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『ミスティック・リバー』複雑に絡み合う戦慄の因果関係:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-06-29

映画『ミスティック・リバー』主演・助演のWアカデミー賞を受賞した極上ミステリー!街の顔役ジミーの娘ケイティが惨殺死体で見つかる。街の秘部と戦慄の因果関係、幼なじみの刑事のショーン、容疑者のディブ、ジミーは幼き頃に掛け違えたボタンを未だに引きずりながら、事件の真相に直面していく

第76回のアカデミー賞に6部門ノミネートされ、

作品賞は逃したものの、主要部門の主演男優・助演男優を見事に受賞したクリント・イーストウッド監督の極上のミステリー作品

見事な配役と、3人の幼なじみが遭遇した暗い街の秘めた出来事を物語の起点として

それぞれの、数奇な運命と翻弄される未来を見事に表現しています

クリント・イーストウッド監督作品は、どれもエッジの効いた社会への風刺が詰まっていますが、

本作は、単発のミステリー作品として構成されています

タイトルがミスティック・リバーと、実在のボストン周辺の川を題材にしています

そして、この川

ってのが曲者で、全てが運命の繋がりだとでも言うかのように少しずつ繋がっていく秀逸なサスペンスミステリー映画です

本作品は何度見ても見事で、人間のダークな感情を引き出されます。

重厚なストーリーが特徴!間違いなく、見るべき映画!

そんな、本作のおすすめ度は

5のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

ミスティックリバー沿いのある街で暮らす少年、ジミー、ショーン、デイブの3人はいつも仲良く遊ぶ親友だった。ある時、警察を装って近づいてきた男たちに、車でディブが連れされられ性的虐待の末に4日後に救出される。小さな町では、悲しいほどに噂が街を包み、仲良かった3人を引き裂き、お互い距離を置くようになる。11歳の出来事だった。
それから25年、街の顔役になっているジミー、警察官のショーン、しがない生活を送っているディブはそれぞれが交わることなく生活していた。
街でグローサリーストアを経営するジミーは、二番目の妻と子供3人で暮らしていた。長女のケイティは前妻との子供で溺愛していた。
そんな時、ケイティが惨殺死体で発見される。
ケイティが殺された夜に、バーで彼女が酒を飲んでいる最後の姿を見たディブはその夜自宅に帰ると血だらけで帰宅する、本当の理由を妻に話そうとしないディブは追い詰められているように見えた。
ケイティ殺人の捜査で警察の刑事担当は、ショーンだった。ジミーとは久しぶりの再会だが、ジミーの愛娘の死が二人を再び結び付けていく、警察の懸命の捜査にも関わらず、犯人の逮捕にはつながらなかった。ジミーは自分の子飼いのごろつきを使って、娘を殺した犯人を捜し始める。
ショーンの殺人の捜査線上には、いつしかディブが上がり警察で事情聴取までされるようになった。
ジミーはディブの妻にケイティが死んだ夜の様子を確認するのが・・・

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映画情報&キャスト

『ミスティック・リバー』 2003年 アメリカ
【原題】Mystic River
【監督】クリント・イーストウッド
【脚本】ブライアン・ヘルゲランド
【原作】デニス・ルヘイン
【製作】クリント・イーストウッド
    ジュディ・ホイト
    ロバート・ロレンツ
【製作総指揮】
    ブルース・バーマン
【出演者】
ジミー(ショーン・ペン)
 :幼なじみ3人組 街の顔役
ディブ(ティム・ロビンス)
 :幼なじみ3人組 幼少時警察を装った犯罪者に連れ去られる
  大人になってもキズは癒えていない
ショーン(ケビン・ベーコン)
 :幼なじみ3人組 警察
セレステ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)
 :ディブの妻
アナベス(ローラ・リニー)
 :ジミーの妻
ホワイティ(ローレンス・フィッシュバーン)
 :ショーンの相棒

超感想中心の評価考察・レビュー

WarnerBros公式 youtube.com

クリント・イーストウッド監督の原作が小説の映画

クリント・イーストウッド監督によるミステリー小説が原作のサスペンス・ミステリー映画です。

今でこそ、アカデミー賞に時折名を連ねる、クリント・イーストウッド監督

監督には珍しく文芸的なミステリー小説が原作の作品です。監督と言えば、伝記的なものや史実に基づくもの、実際の事件にインスパイヤされたものが多いイメージで、『リチャード・ジュエル』、『運び屋』、『アメリカン・スナイパー』など

たた、このイメージは最近の映画のイメージで、

古くは『マディソン郡の橋』や、『ミリオン・ダラー・ベイビー』などフィクションからも名画が実は多いです。

オールドムービーファンには、俳優としても本当に有名ですが、本作では監督業に徹しています。

クレジットをじっと見るまで、気が付いていなかったのですが、本作の音楽もクリント・イーストウッドが担当しています。

どうりで、シンプルな音楽なはずだ。

だらかといってしょぼいわけではなく、そこそこ重厚で心にしみるメロディーラインでした!

監督の作る映像作品は、どれも何かテーマをぶつけてきますが、本作では

ずばり、分岐、分かれ路、もしも

そういった少年時代のある過去にあった出来事を、大人になるまで引きづりつつ誰もが、数奇な運命で関わった人たちが絡み合い、話を複雑にしていきます。

ショーン・ペンの圧巻の演技力 悲哀と怒り

ショーン・ペンは、本作で圧巻の演技力を見せつけてくれます。

本作でアカデミー賞主演男優賞を獲得して、晴れてアカデミーへのノミネート男優から、主演男優へ仲間入りです。

これまでのショーン・ペンは、『アイ・アム・サム』『デッドマン・ウォーキング』などで比類無き演技力を見せておきながらもすんでの所で、受賞ならずだったのですが、本作で3人の幼友達の中で娘を殺され、親友を殺さなければいけない役で射止めました

若い頃のショーン・ペンは、乱暴者でティーン映画に出るイケメンだけが取り柄で、マドンナと結婚までした、ラッキーボーイくらいに思っていました。

ところがです、『カラーズ/天使の消えた街』『俺たちは天使じゃない』あたりから本当に演技力が増しました。

個人的には、それぞれ

デニス・ホッパーロバート・デ・ニーロとの共演が大きかったのではないかと、思っています。

その後は、演技派でグイグイ、ノミネートされ名作に顔を出すようになります。

甘いマスクから見せる、独特の悲しげな愛のある表情と目が独特です。

ヤクザ者ややさぐれがにあうのに、イタリアンマフィアのように家族や周囲の人にはとてつもない愛で包むかのような目です。

この辺はゴッドファザー等の家族愛に通じる雰囲気を個人で醸しだしています

本作では、恥ずかしながらケイティが死体で発見された直後の現場に、突入してきたジミーが警官に止められている時の演技には、がっつり感情移入して泣いてしまいました

まさに、痛いくらい悲しみが伝わってきます。哀しみの中に、現実を信じたくない、信じられない表情が抜群です。

その後の、霊安室でのケイティを見るときの冷め切った顔

自分事として捉えることの出来ない、まるで上の空な表情。

ショーン・ペンは、顔で本当に魅せます

ティム・ロビンスの安定のサイコ風 死生観

ティム・ロビンスは、本作で、子供時代に誘拐犯の車に乗ってしまい運命の分かれ道で悲惨な道を歩んだ少年が大人になった、ディブを演じます

独特の演技力がここでも光ります

ティム・ロビンスと言えば、『ショーシャンクの空』の主演を務めて誰も知るアンディ(劇中の名前)です

ショーシャンクは、圧倒的な”希望”を見いだす映画として、爽快感と前を向ける映画として、アメリカの名作100に数える人も少なくないでしょう。

アカデミー賞レースではノミネートまでは数多くされましたが、残念ながら受賞には足らなかった不運の作品です。

本作『ミスティック・リバー』では、ショーシャンクの真逆で、幼少の時に受けた誘拐&性虐待で、人生の歯車が大きく変わって、そのトラウマから抜け出せない男性ディブを演じます。

ディブはどこまでも暗く、自分を取り戻せない男性です。このショーシャンクとの対比が、また面白いですね

『隣人は静かに笑う』など、

カリスマ性のある狂信者的な演技が本当に上手いです、それだけに本作でのディブも最後まで”怪しい”雰囲気で引っ張っていく演技力は流石です

『デッドマン・ウォーキング』で、自身が監督し、当時のリアル世界のパトナーのスーザン・サランドンを主演に、本作のショーン・ペンが死刑囚を演じる、リアル生活での面白い繋がりと、映画の中での配役の皮肉的な違いがあったりします

刑事にケヴィン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーン

ケイティー殺人事件を追う刑事役として、

幼なじみのショーンとして『フットルース』『トレマーズ』のケヴィン・ベーコン

その相棒として『マトリクス』『コンティジョン』のローレンス・フィッシュバーンと豪華な配役になっています

良い刑事、悪い刑事のように、ローレンス・フィッシュバーンがキツイ口調で詰め寄り、ケヴィン・ベーコンがなだめながら捜査していきます。

豪華過ぎる刑事ですが、良いコンビですね

二人とも、悪役も主役級もこなす、いぶし銀な俳優です

掛け合いがものすごく、リズムが良く、映画のストーリー構成を引っ張っていきます

映画 感想考察

一言で言うと、よく錬られた秀逸な作品です

全体的なストーリーの展開として、ケイティー殺害事件と全く関係の無い3人の幼なじみが少年の時に体験した事件が、それぞれの心にそれぞれの思いとして突き刺さったままに心情描写されていく様が抜群に巧妙です。

事件性としても関係ないのにもかかわらず、重くのしかかった重石のように人生を暗くし、心に刺さり取れないトゲのように言動行動に影響するディブ(ティム・ロビンス)!

そして、ディブを救えなかった、ショーン(ケヴィン・ベーコン)が刑事になり、ジミー(ショーン・ペン)が街のやさぐれをまとめ服役するような顔役に、数奇な運命を辿ります。

幼きときに、別れた道の上で、レールをそれぞれ外されたかのように・・

少々台詞回しで、各々が引きずられていることを誇張しすぎていますが、良くわかります。

この映画での運命の分かれ道を辿るのは、

比喩的にもう一段奥深いものが用意されます

それは、道を誤った3人の男だけでなく

それぞれの奥さんがまた別れ路に立ち、異なった選択をします

ジミーの妻(ローラ・リニー)は、どんな夫でも、娘達の父親として支えることを決意し
ディブの妻(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は、夫を信じられずにジミーにディブを売ってしまい、最終的には死への引き金を引いてしまいます。

この対比が凄い!

普通、夫を売るか・・・

でもディブは、小さいときにも結局、一人誘拐犯の車に乗ってしまい、ババを引いてしまい、そのディブにもう一度ババを引かせるとは、本当に酷い。

演じていたマーシャ・ゲイ・ハーデンは、『ミスト』でも一人神への信心を訴え、生け贄などとんでも発現をしているので、オタオタ感の演技が抜群に旨い!

何気に、アカデミー賞で助演をとっていますから演技力は確かです(『ポロック 2人だけのアトリエ』)

良くわからなかったのが、

ショーンの妻が、事件解決後になんだか急に別居解消して戻ってくることになります

多少こじつけですが、多くを語らない、座して好転するのを待ったって所でしょうか、無言でショーンにずっと電話だけは掛けていたので。

全体的に、3人に関わる人物描写とその薄い一本の糸で繋がる関係性が、事件の発生に繋がり、事件を複雑にして更なる罪を犯していくさまが本当に秀逸です。

主演男優をとったショーン・ペンの演じた、ジミーの中に、

悲哀
哀れみ
怒り
悲しみ
懐古
忘却の幼年時代

細かく、繋がり積み上がる演技と構成が本当に秀逸でしたね。

海外の評価 2020/06時点

海外評価サイトでも、両サイトとも高得点をマークしています。

納得の評価ですね

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
84
User rating7.9/10

ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
88
Audience89

映画の感想まとめ

どれも、濃厚で見る人を惹きつける、クリント・イーストウッド監督作品です

本作は、主要アカデミーの主演と助演をWで取る

超秀逸作品に数え上げられます

派手な銃劇や、社会に訴えるようなドラマ性ではなく、

人物の心情を深くえぐり、内面まであぶり出している所で本当に見ている視聴者を引き込みます

✔クリント・イーストウッド監督作品ははずせない
✔娘を持つ親の溢れる愛を悲しみから見たい ショーン・ペンの圧巻演技
✔ティム・ロビンスの暗い暗い暗い演技を見たい人

こう思う人ならば、本作品は好きになれると思います

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      5
 キャスト       5
 ストーリー構成    5
 初見で読み取れない謎 5