『ブロークバック・マウンテン』20年越しの七夕物語!禁断の秘めた愛と切なすぎるラスト:動画配信・映画感想あらすじ考察
友情なのか愛情なのか、家族より大事なのか、その場所は何を二人に与えてくれるのか?故ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールが贈る『ブロークバック・マウンテン』はアカデミー賞獲得の切ない40年越しの愛の物語!カウボーイのイニスとジャックがワイオミング州のブロークバックマウンテンで牧童として季節を一緒に過ごし友情以上の関係へと発展する。季節が終わり、歳を重ね二人の生活は変わっていくが関係は時折継続していった・・
『ブロークバックマウンテン』は、アカデミー賞では8部門ノミネートされ、3部門受賞を果たすしそのほかにも世界で各賞を受賞しています。
公開当初は、ゲイムービーなどと揶揄もされましたが
男、女にこだわらず二人の距離にもこだわらない「普遍的な愛」をテーマとしたことが世間からも広く認知され大ヒットを果たしています。
低予算ながら興行成績もかなりの大ヒット映画となっています。
そんな本作ですが、俳優陣もものすごい顔ぶれで挑んでいます。
絶対見ておきたい一本だと思います。
超おすすめの一本です
それでは、見ていきましょう!
あらすじ ネタバレあり
時は1960代の半ばから、ストーリーが始まる。ワイオミングの山の中である労働者2人がカウボーイの仕事を通じて出会うところからすべてが始まる。
牧場手伝いのイニス、ロデオ乗りのジャックの二人は季節労働者としてブロークバックマウンテンの山中で牧童として、ある季節を働くことになった。昼間は羊たち追いまわし、餌場を移動させ、夜は寒い中テントの中で過ごし、街から遠く離れ男二人だけで長い時間を過ごすことになった。
テントで雨の日も雪の日も、羊を見ながら山を見ながら、馬に乗り牧羊犬を使って寝食共にするうちに、いつしか二人の間にはある種の絆が生まれた、ある夜2人は一線を越え同じテントで過ごしてしまう。
季節契約の仕事が終わり二人は連絡先や今後の約束もせずに別れてしまう。お互い会いたい気持ちを抑え、会おうとして会えないタイミングの悪さに落ち込み、双方はそれぞれ女性と結婚をしていく。
あれから4年後、二人は再開し再び感情が燃え上がり、年に幾度となく二人でブロークバックマウンテンでの王制を重ねていくことになる。ジャックは二人で一緒に暮らしたかったが、イニス出にはこたえることが出来なかった。
イニスには少年時代に目撃したゲイの牧童がたどった凄惨な扱いを忘れることが出来なかった。ここはワイオミング州、そういう土地だ。妻のアルマからもジャックとの仲をしられ離婚したイニスは一人で生きていく。
さらに時は流れ、ジャックに届かなかった手紙でイニスはジャックの死を知ることになる。
イニスは、ジャックの遺品のシャツが自分のシャツとともに大事に重ねられているのを見て、後悔の気持ちを胸にとどめ、終生の愛に思いをはせるのだった・・・
詳細ストーリー参考MIHOシネマ
[showTable]映画情報&キャスト
『ブロークバック・マウンテン』 2005年 アメリカ
【原題】Brokeback Mountain
【監督】アン・リー
【脚本】ラリー・マクマートリー
ダイアナ・オサナ
【出演者】
イニス :ヒース・レジャー
:牧童、ワイオミング州を愛し、ブロークバックマウンテンを離れられない
ジャック :ジェイク・ジレンホール
:かつてはカウボーイ、イニスと関係を持つ
ラリーン :アン・ハサウェイ
:ジャックの妻
アルマ :ミッシェル・ウイリアムズ
:イニスの妻
映画としての評価
許されぬ友情を超えた関係、それが全てだった
『ブロークバックマウンテン 』 の各賞アワードが凄い映画ですね。ゴールデングローブ賞では作品賞含め4部門、受賞。さらに本家アカデミー賞でも当然上に食い込んで、作品賞は逃したものの3部門(監督賞、脚色賞、作曲賞)をゲットしています。
友情を超えた関係に芽生えてしまう二人ですが、この辺の描写がものすごくいい。
絶えず葛藤した気持ちを持ちながら、二人だけの時には、お互いをピュアな気持ちで向き合います。
時代的にはLGBTは許されない時代、二人は季節労働の時間が終わります。次に二人が出会ったのは4年後。その再会した時にはお互いもうすでに結婚をしているし子供いる状況。
そこで2人はまた乾いたお互いの気持ちを埋める関係を始めてしまいます。
あわせて読みあい日本版秘めたる思い『小さなおうち』
名匠アン・リーの描く「普遍の愛」
普遍の愛と言っても色々ありますが、本作では男同士のゲイを普遍の愛と定義しています。
アン・リー監督と言えば、「秘かなる・・・」を表現するのがものすごく巧みな監督で、テーマの中には必ずそういう隠された愛、隠されていた事柄などが入っているので有名です。
本作もそうですが、『グリーン・ディスティニー』『ラスト、コーション』『恋人たちの食卓』『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』など人の心の奥底をえぐってくる名作、そして静かな描写で心地良さとともに、心にじわーっとしみいるように残る作品が多いです。
その辺も評価され、世界の各賞レースへノミネート・受賞が常連になっています。
なかでも『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』でもアカデミー賞を獲得していていて、高評価されています。たんにトラと少年が漂流する話に、いろいいろな人生の悲哀と教訓を載せていきます。
関連映画 参考
ヒースレジャー”カウボーイ”の演技
さて見所のキャスティングで、牧童のヒース・レジャー[没2008]。もう見ることができないかと思うと、本作を視聴すると、なんだか感慨深いです。
ヒース・レジャーと言えばあの『ダークナイト 』 のピエロ演じるジョーカーです。
初めて見たジョーカーは、狂気そのもの、白い化粧にはみ出した口紅、行動振る舞いはどれも論理・倫理から外れ、常に期待外の行動と言動。陰の主役ですよね。今でも鮮明なのが病院のシーンで、何気ない一つ一つ、歩き方も含めて圧巻でした。
そんなジョーカーの化粧の下には魅力たっぷりのイケメンがいた。
今回のブロークバックマウンテンでは、 ヒースレジャー演じるイニスの 20年越しの年齢の重ね方、演じ方のプロセスがすごいです。
少年のころのトラウマ、そしてトラウマを引きづりつつも、自分もその世界に身を置いてしまった苦悩、地元を出ることのできないジレンマ。
切なすぎる演技と、リアルな家族との間の葛藤、ジャックとの愛の間でどちらも大切なものをあらわしてくれました。
あわせて読みたいホアキン・フェニックス『ジョーカー』
ジェイク・ギレンホール静かなる思いの表現
イニスの相手役ジャックを演じるロデオボーイは、ジェイク・ギレンホール、私的には『デイ・アフター・トゥモロー 』 の息子役、世間的には 『 ナイトクローラー』でしょう。『ノクターナル・アニマルズ』『プリズナー』でも開演を見せつけてくれます。
すっかりアカデミー賞俳優で、超演技派です
切ない表情させれば、天下一品です。イケメンなので普通は演技の幅が狭まるはずですが、ジェイクはうだつの上がらない男~エリートのいい子ちゃんまで様々使い分けます。
本作では、イニスとの思いを、愛を与える側に常にたち。イニスとの関係を大事にしたい事が一番なのにイニスはブロークバックマウンテンを離れられない。
二人の出会う場所はそこだけ。そんなジャックの気持ちと葛藤が痛いほど伝わってきます。
家族を捨てきることのできないイニス、養育費を払うと言う表向きの理由にうんざりしながらも、ジャックはイニスを見限ることが出来ないのです。どんなに妻の実家でビジネスに成功してお金を持っていてもジャックの心が癒えることは決してなかった。イニスを思いながら最後は。。。
切なくて、苦しいです。ラストシーンでジェックの実家に秘かにしまったった、イニスの血の付いたイニスのシャツ。そのシャツと重ねるように掛けてある、ジャックのジージャン。
このワンシーンですべてが語られています。
ジャックの死の真相 解釈・評価
色々考えられると思います。
他の評価サイトでもあるように、確かにシーン構成だけを見るとゲイに対してのリンチとして、事故死に見せかけられていると取れなくもないです。
ただ、本作の作風とラストまでのプロットを見る限りは、そういう伏線的な要素はなく、たんたんと積み上げられていく隠された愛、密やかなる関係ですからリンチはないと思います。
むしろ、イニスのトラウマが、自分の経験からフラッシュバックさせて、「自分のせいでジャックは死んだ」と自己否定的な想いとしてシーンが流れたのだと解釈します。
ラリーンの電話口の塩対応は、アルマと同じく二人の関係をどことなくわかっていたのでしょう。
あわせて読みたいジェイクのゲイ&美術評論家の作品
こういう、アカデミー級の恋愛映画では、やはりどちらか一方の愛が死をもって終わるまで描かれるのが多いですよね。40年越しの愛ではないですが、同じくアカデミー9部門受賞の『イングリッシュ・ペイシェント』でも、悲痛なほど死が愛を引き立たせます。
演技派ミシェル・ウイリアムズ
イニスの奥さんアルマ役を演じるのがミシェル・ウィリアムズ。
『グレイテスト・ショーマン』 の奥さん役チャリティで献身的な姿を演じてくれました。
本作でも、献身的ではあるのですが違った意味合いの献身になります。
そして、耐えきれなくなった。。。
彼女のなんともいえず二人の関係を知ってしまった後の表情一つ一つ、その理解できない苦しみが2人の恋愛の苦悩とのコントラストが対象的でこの映画の非常に大きなテーマが垣間見えました。
ブローク・バックマウンテンは恋する聖地
アメリカにおける性の歴史
本作品の中のテーマでバイセクシャルですが、認知され始めるのが丁度1960年代後半からなんですよね、当然全く受け入れられてはいないですが、『Bohemian Rhapsody』でも描写されてましたが、アメリカでは1980年から90年代でようやく理解を示されました。
特に田舎の牧場だったりワイオミングの山の中では相当厳しい目に合うんではないかと思います。
ただ逆にそういった、男社会では逆説的に圧倒的に男が多い社会ですから、実はゲイ・バイセクシャルの人口は多いのかもしれませんね。
以下、アメリカでのゲイの結婚の歴史参考です
ブロークバックマウンテンには何があるのか
二人には、ただ一緒にいるそういう幸せな時間も許されず、毎年定期的に過ごす時が、幸せな瞬間だったんだと思いますもしその映像美、出会った瞬間から別れのカウントダウンが始まり、その後また数か月・一年と、別れの時間へ一日一日と近づく。
少しだけね、残念なこととしてジャックが途中そんな2人の関係を途中で終わらそうとしますが、”ほげる”は少しわかる感じがします。
同じ女性とでも、20年変わらない気持ちで愛し続けることは難しいこと。
(お互いに生活があっても、普段あえなくとも)これは、究極の関係かもしれません。
最後にジャックが先に他界することで、本当の意味でイニスはジャック(ジャックのシャツ)と一生一緒にいられることになります。
イニスには突然で早すぎたけど、ジャックには遅すぎる20年越しの愛の物語の終章です。
ブロークバックマウンテンは実在するのか?
ブロークバックマウンテンって、美しんだろうなと。どこにあるのか確認してみましたが、地図では見つけられません。
ネットでも見つからないので、
アメリカのサイトをチェックしてみると、
「ブロークバックマウンテンは存在しません。ブロークバックマウンテンの映画もカナダで撮影されています」とのことだ。がーん。
こういう問い合わせが多いのでしょうね。
海外の評価 2020/04時点
評価は、批評家・視聴者ともに、ぶっちぎりに評価されています。高評価です。
正直、物語はゆっくりとスローで進むので、ここまで評価高いといううのはテーマであったり、脚本が相当いいということだと思います。アクション要素0ですからね。
Metascore (批評家) | 87 |
User rating | 7.7/10 |
TOMATOMETTER (批評家) | 87 |
Audience | 82 |
映画の感想まとめ
本当に名作です、これほどの作品はそう見ることが出来ないです。
アカデミー俳優たちで彩る本作は、演技全体的に質が半端ないです。記事内では触れませんでしたが演技派アン・ハサウェイなんかもジャックのサバサバした嫁さんとしてちょっと登場するし。
映画全体を確かな表現力で、確かなテーマで
そして、静かな時間の流れの中で時間経過までも演出すると、これほどの深い表現として気持ちに残るものなのですね。
絶対に見たほうがいい作品です。
✔普遍の愛に興味がある人
✔相手とは永遠に結ばれたい人
✔ヒース ジョーカー好きな人
✔ジェイク好きな人!
こういう人は好きな作品だと思います。
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 4
キャスト 5
ストーリー構成 5
初見で読み取れない謎 4
基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、間違いなくおすすめの作品です。
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