入っていなかったから。ますます謎は深まるばかり・・・

そして、テディは最愛の妻を失ったアパートの火災事件の犯人、レディスが収容されていると聞きおよぶ

彼に会いに行く最中にジョージとそしてこの時も、おかしいと思うことがあった。マッチで火をつけて会話をするのだが、途中からマッチを付けなくても相手の顔が見えるように部屋が明るくなっている

ここが物語の重要なポイントで、実際の会話とテディの頭の中で描かれていることが混ざっている可能性を示唆するポイントになっている、所々で映し出されるテディの過去や頭のなかでの出来事、このことから、テディ自身も精神疾患を患っているに思い及ぶ構成だ

その後も、次第にテディの脳内の映像からこの物語のヒントが出てくる

少女が言う、『なぜ助けてくれなかったの。どうしてみんなを守ってくれなかったの』、死んでいる血まみれの子供たち。大変なことをしたなというテディに対して苦笑いをした妻。そのカットのあとに水の中で浮いている3人の子供の映像が映し出されていく

テディはジョージに、お前ははめられたんだ。1人になったことはあるか?ずっと誰かと一緒だろ?あの女の子とは忘れろと言われるがテディはその際ドロレスと言葉を発している。

ドロレス…?テディの妻であるドロレスは、彼の妄想や幻覚によって見えているものなのではないか。

崖のシーンでも、そこでチャックが崖に落ちている様子が描かれている。

降りて観ると、その姿は消えており、やはりテディの幻覚である可能性が高くなっていく

その洞窟で本物のレイチェルと名乗る女と話すのだが…

妄想や実際のできごとが混ざりあっている中で、’水’や’火’がポイントとなっていると思われる。頭痛や夢、厳格に襲われたのは大嵐や水に関わるものに接しており、幻覚や妄想が混ざっているのではと感じる際には火が近くにあるのだ。

これらは、妄想や幻覚を起こすキーポイントとなっている

そしてクライマックス、テディは自分がレディスであること、妻が子供たち3人を殺したこと、自分が妻を殺したことを自ら思い出す。これは精神科のスタッフ全てで取り組まれていた治療だったのだ。チャックはレディスの主治医であるシーアン医師で、常に彼のそばで感じをしていたのだ。

レディスは自分が67人目の患者は自分だと悟り、全てを思い出し涙を流した…。

ここで誰もが思っていた疑問、4の法則とはなんなのかを整理

・エドワード(愛称:テディ)・ダニエル(EDWARD DANIEL)は、並べ替えると

・アンドリュー・レディス(ANDREW LAEDDIS)となり、
 レイチェル・ソランド(RACHEL SOLANDO)は、並べ替えると

・ドロレス・シャナル(DOLORES CHANAL)になる。

4の法則とは、テディとレディス、レイチェルとドロレスは同一人物であることを指していると考察する

並べ替えると別の名前になり、頭のなかで現実を認めないために別の人物を作りあげたのではないのだろうか。

子供をなくし、妻を殺害して自分まで精神がおかしくなってしまったレディスは、ここで現実と向き合わなければまた同じ繰り返しをしてしまうだろう。

コーリン医師は、今回の治療でレディスが自分を取り戻せなかった場合は、ロボトミー手術という感情や痛みも感じない本来の自分ではなくなる脳の手術を受けさせるという約束をしていた。

レディスはコーリン医師に、『ここを出よう』とテディとして話しかけます。コーリン医師は、院長に回復失敗の合図を送り、レディスは手術を受けるため灯台に向かう事に。灯台に向かう前に、レディスはコーリン医師に、『善人として生きるか、モンスターとして生きるか、どちらがマシなんだろう』と呟くのです。これは、レディスがテディの”フリ”をしていたことを意味しており、辛い記憶や感情を持ったまま生きていくつらさに耐えられないといったレディスの気持ちの表れであった

要所要所に現れる回想や妄想の糸を汲み取り、最後までどうなるのか気になって仕方がなかったが、結末は考えさせられるもの・・・

その昔、ハル・ベリー主演の『ゴシカ』(2003)を彷彿させる展開、まあありがちなんだろうけど

精神病院物で言うとちょっと系統が違うが、『カッコウの巣の上で』がやはり鉄板だなぁと思いつつ、

自分がこうなった場合、記憶を持って生きていくことに耐えられるか分からない。少しでも早く、楽になりたいと、願ってしまうかもしれないと思う今日この頃

次に観るときには、もっと違う解釈が生まれそうな映画である

― hogeru -