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『ゲット・アウト』GET OUTは新感覚スリラー 違和感を感じながらラストを迎える秀逸ストーリー:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-01-18

『ゲット・アウト』は新しい恐怖を感じることのできる新感覚スリラー映画!誰が見ても美人のローズと彼女の実家へ帰省して両親と会う写真家のクリス、田舎では自分と同じアフリカ系アメリカ人のどこか不自然な言動と行動に違和感を覚える。クリスは徐々に抜け出せない罠にはまっていくのだった。 社会的問題を新たな切り口からえぐり取るスリラー映画

本作品は、ジョーダン・ピール監督の初監督作品です。

アカデミー賞では脚本賞を獲得している、まれにみる超おすすめスリラーです

ホラーの位置づけではなく、心理的にもずしっと心に忍び入ってくる恐怖はまさに現実感がありすぎて怖いです。

社会的な人種差別問題を逆の側面から礼讃していく様も、見ていてゾッとします

”ほげる”的には超ど級おすすめの一本です

あらすじ

『ゲットアウト』イメージ画像
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ニューヨークで暮らす黒人で写真家のクリスは恋人のローズからの誘いで、彼女の実家アーミテージ家へ招待された。 意識していないと言えばうそになる、アフリカ系アメリカ人であること。ローズは両親はそんなことは気にしないというそぶりに、不安を抱えながらも一緒に実家へ向かう。

実家へ車を走らせていると、野生のシカが突然飛び出してきてひいてしまう。これからの出来事を暗示しているかのような死にゆくシカの目をクリスは見つめた。

ローズの実家では、両親から大げさなくらいの歓迎を受ける。クリスは戸惑いながらも理解し馴染もうとするが、庭師・使用人が黒人で両親の主義は差別主義でないとの話からの乖離に少し違和感を感じる。

その夜、弟のジェレミーも加えてクリスの歓迎のディナーでも両親・ジェレミーの態度や言葉遣いに違和感が募るばかりだ。夜眠れずに外で煙草をふかしていると、庭師が全速力で庭を走っている。女使用人は窓を鏡にしきりに顔や髪を気にしている。少しの恐怖を覚えたクリスは部屋に戻る時、精神科医の母親ミッシーに禁煙を勧められ催眠術をかけられる。翌日クリスは煙草を吸えなくなっていた。

アーミテージ家の知り合いを集めたパーティーが開かれ、クリスも紹介される。奇妙な紹介や黒人のキーワードを隠しもしない招待客達、さらには年の離れた老婆と若い黒人男性のカップル。
黒人男性はどこかで見たことのなる顔だが、思い出せない。その時、彼が突然「ゲット・アウト」(出ていけ)とクリスに襲い掛かる。

違和感が現実のものになったクリスはアーミテージ家を出ようとするが・・・

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[showTable]

映画情報&キャスト

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『ゲット・アウト』 2017年 アメリカ
Get Out
監督     ジョーダン・ピール
脚本     ジョーダン・ピール
製作     ジェイソン・ブラム
       ショーン・マッキトリック
       エドワード・H・ハム・Jr.
       ジョーダン・ピール
製作総指揮  レイモンド・マンスフィールド
       クーパー・サミュエルソン
       ショーン・レディック
       ジャネット・ボルトゥルノ
出演者
クリス・ワシントン
       ダニエル・カルーヤ
ローズ・アーミテージ
       アリソン・ウィリアムズ
ロッド・ウィリアムス
       リル・レル・ハウリー
ディーン・アーミテージ
       ブラッドリー・ウィットフォード
ジェレミー・アーミテージ
       ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
ジム・ハドソン
       スティーヴン・ルート
アンドリュー・ローガン・キング
       キース・スタンフィールド
ミッシー・アーミテージ
       キャサリン・キーナー

あわせて読みたいダニエルカルーヤ『ブラックパンサー』

スリラー映画としての評価 ネタバレあり

ちりばめられる恐怖

『ゲットアウト』イメージ画像
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『GET OUT』では様々な恐怖がそこかしこにちりばめられています。アメリカ社会の奥底に渦巻いている人種差別に対する社会問題に対して、スリラーの視点から鋭く切り込んでいるのです。

最初に、本映画を見たときは『ウイッカーマン』を思い出しました。

そのウイッカーマンのような宗教や儀式とも違う、一種の強靭な人種肉体へのあこがれ礼賛が強く表れ、何か底知れぬ恐怖が襲ってきて目が離せなくなる映画です。

この映画の巧妙なところは、

普段暮らしている平凡な日常で、まるでドアの下の隙間に、
一枚一枚と紙を入れられていくようにと不気味さが増大していくところです。

  • どこか会話がおかしい使用人達
  • 使用人の動きが不気味、時折固まるなど
  • 夜中に全力疾走している庭師
  • 携帯電話を勝手に触る使用人
  • 人種問題を気にしない両親のはずが、時折わざどそこにフォーカスする
  • 近隣の集まった友人達の親しげで、それでいて特別扱いする感覚
  • アフリカ系アメリカ人が倍以上も年上の妻を持っている
  • その彼がカメラのフラッシュを浴びると突然、「Get out」と飛びかかってくる
  • アフリカ系アメリカ人の彼氏は初めてのローズの、数々のアフリカ系アメリカ人と写る写真

人種問題への切り口

『ゲットアウト』イメージ画像
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この映画の評価すべきところは、

現代のアメリカ社会の中においても必ず存在している人種問題を前面に押し出して取り上げ、

普通の生活の中の会話・仕草・態度でのタブーを映画と言う媒体でえぐり取っていくところです。

しかも、映画そのものは黒人差別ではなく逆方向ですのでウイットに飛びすぎています。

以下のようなところですね。

  • 警官からの行き過ぎた職務質問
  • 会話の中で「優秀な肉体~」「黒~」「大きいたくましい、堅い~」
  • 使用人がアフリカ系アメリカ人
  • 映画使用中の音楽
  • 黄色アジア系からの優劣の問いただし

映画の中でも数えあげればきりが無いでしょう。

日本人から見るとわからない事でも、欧米人や、ネイティブスピーカーが聞くと言葉の節々にも”あるある~”的に人種差別的な英語の要素もさぞたくさんはいっているのではないかと思います。

ストーリー  ネタバレあり 後半戦

『ゲットアウト』イメージ画像
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本映画を端的にネタバレまとめすると、

以下のよう見ていきましょう

アーミテージ家がアフリカ系アメリカ人の肉体に憧れる秘密結社が、都会から遺伝子的に優位であると思われる人物を誘拐し洗脳(催眠術)を行う。
その時、自我・自意識・個性を表層に出せない状態まで催眠まで落とし込み、肉体を換えたいと思っている秘密結社メンバーの脳(自我・意識)を移植する。
その秘密結社はアーミテージ一家が代々管理し、パーティーに集まったのがそのメンバーであり、ローズと弟は言ううなれば勧誘者であり誘拐者。
母親が洗脳者で、父親が脳外科手術を行う分業制。
おかしな、使用人達はそれぞれ、祖父と祖母の自我を移植したアフリカ系アメリカ人達。クリスを助けようと、時折表面に出てくる自我が叫ぼうとしていてくれたのだ。

あわせて読みたい人種差別問題を扱った『グリーンブック』

参考 差別の恐ろしい歴史

更に深読み 伏線考察

ラストまで見終わるとおそろしい数々の仕掛け

ラストシーンは、アーミテージ家から命からがら逃げてきたクリスの前に友達のロッドが表れて助けてくれます。

実はこのラストシーンは、ハッピーエンドではなくバッドエンドにしたかったとジョーダン・ピール監督がインタビューで応えています。

下のプロットでは、現れたのはロッドでは無く、秘密結社側の警官だったそうです。

あまりにもひどいエンディングになるので取りやめたそうですが、ゾッとしますよね。

さらに、ラストシーンがわかったうえで、

もう一度映画を振り返ると数々の伏線がちりばめられています

  • 鹿をはねた後の警官への対応【ローズは彼氏をかばう】
     ← 【クリスの記録が残るのを避ける】
  • 庭師との会話攻撃的な態度【ローズに気があるのでは?】
     ← 【祖父の視線から品定め】
  • 夜中にランニングする庭師【奇行】
     ← 【祖父は実は陸上選手、肉体を試している】
  • 弟からの執拗な身の上語りの会話【酔っ払っていると思っていた】
     ← 【品定め】
  • 弟からのヘッドロック【酔っ払った悪ふざけ】
     ← 【まだ実行には早いと家族からも止められる】
     ← 【冒頭シーンで黒人青年が捕まったのと同じ方法】
  • 盲目のおじいさんとの会話【盲目だから差別を感じなかった】
     ← 【クリスの肉体・人柄を確認】
  • 友達との懇親会【パーティー】
     ← 【クリスの肉体を確認しオークション】
       ・おばあさんの胸板触る仕草、夜強いかの確認
       ・アジア系からの優劣の問答
       ・得意なスポーツなどの非リング

本当にジョーダン・ピール監督の切り込みたかったこと

『ゲットアウト』イメージ画像
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ストーリーから読むと前述したとおり、人種問題を題材のスリラー映画です。

ほげる的には、実際にジョーダン・ピール監督が切り込みたかったことは、

実はもうひとつ、ひねりあるのではないかと思っています。

  • バラク・オバマを賞賛する父親
  • 中産階級の白人、名誉白人
  • 人種差別では無い、むしろ優劣人種だと思っている
  • アーミテージという苗字(中世の言葉で”隠れ家”という意味らしい)

そして、ジョーダン・ピール監督は自身もアフリカ系アメリカ人でありコメディアン出身。色々な要素が実は”笑い”であり、社会全体を風刺する重要なピースであるとすると。

本映画は単なる人種差別に対しての風刺ではなく、

もっと重要な示唆で、リベラル系の民主党を指示する普通のアメリカ人達にたいして、

人種差別をしないリベラルを装っている君たちが

一番、実は逆の意味で人種差別を助長をして

自分たちとの違いを際立たせているんだよ!

と投げかけているようにも思えます。

さらに、DVDパッケージに隠れた意味合いも考えると、様々名読み取り方が出来ますよね

黒の中の白文字、白の中の黒文字など、

今回の映画を表すのにこれほどぴったりのパッケージは無いと思います。

あわせて読みたい濃厚なラストへのストーリーの『不吉な招待状』

タイトルに隠された秘密 考察

映画のタイトル『GET OUT』も、考えさせられますよね。

日本語としては、
 出て行け!
 脱出しろ!

の意味になります。

で、何から?

ってなりますよね。

普通に考えると、クリスに対して逃げろ!って意味になります。

ここは視点を変えて、考えると

自分の中に巣食う別人格に対して、

『ゲットアウト』

”出ていけー!”と言っているのではないか、
それがタイトルの秘密ではないかと考えます。

海外の評価 2020/03時点

評価は、批評家・視聴者ともに、かなり高い評価を受けています。

すごい数値ですね。

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
84
User rating7.7/10
ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
86
Audience98

まとめ

”ほげる”的には、

最高におすすめ!

絶対見た方がいい映画の一つです

映画音楽も全てが、各シーンにマッチしていて何とも言えない怖さを感じます。

中だるみしそうになると、するっと仕掛けや伏線が出てきて違和感が積み重なり、恐怖になり顕在化していきます。

スリラー、ホラーの分野に新しい切り口を吹き込んだのは間違いない作品です。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      5
 キャスト       4
 ストーリー構成    5
 初見で読み取れない謎 5

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、最高に面白い作品と思います。