『オペレーション・フィナーレ』緊迫感あるリアルストーリー!アイヒマン身柄確保事件:動画配信・映画感想あらすじ考察
映画『オペレーション・フィナーレ』はNetflix配信のオスカー・アイザックを主演による実際の事件を基にした歴史実話映画!アルゼンチンに逃れたとされるアドルフ・アイヒマンをイスラエル諜報特務庁モサドが追い詰め、身柄を確保してイスラエルまで連れ帰るまでを緊迫間のあるリズミカルな展開で描く
Netflixで2018年に配信された、歴史実話映画
超見ごたえのある本作品
Netflixサイコーと言える作品の一つです
あ、結論から言ってしまいましたが、本作品はあまり表立って扱われることのなかったモサドの活動を
アドルフ・アイヒマン捕獲事件と言う、超ど級の戦犯逮捕(身柄確保)を
モサド職員の視点から生々しく描かれます。
モサドといっても
スパイ映画とか、スタイリッシュなことは何もなく
ユダヤ人の視点に立って、ユダヤ人が受けてきた苦役を織り交ぜながら、
アイヒマンの証言を基にしたフラッシュバックを入れながら確保事件に焦点を絞って映像化されています
見ごたえ十分、かなり面白い仕上がりなっています
おすすめ度としては
☆5のおすすめ(5点満点)
感想中心となります
それでは見ていきましょう
あらすじ ネタバレなし
かつてアイヒマン拘束作戦に従事し、人違いから無実のドイツ人を殺してしまった経歴を持つイスラエル諜報特務庁モサドの諜報員ピーター・マルキン(オスカー・アイザック)は、自身も姉と慕っていた女性をナチスのユダヤ人迫害で亡くしていた。
1960年アルゼンチンの支部から、アドルフ・アイヒマン(ベン・キングスレイ)が潜伏しているという情報が入る。アイヒマンの息子のクラウス(ジョー・アルウィン)がユダヤ人女性と知らずに付き合い、その思想から女性の親が情報を密告してきたのだ。
イスラエル諜報特務庁モサドのイサル・ハルエル(リオル・ラズ)とラフィ・エイタン(ニック・クロール)は、本人確認と身柄拘束の作戦を実行に移すべく、計画を練り始める。
医療班のハンナ・エリアン(メラニー・ロラン)を加えて、作戦メンバーはアルゼンチンにわたる。
イスラエル、ユダヤ人であることを隠し徹底的にアイヒマンの行動パターンを調査し拘束作戦発動のタイミングを待った。ついに、時は熟しアイヒマンの身柄を確保しセーフハウスにかくまうことに成功する。
アイヒマンの本人は、あっさり自分がアイヒマンであることを白状する。エル・アル航空を使ってイスラエルへ運び込む計画がアルゼンチンとの関係をしぶり中々離陸許可が出ずに1週間延期となる。
さらにアイヒマン本人の出国のサインが必要となり、作戦メンバーはアイヒマンを締め上げ、サインさせるべく奮起する。
エル・アル航空に登場する日に、ついにアイヒマンはピーターによりサインをした。ピーターは拷問ではなく、身の上話をアイヒマンにぶつけ、暗に戦争責任をアイヒマンの側からの視点で語ってほしいとお願いし、アイヒマンの自尊心に火をつけサインインさせることに成功したのだ。
モサド一行は、セーフハウスが見つかる間際の間一髪で、連れ出すことに成功し鎮静剤を打ったアイヒマンをアルコールで酔わせたことにし、飛行機で無事にアルゼンチンを出国することが出来た。
1年後、1961年5月アイヒマン裁判が開かれ、ピーターの姉の幻影も消えつつ責務と重荷から解放されつつあった・・・
映画情報&キャスト
『オペレーション・フィナーレ』 2017年 アメリカ
【原題】Operation Finale
【監督】クリス・ワイツ
【脚本】マシュー・オートン
【製作】フレッド・バーガー
オスカー・アイザック
ブライアン・カバナー=ジョーンズ
ジェイソン・スパイア
【製作総指揮】
マット・チャーマン
ロン・シュミット
【出演者】
ピーター・マルキン(オスカー・アイザック)
:アイヒマン拘束作戦に身を投じるモサド職員
アドルフ・アイヒマン(ベン・キングズレー)
:かつてナチスで最終的解決に関わった人物
ハンナ・エリアン(メラニー・ロラン)
:モサド医療班、ピーターの別れた奥さん
イサル・ハルエル(リオル・ラズ)
:モサド責任者
ラフィ・エイタン(ニック・クロール)
:モサドでアイヒマン拘束作戦を指揮する
クラウス・アイヒマン(ジョー・アルウィン)
:アイヒマンの息子
超感想中心の評価考察・レビュー
監督はクリス・ワイツ
兄弟でプロデュース、脚色などを手掛けるのに有名な、ワイツ兄弟の弟クリス・ワイツ
正直、こんな濃厚な映画でメガホンをとれるとは思っていませんでした。
だって、彼らが有名なのは
『アメリカン・パイ』シリーズで、学園から始まり、大人になっても系のドタバタコメディで、ちょいエロです
クリス・ワイツ自身が初監督として手掛けているのも、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』とニコール・キッドマンが出てたなーくらいな
まとまりのない映画だった記憶しかないですが・・
それが本作では、アドルフ・アイヒマン拘束作戦の実話を基にした、ドラマ映画の脚本ですからちょいびっくりです。
だけど、結果的にはこの映画はいい
トム・フォード監督の『シングルマン』の製作や、人種差別+未来への希望を描いた『明日を継ぐために』での濃厚なストーリーの監督を経て、SWの派生シリーズ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で脚本を手掛けて超成長したのでしょう。
合わせて読みたい『ノクターナル・アニマルズ』
斬新な切り口で、実話を基にしており、モサドの活躍するスパイ映画ではなく、泥臭いアイヒマン拘束とナチス政権でのユダヤ迫害を、時折見せるフラッシュバック映像で効果的に見ている側に残虐性を刷り込んできます。
本作は、アドルフ・アイヒマンの拘束事件についていくつか語られている、ノン・フィクション回顧録の中でも、ピーター・マルキンの物を原作として使っていると思われます。
ピーター・マルキンが主役なので・・・
主演オスカー・アイザック
主演のオスカー・アイザックはピーター・マルキンを演じます
ユダヤ人ならだれでもそうであるように、家族をナチスに殺され心に闇を抱え、アイヒマン拘束作戦で人違いで平和な家族をおとしめた、ピーターを演じます
Netflix系で見ることが多くなってきた、オスカー・アイザックです『トリプル・フロンティア』、『アナイアレイション -全滅領域-』など、やっぱり軍人が板についてますよね。
そんな、オスカー・アイザックの代表作は、やっぱり『スター・ウォーズ』シリーズなわけで、キャリアの方向性と名声を勝ち取りましたね。
本作では、製作にも名前を連ねて、本人のキャリアとしても新しい風をつかんだことでしょう。
合わせて読みたい『トリプル・フロンティア』
アドルフ・アイヒマン役のベン・キングズレーは圧巻
ベン・キングスレイが、アドルフ・アイヒマンを演じました。
ん?
そう、ベン・キングスレイの代表作は『ガンジー』非暴力の人を、怪演して圧倒的な演技力でアカデミーで主演男優賞までゲットしました。
スピルバーグ監督のリーアム・ニーソン主演『シンドラーのリスト』では、シンドラーをと一緒にユダヤ人たちを助ける、工場の会計士イザック・シュターンをこれまた熱演!
それなのに、それなのに
本作では真逆の最終的解決(ホロコースト)の発案発動者である、アドルフ・アイヒマン役です。
このギャップ感がすごい、
でもベン・キングスレイの少しオドったキョドった目線は、実にいい
自分には、何の責任もないんだって表情
焼き付けている光景は、やってしまったことは事実として自身でもわかるのに、
アイヒマンの目からあふれてくる、”無責任感”
その目と言動が、それでも自分の行動を全力で全部を肯定しています
ベン・キングスレイと言う役者、長ーいキャリアの中で様々な役を演じ、舞台俳優でも通じる演技力
改めて感じる、侮れなし。。
実際の堂々とした無責任ぶりは、本当のリアルでも映像として戦争犯罪フィルムが残っています
それと比較する必要もないのですが、熟練の演技力です
近年では、腹に一つも二つも癖をもった大物とか悪役が多いですが、本作では間違いなく”悪”の中の特上の部類
大物俳優は、本当に悪役がうまい!
何気に光ったメラニー・ロラン
主演女優にはなかなか慣れないタイプのメラニー・ロランですが、
個人的にはかなり好き
『グランド・イリュージョン』でも清潔感漂うな新人ICPOの警官役を演じて、めっちゃ好きなタイプです
ブラピの『イングロリアス・バスターズ』でも、フランス人の振りしたユダヤ人で映画館でナチスを大量虐殺します。
親族がナチスに迫害を受けた過去を持っているので、こういう役は自分で志願でもするんでしょうかね。
イングロリアスでもよかったのですが、本作ではどちらかというと、ピーター(オスカー・アイザック)をどうどうとなだめる役柄に徹します
合わせて読みたい『イングロリアス・バスターズ』
やさぐれ息子役でジョー・アルウィン
ジョー・アルウィンがアドルフ・アイヒマンの息子のクラウス役で出ています。
ジョー・アルウィンと言えば、リアルワールドではテイラー・スウィフトとの蜜月を重ねる、2枚目のイケメンですが。
本作では、ナチスに傾倒して典型的なSSっぽっさを演じ、実に情けない、ダメな息子役を、熱演しています
映画感想、解説 ネタバレあり
映画全体的には、事実に基づいているので
こういう歴史ドラマとしては、結論は知っているわけなんですが、それを差し引いても
ドキドキが止まりません。
特上のナチス戦犯の、アドルフ・アイヒマンですが、捕まって法廷で裁かれて、絞首刑まで行ったくらいのあやふやな、記憶しかないのですから、映画として捕り物帖みると、かなり知った気になります。
本作を見た後、アイヒマン関連の文献を色々読みたくなり、漁りました
やっぱり、どんなに屁理屈をこねようと
戦争犯罪人であることは間違いないんだろうな・・・とまざまざと感じます
映画でのベン・キングスレイは、顔と風体は少し違いましたが無責任感まるだしの雰囲気は十分するほど伝わってくる
そんなアイヒマンがよくアルゼンチン出国にサインをしたのか、その辺が史実も映画の中でもどうもしっくりこない!
映画の中では、自尊心を傷つけ、プライドに訴えて、懐柔していくような作戦を取っていますが・・
本物のリアルでは、そんなんではサインしないでしょ。
ただ、どの文献を見ても、「自分はアドルフ・アイヒマンだ」と、驚くほど正直に、あっさり観念したとされています。
600万人のユダヤ人の強制収容所へのサインイン、罪の自覚無き罪
物凄い、リアルな感触で映像化されています、
ワイシャツの袖についた、インクのにじみを、ユダヤ人にたとえて表現しているのです
恐ろしい
純粋にそう思えますね!
目の前で大量に虐殺されてもそれが自分事でないんですね
実際の、アイヒマンはコンプレックスの塊であったとされています。
映画の中では非常に頭の切れるスマートな男として描かれています。多くのドキュメンタリー映像でもそのような雰囲気で語られていますが、実際は大学にさえ通っていなかった一介の人物が、親衛隊中佐まで上り詰め、自己顕示の為なのか何も考えていないのか、黙々と特務(ユダヤ人虐殺、最終的解決)を処理する。
その処理能力だけは長けていたということ、
アドルフ・ヒトラーも、絵描きだったのに、ユダヤ人にバカにされたことから、心が変わっていったとされています。
これは、手塚治虫の漫画『アドルフに告ぐ』で描かれていました。(これ、豆知識ですw)
最終的に、イスラエルやユダヤの人々の心は永久に晴れることはないでしょう
でも、この映画のラストのように、刑の執行をもって一つの区切りにはなっているのだろうと思います。
合わせて読みたい『戦場のピアニスト』
映画の感想まとめ
本作は、歴史ドラマ映画としてめっちゃ面白い部類だと思います
斬新な視点!
この映画の前に、ドイツ映画ですが、『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』で語られている、ドイツ人検事フリッツ・バウアーに焦点を当てた映画を観ても面白いかもしれません。
こちらは、本作ではモサドの上級幹部に直訴するところで、汗かきかき登場する人物がバウアー氏です
彼なくして、モサドの拘束作戦もありえなかったので・・・
✔戦争映画は好き
✔ヒットラーのユダヤ政策は許せない!
✔過去の戦争犯罪はドキュメンタリーでなくてもよい!
こう思う人ならば、本作品は好きになれると思います
独善的評価[5段階]としては
映像・音楽 4
キャスト 5
ストーリー構成 4
初見で読み取れない謎 5
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