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『見えない目撃者 日本版』骨太ストーリーと吉岡里帆の熱演は韓国オリジナルストーリーと違うテイストそれが良い!:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-08-24

映画『見えない目撃者』は韓国映画のリメイク映画で日本に続き中国でもリメイクされるなど原作が高く評価されているサスペンス映画!警察学校を卒業する間際で事故で視力を無くしたナツメ(吉岡里帆)が連続少女誘拐の犯人に遭遇したことから警察と共に少女の行方を追い始めるが・・・

本場韓国で大ヒットして世界でも好評だった『ブラインド』を元に

日本版としてストーリーを大幅に変えながら映画化しています

中国でもリメイクされるなど、原作の大ヒットに加えて

原作をインスパイヤしながら日本オリジナルストーリーとして高評価を受けています

個人的には原作よりも面白いサスペンスに仕上がっていると感じるところが多々あり、出演陣の熱演もあり奥の深い作品tなっています

決して吉岡里帆の可愛さだけでなく、体当たりの熱演が映画に引き込まれます。

そんな映画のおすすめ度は

4のおすすめ(5点満点)

感想中心となります

それでは見ていきましょう

あらすじ ネタバレなし

警察学校を優秀な成績で主席卒業したナツメ(吉岡里帆)は弟の大樹と一緒に車で家路についていた。
その時、ナツメの運転の不注意から交通事故を起こしてしまいナツメは失明し、目の前で弟を乗せたままの車が大炎上して弟を亡くしてしまう。

数年後、ナツメは弟を亡くしたことを悔い自分を責め続けていた。母との二人暮らしの中でも自分の人生を取り戻せずに毎日を生きていた。

弟の命日に墓参りからの帰り道にナツメの横をスケボーに乗った人が通り、その道の先で事故に合う音を聞いてしまう。盲導犬とともに事故現場に駆けつけるが、そこにはスケボーに乗った人物の姿は無く車の運転手、そして車の中から助けを求める声だけが聞こえてきた。”ナツメ”が視覚障害者であることを認めた運転手は無言のまま、その場を立ち去る。

ナツメは警察に届け出を出すも警察は盲目の目撃者の言うことなど全く真剣に取り合わななかった。

ナツメのスケボーの話から警察はスケボーに乗っていた高校生の春馬の足取りを掴み事情聴取をするが、事件性なしとの判断をしてしまった。

ナツメは春馬に直接会い、当時の状況を説明して協力を取り付けた。警察が本腰を入れない中でナツメと春馬の二人は姿のわからない犯人を捜し始めるが、そこにはナツメ達の思いも寄らない犯人と驚きの事実が待ち構えていた・・・

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映画情報&キャスト

『見えない目撃者』 2019年 日本
【監督】森淳一
【脚本】藤井清美
    森淳一
    原作 韓国映画『ブラインド』
【出演者】
なつめ(吉岡里帆)
 :警察官を目指しながらも自らの不注意で交通事故に遭い失明する
  その時に同乗する弟を無くした
  弟を亡くしてから数年後に少女誘拐の現場に居合わせる
春馬(高杉真宙)
 :スケボーだけが生きがいの高校生
  なつめの遭遇した事故現場にいたことで事件に巻き込まれる
木村刑事(田口トモロヲ)
吉野刑事(大倉孝二)
日下部刑事(浅香航大)
高橋係長 刑事(酒向芳)

超感想中心の評価考察・レビュー

東宝映画チャンネル youtube.comより

監督は『重力ピエロ』の森淳一

森淳一監督は、当時原作小説からの映像化不可能と言われていた骨太のミステリーである放火事件とそれを取り巻く兄弟、人間模様の描写が素晴らしかった『重力ピエロ』を手がけて見事ヒットに結びつけています。

本作でも原作が韓国映画で、そのリメイクとして難しいところもあったでしょう

監督の映画インタビューとしては

「世の中の表現すべき所は小さくなっているなかで、やっていいことはやりたい

と語っています

R15の映画のレーティングをつけて、ギリギリの性描写を匂わせる表現と暴力残虐シーンを盛り込んでいます。非常に茶連じゃブルな映画です。主演の吉岡里帆からも「平成最後の戦い抜いた作品」と評されているようです。

監督の作品にはストーリーを組むのが上手い作品がテレビや映画でも多く、ミュージックビデオでもレミオロメンの『3月9日』など扇情的でノスタルジックな誰も感じるところを表現するのが非常に上手い監督です

本作でのプロットとストーリーを仕立てる演出としては、視聴者・観客側も吉岡里帆演じるナツメと同じく、犯人像が最後までわからないスタイルを取ります。その為、盲目の吉岡と同じように劇中の中で一緒に捜査しているかのように映画にのめりこんでいけます。

脚本は『ミュージアム』の藤井清美

藤井清美が脚本を手がけます

作品にはカエルの姿の凶悪殺人犯人を追う刑事を描く『ミュージアム』があります、本作と似たような展開ですが鉄板の安定感があります。

元々は中田秀夫監督の映画の脚本をすることが多くDEATH NOTEシリーズの派生、”L”だけの物語を描いた『L change the WorLd』等の脚本もしています。

吉岡里帆の体当たり盲目の演技 ”あざとさ”なし

吉岡里穂と言えば、”あざとさ”

そう、私の映画を見る、女優を見る、俳優を見る審美眼はおかしかった。。

本映画を見るまでは、正直吉岡里帆を舐めてました

イメージは松たか子や松田龍平、高橋一生と満島ひかりが共演して話題になったテレビドラマ『カルテット』での、突き抜けた悪魔女子役で数々の賞を総ナメしています

そう、どん兵衛のどんぎつね的な”あざとさ”

それが彼女の武器だったはず

そのイメージが強すぎて、ただの顔だけ女子だと思っていました。本作では逆に、盲目の女性をそれこそ全開で演じます。目が見えない元警察官という強気の演技は、指導のたまものなのかオリジナルキャラなのか、とにかく印象に強烈に残ります。

これまでも主演級はドラマや映画ではありますが、本作を見た後は思い直しました

もっと高く評価されてもいいかなと改めて思う次第です

意外と、汚れ役も平気でこなせるタイプなのかもしれない。本作では大物感の予感すらもらいました

原作とも違うオリジナルストーリー

本家韓国映画とも、ここまで違うと共通点は、見えない盲目の女性が目撃したってことだけで後は違う作品だと思った方がしっくりくるかもしれません。

主人公像
主人公の心の負い目
盲目や警察という規律に対する意識
犯人像
犯人の動機
犯人を見つけるまでの演出

個人的には、これらは時として本家を越えていると思っています

それぐらい素晴らしい

評価は分かれるところでしょうが、日本映画の中でなかなかのきわどい表現をアイドル級の女優さんを使って見事にアタックしているし、視聴者側が引き込まれる一緒に捜査している仕立て感が原作以上でした。

残念ながら、個人的には犯人は登場してきた瞬間にわかってしまいました。それは俳優がそれっぽかったのと唐突すぎた感じがしたので・・・ここは致し方無しですね

それを差し引いても、映画としては良い展開です

主人公の犯罪捜査への熱意と贖罪!

ナツメの弟を無くしたことに対する思いがこの映画の全ての根底にあります

自分の不注意で事故を起こしたこと

事故で失明して何も見えないことで弟の悲痛な助けに応えられなかったこと

「お姉ちゃん助けて」

声に反応できず、何も出来なかった自分

ナツメは、この悔恨の念に苦しみ続けます

少女誘拐事件の時に、”見えない”事を言い訳にはしない!

五感の全てを賭けて全身全霊で少女の助けの声を聞き分け、分析するのです

絶対助ける!、そんな気持ちと気迫が演技とはいえ、伝わってきます。

吉岡里帆の演技がここでも冴え渡ります

視力を失う前の積極果敢なポジティブな性格の演技

視力を失った後のただ生きている時の演技の落差が凄い!

そして、事件を”聞いた”後の責任感と悔恨の念を払拭する行動力のある力強い演技

それら全てが視聴者・観客側に伝わることでしょう

春馬を弟に投影

ナツメは、高校生のスケボーしか取り柄のない春馬に弟の姿を重ねていきます

守るべき存在で近しい存在にドンドン変わっていきます

春馬(高杉真宙)も、盲目のナツメが見知らぬ少女を助けるために必死に行動する姿を見て、自分の行き場の無い思春期特有の気持ちや思いを前向きに捉えはじめます

ナツメの捜査しているしっかりとした調査や視点、事件に対する分析能力やその証拠に対する判断能力から、警察も春馬もドンドン事件に引き込まれて、彼女の優秀さを追認していくのです。

この辺の仕立てが、ストーリーとして良く出来ています

最終的に犯人との格闘シーンや、残虐なシーンよりもこいう設定のほうが映画としての魅力につながっていると思います。意外な犯人と、その動機はあくまでも映画ストーリーのつまみ程度ですね。(もちろん、それはそれで素晴らしいです)

こういう姿を見ていると、単なるサスペンスホラー枠の映画でありながらも、人生勇気づけられますね。

そういう意味でも、本作はおすすめです

映画の感想まとめ

サスペンスホラーですが怖さ

よりも主人公の”けなげさ”の方が際だちます。

ラストシーンでの盲目の主人公と犯人の対峙も素晴らしいですが、それ以上に心理状態の変化をしっかり表した吉岡里帆が良かったです。

屋敷のラストシーンは、ドキドキしっぱなしでした。

結構おすすめです

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      3
 キャスト       5
 ストーリー構成    4
 初見で読み取れない謎 4