映画感想『リチャード・ジュエル』本当のヒーローの物語!警察権力のずさんな調査が悲劇を生む

2020-01-10

映画『リチャード・ジュエル』名前と同じ実名の男性ははアトランタ五輪の爆発事件で人々を救ったヒーローであり、第1容疑者!その実話を元にクリント・イーストウッドがメガホンを取り、いかに容疑者として権力とメディア から苦しまされ、容疑が晴れていくかまでを鮮明にえがく。超おすすめの正統派ドキュメンタリーモチーフのサスペンス

あらすじ 見どころ

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1996年アメリカのアトランタ、世間はアトランタオリンピック一色に包まれていた。リチャード・ジュエルは人々を守りたい、助けたいと思うただの男で、思いが強すぎ行きすぎた行動が目に付き周囲に溶け込めないようなずに職も転々としていた。母一人子一人の家庭環境で育ち、母親を大事にお互いをいたわり合いながらほっそりと生きていた。そんなリチャードがアトランタ五輪の開かれるアトランタの中央公園で開かれているコンサート会場で不審物(バッグ)を発見し、セキュリティガードから警察までを説得し動かし人々を避難誘導する。爆弾処理班が到着の後、不審物は爆弾だとわかり、現場では避難を進められる。その時爆弾が爆発が発生して100人の怪我人と2人の死者が出た。翌日リチャード・ジュエルは観客を爆発から救ったヒーローとメディアから一斉に持ち上げられる。本を書かないかとオファーまで来て、母親も息子の誇りある行動に対して歓喜があふれれていた。それももつかの間、リチャード・ジュエルはFBIから第1容疑者として疑われはじめた。FBIが情報をリークしアトランタ・ジャーナル・コンスティチューション紙の女性記者キャシー・スクラッグスに第1容疑者の事が伝わり、一気にメディアが報道合戦を始める。リチャード・ジュエルは昔の知り合いの弁護士ワトソン・ブライアントに連絡をして弁護を頼むが、母親と息子の生活全てとプライバシーはFBIとメディアにどんどん暴かれていくのだった。。。。

映画情報&キャスト

『リチャード・ジュエル』 2020年 アメリカ
Richard Jewell
監督    クリント・イーストウッド
脚本    ビリー・レイ
原作    マリー・ブレナー
製作    アンディ・バーマン
      レオナルド・ディカプリオ
      ジョナ・ヒル
      ジェシカ・マイアー
      ティム・ムーア
      ジェニファー・デイヴィソン
      ケヴィン・ミッシャー
出演者
リチャード・ジュエル
      ポール・ウォルター・ハウザー
ワトソン・ブライアント
      サム・ロックウェル
バーバラ・ジュエル
      キャシー・ベイツ
トム・ショー
      ジョン・ハム
キャシー・スクラッグス
      オリヴィア・ワイルド

映画評価感想 ネタバレあり

実話からほとばしる一つ一つの積み重ねが深みを増す

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『リチャード・ジュエル』は真実をベースに作られた映画であるが、ドキュメンタリーでは無く、本物をなぞらえているが、細部にわたって社会に対しての強烈なメッセージを込めて意図的に作られている。

クリント・イーストウッド監督のインタビュー(youtube.com)によると、明確な言葉では語ってくれていないが今の情報社会の中で一つの事柄、誰かが何かを信じたい何かを発信したなら、その情報に踊らされ全員がすがっていく様を警告している。

そして、その信じたい何かが嘘であっても真実と平行して存在し、いつか真実がやってきた時に人々は向き合わねばならないが、今までの積み重ねてきた虚構の前には真実は向き合いたくないもので辛い物というメッセージが込められていると思う。

本作品は、事実と人々が体験した経験、報道の有り様の中から出てくる、メッセージが随所に盛り込まれているのでシーンの一つ一つ、作り手の情熱や重いが確実に伝わる素晴らしい作品だ。

報道のあり方、インターネット時代の情報のあり方

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本作品内での、アトランタ・ジャーナル・コンスティチューション紙の女性記者キャシー・スクラッグスは、FBI捜査官のショーからの情報を不適切に入手してしまう。

調査とはそんな物かもしれないが、事実認識では無く、FBI捜査の疑惑がリチャード・ジュエルに向いていると言うことだけで、リチャード・ジュエルを犯人のように報道してしまうのだ。

リチャード・ジュエルを疑う内容の全てが”たられば”にもなっていない。物証も状況証拠も何一つ無しで、つなぎ合わせてもいない。

その後のFBI警察の捜査もずさんな物だ。そもそもFBIの捜査も、リチャード・ジュエルが昔勤めていた大学の学長からの逆恨み的な後付けの注進から始まっている。

どこにも事実が無いのに、一度走り始めたら取り戻しが効かないのだ。何かに似ている。

そう、本作品はインターネット社会や、SNS,情報社会に潜む拡散性とその危険度を風刺しまくっている。

名画たり得る要素は随所にあり <ネタバレあり>

本作品は事実ベースなので、ネタバレと言うほどの驚くほどの展開も無いが、少し注意しながら

リチャード・ジュエルとその家族の苦悩、平穏な生活の破壊者が公権力を持つ[政府・FBI組織]と[メディア]なのだ。母親のバーバラ・ジュエルの記者会見にてワトソン・ブライアント弁護士も明確に冒頭でそう言っている。

最終的には、FBIは家宅捜査までしておいて物的証拠が見つからず、裁判所からも控訴を棄却されて幕を閉じる。その6年後に本当の爆弾犯が捕まり、物語は終わる。

それぞれの人間ドラマ

法執政官リチャード・ジュエルと弁護士ワトソン・ブライアント

自らを法の執政官と呼び、人のためになることを行い、人を守ることを第一に考え行動する公序良俗の規範となる正しき人、リチャード・ジュエル。

野心家で仕事以外には興味を払わない弁護士のワトソン・ブライアントが1986年に出会っている。

野心家駆け出しの弁護士、片や備品補充係が良く気がつくリチャード・ジュエルの事を気にいって、リチャード・ジュエルも対等(馬鹿にせず)に扱ってくれるワトソン・ブライアントに好感を持っていた。

リチャード・ジュエルがヒーローになったときに、本の契約をする時の法的代理人にワトソン・ブライアントを指名したのだ。そしてリチャード・ジュエルが第1容疑者として当局から目を付けられた後に、彼を信じるその気持ちだけで弁護を開始する。

そのお互いの性格を知るきっかけが、スニッカーズとゲーセンの射撃ゲームだ

※余談
映画のうたい文句では、”無謀な弁護士”とのふれ込みあるが、正直そこまでの辣腕ぶりを発揮するようなシーンはあまりない。この映画は弁護シーンの期待していないので問題ないのだが、なんとなく日本語のキャッチコピーが失敗している気がする。

FBI捜査官トム・ショーとキャシー・スクラッグス女性記者

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劇中で、キャシーが不適切な事の代償に見返りをもとめ、ショーが応じるシーンがある。本シーンはアメリカでは問題になりアトランタ・ジャーナルから訴訟問題にまでなっている。

平たく言うと、枕営業だ

クリント・イーストウッド監督のインタビューでは、この辺は状況証拠から似たようなことをキャシーはやっているだろうと言うことで映画のストーリーとしては問題なしと毅然と対応したと語っている。

FBI捜査官と女性記者が、お互いに情報のやりとりをしていい方向に向けばいいが、今回はえん罪を作り出している。

クリント・イーストウッドのインタビューでも、アトランタオリンピック中に早期の解決が必要だった公権力者達は、”見込み”の情報と操作に頼り、メディアを使い犯人像を作っていったに違いない。

母親と息子

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母親への息子に対する愛が、至る所にちらばっている。

母子家庭のせいか、成人してからも母親にべったりのリチャード・ジュエル。母親も息子との幸せな生活を望んでいるだけなのに、ヒーローから容疑者に急転直下。

リチャード・ジュエルのことはいつも信用していた。リチャード・ジュエルの捜査が終了したときに、まっさきにやりたいことは、母親に会いたいと言うところから、息子からの母親への愛情も負けてはいない。

映画の本気度アカデミーを見据えて

似すぎていた男ポール・ウォルター・ハウザー

各紙、クリント・イーストウッド監督からもとにかく大絶賛のポール・ウォルター・ハウザー。かなりのレベルで表情から動きまでリチャード・ジュエルにそっくりのようだ。

リチャード・ジュエルの実母も、ポール・ウォルター・ハウザーを見たときに驚いていたと語られている。

サム・ロックウェル正義の悪態がジュエルを救う

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『スリービルボード』からさらに磨きがかかったサム・ロックウェルの演技は一皮むけたというよりも、進化していると思う。『コンフェッション』のとげのあるシャープな演技、『月に囚われた男』の一人演技あたりから、熟成の域に達してきており、乱暴さが抜けて緻密になってきている。

熱気・野心家の弁護士が落ちぶれていきながらも、心の奥に魂をやどして正義の人を助ける。

依頼人に寄り添い、やさしい目で常に状況に目を光らせている様を、風体とのコントラストを付けけながら見事に演じきっている。個人的には、本作の演技ではサム・ロックウェルがナンバーワンだ。

キャシー・ベイツの母親の弱点

キャシー・ベイツといえば、『ミザリー』『タイタニック』など、名だたる映画のポイントをおさえた役どころで存在感を発揮する。

本作では、母親の難しいところ、愛情をまといつつ、息子を信じつつ、状況を必至に耐える姿をあますところなく表現している。

実話のトレース度

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本作は実話をベースにしているが、出演者や本当の人物はそっくりな人達をクリント・イーストウッド監督が選んでいる。

母親もキャシー・ベイツにそっくりで、爆発会場まで劇場にそっくりに作られている

この辺がリアル感を増している要員なのだろう。

まとめ

”ほげる”的には、超おすすめの映画だ!

2020/1/17公開予定であるが、”ほえる”は一足先に試写会で見ることが出来た。
アカデミーにノミネートは間違いなくするだろうと個人的には思っている。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      5
 キャスト       5

 ストーリー構成    4
 初見で読み取れない謎 5

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、面白い作品と思います。