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『空母いぶき』海洋アクションとしては秀逸!日和りすぎて原作との違いがひどい:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-07-23

映画『空母いぶき』は原作のコミックをベースにオリジナルで書き下している海洋アクション映画!日本における専守防衛の中での”軽空母いぶき”に乗船し波留間近郊に攻め入ってきた東亜連邦との息詰まる駆け引き、日本の防衛の最前線に”いぶき”が護衛艦と共に挑む

2019年大きな期待を受けて後悔(公開)された『空母いぶき』

原作はコミックで、かわぐちかいじ”作の『空母いぶき』だが、まるで別物の空気感

中長編の軍事モノの漫画をを書かせたら日本の中では右に出る人はいないのでは無いかと思われる

”かわぐちかいじ”と言えば、沈黙の艦隊などでも日本を憂う、一本筋の通った漫画家だと思っている。

本作品は、そんなコミックからオリジナルストーリーでの映画化となり・・

否が応でも期待は膨らむが

出来としては

どうか言うと、

「日和ってんじゃないよー」

原作と魂が違いすぎる、もうなんか言いたいことが歪曲されてると思わざるを得ないほど、違っています

その違いが個人的には許せなかったのですが

それでも海洋アクション映画としては、1、2級品の仕上がりになっています

ですので微妙ですが見応えはあり

ただ、個人的には評価しません!

そんな映画の評価は

2のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

波留間島に国籍不明の武装集団が上陸した事にに端を発し、日本の国有領土が侵略された。
ただそれは、東亜連邦の大きな海洋戦略の一つだった。戦争放棄を掲げた日本の憲法下で、自主防衛に努めなければいけない日本国の自衛隊は大きな転機を迎えねばならなかった。

かねてより準備していた”いずも型ヘリコプター搭載護衛艦を改造して建造を進められた、DDV-192軽空母「いぶき」は訓練航行から急遽現場へ向かうことになる。

第5護衛隊に属する旗艦いぶきをと艦載機はじめ、護衛各艦とともに現地へ急行する

いぶきの艦長はかつての航空自衛隊出身の秋津一佐(西島秀俊)、副長は海上自衛隊出身の新波二佐(佐々木蔵之介)

二人は信念信条としては反目しながらも間違いの無い愛国者、自衛隊を指揮し現場海域へ向かうが、そこには今までの価値基準を覆す本物の戦闘が待っているのだった・・・

[showTable]

映画情報&キャスト

『空母いぶき』 2019年 日本
【監督】若松節朗
【脚本】伊藤和典
    長谷川康夫
【原作】かわぐちかいじ
   「空母いぶき」
【出演者】
秋津 いぶき艦長(西島秀俊)
新波 いぶき副長(佐々木蔵之介)
滝  はやしお 潜水艦艦長(髙嶋政宏)
瀬戸 はつゆき 護衛艦艦長(玉木宏)
迫水 いぶきアルバトロス航空隊隊長(市原隼人)
湧井 第5護衛隊群群司令(藤竜也)
垂水慶一郎 内閣総理大臣(佐藤浩市)
沢崎 外務省職員(吉田栄作)
コンビニエンスストア店長 (中井貴一)
本多記者 いぶき広報取材で乗り込む(本田翼)
田中記者 いぶき広報取材で乗り込む(小倉久寛)

超感想中心の評価考察・レビュー

公式HP youtube.comより

監督は若松節朗 ホワイトアウト等社会派監督

若松節朗監督は、『ホワイトアウト』で熱い男、織田裕二を迎えて雪山でダムを守り人質を解放していくシチュエーションアクションとして秀逸な作品を手がけました。

そして、山崎豊子原作の『沈まぬ太陽』を、渡辺謙を主演にJALを思わせるかのような航空会社の中での倫理感、事故を生々しい人物描写で映画化している。

その若松監督が手がけた今回の作品は、海洋・航空アクションの息もつかせぬ展開が素晴らしい

反面、プロットと脚本が・・・ポリティカルサスペンスが・・・

そもそも監督の主義主張なのかもしれないですが・・・

『Fukushima 50』で熱く日本を救ってくれた男達を描いた同監督です。”いぶき”だけがキャリアの中で汚点になら無ければいいですが・・

やっぱり体制に逆らうなら西島秀俊

秋津艦長を演じるのは、西島秀俊

原作のイメージと一瞬かぶり、高い演技力で含みを持った演技が相変わらず凄い

イメージ的には、テレビドラマの『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』を彷彿させる、掟破りの衝撃行動や、色々な判断の裏には実に良く考え錬られた思考が隠されている頭脳派がぴったりと来ました。

映画では、『MOZU』『ゲノムハザード』『ダブルフェイス』など何かと、ヨレヨレな感じの刑事とかそういうイメージですが、本作では終始、凜としています!

反目する佐々木蔵之介が演じる新波との衝突は、常識の範囲での衝突で、少し原作とイメージが違いますね。

イメージが違う佐々木蔵之介

本作で、秋津に唯一対抗してあるべき自衛官をぶつける役の新波役の佐々木蔵之介

ちょっとイメージが原作とは合いませんでした

もちろん、佐々木蔵之介の演技力では無く原作との違いです

原作の新波は、裏表無くいわゆる「いい人」

そして、秋津に対して尊敬と空自上がりではあるけど能力は認めている雰囲気がありました

佐々木蔵之介が演ずる新波は、少し秋津に相反している敵対しているイメージがより強く映りましたね。

何か、隠し事とをしているような、”悪”の雰囲気がどうしても先走っちゃいました。

『20世紀少年』ではなく、『間宮兄弟』くらいのゆったり感がよかったかもれません。

映画感想と解説考察 ネタバレあり

原作とのあまりの違いに愕然としました

一言で言うと、オリジナルストーリーとか、書き下ろしとかそう言うことなのでしょうが・・・・

誤解を怖れずに、書くと

本原作での訴えは、日本国民として逃げることの出来ない現実を突きつけられたときに、

我々は何をどう判断し、戦闘現場での自衛官はどんな境遇や状況にさらされるか

と言うことだと思います。

同じく原作を漫画に映画化された『アルキメデスの大戦』とは一線を画して、

原作の魂が感じられない。。。。

原作をオマージュして、変えているのならともかく

なんか意図的な改竄が入っている気がしてなりません

空母いぶき 原作と映画の違い

原作と映画の違いは、些細な事ではありません。

もちろん、分かっていますとも!映画オリジナルストーリーとしたほうが、原作と一線を画して面白みが増すケースもあります。初戦に時間枠に入れないといけないですからね。

例えば、「バトル・ロワイヤル」だとか、「亜人」なんかは、原作からは遠く離れましたが、”許せる”違いでした。

単なる設定だけかもしれませんが、リアリティが損なわれる戦闘シーンやアクションとしては逆に技術の粋を集め、よく出来ていたと思います。

それ以外の部分で、以下がめっちゃ気になる違いです

  • 東亜連邦 何故中国としないのか
  • 内閣での行政判断が薄い 緊迫感がまるでない
  • 劇中の時間経過 映画クリスマスの24時間、 原作は1年以上
  • 記者の扱いが覚悟が軽い
  • 記者の配信で世界が救われる・・ 本田翼役は原作にはいない 完全に軽いノリになった
  • コンビニの描写 いらない
  • 住民が住んでいる島へ敵が上陸が無い
  • 東亜連邦の兵士が欧米人
  • 公式HPのストーリーで
    尖閣の1文字もない
    あるのは、沖ノ鳥島西方450k ★ひどすぎる

全体に日和りすぎです

よく原作者の『沈黙の艦隊』『ジパング』などで、ポリティカルサスペンスを臨場感溢れるタッチで描いた”かわぐちかいじ”が、これを赦したモノだと呆れてしまいました。

一方で、単なる海洋・戦闘機アクションであると、割り切ってみるとそれなりに面白く見られるから不思議

それでも、コンビニのシーンは本当によけい!
(なぜ、中井貴一なのかもわからず・・)

西島秀俊や佐々木蔵之介、その他有名俳優陣がどんなに名演技しても

全体の主張が濁ってしまっては伝わるモノの響き方がまるで変わってしまう、そんな内容でした

これ絶対、中井貴一は番宣だったんじゃあなないかと思っています

「記憶にございません」とかね

海洋アクション・戦闘機シーンは固唾を呑む緊迫感あり

今まで、紹介した通り

原作からは程遠い、遠慮深げなポリティカル主張が消えていますが

それでもやっぱり、戦闘シーンは目を見張るものがある

トップガンのトム・クルーズのようにカッコいいシーンがあるとかではないが、現代の近代兵器戦ってきっとこんな感じだろうというイメージが湧くのですよこれが。

人によってはつまらないかもしれない

ド派手さと言うより、堅実に確実に”見えない”戦争を映像化し、そこそこの迫力を出すことには

かなり成功しています。

ゆえに、戦闘物として、本作を見るときには、圧倒的におすすめになります

映画の感想まとめ

期待が本当に大きかったので、残念です

ただ、海洋アクション

日本の戦闘機アクションとしては暇つぶしに丁度良いと思います。

映画としては、ちょっと原作を知っていると引いてしまう内容が多く、

悪い意味で記憶に残っちゃいます。

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      4
 キャスト       3
 ストーリー構成    1
 初見で読み取れない謎 1