『完全なる報復』悪はどっちか互いの正義のぶつかり合い:動画配信・映画感想あらすじ考察
映画『完全なる報復』はジェラルド・バトラーが筋肉のみに頼らず知性で勝負する頭脳派サスペンス!妻子を強盗に無残に殺されたクライドが司法取引で刑期を短くした強盗犯を殺害し逮捕される。強盗と司法取引をした検察と裁判官をクライドは獄中からどんどん殺害していく。
ストーリーの筋がいいサスペンススリラー
ジェイミー・フォックスとジェラルド・バトラーが”知”で対決、おすすめの作品です
あらすじ ネタバレあり
クライドは美しい妻、愛娘とフィラデルフィアで幸せに暮らす技術エンジニア。
あるとき、二人組の強盗が家に押し入りクライド、妻、愛娘をナイフで刺して金目の物を強奪していった。その時、妻と娘は強盗の一人に陵辱され殺された。犯人はそのまま捕まるが妻と娘を殺した犯人が司法取引で、もう一人をおとしめて自身の殺人を第1級から3級に減刑させてた。その時の検察担当官のニックは自身の犯罪検挙率のみを指標として有罪化すること優先させたのだ。
10年後、司法取引で重罪になった犯人の死刑が執行されるが、安楽死の薬剤が苦痛を与える薬剤に変えられ凄惨な死となった。
もう一人の減刑して出所していた強盗犯は生きながらにして四肢を切断され殺害された。犯人はクライド!
クライドは警察に素直に逮捕されるも、殺害を認める代わりの司法取引としてベッドの待遇改善を要求して裁判所、検察、刑務所を敵に回して司法の欠陥を問い始める。
次なる殺害の予告までして、獄中にいながら検察を脅し始めたのだ
検察と、刑務所長はクライドを甘く見た結果、クライドの殺人は次々と続く!10年前に司法取り引きに関わった弁護士や検察関係者でニックを除いて次々と殺されていく。
ニックはフィラデルフィア警察と協力して、クライドの資産の一つが刑務所敷地であることを突き止める。クライドは刑務所独房抜け穴を作り脱獄して殺害を繰り返していたのだ。
クライドは司法への挑戦のクライマックスとしてフィラデルフィア市長を中心としたセキュリティー委員会の会場を大爆発させるべく爆弾をセットするが、ニックに先回りされ逆にクライドの独房にセットし直される。
クライドは自身の独房の爆弾があることを知らずに、爆弾のスイッチを入れて爆発で死亡する
映画情報&キャスト
『完全なる報復』 2009年 アメリカ
【原題】Law Abiding Citizen
【監督】F・ゲイリー・グレイ
【脚本】カート・ウィマー
【製作】ルーカス・フォスター
ジェラルド・バトラー
アラン・シーゲル
マーク・ギル
カート・ウィマー
ロバート・カッツ
【製作総指揮】ニール・サッカー
マイケル・ゴーゲン
【音楽】ブライアン・タイラー
【撮影】ジョナサン・セラ
【編集】タリク・アンウォー
【出演者】
クライド・シェルトン(ジェラルド・バトラー)
:妻子を強盗に無残に殺され
司法取引により軽い罪で済まされた司法制度を憎み
非常な暴力で世に訴えようとする
ニック・ライス(ジェイミー・フォックス)
:クライドの事件の担当検事
司法取引で有罪検挙率のパーセンテージを高めることを
優先し、クライドに執拗に真を問われる
感想考察
引き込まれるテンポの良いストーリー展開
犯人の役はジェラルド・バトラーです。『300』など筋肉隆々の映画のイメージが強いが、この映画では特許をいくつも持っている技術エンジニアでCIAに雇われていた遠隔殺人のプロとして獄中の完全アリバイのある中から、犯行を重ねていきます。
この映画は、正義と悪
司法の捉え方によって、見方によってずいぶん展開が違う物になります。
司法側が正義なのか、恨みを晴らす側が正義なのか
俳優のクレジットとしてはジェイミー・フォックスが先頭に来て、ラストシーンから見ても主役はジェイミー・フォックス演じる検事側なんですが、
私の映画キャスト紹介では敢えて逆にしています。
そうです、””ほげる”は完全にクライド(ジェラルド・バトラー)視点で見ていました。
序盤から中盤、終盤までは本当に流れるように飽きさせないストーリー展開が素晴らしい
クライド視点で彼が強制的に司法に学ばせる相手
弁護士
裁判官
検察
各面々に鉄槌を下していきます。
初めて見たときには次の鉄槌の展開が読めないので、非常に面白く謎解き映画のように見ることが出来ます。
この映画でのクライド(ジェラルド・バトラー)は、社会・体制への批判として
正直かなりかっこいい!
完全に喰われたジェイミー・フォックス
ジェラルド・バトラーは、あくの強い顔なのにストーリのはじまりの妻子を惨殺された被害者の時、髪を下ろしたまじめ風な感じのジェラルド・バトラーもいいですねー。真面目なエンジニア感が非常に良くでていました。弱々しくも検察(ジェイミー・フォックス)に恨みを抱いていく形相がなかなかどうして、演技派ですね。
それに引き換え、脚本のせいかもしれませんがニック(ジェイミー・フォックス)の態度が煮え切らず好きになれなかったですね。
元はアカデミー賞を取った作品『RAY』はもとより、かなり演技派!
本作では『ドリームガールズ』の時のようないけすかない男のイメージが強いです
善良で良い人なのか、体制側の官僚的な人物ってだけの昇進だけを考える小物なのか
思いっきり自己中心的な悪いやつなのか、はっきりしない。
なんか態度や台詞回しも、どっちつかずな感じで、この辺は演技にメリハリが無かったように思えます
完全に、ジェラルド・バトラーの勝ちだと思います。
ジェラルド・バトラーの完全計画的な殺人術
なんと言っても見せ場としては、超計画的な残酷殺人
直接的に”恨み”のある、妻子殺害犯に対して圧倒的な暴力と残虐性で悔い改める一分の隙も無く殺します
爽快です
殺人犯の気持ちはわかりませんが、恨みは十分理解出来ます
入りとつかみはOK
この後も、クライドの司法への挑戦
怒りはボルテージを上げて継続していくのです
終盤からラストで普通の映画(駄作)に
”ほげる”としては、『完全なる報復』はストーリー展開や、背景・状況設定が抜群に良くて、序盤からぐっと映画に引き込まれて、クライドがどうやって次の鉄槌を下していくのかが楽しみで、ちょっとワクワクしてみていました。
それが、好きな部類の映画だけに残念なのが、終盤から一気に普通になっていくのです。
この映画の一番の良いところは、
クライドが獄中にいながらも次々と殺人を予告して実行していきます。CIAの工作員まで登場してきてわざわざ伏線を張ります。
「やつは遠隔殺人のプロだ、やつを怒らしたら死ぬしかない」とまで言わしめて強調するんですよね
その後も、クライドの獄中計画殺人は続きます
裁判官が、受話器を取って、ズドーン!
受話器から銃弾が出て死ぬところまでは最高に良かった。
これは、ワクワクしましたよ
どうやって?
司法・検察、刑務所と真っ向勝負
先の読み切り合戦かと思いきや
結局は、えー
刑務所独房から穴掘ってショート脱獄かよ
シルベスター・スタローンの『大脱出』真っ青ですよ。
殺人の都度、ただ脱獄して殺害をしていただけだったなんて。。。
ええ、もちろんそれも凄い事で、どの監獄に入れられて独房はどうで凄い労力を使うのだろうさ
でもね、やっぱりここは獄中からってポイントからずれた気がするんですよね。
たとえ、そうだとしても、もう少し考えようがあったと思う。
個人的には、10手先まで読みまくって徹底して遠隔殺人に対して、”知”で挑んで欲しかった。その辺が中途半端に感じてしまうんですよね。
ジェラルド・バトラーが好演しているだけに惜しい。残念です。
ラストシーンは、検察官のニック(ジェイミー・フォックス)が刑務所に爆弾をしかけ返して、クライド(ジェラルド・バトラー)を爆破(ナパーム)します。
ここなんて、完全によくわからない。
今までの伏線も全て無駄。なぜ検察官が刑務所を爆破するの?他の囚人は殺していいの?
ニックって正義じゃなかったの?結局ご都合主義かいって感じでした。
他のやり方あったんじゃないかなぁ。脚本が駄目なのか。。。残念です。
海外の評価 2020/03時点
評価は、批評家からダメ出しされまくっています。
内容としては、アメリカの司法制度に対して見当違いの映画のくみ上げ方だとか、意味の無い残虐的なテロリストだとか、そういったものが多いです。
この映画への批評でわかりましたが、アメリカ人の批評家は映画を単純な娯楽としてみたうえでの批評であってもある程度の、ルールや法制度的なベースに沿っていないと気分を害するんだなぁと言うのがわかりました。
日本人的には、それって作るものだよね?って終われるところも、芸術性や美的センス、はては反テロリズム的なものを求めるんですね。みんなパトリオット(愛国者)ってことかもしれません。
Metascore (批評家) | 34 |
User rating | 7.4/10 |
TOMATOMETTER (批評家) | 26 |
Audience | 75 |
同じく社会的なな狂気を扱う、ジョーカーとの違いがわからないですね。
合わせて読みたい『ジョーカー』
映画の感想まとめ
ストーリー展開とか序盤からの入りとか、もの凄く好きな部類で引き込まれます。
ラストに向かうにつれて、だんだんと辻褄は合うんだけど、なんか普通になってくる展開が本当に残念。ジェラルド・バトラーの意外な演技の一面を見られたのは、良かった。
社会や体制、裁判制度への批判したい時にちょっとみてみるとスッキリする映画です
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 3
キャスト 3
ストーリー構成 2
初見で読み取れない謎 4
いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、おすすめ作品と思います。
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