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『風立ちぬ』戦闘機の設計への情熱で戦争の時代を描く:動画配信・映画感想あらすじ考察

映画『風立ちぬ』は2013年のスタジオジブリ制作の宮崎駿監督の長編アニメーション映画!宮崎監督が『モデルグラフィックス』誌上にて発表した連載漫画『風立ちぬ』を原作。実在の航空技術者である堀越二郎がモデルで関東大震災等を生々しく描き、戦闘機の設計者の半生を描く

宮崎駿監督の送る、最後のジブリ監督作品

この風立ちぬは、

本当に色々なメッセージ性を感じます

そして、見る人によって反戦だったり、戦争賛美だったり

そんなことでなく、時代の描写だったりと

色々な面持ちが感じられる稀有なアニメだと思う一方で、子供向けか?と言われるとまったくそんな感じではなく、全然見ていて盛り上がりに欠ける映画

宮崎駿監督の自己満足の為の映画と言ってもいいかもしれない・・

それでも、見るべきなのは懸命に激動の時代を夢を持った主人公が、現実に向き合いながら生きていく姿勢に少なからずとも感ずるとことがあるからなのでしょう

百聞は一見に如かず

まずは、見てみましょう

個人的には、アニメとしてはどうよと思う一方で、めっちゃ好きな映画です

☆5のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

飛行機に憧れる少年、堀越二郎(庵野秀明)はパイロットになる事を夢見ていた。しかし、近眼だったため、二郎は目を良くしようと努力をしていた。

ある日、夢の中で、ドイツの飛行機の設計士・カプローニ(野村萬斎)が現れ、二郎は「近眼でも、飛行機の設計はできますか?」と聞くと「私は飛行機を操縦できない」と笑いながら答えた。二郎はそれからはパイロットではなく飛行機の設計士を目指すようになる。

その後、二郎は青年になり、東京帝国大学で飛行機の設計を学びんでいた。帰省していた実家から、東京へ向かう電車に乗っている途中、二郎は、帽子を風に飛ばされてしまうが、里見菜穂子(瀧本美織)に拾って貰う。その後、電車は突然激しい地震が街を襲った。

これが関東大震災である。乗客が避難する中、菜穂子と彼女の女中の絹(渋谷はるか)に出会う。絹は足の骨が折れて動けなくなっていた。二郎は二人を無事に家まで送り届け、名前も名乗らずその場を立ち去り大学へ向かった。

その後、大学を卒業し、設計士になった二郎。本庄(西島秀俊)のいる三菱へ就職する。英才と会社から評価される二郎。上司の黒川(西村雅彦)にしごかれながらも、飛行機に対しての熱意と才能があり周囲に認められ、ドイツへ企業への留学経験等で、設計士としての腕を磨いていった。

入社から5年後、海軍の戦闘機開発プロジェクトのチーフに抜擢されるが、完成した飛行機を試運転する時に空中分解してしまう。自分の作り上げた飛行機が墜落していく様をみた二郎はショックを受け、軽井沢のホテルで休養を取る事になる。そこで、5年前の震災で出会った菜穂子と再会をする事になる。

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映画情報&キャスト

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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

『風立ちぬ』 2013年 日本
【原作・脚本・監督】宮崎駿
【作画監督】高坂希太郎
【美術監督】武重洋二
【撮影監督】奥井敦
【編集】瀬山武司
【製作担当】奥田誠治、福山亮一、藤巻直哉
【音楽】久石譲(サントラ/徳間ジャパンコミュニケーションズ)
【プロデューサー】鈴木敏夫
【主題歌】…「ひこうき雲」
作詞・作曲・歌: 荒井由実(EMI Records Japan)
【挿入曲】…「Das gibt’s nur einmal」(邦題「唯一度だけ」)
作詞:Robert Gilbert / 作曲: Werner Richard Heymann
【朗読詩】…「風」
原詩:Christina Rossetti / 訳詩: 西條八十(日本コロムビア)
【キャスト】
・堀越二郎(庵野秀明:ジョセフ・ゴードン=レヴィット)
・里見菜穂子(瀧本美織:エミリー・ブラント)
・本庄(西島秀俊:ジョン・クラシンスキー)
・黒川(西村雅彦:マーティン・ショート)
・カストルプ(スティーブン・アルパート:ヴェルナー・ヘルツォーク)
・里見(風間杜夫:ウィリアム・H・メイシー)
・二郎の母(竹下景子)
・堀越加代(志田未来:メイ・ホイットマン)
・服部(國村隼:マンディ・パティンキン)
・黒川夫人(大竹しのぶ:ジェニファー・グレイ)
・カプローニ(野村萬斎:スタンリー・トゥッチ)
・絹(渋谷はるか)
・堀越二郎/少年期(鏑木海智:ザック・カリソン)
・堀越加代/幼少期(信太真妃)
・里見菜穂子/幼少期(飯野茉優)

超感想中心の評価考察・レビュー

宮崎駿:引退作品にして魂の解放

宮崎駿監督を語るのに、何もこの作品でなくとも良いんだけども、本作品は引退を公言して、正式には監督業から引退したメモリアルな作品なのは間違いないでしょう

そして、最後の作品にして

ゼロ戦を題材にした、ぱっと見は戦争に対して賛美するかのようなイメージを与える本作品

実際としてはどうなのでしょうか、中身は戦争とか人の命とか、反戦とかそんな感じのテーマではなく一人の人間の半生を通じて、「タラレバの重なりの先に、我々日本人が立っていたんだ」ってメッセージを勝手に受け取ってしまいました。

どちらかと言うと、戦争ってより

日本人頑張れ、人間頑張れ!

夢を描いて、それに突き進んでいけば、自分の納得するであろう”仕事”を完遂できる

そんな、宮崎駿監督自身の、アニメを通した自分の半生を重ねているような気がしてなりません。

そして、”ゼロ戦”に対しての並々ならぬこだわりも感じられ、以下にして作られ、ゼロ戦の意義が技術や純粋な飛行機としての意義から曲げられていったか、そういったことも強く感じますね。

個人的には、関東大震災の描かれ方が新鮮。

まさに、地震の波の伝わり方、うねり、人の情念や悲鳴が乗っていくのが、凄いビビッて響きます

他の作品はファンタジーでも、本作は違う意味で絶対見るべき作品です

受賞歴、興行収入

いや、これが凄い

かたっぱしから賞を総なめしています

最後を飾るのに、ふさわしい

【受賞歴】
・第34回ボストン映画批評家協会賞…アニメ映画賞(宮崎駿)
・第79回ニューヨーク映画批評家協会賞…アニメ映画賞
・第18回サンディエゴ映画批評家協会賞…アニメ映画賞
・第85回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞…アニメーション映画賞
・第17回トロント映画批評家協会…アニメーション映画賞
・第37回日本アカデミー賞 …最優秀アニメーション作品賞
…その他多数、受賞歴あり

【興行収入】…102.2億円

モデルの堀越二郎という人物

本作では、実在の人物で航空設計士の堀越二郎というモデルがいました

主人公である堀越二郎は実際の人物で

奥さんである菜穂子は本編オリジナルの人物なんですが、モデルはいて堀辰雄の「美しい村」の矢野綾子

主人公の性格は、クールで淡々としているイメージ

例えば、あるシーンの会議で散々言われた後「全力をつくします」と一言だけ。後に黒川に「お前、何も聞いてなかっただろう?」と言われると、快く「はい」と言う。

なんて飄々として生きるのが上手い人なんだろうと、ちょっとあやかりたい(>_<)

まあ、アニメの描写なのであれだけども、あまり顔に感情が出ないキャラだなと思ったら、その一方ではかなり感情豊かな面もあり、奥さんの病気で危篤を知らされた時は冷静さをなくし泣いていたのが心に残りますわ

最後のラストでは自分の設計で零式艦上戦闘機を作り上げ、優れた戦闘機を次々と生み出す事になるが「飛行機は一機も戻ってこなかった」というセリフに、戦争の無残さを表しています。

二郎は美しい飛行機を作る事が夢だった。

決して人を殺める為に作ったわけではないと悩んだだろうと思う。

諸外国と日本を比べると、当時の日本の技術ではエンジンの開発が遅れており、エンジンを軽量化できない代わりに機体を軽量化することになっていた・・・

超生生しい・・ゼロ戦の成り立ちってアニメかとは言え初めて知った。

アニメでは描かれなかったのですが、結局軽量化がゼロ戦の最大の特徴で武器であった一方で、そのことが仇となり、飛行中にペラペラの装甲の為に死んだ人々が何人もいたそうな

あの「神風特攻隊」の機体も零式をもとに作ったそうで、神風特攻隊といえば第二次世界大戦に17歳~24歳ほどの若者が飛行機ごと敵に突っ込んでいくという特別攻撃隊。

これこそ、帰らぬ覚悟で敵に体当たりしていくので本当に残酷な戦術だと思う。

そんな中、二郎の夢の中で奥さんが出てきたとき「生きて」と言ったのは、二郎は自分の作った飛行機が人の命を奪ってしまう重みで耐えられなかった事を、奥さんが

「自分の分や、命を落とした人の分まで頑張って生きていくことが償い」

と表しているように、みえてならない。

飛行機といえば、あのライト兄弟も、自分達が作った飛行機が戦争で使われる事を悩んでいたらしく、兄が先立った後、弟は会社の権利を他の会社へ譲ったと言われています。

アニメ映画の表現

宮崎駿アニメなのにもかかわらず、

こう、見せ場があるとか、ヒーローが出てくるとか

山神さんや、八百万の神々が出てくることはない

すごく盛り上がりがあるとか、急展開があるわけでもない

見ようによっては、タンタンとシナリオは進み、抑揚はないのにもかかわらず思いが残る

そんな映画だ

たとえで言えば、「思い出のマーニー」に近いような気がする。地震の表現の仕方や、飛行機が空中分解して崩れていく音が、とても変わった表現で良い

好き嫌いは分かれそうだけども、先にも書いたけども地震のうねりや波で、土地が唸っているような感じ。飛行機は、エンジン音が、「もうだめだ、限界なんだよ。」と低い人間の声で唸っているようで、無機質なモノからなんだか気持ちが伝わる感じがする

大地震や戦争は怖く悲しいイメージだが、ギリギリ戦争等を遠まわしに表現しているので、子供でも問題なく見られるとアニメだと思う。

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昭和初期の街並み

自分的にだが、この映画の街並や、音楽、蒸気機関車がとてもいい。

この時代に生きていたならお馴染みの風景なのだろうけれど、とても新鮮に感じる。

ドイツへ留学した二郎が、ドイツの飛行機の機体やエンジンを見学をしている際に

「日本よりずっと先の最先端へいってる」と言ったシーンで、何故か心が躍る

先進国からの技術を学ぶべく奔走する人々

この時代の日本人のたゆまぬ努力には本当に敬服するわけです

映画の感想まとめ

総じて、ゆったり見れるアニメ映画

なのですが、戦争や大地震、妻の結核等があり、時代背景に遠回しに人の命について向き合えるいい映画だと思います。

宮崎駿監督の魂が、ストレートに堀越二郎の半生を通じて表現されている

と個人的には思う次第

余談だが、、、二郎の上司の黒川があまり好きではなかったが、観ていくうちに好感度があがりました。二郎が食べていた、カステラであんこを挟んだおやつ「シベリア」。

たまにスーパー等で見かけるが、とても甘そうで一人で食べきれる自信が無い。しかし今度、勇気をもって食べてみようと思っております

一度は見るべき映画で、おすすめの映画です