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『隔たる世界の2人』Netflixアカデミー短編賞SFタイムループで語るジョージフロイト・BLM問題を風刺!:動画配信・映画感想あらすじ考察

2021-05-04

映画『隔たる世界の2人』はNetflixのアメリカの2021年のSF短編映画!ワンシチュエーション、ワンイシューで訴える映画スタイル賛否両論ありそうだが秀逸な方向性と脚本でエッジが効いている!朝起きてから警官に遭遇し死ぬまではひたすらタイムループしてしまう黒人のカーター青年のお話

本作品は2021年のアカデミー賞短編映画賞を受賞しています!

SFタイムループ物

なのですが、ひと味違います。

そうです、人種差別問題に対して強烈なメッセージ性を発揮しています

それほど素晴らしい作品ということですよね

アカデミーが好きそうな作品です

人種問題の中でも、近年、問題になっている黒人問題をテーマにしています。

昨年の大統領選挙の最中にあった、あの事件・・・

30分程の短い時間でどんなメッセージを込めた作品を作っているのか、気になりますよね。

映画への賛否両論あると思いますが、私はおすすめの作品です

5のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレあり

ニューヨークに住む黒人のカーター

昨晩夜を一緒に過ごした、女性ベリーのベットで目を覚ます。なんてことの無い日常のなんてことの無い朝の会話をした。そして愛犬ジーターこともあり、自宅に戻ろうと外にでる。

そして、朝の一服

周囲は普通の日常だ

そこで、白人のメルク巡査に、タバコの匂いがおかしいと職務質問を受ける。リュックからこぼれた札束にも疑問を投げかけられて、逮捕すると言われ手を後ろに地面に強く押さえつけられる。

カーターは息が出来なくなり、窒息死してしまう・・・・

ほどなくして、またベリーのベットで目を覚ますが、同じ時間をループすると知るが、結果は同じ警官に必ず殺される。その行動を何度も繰り返すタイムループの世界に閉じ込められる。

99回目のループでカーターは警官に思いきって話しかけてみた。そして、次の100回目には説得に成功して、カーターの自宅まで送り届けてくれることになるが・・・・

[showTable]

映画情報&キャスト

『隔たる世界の2人』2020年 アメリカ
【監督】トレイヴォン・フリー
    マーティン・デズモンド・ロー
【脚本】トレイヴォン・フリー
【音楽】ジェームズ・ポイザー
【撮影】ジェシカ・ヤング
【出演】
カーター・ジェームズ(ジョーイ・バッドアス)
:黒人のグラフィックデザイナー。愛犬のジーターを飼っている。
メルク(アンドリュー・ハワード)
:白人の警察官。毎回、カーターに声をかける。
ペリー(ザリア・シモン)
:カーターと一晩を共にした間柄。

超感想中心の評価考察・レビュー

アカデミー短編賞を受賞の秀逸作品!

本作は2021年のアカデミー賞短編映画賞を受賞しています。

他にも、今年は『Feeling Through』 『The Letter Room』『The Present』『White Eye』が短編映画賞では、ノミネートされていましたが、見事に本作が受賞し、話題になりました。

やはり黒人差別問題に注目をするアカデミー賞ということもあり、受賞したのかな?とも感じます

BLM等も含めて、あまりにも黒人差別問題が叫ばれることが多い昨今は、タイムリーでもあります。

映画の中でも、それを隠すこと無く、

ビルの屋上などに、”ジョージ・フロイト”などと書かれていたり、エンドロールでは、警官からのいわれなき差別で亡くなった思われる被害者の方を流すのも特徴でしょう

アカデミー賞では、実際に起こった事件や自伝映画などが受賞する傾向にあります。そういうこともあり、社会問題をテーマにしている作品が受賞するのは当たり前なのかもしれません。

黒人差別問題をテーマに

先程も書いたように、本作は黒人差別問題をテーマにしています。

何故本作は制作されたのか?というと、元になった事件があったからなのです。

それはジョージ・ペリー・フロイド・ジュニアという黒人男性が白人の警官に殺されてしまうという事件です。
彼が亡くなってから、二ヶ月後に脚本が制作されたと言われています。

ジョージ・フロイト事件として、有名な事件です

まさに、この事件がきっかけとなったわけです。この事件は、タバコを買う際に、偽札を使用したという疑いで逮捕される最中にジョージさんが死亡してしまったという事件です。

あまりに酷い事件ですし、タバコを買うだけで何故?と思わざるを得ないです映画の中でも、タバコを吸おうとしてメルク巡査に必ず話しかけられることから始まります。

ほぼ同じと言っても過言ではありません

カーターとの一致性ですが

  • 偽札 = 札束を持っていた
  • タバコ = 変な匂いのタバコ
  • 地面に押さえつけられる窒息 = 同じ
  • 目撃者が撮影している = 同じ

パロっていると言うよりも、本当にメッセージを完全に込めまくっています

99回、100回のタイムループ ネタバレあり

カーターは、もうこれでもかってくらい警官から逃げるために、色々な事をしますが逃げられません。

映像で確認出来ただけでも、

1回目:押さえつけられて窒息死
2回目:拳銃で撃たれる
x回目:彼女の部屋に勘違いで踏み込まれ殺害される

99回目:一旦逃げ出せるが、他の犯罪者の逃走劇に巻き込まれ殺害
100回目:自宅前で拳銃で殺害
101回目:xx

カーターはどうしても、メルク巡査に殺されてしまうのです。

カーターは、99回目の時に思い切って話しかけてみます。

「毎朝俺に撃たれているのか、撃たれる前にここから消えろ」

警官の思わぬ発言に意気揚々と青い空を眺めながら、タバコを吸い始めた時に、犯罪の逃亡犯に間違われてあえなく射殺、これは他の警官に殺されたことを示唆しています

そして、カーターは100回目にさらに警官に「家まで送ってくれよ」とお願いします

「今まで99回殺された、俺が何をしても関係ない警官は俺を殺したいだけなんだ」

警官もそれに呼応して、家まで送ってくれることになります。二人は車の中で今までしなかった会話をします。

警官はどこにでもいる普通のアメリカ人、いじめられた事がありそれが切っ掛けで警官になった、黒人は最初から色眼鏡で見られている(警官は同意しないけど)、ルールや規則を破った者は黒人であれ白人であれ責任を取るべき

などなど

黒人青年のカーターを家まで無事付き、車を路上駐車禁止のマーク下に止めます。

二人はもう二度と会いたくないけど、ありがとうと言葉を交わし、別れます

そこで、警官は

「最高の演技だったよ」「今回だけは、話を聞いてやった。今までで一番良かった」

とカーターに言い放ち、背中から殺害してしまいます

そして、101回目の朝、ベリーに事の成り行きを語ります。

そして諦めない事を心に誓い、またいつもの朝に向かっていきます!

映画考察 アメリカ人種差別へのメッセージ性

30分という短いながら本作品は強烈なメッセージ性があります

人種差別、特に黒人に対する思いが強く出ています

かなり強く出ているので、かなりうがった見方になります。

個人的には、そこまでひどいのかと、かえって違うバイアスがかかって見えちゃいますがね、ハリウッドでは確かに好かれそうな感じです

さて、ジョージ・フロイトさんとの一致性は、さるこおながら、それは映画内・エンドロールでもまったく隠喩やメタファ的に用いられるのでは無く、どうどうと発信しています

その他に、主張的な物がもの凄く多い

私には以下のように感じます

  • 何もしてなくても警官に絡まれる : 
    黒人は何か問題を起こしたから殺されるわけではない、殺したいから殺される
  • 映画タイトル : 
    二つの世界は永遠に交わらない(現代のタイトルが、「Two Distant Strangers」)
  • 周囲の人たちはだれも止めない : 
    日常の中で起こっている事件は普通の白人も同罪と断じています
  • 誰が見ていても事件は起こる : 
    (撮影しているだけ)メディアが騒いでも何も変わらない
  • 警官(白人)は罪を犯しても誰も罰しない(駐車禁止に) : 
    ルールは都合よく捻じ曲げられる
  • 警官も実はループしていた : 
    現実世界でも権力側は確信犯
  • 100回目に殺された時のカーターの血痕がアメリカ地図 : 
    全米で同じ事が起こっている
  • 101回目のループでラスト : 
    黒人は決して諦めない、戦い続ける

何を言いたいかも含めて、かなりうがっていますよね

映画の良さとは別にして、かなりメッセージ性が強い

カーターとメルク巡査の関係、アフリカ系アメリカンと警察の関係

日本ではあまり考えられませんが、アメリカでは黒人が差別され、白人警官に殺害されるという事件は、昔から起こり続け、今もなお続いています。

この映画はまさに、その差別の氷山の一角を描いたものなのです。

本作がよくできていると言われている所以は、部屋の外に出れば、黒人はまず何もしていなかったとしても、気をつけなければいけないということです。

どんなに非がなかったとしても、白人からすれば、黒人というだけで非があるように思われ、逮捕されたり、抵抗すれば殺されるというのが当たり前の世界なのです。

それがループすることによって、変わることのない社会を比喩しているかのように感じます。

主人公のカーターは色んな手を使い、何とかしてループから脱出しようと試みます。
しかし、どんな手を使っても、無理なのです。

それは、アメリカの終わることのない差別を表現しているのではないでしょうか。

この映画が本当の本質を表しているのだとしたならば、

アメリカの終わらない差別のループから、いつか彼等が脱出できる日を願うばかりです

映画の感想まとめ

本作は短い作品にも関わらず、メッセージ性が強いのにもかかわらず、

映画単品としてみても、素晴らしい作品ですね

起承転結、明朗なメッセージ

これが伝われば、良い映画間違い無しです。

アカデミー賞受賞も納得の出来、是非、多くの方に見ていただきたい作品となっています