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『戦場のピアニスト』主演エイドリアン・ブロディ自身のピアノ演奏は圧巻:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-02-01

『戦場のピアニスト』はポーランドの国民的ピアニストの回顧録から映画化。第二次世界大戦からワルシャワ蜂起、そして戦後までのワルシャワでのドイツのユダヤ迫害を生き延びたウワディスワフ・シュピルマンの半生を描く。アカデミー賞にて監督賞・脚色賞・主演男優賞を受賞する長編の戦争映画!

あらすじ

1939年、第二次世界大戦がドイツのポーランド侵攻を皮切りに勃発した。
ポーランドのワルシャワでピアノ奏者をしていた、ユダヤ人のウワディスワフ・シュピルマンも争乱のただ中でユダヤ迫害に巻き込まれていく。
シュピルマンはラジオの収録中に空爆され、ラジオ局も瓦解する。
戦況は悪くなる一方で、程なくしてワルシャワはドイツの手に落ちる。
ユダヤ人への迫害は日に日に酷くなり、ついにはゲットー(ユダヤ人隔離地域)へワルシャワ中のユダヤ人が隔離されてしまう。 シュピルマンとその家族も、元の生活を捨てゲットーでの生活も続けるが、それさえも許さないナチスドイツが今度はユダヤ人を次々と絶滅収容所送りにしていく。
シュピルマンは収容所送り寸前のところで命からがら抜け出すが、家族は全員列車に乗せられて離ればなれとなる。

ゲットーから脱出したシュピルマンはワルシャワの中のユダヤ人を救済するグループに助けられなんとか生き延びていくのだが。。。

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映画情報&キャスト

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『戦場のピアニスト』 2002年  フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス合作
【原題】The Pianist
【監督】ロマン・ポランスキー
【脚本】ロナルド・ハーウッド
    ロマン・ポランスキー
【原作】ウワディスワフ・シュピルマン
【製作】ロマン・ポランスキー
    ロベール・ベンムッサ
    アラン・サルド
【製作総指揮】
    ティモシー・バーリル
    ルー・ライウィン
    ヘニング・モルフェンター
【出演者】
ウワディスワフ・シュピルマン ウェイディク
(エイドリアン・ブロディ)
 :実在のポーランドの
  国民的ピアニスト
  ワルシャワでユダヤ迫害の中
  4年間を生き抜く
ヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉
(トーマス・クレッチマン)
 :ナチスの身でありながら
  ソビエト侵攻でドイツの敗退
  をみこしシュピルマンに
  食料等の援助をする

ピアノの音色と共に凄惨な歴史を語る

ロマン・ポランスキー監督の歴史大作

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『戦場のピアニスト』の監督・脚本のロマン・ポランスキーの想いが詰め込まれた、反戦映画です。

主人公で原作を実体験から書き綴ったウワディスワフ・シュピルマンの戦時中体験記『ある都市の死』をベースにつくられています。

ロマン・ポランスキー監督の特徴である、暗い静かな雰囲気の中で静かに進むストーリー。その中で重なっていく映像描写の一つ一つの積み重ねが映画の方向性を濃厚にしていきます。

ロマン・ポランスキー監督自身(1933年生まれロシア、ユダヤ教ポーランド人の元に生まれる)

戦時中はゲットーに押し込められていた経験があり

アウシュビッツまで送り込まれていますが、なんとか生き延びています。本映画には、その時の経験や感じた事がふんだんに盛り込まれています。

凄惨な迫害の戦争映画にもかかわらず

全てのシーンには何らかの”美”を感じ取ることが出来て

映画として、表現として

ある矜持を感じることが出来ます。

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主演エイドリアン・ブロディの神がかった演技

エイドリアン・ブロディの甘いマスクの下で、激動の世界の中で閉じ込められるしか生きる道の無かったユダヤ人を素晴らしい演技力で演じきっています。

切ないという表情でも無く、やるせない表情でもない。自分たちではどうしようも無い境遇の中、他者を救済することさえ出来ない自分達、そして家族さえ守ることが出来なかった無力が全身から伝わります。

ピアノ演奏に関しても、エイドリアン・ブロディは特訓を重ねてスタント・代役無しで自身でやりきっています。エイドリアン・ブロディのインタビューによると、毎日4人のピアノ教師から4時間の猛特訓を受けたそうです。

エイドリアン・ブロディ自身も父親がナチスからの迫害の被害者で、そのことを父親から良くきいていたようです。その実体験がロマン・ポランスキーと同じく、『戦場のピアニスト』での怪演に繋がっているのでしょう。

インタビューではゲットー脱出後の、ガリガリに痩せた演技もエイドリアン・ブロディ自身が身体をつくり、 極限状態 の”孤独”の演技をするために、一人でなるべく身を置いてピアノとコネクトする時の気持ちやフィーリングを感じて演技に臨んだとのことです。

ピアノ奏者ウワディスワフ・シュピルマンを救ったナチス兵

ウワディスワフ・シュピルマンは、ワルシャワでのサバイバルの経験した体験記として語られている中では、映画と同じくドイツ兵に本当に助けられたとなっています。

ドイツ兵は、映画と同じくヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉です。ヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉は『シンドラーのリスト』のように、何人ものユダヤ人やポーランド人を救い後にポーランド復興勲章を受賞しています。

ヴィルム・ホーゼンフェルトは、ポーランド市民の家に招かれて、食事を振る舞って貰ったりと歓迎されていたようで当時の時代背景を考えるとあり得ないぐらい慕われていたと言うことです。

ユダヤ人を助けるだけで、その人も重罪でしたから。

残念なことに、 ヴィルム・ホーゼンフェルトは映画通り1952年にソ連からの拷問・収容により死亡しています。 ポーランド復興勲章は、2002年の本『戦場のピアニスト』のヒット後、2007年のことです。

ウワディスワフ・シュピルマンの演奏

ウワディスワフ・シュピルマンの原作の演奏を見つけたので、参考までに

海外の評価 2020/03時点

評価は、批評家・視聴者ともに圧倒的にたかい数値です。
アカデミーは完全に納得ですね。

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
85
User rating8.5/10
ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
95
Audience96

映画の感想・まとめ

濃厚な暗いタッチの中でも音楽と映像美で、凄惨な歴史を人間くさく泥臭く表現するロマン・ポランスキー監督・および脚本は素晴らしかったです。

ロマン・ポランスキー監督の表現したかったことが全て、表れているのでは無いでしょうか。この映画の中でウワディスワフ・シュピルマンを演じたエイドリアン・ブロディの孤独・小さな歓喜、そして神と生き延びた事への感謝がひしひしと伝わる演技が素晴らしい。

実際のゲットーやアウシュビッツ等の事はわかりませんし、仮に調べて文面でわかったとしてもそんなのはただの文章であって、経験では無い。

『戦場のピアニスト』はロマン・ポランスキー監督の経験や見てきたことを表現し映像化しているのだから、これら全ては価値はあるし・実際の見えている景色の中でフォーカスしなければいけないところにまるでコントラストが付いているかのようです。

アカデミー主演男優賞、史上最年少29歳受賞はさすがです。

世界中からも評価されアカデミーも3部門受賞です。

何度みても、アカデミー作品って、受賞タイトルの名前だけでなく、本当に映画として芯がしっかりしています。

エンターテイメント性があるわけではないです。重い空気の中胸が締め付けられます。

こういう事が許される世の中は絶対許せないと思わせる映画です。

超おすすめの作品になります。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      5
 キャスト       5
 ストーリー構成    5
 初見で読み取れない謎 5

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、に最高に面白い作品と思います。