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『Last Letter (ラストレター)』岩井ワールドは少し難解!でも胸につかえる初恋の匂い漂いまくり!:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-02-02

映画『Last Letter (ラストレター)』「君にまだ恋をしていると言ったら信じてくれますか」初恋を思わず思い出して熱病のような一種の病気だったなぁと思い出させてくれる日本のラブロマンス映画!心ゆくまで独特のアンニュイな岩井俊二ワールドを心ゆくまで堪能できます。

”初恋感”を感じたい人にはおすすめの映画ですが、映画としてみると個人的にはやや難解でした。

それでも、日本を代表する岩井俊二監督の脚本と監督で

不思議な空間が出来上がってしまいます。

現在と過去、それぞれの登場人物の想いの情景が次々浮かんでいく本作は名作なのでしょう

普通のおすすめ作品です

以下見ていきましょう!

あらすじ ネタバレなし

姉の”未咲”が死んでしまった。一人娘の鮎美を残して死んでしまった。
颯香は鮎美を祖父母の家に一人残すのはかわいそうだと実家に残ることになり、裕理は息子の瑛斗と家に帰ってきた。
実家から預かってきた、姉の未咲の同窓会の招待の手紙の扱いに困り、自分で姉が死んだことを伝えに会場まで行くと、そこでは生徒会長で学年のマドンナだった姉と間違えられてまさかのスピーチまでさせられた。

会場を後にしようとしたその時に、かつて姉が高校総代として卒業式の日に述べた答辞のカセットテープが流れてきた。懐かしい姉の声と共に。
家路を急ぐ裕理に、かつて裕理も好きだった先輩の乙坂鏡史郎から声をかけられた。姉の未咲と勘違いして声をかけてきたが携帯の連絡先を交換しその日は分かれた。
家でフロに入っている裕理の携帯が旦那の前で鳴る。
乙坂からのメッセージで「君にまだ恋をしている」。すっかり激高した旦那は携帯をフロに投げ入れ壊してしまう。

裕理は、未咲として謝罪の手紙を乙坂に送るが返信先は書かずに送る。乙坂は返信の手紙を未咲の実家へ送る。
実家では、鮎美と裕理が乙坂なる人物が死んだ未咲への手紙が届く。

裕理と乙坂、乙坂と未咲の娘との奇妙な文通が始まり、止まっていた過去の時が流れ始めた。
乙坂の未咲への思いは・・・

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映画情報&キャスト

『ラストレター』 2020年 日本
【監督】岩井俊二
【脚本】岩井俊二
【原作】岩井俊二『ラストレター』
【製作】川村元気(企画・プロデュース)
    野昌
    臼井真之介
【製作総指揮】山内章弘
【出演者】
裕理(松たか子)
 :自殺した姉(未咲)の
  同窓会に間違えられて出席する
  高校の頃、
  姉にコンプレックスを持つ
  二人の子供の母
裕理(森七菜 高校生の裕理役)
 :生物部に所属する
  明るい女子高生 
未咲(広瀬すず 高校生の未咲役)
 :躁鬱病から
  自殺してしまった
  鮎美の母
鮎美(広瀬すず)
 :自殺した母(未咲)の
  事を思いつつ
  祖父母と暮らす
香(森七菜)
 :明るい学生
  裕理の娘
瑛斗(降谷凪)
 :元気な小学生
  裕理の息子
裕理の旦那(庵野秀明)
 :裕理の旦那
  ホラー(サスペンス)漫画家
乙坂鏡史郎
(神木隆之介 高校生役)
(福山雅治 現在)
 :売れない小説家
  小説「未咲」を書いた以後
  本を書けなくなっている
  未咲と大学時代に付き合っていた
阿藤(豊川悦司)
 :未咲の元旦那
  鮎美の父
  定職に就かず
  家庭内暴力が酷い
  未咲が死んだことも知らず  
サカエ(中山美穂)
 :阿藤の現在の妻

あらすじ続き ネタバレ

二つの奇妙な文通がしばらく続いたあと、
裕理はひょんな事から知り合った知り合いの家で過ごすことが多かった。いつしか、その家の住所を乙坂との手紙のやりとりに使うようになっていた
乙坂は、突然その住所を尋ねてきて裕理は再度、乙坂とで会うことになる。
「君は妹の裕理だろ。未咲はどこにいるの?」乙坂からの裕理への問いで初恋の淡い思いははかなくも飛んでしまう。
裕理は、姉が死んだこと、長年躁鬱病を患い自殺であったこと、娘の鮎美とともに父親の阿藤から家庭内暴力を受けていたとを乙坂に伝える。乙坂と阿藤はちょっとした知り合いだった。
そして裕理は、乙坂が姉の未咲と一緒になっていてくれればこんなことにはならなかったのにと、心境を吐露する。
乙坂も、実は未咲と付き合っていたこと。「未咲」と名前を付けた小説を出版以降、未咲の幻影に捉えられて何も小説を書くことが出来なくなったことを告白する。

乙坂は昔、未咲が阿藤と住んでいた住所に訪ねてみた。
行ってみるとそこには阿藤の連れの女性が住んでおり、阿藤が飲んでいる場所へ彼女が案内をしてくれた。
久しぶりの再会を、祝うのでも無くただ飲み始めた。
乙坂は激高して何故未咲を死なせたのか迫るが、未咲の死さえ阿藤は知らずにいたのだ。阿藤は未咲と鮎美から純粋な目で見られると自分の駄目さが際立たせられると激高した。
「おまえは未咲の人生になんの影響も与えちゃい無い、俺が未咲と結婚したからおまえは“未咲”と言う小説を書けた。」と言われるが乙坂は何も言い返せない。

乙坂は昔未咲と過ごした高校(廃校)へ行って、珠玉の色あせない記憶の波に漂っていた。
その乙坂の目の前を、未咲と裕理があの頃のままの姿で歩いている。いや、あの二人では無く未咲と裕理の娘の鮎美と颯香だった。
二人に話しかけると、鮎美は即座に文通の相手の乙坂であることがわかった。
二人に導かれて、実家に未咲の線香を上げに赴いた。
未咲の思いに浸りながら鮎美からは母は全ての手紙を何度も読み返し大事にしていたと。自分も何度も読み返したこと。未咲は乙坂をきっと待っていたであろう事を伝えた。
「未咲」の内容と手紙が同じなのは、最初に岬に呼んで欲しかったからだと乙坂は鮎美に伝える。

鮎美は何か吹っ切れたように、読めずにいた母からの遺書を開けてみる
遺書には、かつて未咲と乙坂で書き上げた卒業式の答辞の原稿が入っていた。

超感想中心の評価考察・レビュー

岩井俊二監督の想いが詰まっている作品

Copyright(c) youtube.com

『Last Letter』は、岩井ワールドのエッセンスがたっぷりと詰まっている。過去の自身の作品との共通の世界観を彷彿させるようにオマージュがたっぷりと効いています。

監督への『Last Letter(ラストレター)』インタビューの中にもそれは表れています。

『ラブレター』との同一性であったり、パート2であったりとの話では無く、両方の映画を見て、双方の世界を彷彿できるようなイメージを持って作成に及んだとのことです。

中山美穂や豊川悦司、学校や図書館といろいろと、二つの世界をつなぐスナップがきいています。

一人二役、一役二人

広瀬すず

広瀬すずさんの一人二役が話題になっています。

母と娘の役どころは難しいところだと思いますが、違和感なく演じ分けしています。優秀で学園のマドンナ的な母親の未咲、その母親の若かりし頃のことを乙坂からの手紙で知っていく鮎美と微妙な心情を表現しています。

毅然推している未咲と、少し普通の高校生なのに陰鬱とした陰を抱えた鮎美の対比で乙坂のタイムスリップしたかのような微妙な心情にも、現代に存在している”鮎美”であると気がつかせています。

ただ、未咲といい、鮎美といい、驚くほど”人物”描写が無いんですよね。

これは、わざとそう作っていると思うんですが、

”初恋の相手”=幻想
(いつも色あせない鮮明な現実でない物)

と言う意識があるのではないでしょうか、結局のところどういう人物かというと未咲は優秀な学園のマドンナである程度にしか、映画の中からはわかりません。

ただこれは、脚本や構成の話であって、記憶の中の未咲は見事に再現されていて、鮮やかに輝いていました。

広瀬すずの演技は流石『ちはやふる -上の句-』で第40回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を獲得しただけあります。

『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』ではエネルギー溢れる若さ、『4月は君の嘘』ではヴァイオリンを弾く薄幸の少女でも演技が輝いていました。

福山雅治、神木隆之介

乙坂鏡史郎は、福山雅治が大人、若い高校生の役は神木隆之介が演じています。

物語全体が、乙坂の”気持ち”

しかも好き、好きだったと、映画そのものが手紙そのものであるかのようなストーリーラインは美しいです。

物語の中の、未咲像がいまいち不明瞭ですが、記憶の中の未咲はそれはもう艶やかに美しく、毅然に表現されています。ただ、これらは全て、乙坂の思いでしかなく、乙坂の”好き”の気持ちで物語お推し量るしかありません。

そんな小説家、”未咲”を書かせたら右に並ぶモノのいない、乙坂を福山雅治と神木隆之介の二人とも抜群の役作りで、胸のどこかに何かが詰まってモヤモヤする初恋の”想い”を、双方の年齢層なりで、伝わてくる演技が良かったです。

”好き”って単純なようだけど、ここまで初恋が大きいと表現難しいですね。

未咲と相まって、映画そのものが乙坂の話なので、乙坂に関しては人物像が驚くほど明確です。

合わせて裕理(松たか子)もそうなんですが、

”今を生きている”確かな現実として、その側面から”初恋”を表現しているのだと思います。

過去の初恋でも、神木隆之介は、広瀬すずとテレビドラマの『学校のカイダン』でも共演していますから、立場は少し違いますが学園モノとしては相性が良かった感じです

顔はどっちがってコトではなくて、神木隆之介と福山雅治はあまりにも似ていないので、

ご愛敬と言うことで。

松たか子

松たか子は、なんといっても演技は安定してみていられました。

平凡な主婦が突然、”初恋”の想いに浸り、しかもその相手がかつて死んだ姉と好き合っていたら、ああいうふわっとした感じなんだろうなと伝わってきます。

ストーリー全体の方向性と味付けを確実にしているのが松たか子です。

まつたか子だけがふわっとしていなくて、

現実を生きているんですよね。さらに義母の恋を追っていくことで、さらに生活や現実感との重要なつなぎです。

他のキャラクターたちはどっか時代・時間と架空の想いが入り乱れているので、彼女の役目が重要な役どころでした。

ホラー映画『来る!』でも、しっくな映画『小さいおうち』でも、アニメの声優『アナと雪の女王2』でも本当に安定した演技です。デビュー当初のチャラついたような感じはみじんも感じないです。

合わせて読みたい確かな演技の松たか子『小さいおうち』

また、他の出演者も話題に事欠きませんでした。

エヴァンゲリオンの庵野秀明が頑張って裕理の旦那役で出ていましたね。岩井俊二監督に以前、庵野秀明の作品に出て貰ったことがあり、そのお返しとのこと。

また、瑛斗役で、降谷凪君が出演していますが、彼はDragon Ashの降谷建志とMEGUMI実の息子です。将来が楽しみなイケメンですね。

森七菜

そして、個人的には森七菜(裕理も、颯香も)の淡々とした塩演技がとてもよかったです。

これは素人っぽいと言うより普通の女子高生ってこんなもんだよなと。将来が楽しみな女優さんが一人増えました。

時折、映画のストーリーの流れに置き石のように現れて、方向性を変えていく!

そんな感じで、実は陰の主人公かもしれません。

映画構成ストーリー

前評判が良すぎたせいか、残念ながら中々映画の世界にのめり込むことが出来ませんでした。

たんたんとした映像美の中で世界観を作っていく岩井ワールドは理解できるのですが、どうしても”設定”やキャラクター達の”動機”に親近感が持てず、現実的な感じがしないんですよね。

初恋に関しては誰しも経験することですので、キュンキュン伝わってくるし苦い思いが胸の中に広がっていくのも感じられました。ただ、映画に没頭できない。

映画に入り込めない理由はいくつかありますが、以下の要素だと思います。

  • 生徒会長まで務めた優等生の未咲が何故、阿藤と結婚?
  • 乙坂、実家の住所最初から知っていたよね
  • 同級生達、未咲の音信不通って、普通に実家で連絡取れてるじゃん
  • 乙坂の想いって、あるのかないのか行動力なさ過ぎ(大人)
  • 何故、大きい犬2匹が。。
  • 鮎美の描写がなさ過ぎ(どういう人物なのかわからず)

映画の中の登場人物達の取った行動が、理解できない事が多いのが原因でしょうね。非現実の選択をするからドラマになるんだろうけど、もう少しそうなる必然の設定なり説明があると良かったと思います。

例えばですが、上の何故、未咲が阿藤を選んでしまったのか?に関しても

  • 赤ちゃん(鮎美)が出来てしまったから
  • 乙坂を作家として独り立ちさせたかったから(自分といると駄目人間になる)
  • 阿藤にxxの魅力があったから

とかドラマっぽいそれなりの動機付けがあるとわかりよかったと思います。

このわからない謎のモヤモヤを考えて伏線を探していくのが疲れちゃいました。

原作との違い

書籍版の『ラストレター』と映画との違いが主に設定面でいくつかあります。

合わせて、原作を読んでみるのもいいかもしれません

  • 瑛斗が未咲の子供(裕理の子供では無い)
  • 同窓会の後、乙坂へ声をかけたのは裕理
  • 裕理の家が家庭崩壊
    義理の母や、犬二匹はあてつけ
  • 本にサインすることが重要な位置づけに

タイトル「Last Letterラストレター」とは何か 考察・謎 

本作のタイトルのラストレターって、結局何がラストなのか明確に語られないんですよね。

こういう所が不完全燃焼で、高尚すぎて映画を見るのに疲れてしまう。

日本映画の嫌なところは、視聴者なりの考え方を求めるというか直接的でないのが疲れます。感じ方は人それぞれでしょうが、上から目線で「分かる人にわかればいいんだよ」的な雰囲気を持つ映画ってあります。

本作も、少しそういう風に感じてしまいます。

脱線しました、ラストレターの意味合いはいくつか考えられます。

個人的に感じたこととしては以下のようなケースではないかと思います。

  1. 小説「未咲」が乙坂から未咲へのラストレター
  2. 鮎美への遺書(答辞現行)が未咲(乙坂)からのラストレター
  3. 乙坂から架空の未咲への「今でもあなたに恋をしていると言ったら信じてくれますか」がラストレター
  4. 鮎美から乙坂への”想い”の説明が未咲からのラストレター
  5. 小説「未咲」および、未咲への想いを紡ぎ続けることがラストレター

個人的な感じ方としては、の乙坂の一人称での恋への決着を付けるための一連の行動そのものが、ラストレターかなと思っていました。(=架空の未咲としりつつの文通に終止符をうつ)

皆さんはどう感じましたか?

恐らく、一般的には2ではないかと思います。

素直じゃない”ほげる”です

理解・読み解くことが出来なかった謎

いくつか、疑問に思うところが少々残ります。考察も出来ないですね
原作でもこの辺に対しては答えが書いていません。

  • 何故、阿藤と結婚したのか
  • 何故、乙坂と別れたのか
  • 鮎美が突然文通を始めた理由(既に乙坂のこと十分知っていたのに)
    性格が謎

まあ、もやもやが残るのも映画です

若い乙坂には人間的魅力が足りず、阿藤にはフェロモンがビンビンだったということでしょう。

海外の評価 2020/03時点

海外配信は指定なのかもしれません。評価は、一般視聴者しかないのでなんとも言えませんね。

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
User rating6.9/10
ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
Audience

映画感想まとめ

岩井ワールドが前回で炸裂していると言えばその通りですが、やや難解で映画としては淡々とし過ぎているように感じました。

もちろん、”初恋”であったり”手紙”に込めた想いというのはビンビンに伝わってきて、胸が締め付けられる思いまでは伝わってくるのは流石です。

ただ設定や構成が唐突間がありすぎて、無理筋に見えてしまうんですよね。

ドラマとして見ても普通には楽しめますし、広瀬すずさんや福山雅治・神木隆之介、松たか子など話題騒然ですので、見た方がいいと思います。

✔広瀬すずと初恋したい人
✔福山雅治と初恋したい人
✔初恋に未練がある人

こんな人ならば、この映画のこと好きだと思います。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      4
 キャスト       4
 ストーリー構成    4
 初見で読み取れない謎 3

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、に面白い作品と思います。