FODプレミアム

『パージ』1年に1回限りの悪夢は蜜の味:コラム的映画あらすじ評価感想・動画配信

映画『パージ』は2015年に公開されたイーサン・ホーク主演のちょっと怖いシチュエーションホラー、いや仮想法律サスペンスかな。あまりにも犯罪の横行する世界、人々のガス抜きをする法律それがパージ!12時間犯罪しほうだい

[showTable]

映画ショートコラム あらすじ中心ネタバレ含む

どんな映画でも、シチュエーションやオチが良ければ、映像・音楽がいまいちでも、名作になりえる。

なんて、そんな高尚な映画ではなのだが、面白いシチュエーションの映画を紹介していきたい。

最近、山田悠介という作家にハマっている。彼の小説はデスゲーム系が多いのだが、そういった非現実系の小説に定期的にどっぷりハマってしまう時期がある。

正直デスゲーム系のオチとして、金持ちの娯楽だとか、よくわからんウイルスのせいとか、正直ハァ?と言いたくなるオチが多いのが残念な場合が多いのだが、山田さんの作品はちょっと違ったエンディングを迎えるパターンが多いので、興味のある人はぜひ一度ご覧になってはいかがだろうか。

というわけで、前置きが長かったが、そういったデスゲーム系でちょっと一捻りした映画がないかなぁと探している中で発見したのが、今回紹介したい「パージ」という映画だ。

では早速あらすじを説明しよう。

近未来のアメリカ合衆国。犯罪はほとんど発生せず、失業率も1%というある意味完璧に近い国家として存在する一方で、理想の国家であり続けるための国民のガス抜きとしてパージ法が制定されていた。セキュリティ会社に勤めるジェームズは、パージに備えて自宅に万全の警備を保証するシステムを販売しており、自身の家のセキュリティにも絶対の自身を持っていたが、ジェームズの息子が、パージから逃れてきたある男性を家に招き入れてしまったことから悲劇が始まる・・・

うーんあらすじを読んでもピンとこない人のために説明すると、パージ法は要するにどんな犯罪も合法になるなんでもありの1日。パージの1日の人々の過ごし方としては、街に繰り出して大暴れする奴もいれば、映画の主人公であるジェームズのように嵐が通り過ぎるのを自宅に引きこもって過ごす人もいるという感じだ。

平和が好きな人からすると悪夢のような1日だが、パージの1日がガス抜きとなって国が平和を保っているという設定。憲法違反じゃないの?とか色々ツッコミどころはある一方で、政府関係者や医療関係者などのパージ除外対象者がいるという微妙に細かい世界観の設定がされているところが面白い。

まぁ最大のツッコミどころは2点ある。

1点目はジェームズさんの自宅のセキュリティだ。パージの日って実際世紀末みたいな感じじゃないの?と思っていたが、結構自宅で大人しく過ごす人も多いようで、その人達に対してセキュリティシステムを販売していたジェームズさん。ご近所さんにはイケイケな説明をする反面、案外ガッツリセキュリティ破られてますやん!

というところがギャグそのもの

確かにパージで殺されかけていた人を、ジェームズジュニアが良心から家の中に招き入れたことに原因はあるものの、その人を追いかけてきた覆面連中に案外あっさりと、自宅に入られてしまう脆弱さですよ!

ジェームズさん!これはかなり穴だらけのセキュリティシステムですやん!他にも個人的に謎だったのが、ジェームズ宅のインターホンがつながるところ。いやいやいや・・・パージの日にインターホン押してくるやつなんてまともなやつじゃないに決まってるじゃないですか・・・丁寧に応対している場合じゃないっすよ・・・というわけで、最初のツッコミどころはセキュリティの脆弱さと、パージの日につながるインターホン設定だ。


2点目は、パージの日に街で暴れている連中の行動。

ざっと見る限りだと、大体ドンキで売ってるような覆面をつけて殺人とかしてる人ばっかなんだけど・・・他にやることないの・・・?と言いたくなる。

ジェームズさんのセキュリティシステムが売れている背景から、商店とかを襲撃して金品を強奪するような奴らが多いのかな?とか思っていたが、みんななぜかマッドマックスのように暴走しまくってる。映画中のアメリカには北斗の拳の悪役みたいな奴らしかいないのか・・・?

と非常に謎に思ってしまった。まぁ銀行襲うのはNGとか細かい設定があるのかもしれないが、犯罪=殺人という謎の概念は正直あんまりピンとこなかった次第だ。

総じて言えば・・・微妙・・シチュエーションのみか笑。世界観などは凝っているし、パージの日に外でふらふらしている連中のぶっ飛び具合も面白かっただけになんか非常にもったいない作品になってしまっている。覆面連中が家に侵入してからは、なんかもうパニックルームという別の映画を見ているような感じになってしまった。

余談だが、今回ジェームズジュニアが内側からシステムを解除したため、悲劇に巻き込まれたジェームズだが、昨今の社会におけるシステムセキュリティも、外からの攻撃(ハッカーとかね)には強い反面、内側から攻め込まれたらかなり脆弱なんだろうなぁと思う次第。

逆に言えば内外どちらにも強いセキュリティシステムを作るには、やはり人間の手だけで限界があるので、ドラえもんみたいなAI機能を搭載し、なおかつ善悪の判断がつくような発明が必要になるんだろうなぁと思う今日この頃。

― hogeru -

あわせて読みたい