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『ミスターガラス』ヴィランとヒーローの始まり物語!3部作最終章 :動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-01-02

『アンブレイカブル』から18年、『スプリット』から2年の3部作の完結編、ナイト・シャマラン監督が描きたかったヒーローのあり方、謎解きたっぷりのミステリーサーガ完結作
”おすすめ”であることは3部全て見ればわかる!

あらすじ

ミスター・ガラス事件から18年。息子のジョセフと一緒に犯罪者を自警ヒーローとして見つけては、取り締まるデイビッド。

市民や新聞からはヒーローとはやし立てられ、「監視人 ~オーバーシーヤー~」と命名され緑色のレインコート(フード)がトレードマークとなっている。

市民からは感謝されつつも警察当局からは自警行為は禁止犯罪行為として取り締まられる対象として追われている。

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デビッドは、女子高生誘拐事件を追っていた。

デビッドの捜査は人の身体に触れたり、その町中に立つと犯罪者の犯罪行為が目の前に映像のように現れ、誰が犯罪行為を考えているか、行っているかを特定できる能力で行われる。

デビッドは女子高生を監禁している多重人格者のケビンの別人格のヘドヴィッグと町中で接触したことにより、監禁場所を特定し救助に向かう。

ケビンの発現した最強の凶暴な人格ビーストとデビッドは対峙し、女子高生を救い出すも警察に囲まれて、そのままビーストとデビッドは逮捕される。

二人は逮捕後、精神病院に収監される。

その精神病院には、かつて”イーストレイル117号”事件を起こした、知能犯罪で捕まり同じく精神疾患として収監されているミスター・ガラス(イライジャ)もいた。

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イライジャは、極度の虚弱体質で骨形成不全症により産まれてから94回も骨折しており、病院では車椅子で生活している。

3人はエリー・ステイプル医師から治療を受け、エリーは3人はそれぞれ自分をヒーローだと錯覚するヒーロー症候群であると診断し3人それぞれの超人性は”思い込み”であると精神疾患を訴えている。

エリーは、3人をそれぞれ集め診察すると共に、別々の収監場所には3人の能力を封殺する仕掛けをして精神病患者として扱い、超人性を否定して、否定に足る証拠を積み上げぶつけていく。

エリーはさらに3人同時に相対させて、議論し否定を繰り返し論拠を展開する診察を行い、デイビッドとケビンは自分たちが信じている超人性が徐々に揺らいで来ていることを感じている

イライジャは認知症の処方をうけ無気力な状態から、医師・看護師のいない隙間を縫ってケビンに接触し、自分のヒーロー性を疑うなと、伝えた。認知症の振りをし続けただけだったのだ。

イライジャは、その後精神病院から
ケビン、デイビットを脱走させ、自身も脱出をする。

イライジャによりケビンはビーストを第1人格として、病院脱出の時に大暴れさせ、デイビットも自分の超人的パワーを取り戻して二人はお互いを制しようと対決を続ける。

そんなとき、密かに病院からデイビッドを退院させたかった息子のジョセフが調査していたイーストレイル117号の事故のもう一つの真実を暴いた。

ケビン(ビースト)が多重人格になったきっかけはイーストレイル117号が原因で、その事故を起こしたイライジャ、その事故でヒーローを自覚したデイビッド、全ては一つの線で繋がっていたのだった。

3人の破壊的な暴動を止めようと警察が介入するが、暴走は止まらず。エリー・ステイプル医師は3人の超人性を認知・認識するが、暴動を止めようと奔走する。 第3の機関を呼び出し3人を止めようとする。

第3の機関は、エリー・ステイブル医師ははじめから3人の超人性を消し去るのが目的で誰よりも超人性を信じていた機関の一人であった。。。。。。

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映画情報&キャスト

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『ミスター・ガラス』 2019年 アメリカ
Glass
監督  M・ナイト・シャマラン
脚本  M・ナイト・シャマラン
製作  M・ナイト・シャマラン
    ジェイソン・ブラム
    マーク・ビエンストック
    アシュウィン・ラジャン
製作総指揮
    スティーヴン・シュナイダー
    ゲイリー・バーバー
    ロジャー・バーンバウム
    ケヴィン・フレイクス
出演者
ケビン(ビースト)
    ジェームズ・マカヴォイ
デイビット
    ブルース・ウィリス
イライジャ
    サミュエル・L・ジャクソン
ケーシー
    アニャ・テイラー=ジョイ
エリー・ステイプル医師
    サラ・ポールソン

3部作の完結編

はじまり 『アンブレイカブル』

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『アンブレイカブル』からはじまり、ヒーローというのはどこにでもいる日常の中に潜んでいて、本人も気がつかないとしている。

ヒーローと言うのは、コミックの中に潜んでいてコミックは空想では無く誰もが思い描く能力や見聞きしたものを具現化した物に過ぎないと定義している

本作に向けて、『アンブレイカブル』で悪の頭脳はヴィランとしてイライジャミスター・ガラス(イライジャ)が誕生して、イライジャによって正義のヒーロー監視人(でデビッド・ダン)が誕生している。

始まりに、悪ありき。ヴィランにはヒーローが必要で、ヒーローを日常から生み出すのはヴィランであると定義方向付けた。

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つながり 『スプリット』

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『スプリット』は、一見すると3部作とはかけ離れている。

一般的な精神疾患の多重人格を扱っていて、その犯罪解決までのプロセスまでを扱っているがラストシーンで『アンブレイカブル』の世界観と繋がる。

『アンブレイカブル』がヒーローと悪の天才ヴィランを扱い、その超人性の定義というのは日常の中で、普通の中に埋もれ産まれ来る物であると扱った。

それに対して、本『スプリット』では、多重人格者の中での最も怖れられている人格ビーストも含めて、超人的な物理能力を発揮するのは”人格”から来ていて虐待などを通じて人が産み出す(望んだ結果では無くても)としている。

『アンブレイカブル』から『ミスター・ガラス』への重要な布石であり、『ミスター・ガラス』で扱う題材に対して、繋がりを持たせている。

本作『スプリット』では「苦労したことのないもの」=不道徳者として、定義してそういう境遇の者は助けるが、苦労した経験のないものはビーストからの処罰の対象であり食物として扱われる。

以後その意味をつらぬく。

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完結編  『ミスター・ガラス』

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『ミスター・ガラス』は単品で観ると、正直ついていけない会話や映画のストーリー展開が目白押しで、前作2つを事前に観ることが必須の少し敷居の高いミステリーのサーバだろう。

単品で観たときには、繋がりが悪いが3部連続で観ると色々な場面で伏線や、ギミックのオンパレードを感じ取ることが出来る。

中には、『アンブレイカブル』ではギミックとしておいていなかったことも、本作では脚本として適度の謎を残しつつつなげている。

本作のラストまでの繋がりは、ナイト・M・シャマラン監督らしくないと言うのが正直な感想だ。

色々な謎や不可解さがラストシーンで一気に収束していく爽快感・謎解き感では無く、”次の世代につなげる”と言うテーマをかくしたまま終わっている。

非凡な頭脳とヴィラン、ヒーロー

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ミスター・ガラス(イライジャ)が本作品の中で、ストーリーテラーとして、主格のヒーローのデイビッドとケビン(ビースト)から1段、引いた視点で全体を見ながら話を進めていく。

ミスター・ガラスは、自分の論理(超人性を携えた人々が必ずいる。コミックはその伝記である)を証明するかのように物語を薦めていく。

早々に、ヒーローやヴィランの存在を許さずにバランス・調和をもとめる組織の存在に気がつき、その組織の力も利用した上で、ヒーローとヴィランの存在を世に知らしめるために全てを利用する。

映画の中でのサミュエル・L・ジャクソンのイライジャのしかけるギミックもすごいが、映画そのもののサーガとしてギミックも3部作全体を使って余すこと無く表現している。

少し違った見方をすると、ミスター・ガラスはナイト・M・シャマラン監督の代弁者では無いかとさえ思える。

配役からも、元祖死なない男のブルース・ウイリス、演技派のジェームズ・マカヴォイを中心に添えている。ジェームス・マカヴォイは演技がうますぎて脚本を色々合わせて変えるなど逸話がある、挑戦する役者そのものだ。

ネタバレになるが、本作品ではスーパー頭脳・ヴィラン・ヒーローの3人は本作品で死んでしまうが、ナイト・シャマラン監督のインタビューでは「3人は死なねばならなかった」としている。

このことからも本作品の主題は、3人の物語で無く超人達は日常に潜んでいて、彼らに対してのメッセージであり、伝播がテーマ、信じる者は何事もなし得ると言うことだろう。

ミスター・ガラスの読み解き

謎の組織・機関

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謎の機関・組織、これらの存在も本作品の重要なテーマだろう。

本作品では、調和・バランスをもとめる組織とされている。これらの組織はメタファーというかCCAを皮肉っていると思われる。

本作品でも重要なパーツ、ソースの一つであるアメリカのコミック!
コミックの歴史には、「表現の自由」と規制の戦いがあり、本作品の裏のテーマとしては表現の自由は何者にも侵されないとのテーマがあると思われる。

随所で、アメリカコミックを彷彿させるキャラ設定と、それらを抑圧しようとする謎の組織がそれを表している。

CCAとは、コミックス倫理規定委員会(the Comics Code Authority、CCA)の略で、アメリカ合衆国のコミック・ブックの内容を取り締まるために設立された、全米コミックスマガジン協会(the Comics Magazine Association of America、CMAA)の一部門である。

なお、組織の証拠である三つ葉のクローバーに関して、ナイト・シャマラン監督のインタビューからは、「どこにでもある草から選びたかった、4つ葉ではだめ、それ以上でも以下でもない」と語っていることからも、”日常に潜む”と言うのが本3部作の重大なテーマだと思う。

ヒーローの定義

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ヒーローの定義はこれまでも、前述してきたが、ヴィランも同じく日常に潜んでいる樹が使いないもの、誰もが疑っている所に対して信じる者だけが事をなし得ることが出来ると言うことなのだろう。

本作品の3人のヒーロー(ヴィラン含め)の最初のファンは、息子であり、被害者のケーシーであり、母親である。コミックの王道の”ファン”であることもそれら表している。

ケーシーの本作品での働いている場所が、動物園だった。この動物園は彼女が『スプリット』でケビン(デニス・パトリシア・ヘドヴィッグ)に捕らえられたところだ。

この描写は何を表しているかというと、ケーシーはケビンを救いたいとともにビーストの存在を信じたもっとも近しいファンであると言うことだろう。

ナイト・シャマラン監督のつたえたいこと

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ナイト・シャマラン監督は、何を伝えたかったのだろう。
インタビューの中で、「興行成績ばかり追い求める中で、皆の記憶に残る作品サーガを作りたかった」としている。

ヒーローの定義、謎の組織でもかたったが、本作品そのものが日常に潜んだ者から信じた者がヒーローになり、そのヒーロー達が死ぬことで存在は永遠となり、その結果は伝播していく。

その伝播・語り継ぎ、引き継ぎ、本作品『ミスター・ガラス』シリーズが世の中で語り継がれていることを裏のメタファーとして定義しているのでは無かろうか。

ラストシーンが、ナイト・シャマラン監督っぽくないのも、そう考えると合点がいく。

それらを伝播するのは、”ファン”の役割なのだ。

まとめ

”ほげる”的には、最高におすすめの一つ!

ラストシーンは本当にまさかと思うので、注意されたし。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      4
 キャスト       4
 ストーリー構成    4
 初見で読み取れない謎 4

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、最高に面白い作品と思います。