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『1917 命をかけた伝令』想像を超えたの没入感!ワンカットの衝撃と臨場感は新映像マジック:動画配信・映画感想あらすじ考察

2020-02-19

映画『1917 命をかけた伝令令』はアカデミー最有力としてノミネートされ撮影賞、視覚効果賞、録音賞の3冠を達成したサム・メンデス監督のワンカット風の撮影が話題の戦争映画。若き二人の兵士が危険地帯をすりぬけ、味方へ伝令をするため命をかけて駆け抜けます。作品の演出全体で映像と音楽で映画の世界へ完全に引き込まれること間違い無しの、超おすすめ作品です

あらすじ ネタバレあり

イギリスの二人の兵士トムとウイル(スコ)がまどろむような昼寝から目覚めると、将軍直々から戦局を左右するような指令を受ける。
西部前線でドイツ軍を相手に戦っている第2連隊(デヴォンシャー連隊)への伝令の指示だった。ドイツ軍の撤退の偽装に誘い出された友軍が、ドイツ軍の作戦通り釣り出されれば、1600名の兵士が全滅である。電話線も切断され指示する手段が自走での伝令のみなのだ。デヴォンジャー連隊にはトムの兄ジョセフ・ブレイク中尉もいた。
二人は配給品を受け取り伝令に向かうが、有刺鉄線を越えた先の無人地帯(ノーマンズランド)までは想像を超えた世界が広がっていた。身体のどこかが欠けた死体、毒ガスにやられている死体、馬の残骸、二人は一歩ずつ歩みを早めていく
二人はドイツ軍の塹壕まで辿り着き、ドイツ軍の撤退が確かであることを確認するも罠の爆弾に巻き込まれたウイルは間一髪でトムに助け出され一命を取り留める。

二人は足を進めると農家が現れ、そこにわずかばかりの休息をとることができた。休息している二人のいる農家の納屋にドイツ軍の飛行機が友軍に撃墜され墜落してきた。なんとかパイロットを救い出すが、重傷を負っているドイツ兵はナイフの凶刃をトムに突き立て、トムは命を落としてしまう。

悲痛にくれるウイルを戦地移動中のスミス大尉が伝令の途中までトラックで運んでくれた。
ウイルはデヴォンシャー連隊のいるクロワジルの森へ行くために市街地を抜ける必要があった。何度か交戦しながら、川まで逃げて必死のジャンプで川へ飛び込む。川の流れに身を任せて漂着した先が、クロワジルの森だった。

撤退戦線へ攻撃を開始しているマッケンジー大佐へ伝令を渡すべく、戦地に飛び込み前線のマッケンジー大佐へ伝令を無事渡す事が出来た。エリンモア将軍の指令通り作戦は中止となった。
トムの死を伝えるため、ブレイク中尉を探し、遺品を手渡し最後の使命を終えた。

ウイルは木の下で家族の写真を見ながら休息をするのだった。

映画情報&キャスト 『1917 命をかけた伝令』

『1917 命をかけた伝令』 2020年 アメリカ・イギリス
【原題】1917
【監督】サム・メンデス
【脚本】サム・メンデス
    クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
【製作】サム・メンデス
    ピッパ・ハリス
    カラム・マクドゥガル
    ブライアン・オリヴァー
【製作総指揮】
    ジェブ・ブロディ
    イグナシオ・サラザール=シンプソン
【音楽】トーマス・ニューマン
【撮影】ロジャー・ディーキンス
【出演者】
スコ、ウイル(ジョージ・マッケイ)
 :トムの伝令の相方
  当初は、伝令そのものを辞退したがっていた
  本名)ウィリアム・スコフィールド
トム・ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)
 :兄を救うため、連隊を救う為
  伝令役を受ける
  車で近場まで行動を一緒にする
スミス大尉(マーク・ストロング)
 :伝令途中のスコを救い
  車で近場まで行動を一緒にする
ジョセフ・ブレイク中尉(アンドリュー・スコット)
 :トムの兄、第22連隊にいる
エリンモア将軍(コリン・ファース)
 :スコとトムに、伝令の命令を与える
  第2連隊を救うべく指示する
マッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)
 :第2連隊の突撃を指揮する大佐

感想考察

驚異のワンカット 最高の臨場感

公式HP https://1917-movie.jp/introduction/ youtube.com

ワンカットと銘打ったいただけに、実際見てみて、たまげました。

正直な一言感想です、異次元の映画との一体感を味わえます。

本当に凄いんです。この撮影技法に圧倒されて、その撮影方法ばかりを考えて内容についていけなくなるかとドキドキするくらい良く出来ています。そんな思いが頭をよぎった後は、どんどん引き込まれていきました。

映画の最初から最後までワンカットです。

厳密にはワンカット風の撮影で、視聴者にはわからないような映画殺意テクニック!
10分越えの長回しをつなげているそうですからさらに、驚き!

360度カメラ回したり、柱や木陰、遮断物や暗がりへ入るときが切り替わりポイントだと思いますが、全くわかりません。

ワンカット撮影の効果はもの凄く視覚的にうったえられます。平たく言うと、 自分が2人の若者と一緒に伝令をしている第3の男になった気持ちになれます。

半端ない没入感、没頭感、近視感を味わえます。

  • 兵士の息づかい
  • 塹壕の生々しさ
  • 敵の攻撃への恐怖
  • 飛び交う怒号・砲弾
  • そこかしこで立ち上る土埃

これらの目からの感じ方が半端ないです。

この驚異的な臨場感に加えて、音楽や走るスピードでの抑揚・リズムを付け方など、色々な撮影技術が盛り込まれています。

昨今では、こういう長回し技術は没入感を高める撮影技術として

よく使われます、マイケル・ベイのようなローリングぐるぐるで被写体を回っていったりするのもその撮影技法のひとつかもしれません。全体的に映画へフォーカスしていく効果が得られます。

最近ではNetflix配信映画でもこういう技法が使われます。

その数年前に既にワンカットを先んじて実現している、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の目の付け所は流石としか言えません。

参考に合わせて読みたい
Netflix配信の一味違う、ワンカットアクションの『タイラー・レイク -命の奪還-』

サム・メンデス監督のアイデア

本映画でメガホンをとるのは、アカデミー常連のサム・メンデス監督。

今までもセンセーショナルな映画を世に放ち、視聴者に印象に残る映像が特徴だと思います。

『アメリカン・ビューティー』での中流階級の男の頭の中を映像化したり、『ジャーヘッド』で戦争に対する生々しさを戦争行為と違う視点で描いたり、007シリーズに新しい高空からの撮影だったり、『1917 命をかけた伝令』と同じ冒頭の長回しなどですね。

1917では、屋内のシーンが一切ありません。

数ヶ月前からフィールドの撮影現場に入り、塹壕や市街地、無人地帯の設計を、俳優とチームカメラマンと監督とで事前に廻って測量しながら作ったそうです。

測量した設計に従って、塹壕を計算ずくで掘ったんですね。

とにかく映画の製造過程を考えると、感動しか感じえません

ロジャー・ディーキンスが実現した圧巻の映像

カメラ監督のロジャー・ディーキンスが表現して実現した1917の映像美、戦争なので映像美と言うにはあまりにもおかしいですが、あえてそう言わせてもらうと圧巻すぎます。

スクリーンで見ないともったいないですが、最近の家庭での大画面で、大音量で見るに値する久しぶりの映画となります。

監督と一緒に何か月も映像を実現するために、監督のオーダーを実現する

その手法は驚嘆です。

彼らは、従前に練りに練ったワークとカメラフローを何度もテストして、この驚異的なワンカットを実現しています。

この撮影は、ロジャー・ディーキンスが担当し、
これまでアカデミー撮影賞に13回もエントリーされている

超超超有名な人で、今回もアカデミー撮影賞を獲得しています。

市街地の撮影などでは、照明弾の効果を事前に何度も測定して光と影の織りなす効果を何度も証明をあげて確認し、模型を使って完全に光りの当たる場所と影の出来る場所、時間を計算し尽くして撮影に挑んだそうです。

市街地だけで無く、戦争映画で使ってはいけない言葉ですが、全シーン美しい、幻想的なシーンを作り出しています。

合わせて読みたい
ロジャー・ディーキンスの意外な撮影『プリズナーズ』

印象に残ったシーン

ひたすら走る、トムとウイルです。トムがドイツ兵の凶刃に倒れましたが、ウイルは一人で最後まで仕事をやり抜きます。

以下どのシーンもカメラワークが神がかっています。

計算され尽くされているカット、360度撮影など、自動車やバイク、クレーンを活用しまくっていますが、微塵もわかりません。凄すぎる。

  • 冒頭の塹壕のシーン(茶色い、泥にまみれている)
  • 有刺鉄線の先の死体の山、塹壕に埋まり顔だけ露出する死体
  • ドイツの塹壕での罠が爆発
  • 農家納屋へ飛行機が突っ込んできたところ
  • 陥落した橋を渡るところ
  • 市街地の疾走シーン
  • 川で流されるシーン(水滴の一つも画面に映らない)
  • 最後の塹壕のシーン(エキストラ多過ぎ)
  • 草原突撃を横切るシーン(人に当たりまくって臨場感ありまくり)

実話を基にした映画のテーマは何だったのか

この映画ではほとんどセリフがありません、セリフで感情を伝えたり、背景説明はほとんどないんですね。

”伝令”という、一つの目的に向かって疾走するからこそ考えられるワンカット風映画なのでしょう。セリフや背景説明無しに、それをカメラワークと音楽の臨場感だけで、その場の空気感を作ってしまっています。

そして、全てが対称性で構成されているんですね。

  • 光と影
  • 静と動
  • 冒頭のシーン・ラストシーン 木の木陰・塹壕

全般に戦争の悲哀と、宗教観(第2連隊の出撃前の歌など)などが表れています。

本作品は、 サム・メンデス監督が祖父からヒアリングして聞いた実話をベースに、ストーリーラインをくみ上げています。実際の伝令係とその役割、重要性、こんな事件があったということに着想を得ています。

大きな意味での大隊の似たような作戦はあって様ですが、ドイツ兵がいないとか、塹壕の中で誰がどこに配置されているとかは、完全にフィクションの世界でしょう。

最終的には、ウイルは1600人の命を救っています。ラストシーンまでの描写でわかりますが、トムとウイルは友達でも何でも無い、お互いの家族構成もよくわかっていない、その場で出会った戦友でしかかないのです。

彼らが一つの仕事をやり終えた後、その安堵、家族の写真を見て、ひとときの休息をとり生き延びた事へ感謝しつつ、また次の戦場へ赴くと言うことでしょう。

それらを含めて、戦争への疑似体験を視聴者に投げかけているのではないでしょうか。

映画のクレジットからも、サム・メンデス監督の祖父の実体験に着想した映画となっていますので、反戦的なメッセージは確実にあると思います。

海外の評価 2020/03時点

評価は、批評家・視聴者ともに、ままかなり高評価です。アカデミー賞取るくらいですからね。

iMDbでは、視聴者からはもの凄い高い数値です。

imdbイメージ画像
Metascore
(批評家)
8.4
User rating7.8/10
ROTTENTOMATOイメージ画像
TOMATOMETTER
(批評家)
89
Audience88%

映画の感想まとめ

あくまでも個人的な意見となりますが、『1917 命をかけた伝令』は劇場で1度見て完全没頭して、

メディア発売後、再度テレビ映像で見てみたいですね。トレーラーを見る限りHD画質で家で見るのは、没頭感・一体感以外の何かを感じることが出来そうです

ワンカットの秘密にも少しは迫ることが出来るかもしれません。

海外の評価サイトでも好評です、アカデミー作品賞に向けて、前評判NO1は伊達ではないです。本当に良く出来ています。

映画の中の世界感に完全に入り込みたい人には、超おすすめの作品です

独善的評価[5段階]としては
 映像・音楽      5 + 1
 キャスト       5
 ストーリー構成    5
 初見で読み取れない謎 5

いつも通り、この映画の評価も毎度同じでが、 基本どんな映画でも大好きな”ほげる”としては、に超面白い作品と思います。