『その住人たちは』Netflix配信 淡々と他人を陥れる姿がおそろしい!スペイン発の異色サスペンス:動画配信・映画感想あらすじ考察
『その住人たちは』はNetflix配信のスペイン映画!幸せな家庭のCMを作ってきた有名制作者のハビエルが年齢と共に衰える感性とともに仕事がなくなっていく。家も仕事も全て無くなったときにハビエルがは少しずつ狂気へと向かっていく
たまにヒットを飛ばすスペイン映画ですが、
本作はそのうちの一つになるかもしれませんね。
”ほげる”的には、当たりの部類です。エモしれぬ音楽の使い方とか他人を巻き込む卑劣ぶりとか主人公は淡々と狂気を行うところが日常の中に潜む人を信じれなくなる恐怖。。。怖いですね。
そういうことで、おすすめ作品です。
それでは、以下見ていきましょう
あらすじ
ハビエルは元売れっ子のCM制作者だが、年々ヒット作も飛ばせなくなり名声は収入と共に落ちてきた。二流の製作会社からも古いと馬鹿にされ、かつての仲間からはインターンシップとして無償で働くことを示唆されたりと困窮していく。
ついに資金難から高級賃貸マンションを引き払い郊外のアパートへ移り住むことになる。自分のかつてのCMと同様、ゆったりとした家・幸せな家庭のイメージでマイホームにこだわりを持っているハビエルがには受け入れられない現実だった。
ハビエルは引っ越した後に元のマンションの合鍵を使って、ほんの出来心から新しい住人が留守の時に家に無断侵入し、かつての暮らしを懐かしみ、マンションからの眺望を楽しむ。狂気の始まりだった。
ハビエルは住人のトマスの情報を調べ、優良企業の副社長であること、妻が資産を握っていること、過去にアルコール依存症で交通事故を起こしていることを知る。トマスが通う断酒会へ行き、トマスに話しかけ近づいていく。ハビエルは偽装工作で交通事故を起こしトマスが起こしたかのように見せかけ、トマスと妻ララの距離を引き裂いていく・・・・
映画情報&キャスト
『その住人たちは』 2020年 スペイン
【原題】Hogar
【監督】アレックス・パストール
タビ・パストール
【脚本】アレックス・パストール
タビ・パストール
【配信】Netflix
【出演者】
ハビエル(ハビエル・グティエレス)
:元売れっ子CMプロデューサー
歳をとりどこからも見向きされない
トマス(マリオ・カサス)
:スペイン第2位の運輸会社副社長
妻のララの父親が社長
ララ(ブルーナ・クシ)
:トマスの妻
マルガ(ルス・ディアス)
:ハビエルの妻
あらすじ ネタバレあり後半
マンション清掃員にハビエルが不法侵入をしていることを知られ、ハビエルは清掃人の工具に細工をして致命傷を負わせ、さらにはトマスに自分を暴行するように誘導し怪我だらけになった姿でララにトマスは危険だと偽装忠告をする。
トマスとララは別居しはじめるが、ハビエルの狂気は止まらない。自分の妻のマルガに別れを告げ、ララと娘と仲の良い写真をトマスに見せることで、たき付ける。
酒に溺れた状態でトマスはララに忠告に来るがララは危険を感じ痴漢撃退スプレイをするが、そのスプレイはトマスのアレルギーを知っているハビエルがすり替えたピーナッツエキスを注入した物だった。トマスは呼吸困難に陥り気絶する。ハビエルは殺したと勘違いし意気消沈するララの目を盗み、トマスの鼻と口を覆い殺してしまう。
時は過ぎ、ララの新しい主人はハビエルになっていた。
ハビエルは、トマスのポジションに収まり、かつて自分を馬鹿にした製作会社へララの父の地位を利用して滑り込んでいた。
元妻のマルガにハビエルのやったことがバレたが、今マルガの住むアパートと息子の学費を取り上げると逆に脅すのだった。
ハビエルはかつて自分が作ったCMのような、造られた幸せな家庭を手に入れたのだった。
超感想中心な評価考察
パストール兄弟のちょっと変わったスリラー
監督・脚本は、終末ディスアスタームービーの得意なスペインの新鋭アレックス、ダビ・パストール兄弟です。
パストール兄弟がこれまで手がけたのは、『フェーズ6』ウイルス死滅した世界をドライに描いた作品、『セルフレス/覚醒した記憶』ライアン・レイノルズが主演の年老いた金持ちが自分の記憶を若い肉体に転写する作品、『ラスト・デイズ』世界中で発生する広場恐怖症(人々は外に出られなくなる)等、を手がけています。
どことなく、一線を引いたような変わったディスアスタームービーが多い兄弟ですが、本作品では一見まともなサスペンス・スリラーを手がけました。
まあ、まともなスリラーって表現も可笑しいですが。
そんなスリラー仕立てにも随所にこだわりがあって、
主人公のハビエルの作ったCMが本映画のキモになります。
冒頭で、描きハビエルの就職活動で上映していた昔のCMがハビエルの住んでいたかった家であり家族でした。それ以下では彼は満足できなかったのです。皮肉にも自信で描いていたCMが最大の伏線だったのですね。
兄弟の描く作品には共通の皮肉めいた、示唆が必ずあります。
『フェーズ6』では、兄弟が昔行ったことのあるリゾート
『ラスト・デイズ』では、普通の生活から反転して外出すると死んでしまう
『セルフレス』では、転写された肉体の記憶
とポイントが置かれます。本作品では、ハビエルが拘ったのは、ララやマンションではなくて、CMのような家庭だったのでしょう。
ラストシーンでマンションではなくて一軒家に移り住んでいることからもわかります。
主演のハビエル・グティエレス
主人公と同じ名前のハビエル・グティエレスですが、スペインの俳優で名優として有名です。同じくサスペンスのスペイン映画『マーシュランド』で、フェロス賞の主演男優賞を獲得しています。
フェロス賞とは、スペインでのアカデミーオスカーみたいなもので、
スペインでは非常に権威のある賞です。
ハビエル・グティエレスは、ちょっと見ると小柄で顔の雰囲気がアンソニー・ホプキンスに似ていると思うのは、”ほげる”だけでしょうか。(笑)ちょうど『レッドドラゴン』『羊たちの沈黙』などのアンソニー・ホプキンスの顔立ちに似ている気がします。そう思うと余計怖くなったりして。
なので余計何を考えているのかわからない感じに見えますね。まさにスリラー向きの顔です。
映画の中の主人公ハビエルは、淡々と狂気をこなしていきます。
このへんの演出が、非常に上手く、好きですね。
何をやりたいのかは、なんとなくわかるのですが、淡々と演技されているのと常に目線が人とか金ではなくて執着しているのが家とか家庭なので、直接的な怖さって感じないまま狂気が進んでいく感じです。
元の奥さんとの別れ方も、『泣き叫び、言い争いをして別れたいか?』なんて面白いセリフでした。
ちょっと変わった形のパラサイト
本映画を見ていくと、ハビエルのやってることって半地下のパラサイト達と対比して考えてしまいました。韓国とお家事情も違うし、そもそもこのハピエルは成功者ですからね。
比較はできませんが、ハピエルの身の寄せ方、すり寄り方といい理想の邸宅が、パラサイトのお屋敷に似ているんですもん。
パラサイトの方がまだ、まともでしたよね。彼らは家族の幸せは自分の幸せでしたからね。
一方で、スペインのハビエルといったら、本当に始末が悪い、ひどい男ですよね。
元は金持ちってのはちょっと違ってます。
ただ、一回味わった金持ちのいい生活の蜜の味は、捨てられないんですよ、なかなかね。
金も家も失い、結局元の良い状態を目指すわけですが、
彼の出した結論は元の状態でも不満な自分がいることに気がつくのです。
嫁からはなじられて、息子は太っていてまともに運動も出来ないし、がっこうでもいじめられている。
何もかもが嫌になって、今の嫁や息子では自分の思い描いているゴールの家庭には決して達成しないから他人の家に寄生しちゃえってのが最終的な狂気なんですよ。
おそろしいですよ。
家族とかは捨てて、自分だけそこに乗り換えようって感じですからね。
そういう意味で、本当に半地下の家族達より、遙かに醜悪なやつでしたねハビエルって!
ゴーンガールの奥さんにも似てるかなぁ。
合わせて読みたい『ゴーンガール』
ラストシーン考察
ラストシーンでは、CMと同じような素晴らしい家庭で、同じように妻と子供と笑いながら過ごし家の庭園をみているハビエルで終わります。
その後、水道の蛇口から水がしたたり落ちるのです。
これは何を意味しているのでしょうか。
思うに、家や家庭は手に入れたけども”完璧”ではないとのメタファで
ハビエルの夢や理想には届いておらず、まだ足りていないという示唆でしょう。
ようは、また犯罪を犯すってことですね。
もしくは、どこからか犯罪はバレてつかるよ。という意味のように思えます。
海外の評価 2020/03時点
まだデータ少なすぎて傾向がわかりませんが、評判は良いですね。
Metascore (批評家) | – |
User rating | 6.3/10 |
TOMATOMETTER (批評家) | 100% |
Audience | -% |
映画の感想まとめ
”ほげる”的には、そこそこ面白かったですよ
パストール兄弟の映画は安定した面白さがありますね。
でも何故か、あまりメジャーにはならない作品が多いです。
理由はわかりませんがね。
→理想の家庭像がある
→何をしても手に入れたい物がある
→他人をおとしめる系は大好き!
こんな人ならこの映画おすすめで、好きだと思います。
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 4
キャスト 4
ストーリー構成 4
初見で読み取れない謎 4
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