『ホテル・ムンバイ』実話テロの圧倒的リアル感!救いのない衝撃:コラム的映画あらすじ評価感想・動画配信
映画『ホテル・ムンバイ』は2018年の実際のインドのムンバイで起きたテロ事件をベースに書かれたアメリカ・インド・オーストラリア合作のサスペンス・スリラー映画!タージマハル・ホテルにテロにより追い詰められた避難者と退避できなかった旅客をホテルの従業員が救助を待ちながら必死の救出を模索するが・・
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インド映画と言うと、「ああ、あれね」ってくらいミュージックとダンスを中心に長ーい前振りや、いらん背景描写など、外れを引くと大変なことになる。
一方で、インドの映画産業は実はかなりの規模でめっちゃハリウッドしてる。歴史スペクタルから現代のサスペンスまで様々だ。自分も、ハエになる『マッキー』だったり、目が見えないふりするピアニストの『盲目のメロディ』、『きっと、またあえる』など多少コメデイが入っているほうが見やすいが。。
今回は、そんな期待を大きく裏切る作品を紹介したい
ああっけなくひっくり返る日常、
そして、容赦なく迫りくる「死」、経験したことのない緊張感に耐えられなくなる人々
そう、やはり実話ってのがポイントで、
その実話テロが想起させる事が、映画にリアリティー感をめっちゃ与えてます・・・!
2008年に起きた「ムンバイ同時多発テロ」
リアル映画には、膨大な証言に基づいた映画製作の為か、こういうリアル感を感じて、それと共にあっけなさ、決してハッピーエンドにはない救いのない衝撃が待っています。
合わせて読みたい『リチャード・ジュエル』
インドで同時に起きた幾つものテロの中から、「タージマハル・ホテル」でのテロにフォーカスした本作。
「2018年注目すべき映画監督10人」にも選ばれたアンソニー・マラス監督が、事件の生存者や関係者のインタビューを中心に1年にわたり詳細にリサーチし、リアルに描き出した衝撃作だ
むっちゃ見ごたえがあるのは間違いない
それでは、あらすじを紹介しよう
インド・ムンバイに現れた十数人のイスラム教徒の若い男たちが、幾つかのグループに分かれて人混みに向かうところから始まる。駅や街中に散った男たちは、突如、辺りにいた人々に向け銃を乱射し始める。
そして、同じ頃・・・
仕事に向かったタージマハル・ホテルの従業員アルジュン(デヴ・パテル)は、革靴を忘れたことに気付く。そのせいで、多額のチップが期待できるVIP客のサービスに当たれず落胆するアルジュン。だが、後にこの事がアルジュンの運命を大きく変えることとなる。街中では、テロリストの無差別な純乱射によりパニックになっていた。大勢の人々が、避難する場所を求めタージマハル・ホテルに押しかける。ホテル側は避難者を受け入れるが、実はその避難者の中にテロリストが紛れており、すぐに無差別な銃撃が始まる。正面の出入り口をテロリストたちに封じられたことで、避難者、宿泊客、ホテルの従業員は行き場を失い追い詰められていく。そこからテロリストたちはしらみつぶしに殺戮を行っていき、ホテル従業員たちは、客や避難者を守るために命をかけた脱出を図っていく・・・
この映画は、本当に臨場感溢れる作品に仕上がっているのですが、その理由の一つがこの撮影の際のこだわりにあるようです。
撮影時、犯人役・ホテルマン役・宿泊客役・・・と、それぞれを引き離すことで、よりリアルな緊張感を持ち演技できるように工夫していたそうな、、、、その結果、終始、息をするのもためらうほどの緊迫感が感じられる。
めっちゃハイレベルな攻防・・・
人は圧倒的な暴力にの差にこれほどまでに無力なのかと思い知らされますね
映画だとわかっていても、”実話ベース”って言葉もあり、臨場感はアゲアゲ
最近こういう、実話ベースのテロ映画ってのにはまって見たこともあり、『ウトヤ島 7月22日』、『キングダム/見えざる敵』と暗ーくなること間違いなし系を見てきたが、『ホテル・ムンバイ』はそんな中でも圧倒的なリアル感を醸し出しています
臨場感が半端ない。
テロの息遣いに加えて、従業員の必死さっと無力な客の狼狽ぶりが、調和がとれているってことが、凄いと思うわけですよ。どこまでが実話なのかわからなくなるくらい、脚本的にも秀逸
冒頭で、テロリストや後に被害者となる人々の運命が「タージマハル・ホテル」で交わるまでが描かれているのですが、それぞれの運命が交わったこの時点からの緊張感がすごかった!
最後の最後まで、いち、ホテルの客としての視感で逃げ出したくなるほどの焦燥感があり・・これほどはなかなかありませんなー
一方で、恐怖だけではなく作品から感じ取れるメッセージも強かったと思う次第で、普通のホテルマンであるアルジュンの一日を通して、平凡な人間がテロに巻き込まれるという可能性や運命の意味も十分に感じとれるわけですよ
彼が革靴を忘れたことによって、本来なら彼があたるはずのVIP客のサービスを同僚が任せられます。結果、その同僚はVIPの部屋を狙ってきたテロリストによって一瞬で殺害されていってしまいます。
このシーン、ハッとしました。この日「アルジュンが革靴を忘れた」のは・・・?
これを「運命のイタズラ」というのでしょうか。
私たちは平和な時代、平和な場所に生まれ、この日常が当たり前・・・ですが、世界中で様々なテロは起こっています。その状況に遭遇する可能性も、もちろんある。
それに「アルジュンが革靴を忘れた」ように、日常の小さな出来事が自分の「生死」を分けることのキッカケにもなりうる。まさに「生と死は背中合わせ」。遠いと思っていた「死」が目の前にチラついた瞬間でした。
そして、「テロ=絶対悪」という常識的な感覚、、その一方で深く感じたのが、テロという行為の裏にある複雑な問題
そう。この作品は、テロという行為の裏にある複雑な問題を私たちに投げかけているのです。
そして、全体的に救いがない・・、これが単なるアクション映画なら絶対救われるであろう旅客達も、一瞬で何の躊躇もなくパンパン殺されます。テロの少年が躊躇したのは一瞬のみ!
それは、イスラム教徒の歌をアメリカ人と結婚したイスラム女性が口ずさんで歌ったときだけです。ここまで原理主義の恐ろしさと徹底した宗教観をさらに際立たせられています。
インドの特殊部隊(きっとSWATみたいなもの)の投入が、ここまで遅れるものなのか、ムンバイ全域で起こったテロへの対応で、ただただ遅れたのか。非日常は起こってしまうと、止めることがなんと難しいことか、暴力に立ち向かう戦力の少なさ、、、何気に日本の現状を憂慮してしまう内容なわけです。
総じて、この映画和見るべきポイントたくさんあり、テロのアクション映画として見てもいいが、特筆すべき緊迫感とその裏にある複雑な政治情勢なども見どころだと思う。
物語は多くの生存者を守り抜いたホテルのスタッフや宿泊客だけではなく、加害者であるテロリストたちが置かれた世界にもフォーカスしている。
避難客に紛れてホテルに入り、豪華なホテルの内装に驚き目を輝かせるテロリスト。怪我で死を目前にした状況で、家族に電話し「愛している」と涙を流すテロリスト・・・
あどけなさが残る少年兵らは、首謀者から電話で指示され行動しており、基本的には宗教的な思想。
それに加えて貧困などの自らの複雑な状況からテロをいう道を選ばざるを得なかったのでしょう。
垣間見える幾つもの場面に、言葉には出来ない暗く深いメッセージが込められているのを感じざるを得ない
日本に住んでいると、本当に平和で何もこういう危機に直面したことがないので、平和ボケした私たちに深く突き刺さり、胸をえぐられるような強いメッセージを感じる映画なのにもかかわらず、真の意味には理解できないかもしれない。
それでも、平和であるはずの自分の日常が、突如として崩れ落ち「死」が迫ってくる恐怖、少年のようなテロリストたちが、それぞれの抱える理由から自らの命を投げだし大勢の人を殺さなければならなかった理由。
少しでも、この実話ベースのリアル感ましまし映画で、感じ取れたかなとは思う、今日この頃・・
― hogeru -
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