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『キッズ・リターン』北野武の復帰作にして才能の開花を決定づけた作品!練りこまれた珠玉のストーリー:コラム的映画あらすじ評価感想・動画配信

映画『キッズ・リターン』は1996年に公開された日本の青春ロードムービー!北野武が監督&脚本をWで練りこんだストーリー、この作品後の北野作品のエッセンスが詰め込まれた珠玉の作品。高校時代の悪友二人、マサルとシンジは10年後に別々の道を歩んできて偶然出会う・・・

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映画ショートコラム あらすじ中心ネタバレ含む

うーん・・・名作・・・

なんか、自転車に乗っているパッケージがあの名作を思い起こすからかもしれない

『ニュー・シネマ・パラダイス』的な・・・


『アウトレイジ』なんかを見ると、やっぱり天才、北野武の原点を見たくなってしまい、物色開始!

彼の映画って基本バイオレンス系が多いんかな〜とか思っていたらそうでもない、何か爽やかなものを探すとあるではないか、あの名作、そして好きな俳優である安藤政信が出ている作品が!

好きな俳優でありながら『バトルロワイヤル』のバーサーカー桐山を演じていた安藤政信の主演作を他にあんまり見たことなかったので、これは見るしかねぇとばかりに見てしまったのが今回紹介する

【キッズ・リターン】だ。

早速あらすじに入っていこう

どこにでもいるような高校生のマサルとシンジ。二人はどこにいるのも何をするのも一緒だったが、周囲の大人たちからは落ちこぼれとしての烙印を押されていた。ある日、喧嘩に負けたマサルはボクシングジムに入門し、流されるかのようにシンジもボクシングジムへと入門する。シンジが自分でも予想しなかったボクシングの才能を開花させていく一方で、シンジほど才能に恵まれなかったマサルは徐々に不良の世界へと戻っていき・・・

これは良い映画ですわ。

本当に、というかストーリーがいい!

ネタバレを含めるのでまだ見ていない人には恐縮だが、最終的にマサルもシンジもホームレスみたいな落ちこぼれになってしまう。マサルはボクシングをやめた後にヤクザの世界で一時的にのしあがるものの、取引に失敗し組織を破門されてしまう。

というか、自分をスカウトしたヤクザの親分のボディガードでありながら親分を守りきれないことの責任を負わされてしまうのだが・・・

シンジはシンジで、ボクサーとして順調に勝ち進んでいく一方で、ジムにいる先輩の悪い影響を受け、才能を開花させることもなく落ちぶれていってしまう。

人生山あり谷ありとはよく言った物だが、なんていうか・・・

周囲の環境に甘んじることなくきちんと自分を律することができれば、さらにいえばマサルをスカウトしたヤクザの親分であったり、シンジに、あんな奴とは付き合うなと助言したジムのトレーナーのようなしっかりした大人がもう少し二人のことをしっかりと見守っていれば・・・

二人の未来が変わっていたのだろうなと思うとやりきれない反面で、でもこういうことってあるよなぁ・・・

と感情移入してしまうのだ。

シンジは、特にシンジがジムのダメな先輩に飲酒などを勧められ、最初は断っていたものの、後半は飲んでも吐くことにしたんで・・・と言いながら飲酒をしてしまうシーンは意思が弱いと言い放つこともできる一方で、周囲の大人とか、仲間のマサルがいればきっとこうはならなかったんだろうなぁと思わずにはいられない。

マサルもマサルで、シンジが才能を開花させていったことで面白くなかったのはあるだろうが、そもそもヤクザなんかやらずにボクシングを続けていれば違う結果になったんじゃないかと思う!

だってほら、継続は力なりだしね。とまあ。すごく考えさせられる映画だ・・・

総じていえば、必ず見た方がいい映画。

中盤の二人がだめになってしまうターニングポイントの感じどころは人それぞれだと思うが、作品を見ながら思わずあー!ダメだよ・・・!と感情移入をしてしまうことは間違いない。

あと個人的にはオープニングの伏線につながっているのだが、ラストシーンでマサルとシンジが辞めた学校の校庭を二人乗りしながらダラダラと走るシーンが秀逸。

教室の中から見ると二人は完全な落ちこぼれとして映る一方で、

彼ら二人は

「俺たちもう終わっちゃったのかなぁ?」、、、
「まだ始まってすらいねーよ」

と短いセリフを交わすシーンは心打たれるものがある。

個人的には、マサルとシンジのジムのダメな先輩にはすげームカついたし

自分が行けていないボクサーだから才能のあるシンジを堕落させようとしたなんて、ちょっといそうな設定ではあるけど、ある意味直接的な暴力よりもっとひどい

森本レオ演じる教師が落ちこぼれだと二人に視線を投げかけるシーンは教師としてどうなの?

とか思った一方で、映画とは異なり現代社会もネット上で善悪の判断をしたり、落ちこぼれか否かを議論したりとあまり変わらないんじゃないかなぁと思う今日この頃・・・

総じて2回目だけど、やっぱり絶対めっちゃおすすめ!

― hogeru -

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