映画感想『レッドドラゴン』エドワード・ノートンとアンソニー・ホプキンスの俳優対決!羊たちの沈黙の前日譚にあたる濃厚サスペンス

2020-04-15

アカデミー賞受賞の『羊たちの沈黙』の前日譚にあたる『レッドドラゴン』は、ハンニバル・レクターとFBIの奇妙な連携で連続殺人犯を追い詰めていく濃厚サスペンス映画!元FBI捜査官のウィル・グレアムは、家族連続殺人犯の捜査協力をFBIから受け、自身が逮捕した殺人鬼ハンニバル・レクターの助言を引き出しながら真犯人を捕まえるべくプロファイルを進めていく

知らない人はいないんじゃないかと思われる、『羊たちの沈黙』のレクター博士がどうして逮捕に至り、どうしれクラリスとハンニバルに接点ができてきたのかまでを、FBIのレクターを逮捕したウイル・グレアムの視点で犯人を追っていきます。

原作がトマス・ハリスの小説の本作は、映画では4部作の中の3作目にあたります。

アカデミー賞受賞したジョディ―・フォスターの映画『羊たちの沈黙』に目が行きがちですが、本作品も負けず劣らず優秀作品です。

ぐっと引き込まれていく映画構成は一級品です

間違いなくおすすめの作品です

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

怪奇殺人犯を追い、犯罪心理医学者のハンニバル・レクターに協力を仰いでいるFBIのプロファイラーのウイル・グレアムは、殺人犯の死体の処理方法について独自の展開に至った。なんと食人していたのだ。そのことをレクターに伝えるとともに、レクターなら何故その可能性に至らなかったのかを疑問に思っていた。

その時、レクターに襲われ重傷を負いながらも銃で撃退し双方負傷しながらもレクターを逮捕することが出来た。

それから3年
FBIをやたウイル・グレアムは犯罪や今までの経験を書籍にして生活していた。ある時、FBIの元上司から家族連続殺人事件のプロファイルで意見を聞かせてほしいと依頼を受け、久々にFBIの仕事を行うが残された証拠や殺害現場の写真からはなかなか、新たな気付きを得られずにいた。
元上司のジャックと相談し、殺人食人鬼のレクターに意見を聞くことにした。レクターは獄中から論文を寄稿する等、類まれな頭脳を持っていた。

そのハンニバル・レクターとの会話で、新たな証拠にも気が付き犯人像へ迫っていくが、レクターの監房から犯人との文通の証拠が浮かび上がってきた・・・

あらすじ詳細はmihoシネマ参照

映画情報&キャスト

『レッド・ドラゴン』 2002年 アメリカ
【原題】Red Dragon
【監督】ブレット・ラトナー
【脚本】テッド・タリー
【原作】トマス・ハリス
    『レッド・ドラゴン』
【製作】ディノ・デ・ラウレンティス
    マーサ・デ・ラウレンティス
【製作総指揮】
    アンドリュー・Z・デイヴィス
【出演者】
ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)
 :犯罪心理医学の権威で殺人鬼、食人鬼
ウィル・グレアム(エドワード・ノートン)
 :元FBI捜査官、ハンニバルを逮捕する
ミスターD/フランシス・ダラハイド(レイフ・ファインズ)
 :連続一家殺人事件の犯人
ジャック・クロフォード(ハーヴェイ・カイテル)
 :FBI捜査官
リーバ(エミリー・ワトソン)
 :フランシスと同じ職場で働く盲目の女性
モリー・グレアム(メアリー=ルイーズ・パーカー)
 :ウィルの妻
フレディ・ラウンズ(フィリップ・シーモア・ホフマン)
 :ウィルを執拗に追う新聞記者

超感想中心評価

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小説が原作の『レッドドラゴン』

レクターシリーズ4部作は、トマス・ハリスのレクターシリーズからとなります。原作の出版順としては、『羊たちの沈黙』よりも前に『レッドドラゴン』が1作目として出版されています。

  • 『レッド・ドラゴン』(Red Dragon)
  • 『羊たちの沈黙』(The Silence of the Lambs)
  • 『ハンニバル』(Hannibal)
  • 『ハンニバル・ライジング』(Hannibal Rising)

世間では、『羊たちの沈黙』が売れてアカデミー賞まで取り、アンソニー・ホプキンスがめっちゃ評価されました。
実際、『羊たちの沈黙』ではアンソニー・ホプキンスのうなじあたりからぞくっと来て、最終的には自分のはらわたが引きずり出されそうな感覚に陥る演技力は圧巻でした。

ジョディ―・フォスターも、それに呼応するかのようにクラリスでは何故かレクターに好かれる捜査官として、未知なる恐怖を掻き立てられました。

そんなレクターシリーズで、
本作は、レクターの逮捕からクラリスに出会う直前までを描きます。

小説では、ウイル・グレアムと、家族連続殺人犯との関わり合いのなかで出てくる助言をする単なる囚人的な扱いで描かれていますが、映画の中ではむしろ『羊たちの沈黙』があったっため、レクターと言う存在があっての、ウイル・グレアムのFBI捜査の物語として描かれています。

演出として映画では獄中にいながらもレクターは抜群の存在感をかもし出しています。

監督は多才なブレット・ラトナー

監督は『天使のくれた時間』で、ファンタジーラブロマンスを撮ったブレット・ラトナー監督です。キャリからは想像できない、本作の濃厚ミステリーですが、多彩なところを見せてくれています。

『天使のくれた時間』でもそうでしたが、視聴側に考える余地を残して映画の演出とプロットを進めていくのがうまいです。しかも、視聴側に伏線的な、完全に謎解き的な置き方はせずに、理解する程度のスタンプ・マーキングをしていくのが非常にうまいです。

合わせて読みたい『天使のくれた時間』

映像の間の取り方もうまいので、視聴側はストレスなく理解しながら見ることが出来ます。

この辺のレトリックは、おそらく『ラッシュアワー』のようなコメディで身に着けたものだと思います。当然コメディはインタラクティブではないですが、視聴者側が理解するのが大前提ですから。

多才な監督で、X-MENのようなSFまでメガホンをとっています、『ヘラクレス』のような歴史スペクタルファンタジー映画もメガホンを取り、高評価を受けています

方向性の同じ系統の映画を撮ることが多いこの世界で、節操がないというか多才と言うかはありますが、本作を見る限り最高にいい作品ですね。

光る対決3すくみのFBIと殺人鬼と食人鬼

主演のエドワードノートンじゃないんですね。
エンドクレジットみると、主演はアンソニー・ホプキンスのハンニバル・レクターとなっています。

そして、順にエドワード・ノートン、レイフ・ファインズとなっています。

確かに、ここまで来てラストシーンでもレクターの前でFBI女性捜査官クラリスの名前が登場して『羊たちの沈黙』へ時系列の布石が出来上がるくらいですから、これはレクターの物語ですね。

アンソニー・ホプキンスは、大体どの映画を見ても役の幅というか、雰囲気は変わらないのですが完全にレクターのイメージで出来上がってしまっています。

 知性と教養があり、物事への深い洞察力があり、
 不協を許さない

本当にはまり役です。

行動を起こした時にも、体系も丸いしアクション俳優でもないので物理的な恐怖ではなく、本当にうなじから、ゾワゾワぴんぴん伝わってきます。

知性と教養をまとった人が理路整然と、事の道理を語りながら異常なことをしゃべっているのに逆らえない、反論できない感覚に似ています。

アンソニー・ホプキンスのレクターもまさに同じ役柄ですから、半端ないです。対峙するとまな板の上のコイ、何をしても先手を取られている感じがすることでしょう。

対するエドワード・ノートンのウイル・グレアムですが、優等生過ぎるFBI捜査官ぴったりです。

彼も、正気と狂気を両方を同時にまとうことのできる稀有なキャラクターです。そもそも衝撃のデビュー作『真実の行方』や、『ファイトクラブ』のようなイメージのエドワード・ノートンですが、本作では二面性はなく正気側だけです。

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のようなキレッキレの演技が特徴なのに、本作ではプロファイラーでアンソニー・ホプキンスとの対比がすごい印象です

ただ、レクターの気持ちや殺人犯人の気持ちをプロファイルするときには、狂気に一度身を寄せているので、そういう意味でもエドワード・ノートンの優男の奥に隠れ持っている狂気の雰囲気は健在だったと言えるかもしれません。

合わせて読みたい『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

役柄として、ここで使うかと言う名優のレイフ・ファインズを完全な狂った家族連続殺人犯人に使ってきました。
過去には『シンドラーのリスト』『イングリッシュ・ペイシェント』などでアカデミーに名前を連ねたレイフ・ファインズです、安定の演技力です。
顔立ちだけみても超イケメンなのに、容姿にコンプレックスの塊があるミスターD役をやります。

母親からの執拗な虐待により異常者に落ちてしまったミスターD、想像以上にイイ肉体美と、見事な入れ墨を披露してくれましたね。

映画構成展開としては『羊たちの沈黙』と類似

サスペンススリラーとして、細部にわたってはかなり秀逸と思う一方で全体的には

  • 殺人捜査
  • FBI捜査行き詰まる
  • レクターから助言
  • レクターが好き放題
  • 犯人捕まえる(死亡)

このレトリックが巧妙に展開されます。

こう2作を比較して考えると、レクターは『羊たちの沈黙』の大きな意味でのFBIとか関わり合いの中で脱獄までの予行演習をしたともいえます。

FBIへどうかかわると自分に優位に働かうのかとのシミュレーションですね。

そういう意味では、ストーリーラインの反復には大きな意味があるのだと思います。

詳細細部にわたっては、ミスターDの苦悩に焦点が当たるのも『羊たちの沈黙』との違いでしょう。

同じく獄中から、世の中の人々を殺す映画『完全なる報復』とはかなりイメージが違います、トリックなんてないんです殺人犯ミスターDと暗号で正々堂々と文通しているんですから!

ウイル・グレアムの捜査に加えてミスターDが受けた虐待とそれにより彼が家族に対してどう思うのか、ビデオをみてからしか人とのかかわりを持てないさまがよく表現されています。

そして、自分のあこがれである、家族の形を壊していくことでレッド・ドラゴンになろうとするのです。

いえ、映画後半では既に2重人格の様相もかもし出していたので、実は内にレッド・ドラゴンを飼っていたというのかもしれません。

2重人格の主人格の人格が、レッド・ドラゴンなのか、お母さんなのか、第3者なのかまでは表現はありませんでしたが、男言葉でしたので、個人的にはレッド・ドラゴンだと思っています。

ウイル・グレアムがラストシーンで、レクターからの手紙を洋上で読むシーンがあります。これも示唆的で、ウイル・グレアムと心には消せないトラウマが深く刻まれて、基本的には地上には安堵できる場所はなく、いつもレクターもしくは、レクターのフォロアーに付け狙われているという恐怖がそうさせているという意味にとるべきでしょう。

海外の評価 2020/04時点

高い評価ですが、思ったほどではないですね。

やはり、シリーズとしては『羊たちの沈黙』のほうが上と言うことでしょうか。

個人的には、壮大なサーガとして、本作も面白かったですけどね。

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
60
User rating7.2/10
ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
68%
Audience74%

映画の感想まとめ

映画は時間を忘れるくらい、没頭してみることが出来ます。

ウイル・グレアムのその後を描いた作品があってもいいくらい、ラストシーンが気になります。

レクターでも、ウイル・グレアムが主役でもどちらでも楽しめます。

焦点の当て方として、ミスターDの生い立ちや生き方も表現がよかったです。ウイリアム・ブレイクの絵を食べるとこもよかったです。

→レクターシリーズは好き!
→秀逸スリラー物が好き!
→自分は少しおかしいかもと思う人!

こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      4
 キャスト       5
 ストーリー構成    5
 初見で読み取れない謎 4