映画コラム的感想『流転の地球』中国産誇大妄想スケールのブロックバスター

2020-05-04

2019年よりNetflixで配信されている『流転の地球』は、短編小説を原作とする超とんでもないSF的背景にした中国での史上初のSFブロックバスター映画と言われている!小説は日本語版では『さまよえる地球』まさにタイトル通りの映画の中身で展開される味のある大きな構想のSF映画

『流転の地球』イメージ画像
Netflix公式より 

こういうコラム形式で、少し書いてみたいと思ってた。需要は無いとわかっているが、ブログをはじめて記事数もなんとか大台になり、多少なりともアクセスが出始めたので記念的な意味も込めて。

映画ショートコラム

『流転の地球』は、前から気になっていたが中々食指が動かないであと回しにてしまっていた。

話題にはなっていたが中国産のブロックバスターって、いくらお金をかけて誇大妄想的に作ってもどことなく胡散臭い感じがしていた。

ところがどうして、見始めるとそんな杞憂も一掃された。明らかに面白い!
中国の映画つくりもここまで来たのか!

映画『ペガサス 飛馳人生』といい、中国映画といっても、適切な金と技術でどんどん面白いものが量産されるようになってきている。日本はどんどん抜かれて映画・フィルム後進国になっていく感じが正直する。

パクリなど色々物言いは付いてきているのは分かっているが、それでもじゃあ日本で同じ映画を作れるかと言われるとちょっと疑問だ。

それぐらい出来がいい。



物語は、老齢化した太陽が膨張を続け100年後には地球を飲み込み300年後には太陽系を消し去る太陽の寿命が尽きた世界からは始まる。地球人は統一政府を作り、ある計画を立てる「流転地球」計画。
地球を4.5光年離れたほかの恒星系まで2500年かけて移動し、太陽系から脱出するのだ。
そして、地球は恒星公転軌道から外れて16年、木星の引力を利用して加速を追加する間際にきていた。ここにきて木星引力の影響で地球の水力エンジンが次々と不調となっていく・・・

こんな感じでストーリーが展開されていく。
もうみていて、正直わくわくしかしない。
なぜに中国?ってのは最初だけでこれは当たり映画だ。
SFの金字塔的な作品の要素がふんだんに盛り込まれており、ストーリーは混ぜこぜではあるがよくできている。

映画の感じとしては、
『アルマゲドン』『デイ・アフター・トゥモロー』『インターステラ』
って感じでもう、いいとこどりで展開されていく。

言い換えると、滅亡+極寒の世界+宇宙
と言ってもいい

映画スケールの発想がすごい、原作はリュウ・ジキンが2000年に執筆した「さまよえる地球」で、このスケール感がでかすぎてすごい。小説として真っ先に思い出したのは、本国ドイツで大人気のSFスペースオペラ、ペリーローダンシリーズである。

そのペリーローダンの超科学の発達した惑星アルコンの3連惑星を思い出した。3惑星は重力も星の大きさも自転周期もすべてが一致している。その3惑星は古代アルコン人が数千年をかけて3惑星をバランスの取れた3連星にしたのだ。空想科学ではあるがアルコンのスーパー科学力は既に恒星間移動には超時空間ジャンプを使う科学力を持っていた。それでも数千年かかっているのに、本作ではいとも簡単に移動させてしまう。それぐらいスケールがでかい。

物語としては、少し先の未来から始っていると思われ、その時代背景では、人工知能がある程度発達・同時翻訳機・常温核融合・核融合炉などがすでに実現しており、地球の表面上に1万基の地球エンジンと呼ばれる高さ1万メートルの噴射装置を建造できる程度の未来となる。

でもこの程度の科学力で本当に可能なのかは、突っ込みどころが満載過ぎておいておこう。
 地球の大気とか、重力や自転はどうするのかとか、推力を得るまでどんだけプラズマエンジンが優秀でも。。。。とか

動いた後は前途多難であろう、『未来少年コナン』のように、大地殻変動が起きてもおかしくないし。。。
この辺は、まああっさり仮にパスしたとしても、地下都市だけで食糧自給問題、エネルギー問題等々数々の難題が降りかかるはずだ。
本作では、木星の水素に火をつけることができた。それを思いついたのが、たかが運転手の少年といううのもつっこみどこだが。。。
その衝撃波で太陽系離脱コースまで戻れるってー設定もすごい。



決して映画を非難しているわけではない。そういう、トンデモ設定を含めて、突っ込みどころも含めて引いてみても、この映画は見ごたえのある映画だった。たとえパクリ疑惑があったとしても、よくできていると思う(『妖星ゴラス』の類似性が指摘されている)



個人的な感覚としては、ネタバレに触れるが宇宙ステーションを木星にぶつける選択肢はないと思った。これは民族性なのかもしれないが、文明・文化、人類以外の種の保存を考えずに自分(中華思想的に、地球)だけを考えているように感じてしまう。当然そういう選択肢もあると思うが、リスクが大きすぎる。これで失敗したら地球も文明を載せた宇宙ステーションもなくなってしまうということだ。これが賛美されているということは、かなり怖いことだと思った。

上記の最後の選択以外に、ちょっと気になったのは、仕方ないことかもしれなが”中国色”が強く出すぎている。
統一政府なんだから、もう少し違う風に仕立てればよいのにと思ってしまう。
トラックに乗った時のAIのしゃべるメッセージで「家族が悲しむので安全第一」みたいなのは実に中国的だ。
あとは、何かにつけて”家”とか、家族を意識させるのも儒教的だし、全体的な労働環境やその政策への従わせ方も、”支援”とか”全力支援”などと共産的で。これがプロパガンダ映画ではないとしても、少しグローバルスタンダードの映画で考えると違和感を感じるのは仕方ないことだろう。

まあ、何はともあれ映画はみておくべき映画で、製作費60億円弱に対して封切り直後に400億円近く稼ぎだしているんだから、面白くないわけがない。

今後も、Netflixでは当たりはずれが続くだろうけど、こういう映画なら大歓迎だ!

– hogeru –